宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
父の本棚に置いてあったので手に取りました。
読後一年ほど時間が経ってからの感想ですが、未だにこの作品の印象が強く頭の中に残っています。
好き嫌いの否応無く記憶に残ってしまう作品だと感じました。
正直、話の繋がり方と登場人物の人間性が気にくわない部分があります。(物語の起承転結、スピード感、文章の構成はとてもスッキリしていて読みやすいです。)
しかし、それを押しのけてでも読ませて、記憶に残す力のある作品だと感じました。
人と人の間で愛がどのように生まれ作用するか。
また、そもそも愛とはどういったものなのか、という事について考えさせられました。 -
Posted by ブクログ
家族から重要なピースが欠けてしまったことで幾許かの喪失感を抱えながら健気にそして懸命に生きる登場人物達の人生が交錯し、人間模様が織りなされていく。物語は、青年と、青年が10年前に若気の至りで突発的にラブレターを手渡してしまった女性との間で静かに進行する恋愛を軸に描かれる。
「うまくできるようになってから、人前に出て仕事をしようと思うのは間違いなんじゃないかなァ。失敗したら恥ずかしいとか、間違えたら安く見られるとか考えて、それが礼儀だとか、おくゆかしいなんて自分に言い聞かせる人は、つまりは見栄っぱりで、勇気がないから、せっかく才があってもそれが育たない・・・。」