宮本輝のレビュー一覧

  • 睡蓮の長いまどろみ(上)

    Posted by ブクログ

    2000年の作品。私は著者の作品は好きで60冊くらいは読んでいるのではないかと思います。著者の作品は純文学に位置されていると考えられるのですが、難解な印象は持っていません。特に彼の作品に出てくる関西弁の優しさには、うっとりすることが多々あります。今の大阪では死語になっでしまったような言葉や言葉遣いが出てきます。それにウィットに富んだ部分もあって、読みやすくて好きなんです。この作品は、ミステリー仕立てで、どのように物語が進んでいくのか興味津々です。

    0
    2021年09月17日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    老いらくの恋ではなかったのか。
    一時の気の迷いで家族と距離を置かれてしまう、67歳松坂熊吾。
    それはそれで切ないなあ。
    仕事も、他人の世話を焼いているうちはいいのだが、自分の商売となるといつも足元をすくわれて左前になってしまう。

    愚かだと言えば愚かだ。
    毎度同じ過ちを繰り返す。
    それが性分だとしても、学習しなさすぎる。

    ただ、この時代の男として松坂熊吾が卓越しているのは、家族の危機には必ずその場に立ち会っていることだ。
    身体が弱くて何故か怪我しがちな伸仁の、命にかかわるとき。
    学校で伸仁が教師に理不尽な目にあわされていた時。
    熊吾は頼れる父としてその場に居合わせた。

    今回は房江。自らが蒔

    0
    2021年09月16日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    第一部から長かった。読み終わったー!

    人間の心のヒダとかキビについても、もちろん色々と思うけど、流転の海シリーズで割と重要なの、食べ物に関する描写やエピソードだなぁ、とあらためて思った。
    こういうのサラッと読ませるの凄い。

    0
    2021年09月08日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    何度同じ失敗をするのか、熊吾は。
    太っ腹で人情家でもあるけれど、最後の詰めがいつも甘い。
    若いうちはまだやり直しもできた。
    だけどもう65歳。
    体力も、残り時間も、そんなに残されていないのだ。

    伸仁のために生きる、と決めていたんじゃないの?
    なのに、糖尿病についても、すぐ油断する。

    房江もそうだ。
    通信教育でペン字を最後まで習いきったのはえらいと思うが、家族に隠れて飲む酒がどうしてもやめられない。
    あんなに伸仁が嫌がって、酒をやめてほしがっているのを知っているのに。

    だけど、房江は麻衣子と交流を深めることで、新しい道が開けていくような気がする。
    心を開いて話ができる人がいるというのは、

    0
    2021年09月02日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    流転の海 第8部。
    本書の半ばから話の展開がとても早い。気になって一気に読んでしまった。

    松坂熊吾と房江の夫婦それぞれの描写の対比がすごい。
    最終の第9部でどういう結びを迎えるか、楽しみ。

    0
    2021年08月29日
  • 人間の幸福

    Posted by ブクログ

    前半は引き込まれる 微妙な人間の心の動きが前半は本当によく表現されていて凄く良かっただけに、後半は直接的な表現が多くなって、作者がこの作品を書くことに飽きてきたような、興味を失ってきているような印象があるのが残念。

    0
    2026年01月12日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この巻では松坂家の周囲で何人もの人が亡くなった。
    また、蘭月ビルで伸仁と仲良くしていた敏夫と光子の兄妹が、母の再婚相手と一緒に北朝鮮へ行くことになった。
    幾つもの別れがあったせいか、全体的に『静』な印象が強い。

    熊吾自身は管理人生活は期間限定ということもあって、早く中古車販売の仕事にめどをつけたいのだが、住込みで駐車場の管理人をやっている以上、時間のやりくりが難しい。
    いつも分不相応な規模の事業計画を立てる熊吾に対し、身の丈に合った事業からスタートすればいいと思う房江。
    今回は房江の言うことを聞いて、小さな中古車販売店からスタートしたのだが、それでも2足のわらじは大変だ。

    加えて、どうも熊

    0
    2021年08月21日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    文庫判だからこそ巻末についているであろう「解説」で1〜6部のあらましをまとめてくれているのが悪くない。

    が、宮本さんの筆致力により第六部からおおよそ9年ぶりに読んだにもかかわらずぐぐっと引き込まれるのがすごい。

    0
    2021年08月15日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    富山での生活に見切りをつけ、大阪に戻ってきた熊吾一家。
    しかし、信頼していた部下に金を持ち逃げされた事実は、熊吾の信頼までも失うことになり、夫婦は水道も電気も通っていない空きビルに暮らし、伸仁は熊吾の妹の家で両親と離れて暮らすことになった。
    この、伸仁が暮らす蘭月ビルという2階建ての集合住宅が、今回のメイン舞台と言っていい。

    ひと癖もふた癖もあるような住民が暮らす貧乏長屋は、伸仁の格好の遊び場であり、そこの複雑な人間関係は、伸仁の心の成長になにがしかの影響を与えたと思う。
    そこに南北にわかれた朝鮮の人たちの思惑があり、一言を言い間違えれば命の危機が訪れるような緊迫感がある。

