宮本輝のレビュー一覧

  • 灯台からの響き

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     以前、「◯◯強調月間」「勝手に◯◯特集」等テーマを設定し選書したことがありました。今回はあまり続ける意図のない「灯台」絡み…それも海外文学連続3作でしたが、国内編の本作で最後です。

     本作とも関係しますが、GPS等の進歩で灯台の役割が縮小し、廃止が進んでいるようです。が、機器トラブルの際の命綱、またその地域のシンボル(観光資源等)として、存在し続けてほしいです。

     中華そば屋を夫婦で営んでいた康平(62歳)は、2年前に妻を亡くして以来、店を閉め家にこもっています。子ども3人も皆成人(3番目が大学生)し、同じ商店街にそれなりに親友もいて、好きな本を読んで過ごし、仕事への切迫感はありません。

     ある日、読みかけの本から妻宛ての30年前の葉書が出てきます。差出人は大学生で、灯台巡りをした報告とどこかの岬らしい図がペン書きされ、まったく覚えがないと妻が生前語っていたのを康平は記憶していました。

     様々な疑問が湧き、次第に灯台巡りの旅に誘われていきますが、これは妻の過去を辿る旅でもありました。『錦繍』もそうですが、若い方には退屈で年寄りくさくつまらないかも…。でも、作中の中華そばのように優しく滋味あふれる作品でした。

     そもそも人は多面的で、人を完全に理解する、いや理解しようとするのは無理…というか、その必要はないですね。でも、想いは寄せることができるので、関係性を再構築することには意義がある気がします。葉書のちょっぴりミステリーが適度なスパイスとなり、中華そば屋の再開と康平の再生の描き方が温かく沁みます。

     表題の「響き」に込めた著者の想いを想像し、灯台巡りをしてみたくなりました。役目を終えても毅然と屹立する灯台は、今後も誰かを励まし、また導く存在であってほしいです。ささやかな幸せは目の前に!"灯台下暗し"と教えられます。
     藤岡陽子さんの解説もよきかな。
     2025第16回エキナカ書店大賞受賞作

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    2026年08月04日
  • 螢川・泥の河

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    『錦繍』を勧められ読んで、何とも言えない面白さがあったので今回この作品を読んだのですが…
    むずかしい…?私にはむずかしいのか…?
    33歳で読んで難しかったら一生難しいじゃないの…!教養が足りないの…?

    このなんとも不気味で生々しい空気感、人間の感情のどうしようもなさや描写のグロテスクさが宮本輝の世界なのですか?
    次は『青が散る』を読んで宮本輝をもっと知りたいと思います。

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    2026年08月02日
  • 湾

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    ネタバレ

    湾

    著者:宮本輝
    発行:2026年5月25日
    新潮社
    初出:「新潮」2024年6月号~2025年4月号、6~12月号

    湾とは、舞鶴湾(京都府)のこと。
    同じ舞鶴市にあっても、「人」の形をした湾に面した、西舞鶴と東舞鶴とでは世界が違うし、離れていて交流も少ない。東は産業の中心地、西は漁村集合体。物語は、西舞鶴にあるいくつかの集落が舞台。そこに入ってくる人、去っていく人、戻ってくる人、行き来をする人を描く長い物語。1959年から2023年に至るまでの話。

    主人公は1949(昭和24)年生まれの光太。3歳、2学年上の姉である皐月とは父親が違う。父親は生後3ヶ月の時に死亡。母親が再婚し、光太が生まれた。皐月は喘息があるため、空気のよい西舞鶴の祖父母宅(母親の両親宅)に預けられていたが、光太が小学5年の時、1959(昭和34)年からは家族全員が西舞鶴に移り住んだ。光太は姉ことを「皐月ちゃん」と呼び、久し振りの再会にときめく。2人きりのきょうだい愛、そして、ほのかな恋心を匂わせる関係。1959年の夏、先だって一人大阪駅から舞鶴へと向かう場面から、2023年現在(74歳)までを一人称で語る。

    宮本輝の小説は、それほどストーリー展開がなく、ある意味で退屈ではあるが、それだけに現役作家の中でももっとも純文学的寄りの作家だと思っていた。去年、初めて挑んだ時代小説「潮音」(全4巻)で、前半はエンターテインメント小説を堪能させてくれ、新しい作家宮本輝を見せてくれた。今回はまた純文学に戻ったが、新たな宮本輝の出発点になったと新聞で報じられていた。読んでみて、それも感じた。若い頃の作品は、例えば、庶民の貧しさに対して力が入っていたように思う。体制に逆らうとかじゃなくて、世の中全体の矛盾とか切なさとか、もっといえばこの世をつくったカミに対してとか。今回の作品は、そんな〝肩の力〟みたいなものがすっかり抜け落ち、ごく穏やかにこれまでの人生を語っている雰囲気。

