宮本輝のレビュー一覧

  • 夢見通りの人々

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    人間はロボットじゃなくて、血が通っていて、いろいろ不具合があって、それぞれこだわりがあって、、、。みんな「きれい」じゃないよ。ということがよく分かる。
    現実は生々しい。
    第九章、春太がテープを光子に渡した後の春太の気持ちの描写。(p237)
    中でも「前進しなければならない。自分は人間なのだから、前進しなければならないのだ」が、心に響く。

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    2022年02月25日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    一気読み。宮本輝は初読み。主人公の八木沢と住人(優等生的な住人)の会話があってこそのストーリー。現代のような隣人どうしが希薄な世の中ではこの様な関係を築くことはないだろう。そう言った意味ではこんな終わり方が良いようにおもう。


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    2022年02月15日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    孤児たちが住み着いた「骸骨ビル」、そこの住人を立ち退かせるため、主人公の八木沢三郎がやって来た。八木沢で三人目であるが、他の二人は何故、住人の立ち退きが出来なかったのか。上巻ではそこの住人と八木沢との出会い、住人の自分史などを混ぜながら物語は下巻へと続く。★閑話休題★阪急電車の十三(じゅうそう)駅は京都線、神戸線。高塚線の三線が交わる駅。小生がサラリーマン時代に神戸方面、大阪方面など日帰り出張時には、この十三駅で途中下車し、駅前の飲み屋で同僚と時間を潰した懐かしい場所。書き出しの風景で思い出した。

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    2022年02月14日
  • 避暑地の猫

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    ネタバレ

     未読だと思って久しぶりに宮本輝作品を手に取ったら、2015年に既に読んでいたようだ。

     軽井沢の別荘番の息子として生まれた久保修平は、別荘の持主である布施家に対する羨望と憎悪から、その心の裡に次第に狂気を育てていく。“姉妹の麦わら帽子は、卑下と憎悪のふたつの感情をぼくにもたらせてきた。(p.56)” 布施金次郎と、自らの母・姉との間の淫靡な関係を知った彼は遂に、布施金次郎を殺すことを決心する…
     まさに愛憎劇と呼びたくなる、官能的で、怪しい物語。17歳の修平の、視野狭窄さ、自分の思い込みに徐々に囚われていく様が恐ろしい。軽井沢に立ち込める「霧」も、舞台装置として非常に効果的に働いているよう

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    2022年01月03日
  • 真夏の犬

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    九篇の小説が収められている短篇集。阪神尼崎駅が舞台の作品がいくつか収録されている。かつての「煤煙と汚物の街」尼崎は猥雑な街だったようで描写が強烈で、すっかり小綺麗になった今の街との違いに驚いた。

    文庫版巻末の「解説」で作家の森絵都氏が語る宮本文学への愛着についての記述が、自分が普段宮本作品について思っていることがうまく言語化されていて腑に落ちた。
    「清も濁もなみなみ湛えた底なし沼みたいな、比類なきその作品世界にときどき無性に浸かりたくなる」

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    2021年12月21日
  • 優駿(下)

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    競馬を一度もやった事なかったけどやってみたくなる。久美子が牧場仕事やれるか?なんて野暮は言うまい^ ^

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    2021年12月17日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    久しぶりに昭和の古き時代の物語を読んだ。熊吾のような豪快な心の大きい人、今はいないなあ…としみじみ思う。そして、この時代の女性の生き方は、悲しいものだったと思う。

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    2021年12月16日
  • 水のかたち 下

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    「善き人たちのつながり」
    あとがきにあるこの言葉につきる物語でした。
    余りにも良いことばかり?なので、どこかに落とし穴が?とうがった読み方をしていた自分を反省…

    少しも後ろめたいことをしたくないという気持ち、その思いに正しく生きていきたいという気持ちは、自分が生きる上で大切にしたい事と一緒だなと思った。
    とはいえ、実際にそこまで正しく真っ直ぐにはできていないから、ついついうがった読み方をしてしまったのだろうな。

