宮本輝のレビュー一覧

  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    中学生になった伸仁。
    そして中古車店を立ち上げた熊吾。
    熊吾一家も変わろうとしている。
    ひ弱だった伸仁も逞しさを見せ、熊吾も相変わらず情が濃い。
    北朝鮮に旅立つ兄妹を鯉のぼりを振って見送るシーンが心に残る。

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    2021年06月30日
  • 三十光年の星たち(下)

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    三十年か。自分は階段の前に立ったところで逃げたんだな。。これからもう少し進んでみよう、そんな気になる本でした。

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    2021年06月30日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    妻と子を富山に残し、大阪で再起を図る熊吾。
    そんな彼に色々な試練がかかる。
    伸仁と同じように幼い頃に富山で暮らした筆者にとって、富山の風景は心に刻まれているのであろう。
    富山の田園風景の描写は瑞々しい。
    顔面に大火傷を負った、西条あけみの描写が痛々しい。

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    2021年06月01日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    関西中古車事業連合会を再興し板金塗装会社を東尾に売り渡して大阪中古車センターの商売に専念しようとしたが、東尾の商売の失敗による失踪でまたもや窮地に立たされる熊吾。
    さらに森井博美との愛人関係を断ち切れぬまま房子にばれてしまい、自暴自棄になった房子は自殺未遂を図る。
    これまで幾多の幸不幸、喜び悲しみが繰り広げられてきたが第八巻にして最悪の展開に。しかしそんな中でも伸仁はしっかり自我を確立したくましく成長し、房江は本来の自分を取り戻す。熊吾は反省しながらも相変わらず自分の生き方を貫く。
    いよいよ最終巻を迎える物語。明るい結末を願いたい。

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    2021年05月26日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    相変わらずの読みやすさ。第1部から30年以上をかけてかかれていると考えると、リアルタイムで追いかけていたら次の展開が待ちきれなくなっていただろう。

    伸仁青年は優しさのなかに思春期がちらほらし出し、お母さんにも口答えするように。少しずつ家族3人が大人の会話になってきたのが微笑ましい。

    お父さんまだまだ稼がないと(自分に言い聞かせてます)。

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    2021年05月20日
  • 夢見通りの人々

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    10話の連作。商店街に住む人々は個性があり、皆知り合いで心置きなく声をかける。愛憎あり、涙あり。いろいろな人がいるが、心の底では通じ合える共同体。昭和感あふれる大阪みなみの一角。2021.5.16

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    2021年05月16日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    本当にいろんなことに出くわす家族。
    皆それぞれもがいて生きていく様は、なんか応援したくなる。

    会えないわけではないが、親と一緒に暮らせないなか、ひょうひょうとみえるノブ。えらいぞ! そのなかでの、父と子、母と子のやり取りは泣き笑いさせてもらった。

    少しづつ上向いてきた流れがどうなっていくのか、次も楽しみ。

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    2021年05月08日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    熊吾一家が大阪に戻り、熊吾の事業と小学生になった伸仁が描かれる。
    時代も昭和30年代になった。
    相変わらず熊吾は豪放磊落。
    伸仁も何か将来の大物の片鱗を見せる。
    昭和の時代の大阪に住む市井の人々。
    今ではみられない船で生活する人々。
    そのような人々も丁寧に描く。
    今後の飛躍の前のタメのような巻。

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    2021年05月07日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    第三部に入っても、面白さの勢いは止まらない。
    なんでだろうなあ。
    松坂熊吾の波瀾万丈の人生は確かにおもしろいけれど、ではジェットコースター小説なのかというと、そういうわけでもない。
    プロットに落とし込まれた伏線が…というのでもない。
    松坂熊吾という人物は確かにおもしろい人物だけれど、キャラクター小説ではない。
    短気ゆえの失敗ばかり繰り返すから、成長物語というわけでもない。

    だけど、一度読み始めると、読み止めるのが本当に難しい。
    なににそんなに引きつけられるのだろうなあ。
    大きなストーリーのうねりに身をまかせながら、熊吾の生き様を眺めているのが心地よい。

    第一部や第二部に比べて、熊吾の暴力が

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    2021年05月06日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    第9巻が発刊され全編完結と聞き数年ぶりに再読し始めたが、複雑な人間関係がわからないのであらためて最初から読み直すことにした。

    終戦後、裸一貫になり自動車部品販売で再起を図る松坂熊吾。五十歳にして子供の伸仁を授かり、妻の房江と共に家族を守り抜いていこうとする長い長い物語。
    熊後は、最初は粗暴で野卑な人物という印象であったが、読み進むにつれ人情熱く懐の深い男として魅力あふれる人間となり、また不幸な生い立ちを持つ妻の房江も芯の強い女性ということがわかる。

    第1巻は熊吾が闇市から立ち上がり、辻堂という青年を右腕にして進駐軍物資の横流しで事業の再興を図り動き始める。知人や部下に裏切られたりするなかで

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    2021年05月05日
  • 胸の香り

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    久しぶりの宮本輝。やっぱりとても巧い上手い大人の7話短編集。

    あとがきに「30枚でちゃんとした短編が書けない作家は2流と言われたことが、犯しがたい約束事と残った」を見事に実現されてる。
    1話30ページに満たない作中に、人物の人と成り、心情がしっかりと。

