宮本輝のレビュー一覧

  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    後半になると、熊吾の妻房江の動きが物語の進展に大きなファクターとなってくる。
    この期に及んでこの展開には、随分驚いた。
    極めて哀しい状況下だったけれど吹っ切れた様な房江の姿に、最終巻が待ち遠しい。

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    2019年10月06日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    漸く私の幼少期から、自我が芽生えてきた時代の描写が多く語られる様になってきた。熊吾、伸仁の表情は闊達だけれど、房江の気持ちは落ち込んでいる様に感じる。
    1~6巻迄、わき目も振らず読んできた、次にどういう展開があるのか楽しみ半分怖さ半分。

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    2019年08月12日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    熊吾が折に触れ「自分の自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん」と自戒し、また伸仁にも説く言葉、自分も覚えていたい。

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    2019年07月20日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    第4部のあとがきを読んで、第1部からこの4部迄執筆に20年を要した事が分った。
    今既刊になっているシリーズを読んでいて良かったと思う。
    多分4巻までに20年は自分にとっては耐えられないかも知れない、これは自分が置かれていた環境、人生観の辺か迄含めて考えると、同じイメージを持ち続けれる事が出来なかったんじゃないかと思う。

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    2019年07月01日
  • 私たちが好きだったこと

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    父の本棚に置いてあったので手に取りました。
    読後一年ほど時間が経ってからの感想ですが、未だにこの作品の印象が強く頭の中に残っています。
    好き嫌いの否応無く記憶に残ってしまう作品だと感じました。
    正直、話の繋がり方と登場人物の人間性が気にくわない部分があります。(物語の起承転結、スピード感、文章の構成はとてもスッキリしていて読みやすいです。)
    しかし、それを押しのけてでも読ませて、記憶に残す力のある作品だと感じました。
    人と人の間で愛がどのように生まれ作用するか。
    また、そもそも愛とはどういったものなのか、という事について考えさせられました。

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    2019年06月11日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    もし私が一人の生命の苦しみをやわらげ
    一人の苦痛をさますことができるなら
    気を失った駒鳥を
    巣にもどすことができるなら
    私の生きるのは無駄ではない


    後半に書かれているアメリカの詩人、エミリ・ディキンスンの詩の一節。
    心に残った。

    登場人物たちの関係が複雑で、結構読むのに時間を要した
    もう一度ゆっくりと再読したい!

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    2019年05月05日
  • 彗星物語

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    色々な境遇にありながらも、真面目に人生を生きている城田家の人々。
    そこにハンガリーからの留学生が一緒に暮らすことになって、様々な出来事が動き出す。
    登場人物一人一人が愛おしい物語。
    別れのシーンには感動した。

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    2019年04月15日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    宮本輝の作品に共通しているように思うが、この作品にも「光」が登場する。人間の存在を超えた何かが、人の運命を決定しているかのような感覚。苛酷で残酷な世の中に、稀に存在する点のような光と、存在としての人間が生死を超えていく様を現代的な言葉で、日常的な風景の中に、よくもまあ上手く織り込めたものだと思う。
    多くの人の人生が、不思議に結び付けられていく縁を信じてみたくなる作品。

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    2019年04月03日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    戦災孤児たちの半生とそれを支えた復員兵の不思議な関係性。
    主人公は元メーカーの営業マンで、彼の日記の書き方や行動、考え方は私が見習いたいと思う部分が多々あった。
    大阪弁が人間らしさというか、登場人物の性格をよく表現していると思う。
    不思議な筋書きなのに、あまり違和感なくどんどん読み進めてしまうのは、文体のなせる技か。

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    2019年04月03日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    たくさんの人の想いが、一点に集約されていく感じ。誰を主軸として読むかは、読み手が勝手に決めて良さそう。日々を大切に過ごす人たちの、成長の物語だと思った。

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    2019年03月24日
  • 田園発 港行き自転車 上

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    人の結びつきの不思議さが淡々と描かれている感じ。まだまだ明かされていない関係性が隠されていそう。出てくる人はみんな前向きで、前に踏み出す勇気をくれる。