    更年期、今までの自分、これからの自分を考える主人公には共感できる部分もありつつ、やはり、男性が描く女性という気も。可愛らしすぎて、嫉妬を感じてしまっただけかなぁ…いや、実際、幸運に

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    2021年11月24日
  • 森のなかの海(下)

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    ネタバレ

    なんでしょう、これは。
    読者アンケートの結果が悪くて、連載を打ち切りになったのでしょうか。

    上巻は、ちょっと上手くいきすぎな感はあったけれども、震災から立ち直るための居場所づくり(主人公である希美子や、彼女が引き取った少女たちの)は地に足がついたものだった。
    親の愛情に恵まれなくて、自分勝手だったり、気が短くて飽きっぽかったりした少女たちを、仕事を与えることで生活習慣や一般常識を多少とはいえ身につけさせた。

    しかし下巻にきてその流れは失速。
    希美子に山荘を遺した老女の人生の謎を追う方が主眼になっていて、10人もの少女を預かっているのに、その書き分けもほとんどできていない。
    実の息子二人はも

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    2021年11月20日
  • 春の夢

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    恥ずかしながら、私は社会人になるまで生活で苦労することは一度もなかった。
    哲之の母が、幸せだと思いながら眠りたいと願う場面で思い出すが、私は実家で両親家族に守られて幸せだと感じて眠る毎日を送っていた。


    私はたった4年間だが、親元を離れ海外で働き、守ってくれる者などいない生活を送った。
    住んでいた家は天井がぼろぼろと剥がれてヒビが入り穴が開き、湯船はなくトイレとシャワーが一緒になった浴室があり、お湯が出ないことも多々あり真冬も水を浴びていたこともあった。
    ベッドも古く中の骨が折れており、寝心地がいいとは言えない。南国だったが冷房は古過ぎて効かず、電気代が高いため稼働は1時間のみ。職場は違法労

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    2021年11月10日
  • 私たちが好きだったこと

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    ネタバレ

    流転の海シリーズを読んだあとなので、どうにもリアリティのなさが気になる。
    いきなり酔った勢いで初対面の女性たちと同居を決めるかね。
    新築のマンションに。
    さっさと荷物を搬入するなんて、怪しさしかない。

    そして、借金をしてまで行う善行というのは、どこか違うと思う。
    そりゃあ医者になれればいいだろうけれど、本人は無職で勉強だけして、生活費や学費のすべてを同居の3人が借金してまかなうというのは、いかにも無理。
    結局いろいろ破綻するし。

    親の生命保険を解約してまでお金を要してもらった挙句、彼女からお金を返してもらおうとは思わないって、バカなの?
    彼女だって大人なんだから、借りた金はきちんと返してこ

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    2021年10月27日
  • 草花たちの静かな誓い

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    映画を見終わったような読後感の一冊です。

    アメリカに住んでいた叔母・菊枝が日本旅行中に亡くなり、突如莫大な遺産を相続することになった小畑弦矢。
    諸々の手続の為、ロサンゼルスにある叔母の家に向かいますが、そこで27年前に死んだと聞かされていた叔母の娘・レイラが行方不明だと知らされます。
    レイラは生きているのでしょうか?そして生きているとしたら何処に?そもそも何故、死んだとされていたのでしょうか・・?弦矢は探偵のニコと共に謎の解明に乗り出します。
    ・・と、あらすじだけ見るとミステリのようで勿論その要素もあるのですが(“探偵”も登場しますしね)、描かれているのが宮本さんだけに、やはり“ヒューマンド

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    2021年10月10日
  • 春の夢

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    主人公が同じ大学生で「道頓堀川」にも雰囲気が似ているが、安アパートの柱に打ちつけられた蜥蜴を通じて、より深く「生と死」を掘り下げている気がする。
    全体を通して抑えられたトーンで物語は淡々と進行するが、悩みを抱えながらも希望の未来に向かって生きていく主人公の若さが羨ましい。

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    2021年10月09日
  • 三千枚の金貨(上)

