宮本輝のレビュー一覧

  • 水のかたち 下

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    「自分を善人に仕立て上げよう気なんて、ひとかけらも持ってはれへん」「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀正しい」主婦が、次々と「善い人」と出会い、大金を手に入れ、そのうえ遂には喫茶店を経営することとなってしまう。何とも魅力的な物語。
    この『グールド』という喫茶店、どこかにあったら、ぜひとも行ってみたくなってきた。
    一方、要所に挿入される、大戦後の北朝鮮から帰還する一家を記した手記は、実話だそうで、光と影のように、主人公と「善き人たち」とのつながりを一層引き立てている。
    また、宮本作品らしく、記録しておきたい箴言があちこちに。

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    2015年12月07日
  • 水のかたち 下

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    宮本作品を読むと希望を得られる。『水のかたち』は出会いを大切に受け止める。その連続が幸福の連鎖を生み出す事が描かれていると感じた。
    作品の中にある下記の言葉が心に残っている。
    『心は巧みなる画師の如し』
    『他者への畏敬』
    『石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません』
    他の作品も読みたくなりました。

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    2015年12月06日
  • 水のかたち 上

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    下巻に感想をまとめます。
    ただ、出会いや人と人との繋がりを大事にしていると、想像以上の場所に行け、想像以上の景色を見に行けるのではないかと希望を持つことが出来る作品だと思った。

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    2015年12月06日
  • 水のかたち 上

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    他の宮本文学でも語られる、骨董、落語、ジャズあるいはクラシック、それらアイテムが、この作品でもそれぞれ効果的に登場する。
    魅力的な使われ方に、骨董(の蒐集)はともかく、落語、ジャズあるいはクラシックは、未聴のものは聴いてみたくなった。
    平凡な主婦が、薄茶茶碗を貰い受けてから、人生の扉が次々と開けてゆき(ご都合主義的なところもあるが)、下巻がそういう展開になるか楽しみ。

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    2015年12月03日
  • 森のなかの海(下)

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    じっくりじっくり読んだ。飛騨の森は温かな結界がはられ、すべてを包み込んでくれる「海」だったのだ。人には、地上で生きていくものには森はかけがえのないものなのだなぁとしみじみと思った。森がそばにない私は山を欲し、通勤途中にある自然公園にときめくのだな。地上で生きる多くのものに森はかけがえのないものだのだ。

    希美子さんが「木にも心がある」というようなことを言っているけれど、そのとおりなのだろうと思う。我が家のベランダの小さな鉢につめこまれた2本の木は、我が家の前にアスファルトに囲まれながら並んでいる大きな木は何を思っているのだろう。

    ぬくぬくした室内でまどろみながら、この物語にひたれる幸せ~!

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    2015年11月08日
  • 水のかたち 上

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    主人公はごく平凡な中年の主婦。ある日譲り受けた高額な骨董品から始まり次々と開かれていく人生の扉。先々で待ち受ける出会いや縁はやがて思いもかけない場所へと主人公を導くが、主人公はそれを絶え間なく流れ落ちる水のように柔らかく受け止める。そしてまた彼女は流れ続けていくのであった。人は良い環境の中にいれば物事は自然と形を変えていい方向に向かっていく。その言葉が心に響いた。

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    2015年11月08日
  • 森のなかの海(上)

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    欲しかった本の隣りにあり、タイトルと装丁に一目ぼれして購入。

    阪神大震災が起きた時、私は小学生だった。東日本大震災もそうだと思うが、大きな大きな震災を目の当たりにし、大きく人生が変わっていく人が想像を絶するほど大勢いたのだろう。この物語の主人公の希美子さんもその一人。家族の形が変わり、住まいも奥飛騨へと変わる。そんな簡単なことではないとは思いつつも、奥飛騨の森に囲まれた山荘が生活の拠点になるなんて、なんて羨ましいのだろう!!傷ついた人たちがゆっくりゆっくり再生していくことがこの物語の神髄なのだろうけど、私は奥飛騨という場所で生活していくこと、森の描写にうっとりしてしまった。森は、木々は、たく

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    2015年11月01日
  • ドナウの旅人(下)

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    再生の物語。「悪いことが起こって当たり前。いいことがあったら不思議だと思って、大喜びするのだ」時代や風土や民族が違っても人間はみんな同じ。願わくは幸せになりたいという点において。見栄や自尊心にだまされずに、他人を愛する。長い長い旅の先に何が待ってるのか知りたくて夢中で読んだ。

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    2015年09月30日
  • ドナウの旅人(下)

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    ドナウの如く、読み応えのある小説でした。異国でも、とりわけ共産圏を主な舞台としているため下巻はその社会性に圧倒されながらのめり込むように読んでしまいました。

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    2015年09月23日
  • 水のかたち 下

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    久しぶりに読んだ宮本輝。なんだか傲慢さを感じるのはなんでだろう。嫌いな話では決してないのだが・・・。

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    2015年08月30日
  • 水のかたち 上

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    志乃子さんがご近所の喫茶店の文机をもらったことからすべてが始まる。いくつになっても、世界を広げていくことができる。ぎらぎらせずに出会いを大切にしていれば。