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    2019年03月24日
  • 星々の悲しみ

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    ずっと昔に読んで印象が良かったので再読。やはり独特の余韻があり、私の感性にフィットする感じがする。
    作者の死生観と、それを情景に描き出す巧みさが光っていると思う。

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    2019年03月14日
  • 優駿(下)

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    オラシオンとセントホウヤ、砂田厩舎と増矢厩舎、そしてトカイファームと社だ……吉永ファームの、ライバル関係が出来上がっていく過程に説得力があり、プロットが巧い。いけ好かない登場人物の中でキラリと光るツンデレおじさま、砂田のテキが本作最大の萌えどころだと思う。ただ皐月賞が読ませるだけに、最後のダービーの描写は尻すぼみ感が否めない。

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    2019年03月05日
  • 優駿(上)

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    雑誌の方の優駿を愛読していながら、こちらは長らく積読にしていた。時代背景もあるだろうがとにかく鼻持ちならねぇ登場人物が多く、上巻に関しては若干イラつきながら読み進めたが、奈良という騎手のパートに入ってからグッと面白くなってくる。

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    2019年03月04日
  • 花の降る午後

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    平成31年1月
    読み終わってから、だいぶ経って、感想文を書こうとしております。
    面白かった。と記憶しているのですが。。。

    未亡人が旦那の経営していたフランスレストランの後を継ぎ経営し、そこに飾られている絵。
    その絵を描いた画家と出会い、、、女としての生き方を考えさせられる一冊。
    女としての幸せ、子供を産む、旦那かたの親との付き合い、仕事・・・
    んで、そのレストランを巡って、争いが起こる。
    マヒィア登場~~

    で、結局、そーなるね。ふむふむ。

    自分なら、愛する人と一緒にいることを望む。「

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    2019年02月26日
  • 約束の冬(上)

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    家族から重要なピースが欠けてしまったことで幾許かの喪失感を抱えながら健気にそして懸命に生きる登場人物達の人生が交錯し、人間模様が織りなされていく。物語は、青年と、青年が10年前に若気の至りで突発的にラブレターを手渡してしまった女性との間で静かに進行する恋愛を軸に描かれる。

     「うまくできるようになってから、人前に出て仕事をしようと思うのは間違いなんじゃないかなァ。失敗したら恥ずかしいとか、間違えたら安く見られるとか考えて、それが礼儀だとか、おくゆかしいなんて自分に言い聞かせる人は、つまりは見栄っぱりで、勇気がないから、せっかく才があってもそれが育たない・・・。」

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    2018年12月22日
  • 田園発 港行き自転車 上

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    えらくゆっくりと進む物語なので最初はどうかと思いましたが、物語の関連性が見え隠れするうちにいつのまにかはまってきました。

    人の人生、原因と結果の連続です。
    その、原因と結果を作っているのは、
    タイミングや偶然であって、
    それを積み重ねると何かしらの物語に
    なるのはとても素敵なことだと思います。

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    2018年12月22日
  • 森のなかの海(下)

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    いやはや、大作でした。

    13人もの同居が始まり、どう収束するものかと思ったけれど、すっかり作品の世界観に入り込んでしまいました。

    自然は偉大だなぁ。大きな力を目の前に人間の諍いが小さく感じる。

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    2018年12月20日
  • 春の夢

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    釘で刺されてしまった蜥蜴は、哲之自身だったのではないだろうか。
    身動きが取れなくなった蜥蜴が、哲之の黒い青春の象徴だったのだろう。
    そして、生きていく希望でもあったのかもしれない。
    青春とは、春の夢のように短い幻のようなものなのか。

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    2018年12月11日
  • 森のなかの海(下)

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    老婦人の過去が明らかになり、子どもとも再会を果たしたのに名乗らずお互いの生活を続ける。老婦人の結婚生活は旦那に愛人がいてほとんど家に帰って来ない幸せとはいえない人生で、離婚を機に独身を貫いて、娘とも絶縁状態で葬式もあげることなくその理由もわからないまま終わっている。
    希美子はその人生で自分の息子に何を思ったのか?他人の子で手一杯なそんな風に取れていたけど、ラストに息子の成長を感じて感慨に耽っている。
    再読したらまた違う捉え方ができるかな??

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    2018年12月09日