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    MUROYに行きたい。
    月屋にも。

    マミヤの文房具
    手に取れたなぁ。

    どーしても斉木光生
    斉木先生と、読んでしまう…。

    下巻も楽しみぃ。

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    2021年09月26日
  • 睡蓮の長いまどろみ(下)

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    2000年作品。上巻の感想でも触れましたが、著者の作品は、よく読んでいます。芥川書作家、芥川賞審査委員という経歴とは想像できないウィットに富んだ会話や優しい関西弁に親しみを感じております。著者の作品には、いつも「宿命」と言うものが扱われます。その宿命に抗い生きる主人公たちの姿に私はいつも共感します。そして人間が「魔が刺す」という事。この作品も、この2点が出てきます。上巻を読んで、少しサスペンス仕立てのところに珍しいなあと感じたのですが、なるほどなあと唸りました。それから、やっぱり文章が綺麗ですねえ。また、読み返す時があるかもしれません。わたしにとって、著者の作品にはハズレはないです。蛇足ですが

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    2021年09月24日
  • 私たちが好きだったこと

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    ネタバレ

    文章がライトで非常に読みやすかった。
    自分と向き合う時間、作ってみようかな。
    恋愛タイプは愛子だから感情移入、してしまった〜〜
    別れるあたりは涙が滲んでた。
    公衆電話あたりで号泣。
    2人がくっついてハッピーエンドもちょっと期待
    してたけど、切なさの余韻もまた良し。

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    2021年09月22日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    何と言っても装丁TAKORASU「植木街」

    何かが届きました。
    響きました。

    落としどころもよかった。
    ラスト皆が骸骨ビルに。
    36枚の絵と80ページノートのコピー。

    パパちゃん、テッちゃん=阿部轍正
    亡くなってからの物語
    茂木のおじちゃん=茂木泰造
    骸骨ビルで育てられた戦災孤児の面々。
    チャッピー
    ヒデトくん
    ナナちゃん
    サクラちゃん
    トシ坊
    夏美
    ヨネスケ
    幸ちゃん
    マコちゃん
    峰ちゃん

    ヤギショウ
    比呂子ねえちゃんの『みなと食堂』
    『エデンの仔猫』『和楽之湯』
    料理、本、能
    『史記』読みたくなり、漢詩についても。

    宮本輝ミュージアムの『骸骨ビルの庭 登場人物紹介』
    何度もみて、

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    2021年09月19日
  • 睡蓮の長いまどろみ(上)

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    2000年の作品。私は著者の作品は好きで60冊くらいは読んでいるのではないかと思います。著者の作品は純文学に位置されていると考えられるのですが、難解な印象は持っていません。特に彼の作品に出てくる関西弁の優しさには、うっとりすることが多々あります。今の大阪では死語になっでしまったような言葉や言葉遣いが出てきます。それにウィットに富んだ部分もあって、読みやすくて好きなんです。この作品は、ミステリー仕立てで、どのように物語が進んでいくのか興味津々です。

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    2021年09月17日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    老いらくの恋ではなかったのか。
    一時の気の迷いで家族と距離を置かれてしまう、67歳松坂熊吾。
    それはそれで切ないなあ。
    仕事も、他人の世話を焼いているうちはいいのだが、自分の商売となるといつも足元をすくわれて左前になってしまう。

    愚かだと言えば愚かだ。
    毎度同じ過ちを繰り返す。
    それが性分だとしても、学習しなさすぎる。

    ただ、この時代の男として松坂熊吾が卓越しているのは、家族の危機には必ずその場に立ち会っていることだ。
    身体が弱くて何故か怪我しがちな伸仁の、命にかかわるとき。
    学校で伸仁が教師に理不尽な目にあわされていた時。
    熊吾は頼れる父としてその場に居合わせた。

    今回は房江。自らが蒔

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    2021年09月16日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    第一部から長かった。読み終わったー!

    人間の心のヒダとかキビについても、もちろん色々と思うけど、流転の海シリーズで割と重要なの、食べ物に関する描写やエピソードだなぁ、とあらためて思った。
    こういうのサラッと読ませるの凄い。

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    2021年09月08日