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    2015年08月19日
  • にぎやかな天地(下)

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    カエルが やかましく泣いている中で
    発酵している 酢の 蔵で 耳を澄ます。

    宮本輝は 阪神大震災を経験することで
    なぜか雰囲気が 変わったような気がする。
    『森の中の海』をよみ 『にぎやかな天地』を読んで感じた。

    勇気って どこから湧いてくるのだろう。
    天から 降ってくるわけではない。
    そして、勇気を 奮い起こして 自らの道をすすむ。

    寡黙だった 祖母。
    何も言わない 母親。
    それが 聖司の なげかけた 言葉と行動で、
    ひも解かれていく。

    時間が 心の中のわだかまりと問題を解決してくれる。
    いろんな想い 悩み 苦しみ そして 絶望さえもが、
    時間という 発酵槽で かぐ

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    2015年08月14日
  • 彗星物語

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    1985年。
    いろいろな事情があり13人と1匹の犬からなる大家族になった家が、共産主義下のハンガリーの留学生を迎えることになった。
    留学生でいえば文化の問題、民族性の問題、また家族ひとりひとり問題を抱えながらもみんなの力で乗り越えていく。言えることは、犬が一番の力になって、すべての問題を解決していってくれたことだ。
    言いたいことを言い合える、秘密にしていることだってある。家族のあり方は今も変わっていないと思う。
    400ページを超えるものであったが、彗星のように留学生は現れ、彗星のように消えていって物語は終わる。
    しかしここからが頑張りどきなのだ。数年後に控えるソ連の崩壊を彼はまだ知らないのだか

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    2015年06月30日
  • 幻の光

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    何の理由もわからないまま、愛する人を自殺という形で失った女の不安定な心情。
    喪失感や虚無感、自責の念・・・
    短編を書ける作家こそ一流作家だと思う、そんな短編集。

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    2015年06月01日
  • 優駿(上)

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    サラブレッドの世界を初めて知った。
    そこにまつわるたくさんの人たち。いろいろな思惑。綺麗事ばかりではない現実はたくさんあれど、オラシオンには夢となっていろいろな人に勇気を与えてほしい。

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    2015年05月19日
  • 青が散る(下)

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    これは青いです。
    こんな多感な大学時代をすごせただろうか?
    大学ってとても特殊な環境であるし、体力と時間と好奇心の総量がMAXの時期だろう。
    ここで何を体験するかで人生かわるんだろうなぁ。

    このモヤモヤした感覚、何者にかになれるのかの期待と不安と現実、そして行動。
    ホント行動できなかった自分。失ったものは大きいんだろうな。
    もう、ボクには訪れることのない青春です。
    そんなムードが溢れていてとても青いのです。

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    2015年05月13日
  • 睡蓮の長いまどろみ(上)

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    ある事情で離ればなれになってしまった母と子。
    その何十年ぶりかの邂逅の果てに現れる新たな感情。
    親と子のつながりとは何とも複雑なものだと改めて思いました。

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    2015年04月08日
  • 焚火の終わり 下

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    何年振り、いや何十年ぶりかも。
    それぐらい久しぶりに2大関西弁作家の宮本作品(もう一人は当然、田辺 聖子さん)

    人間の業とか性(サガ)を軸にした、いい作品は沢山あるけど、やっぱり関西弁で書かれてると説得力あるし感情移入しやすいから読んでない時も何となく切ない気持ちで過ごしてました。

    美味しそうな料理とお酒が色んな場面で登場して、それもまた関西の食べ物やったりするから情景が浮かぶし今回は読みながら、よぉ呑みました。

    結末は…まぁいいんやけど、それにしても男の人って嫁も子供も(孫も)いて女に疲れたから男に走る…って人、そんなに居てるもんなんかなー。
    まぁ作品の中では元々そっちの素質があるかど

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    2015年04月01日
  • 夢見通りの人々

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    発刊当時は映画化もされた宮本輝氏の名作。連作短編作品です。

    里見春太という主人公の、素直で優しく真面目で、でも不器用で孤独な部分と、彼を取り巻く夢見通りの人々の心模様や生き方が、表も裏も含めてリアルに描かれています。

    宮本輝氏の作品には「人物」がしっかりと描かれていて、切なさや愛を感じさせてくれます。前を向いて生きる、ということの大事さを考えさせてくれます。

    自分は、肉屋の竜一の印象が読み始めと終わりでガラッと変わったことに驚き、少し愛着が湧きましたね。
    こんな風に自分のお気に入りの人物を見つけて読むのも面白いかも。といっても、ひと癖もふた癖もある人物ばかりで感情移入はできないかもしれま

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    2015年03月15日
  • 三十光年の星たち(下)

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    愚直なまでに努力する事、人に感謝する事、人を信じられる事。幸せだったと言える人生を送りたい。若いうちは、素直に多くを吸収できる構えでいれば30年後には随分違った姿になろう。2014.2.17

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    2015年02月17日