    資金のすべてを

    0
    2021年08月06日
  • 草花たちの静かな誓い

    Posted by ブクログ

    莫大な遺産を相続するという羨ましい設定であるけれど弦矢のキャラクターもあり忘れてしまう。突然亡くなった叔母が残した謎を解いていく過程と相棒のニコとの信頼関係を築くまでをワクワクしながら読みすすめた。ラストのキョウコの真相告白はじっくりと読見応えあり全て明らかになりスッキリした。それにしても凡人には理解しがたい遺産を今後どのように生かしていくのかきっとビジネスは成功するだろう。

    0
    2021年08月05日
  • ドナウの旅人(上)

    Posted by ブクログ

    母絹子が父との離婚を決意しドナウ川を沿って黒海に向かう旅に出ることを手紙で知った麻沙子は西ドイツに向かう。そこはかつて自らが青春時代を過ごし、自らの臆病さから共に人生を歩まず去る事を決めた恋人がいる場所。恋人ジークフリートと再会し、再び恋に落ちたが母は17歳年下の長瀬道雄と旅に出ていることを知る。
    母を見つけた麻沙子とジークフリート、母絹子と道雄の4人旅が始まる。

    0
    2021年07月24日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    大阪での仕事に行き詰まり、心機一転富山で出直そうとする熊吾。
    しかし、実際に富山に行ってみると、共同経営者の優柔不断さが気に入らず、妻子を残したまま一人大阪に戻ってしまう。

    確かに事業を興すにはある程度の思い切りの良さが必要なのだろうが、ここにきて熊吾は運から見放されたかのように、やることなすことが上手くいかない。
    人と金とのタイミングがことごとくずれている。
    占い師の態度といい、なんだかこのまま坂を転げ落ちていくような不安に襲われてしまう。

    ただ、困窮しているとはいえ、寿司屋で寿司を食べ、タクシーを使い、困っている人には金を渡してしまう。
    遂に房江は自分の着物と指輪を質に入れるまでになる

    0
    2021年07月23日
  • 草花たちの静かな誓い

    Posted by ブクログ

    最初は難しい話なのかな?と、思っていました。
    読み始めると中盤から引き込まれました。
    他にも宮本輝さんの作品を読んでいこうと思います。

    0
    2021年07月22日
  • 三十光年の星たち(下)

    Posted by ブクログ

    不器用でも真面目で一途で、誠実な主人公仁志は佐伯にその人間性を認められる。
    物語の中では、佐伯の理不尽な要求にも葛藤しながら丁寧に応えていく。それは、仁志が佐伯に対して、どこかで憧れを抱いていたからだと思う。
    佐伯と過ごす時間が増えるにつれて、仁志の魅力が引き出され、磨かれていくように感じた。

    読んでよかった。

    0
    2021年07月22日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    松坂熊吾は転落の人生だ。
    またしても部下の裏切りで借金の危機を迎え、愛人の存在が妻にバレてしまう。
    子供の伸仁にも遠慮をしてしまうほど。
    方や妻の房江は夫の裏切りから自殺未遂をするが、僥倖が重なって生き延びる。
    そこからの見事な転身。
    対照的な夫婦の人生。
    さあ、いよいよ次巻は最終巻だ。

    0
    2021年07月20日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    今回も熊吾は同じ失敗をしている。信頼している部下に裏切られるのだ。何回同じ過ちを犯しているのかとほぞを噛む思いだ。さすがの熊吾も自分の性格を分析している。
    この先房江には困難が待ち受けているそうだ。しかしそれは満月の道であるという暗喩。
    伸仁が逞しく成長している。

    0
    2021年07月09日
  • 新装版 二十歳の火影

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    1978年から1980年頃に発表された作品をまとめたエッセイ集。能登へ旅した時に、同じく一人旅をしていた女性とのふとした会話から、汽車の中での母親の記憶を思い出す「能登の虹」が良かった。旅での刺激が過去を追憶するという。

    "旅へ出ると、いろんな匂い、いろんな風景、いろんな顔々を見つけるが、それは随分あとになって、私の中の固く凍った根雪の一片とからまり合いながら、別の形と化して涌きあがっていく。"

    0
    2021年07月04日
  • 道頓堀川

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    著者の初期を代表する「川三部作」の三作目。昭和42年、高度成長真っ只中の大阪道頓堀川が舞台。両親を亡くした大学生安岡邦彦は、喫茶店リバーで住み込みで働きながら大学に通っている。リバーのマスター武内鉄夫は、かつて玉突きに命を賭けていたが足を洗い、息子の政夫が玉突きにのめり込んでいるのを快く思っていない。玉突きで生計を立てていきたい政夫はかつて伝説の玉突き師だった父親に勝負を挑む。
    「泥の河」では小学生、「螢川」では中学生の視点から世の中を見つめていたが、「道頓堀川」では主人公が大人で人生の悲喜こもごもの当事者になっている。

    邦彦は大都市に暮らす人々をどこか覚めた目で見つめている。就職先を決める

    0
    2021年07月04日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    中学生になった伸仁。
    そして中古車店を立ち上げた熊吾。
    熊吾一家も変わろうとしている。
    ひ弱だった伸仁も逞しさを見せ、熊吾も相変わらず情が濃い。
    北朝鮮に旅立つ兄妹を鯉のぼりを振って見送るシーンが心に残る。

    0
    2021年06月30日
  • 三十光年の星たち(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    三十年か。自分は階段の前に立ったところで逃げたんだな。。これからもう少し進んでみよう、そんな気になる本でした。

    0
    2021年06月30日