    7話とも物哀しい喪失感が漂う。
    90年代に書かれた作品は、携帯電話も普及してなく、男性優位の世の中は今以上。愛人を作ったり、一夜限りのアバンチュールを試みたりするのも、男の甲斐性的なところには違和感があるが、それを上回る文章力。

    ストンとした結末も好み。

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    2021年04月30日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    冒頭よりまさかの富山への転居。

    「運」が下降線をたどっていく感じを、歯を食いしばって好転させようともがく日々。相変わらずのテンポは心地よいが、スカッ、とできない内容ですね。

    「自分の生命力を信じることが強い運というものの流れに乗るのだ」

    離ればなれになる伸仁は大丈夫かな?親の立場としては耐えられないなぁ。

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    2021年04月29日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    病弱な息子のために大阪の事業を畳み、故郷の伊予に帰った松坂熊吾。
    彼と妻の房江、彼らを取り巻く人々。
    そして40年前の熊吾への恨みを晴らすために現れたやくざ者の伊佐男。
    熊吾は彼とどう対峙していくのか。
    圧倒的なキャラクターの熊吾が、美しい伊予の景色の中で描かれる。

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    2021年04月29日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    【「自伝に戻って来た?小説」、遂に完結!】

    宮本輝「野の春(流転の海 第九部)」新潮文庫

    宮本輝が34歳で書き始めた「自伝的小説」が、物語を進めるに従ってだんだん「自伝」を離れていった、と作者本人が振り返る作品である。2018年に発刊された単行本の文庫版が今月売り出されたのて、文庫しか読まない僕もようやく手にした。

    最終巻にふさわしく主な登場人物が一通り現れ、主人公松坂熊吾はそれまでやって来た複数の事業を整理し、妻・房江はホテル・多幸クラブの食堂での仕事を軌道に載せる。ひとり息子・伸仁が二十歳を越え、五十で彼を持った熊吾なりに責任を果たしたという思いに浸るが、(僕にとっては)まさかの結末

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    2021年04月27日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    とうとうここまで来たか、という感覚。第七部までは文庫でそのつど何度か再読を重ねてきたけれど、第八部は未読だった、そして一気に読んでしまった。年月の経つ中でのそれぞれの変化、心情の描き方、生と死の不思議。改めてじんわりと沁み込む小説…あぁ、やはり好きなのだ、流転の海が、熊吾が、どうしようもなく動き続ける人々や物語が。

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    2021年04月23日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    五十歳をすぎてようやく授かったわが子は非常に身体が弱かったので、大阪での事業を処分して、故郷愛媛の南宇和に戻った熊吾。
    それから2年、伸仁は健康になり、妻の房江もまた田舎の生活になじんでいるようで、このまま南宇和で生涯を過ごしてもいいと思いはじめる熊吾。

    しかし、そこに現われたのが、子ども時代の熊吾との相撲のせいで片足に一生残る障害を負った「わうどうの伊佐男」だ。
    特別に残虐な極道となった伊佐男の執拗な嫌がらせに、不穏な空気が全編に渡って漂う今作は、しかしなかなか読みごたえのあるものだった。

    一年の間に熊吾の周辺にいくつもの死が訪れる。
    それは悪いことが起きる予兆のようでもあり、運命の動く

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    2021年04月23日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ようやく最終巻の文庫本が出たので、第一部から一気読みする。
    関西財界の風雲児、松坂熊吾が終戦後に事業を再開。
    同時に50歳を過ぎて初めて子供を授かったことから物語が始まる。
    強烈な人間の魅力を持つ熊吾。
    彼を取り巻くたくさんの人たちの人間模様。
    彼がどのように息子を育て、事業を大きくしていくのか。
    続きが楽しみだ。

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    2021年04月21日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    「何がどうなろうと、たいしたことはありゃあせん」

    大好きな女房をぶん殴るのだけはやめれば良いのに、とは思っていたが、はたまた。

    退屈なページがない不思議な物語。

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    2021年04月14日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    読み終わってしまった。
    読み終わってしまった。

    感想なんか書けへん。
    この作品を超えると作品を今後読むことはない気がする。37年間ブレずに書き続けられた著者を心からすごいと思う。あとがきにもあったけど、最後まで健康で書き終えてくださったことに感謝しかない。

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    2021年04月10日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    敗戦2年目の大阪を舞台に、戦前の事業や財産を取り戻そうとする松坂熊吾の物語。
    とはいえシリーズの第一部であるのに、熊吾は既に50歳。
    今後は徐々に息子の伸仁の話にシフトしていくのだろうけれど、とりあえず今はまだ赤んぼなので。

    豪快で男気があって人を見る目に長けている熊吾だが、短気で嫉妬深く暴力に訴えるところが欠点。
    身近にいるとちょっと厄介かもしれないけれど、読者としていうならばとても魅力的。

    疎開していた故郷の宇和島から大阪に戻ってみれば、自社ビルには闇市が入り込み、勝手に商売をしている。
    まずそれらを立ち退かせ、商売の糸口をつけなければならない。
    昔世話をした人に裏切られたりしながらも

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    2021年04月08日