    意外だけれど、どこか村上春樹的な作品になった。一言でいうと、小市民幻想的な。僕は村上春樹に関して、それを感じることが多い。この物語は、平和である。戦争が大きな背景となっている小説ではあるが、登場人物同士はきわめて平和であり、トラブルなどは一切といっていいほど描かれていない。しかも、生活には困らないどころか裕福だったりする。

    *****

    光太の父、石丸紀夫は戦争で傷痍軍人となり送り返されて京都の病院へ。山中温泉で湯治中に知り合った菜々江と結婚した。菜々江は結婚し皐月を産んだがすぐに夫を亡くしての再婚となった。紀夫は小型レーダーの会社がうまく回って仕事も順調、光太も生まれて一家4人、平和裏に、少し裕福に暮らせるようにも思えたが、菜々江の最初の夫が京都の老舗扇子屋の次男であり、長男(嫡男)夫婦に子供がないため、唯一の跡取りが皐月ということになり、死んだ夫の父親(皐月の父方の祖母)が家督を継がせて婿養子を迎えると決め込んでいた。

    紀夫はもちろん京都へは行かせたくかなったし、皐月も最初はそんな気がなかったが、死んだ父親が生まれ育った家がどんな家なのか(詩仙堂近くにある)を体験したくなり、勉強ができた彼女は京都の有名大学系の高校へと進み、その家に住んでみることにした。大学に進学したら独り住まいをするつもりだし、跡取りになるとも宣言したわけではなかったが。

    前半は、その前、4人で西舞鶴に暮らした頃の話。母方の祖父であるタワシ爺ちゃんと、その従兄で義弟(妻同士が姉妹)のマジー(マジナイ爺ちゃん)、その妻であるツルさん、カメさん、との関係が描かれ、西舞鶴に点在する漁港(漁村)の様子、美しい自然の様子を紹介されていく。人間関係はのんびりし、お金のやりとりも大らかで綺麗な人たちばかりだった。

    ところが、実は一つだけ大きな秘密があった。これが若き宮本輝作品との違い。それは、満州から持ち出した阿片の一部をこっそりいただき、それを売って大金をせしめたという設定である。
    満州国に溜め込んだ大量の阿片を、日本の政府と軍部が日本に密輸し、横浜から海外へと売りさばき、資金調達しようとしていた驚愕の事実は「1945最後の秘密」(三浦英之著、集英社クリエイティブ)などで明らかになっているが、その一部を民間人として工事などで雇われていたタワシ爺ちゃんとマジーの二人が、命からがら小さな漁船で運び出し、日本に見事に持ち帰ったのだった。もちろん、そのれは日本の大物軍部高官からの依頼だったが、その一部をいただいたのだった。

    2人が残したのは、当時のお金で2億4500万円、ゼロが2つつくほどに増やし、まったく手をつけずに皐月と光太に残したのだった。

    皐月と光太も、それぞれの仕事を全うし、それを使って贅沢をすることもなく暮らす。会社をつくり、人に経営を任せ、従業員を雇う。みんな平和に暮らして年をとっていく。

    *****

    石丸光太:主人公、昭和24年生まれ、小学5年生、
    石丸紀夫:光太の父
    石丸菜々江:光太の母、
    石丸皐月:光太の姉(異父)、昭和21年生まれ、父親は三ヶ月の時に交通事故死(軍用トラックに轢かれる)、喘息持ち
    田鷲公作:菜々江の父、旋盤工、タワシ爺ちゃん、85歳死亡
    ツル:ツルばあちゃん、タワシの妻
    竹園満穂:マジナイ爺ちゃん、マジー、タワシ爺ちゃんの義弟で従兄、81歳死亡
    カメばあちゃん:マジーの妻、ツルばあちゃんの妹

    小竹福太郎:小竹家(扇子屋)長男、60歳で膵臓癌死亡、副社長
    竜子:その嫁、常務になって経営で辣腕ぶり発揮、芸妓あがり
    小竹寛太郎:福太郎の父、外商担当、80歳心臓病で死亡
    浪子:その妻
    喜美子:女中

    しげちゃん:丸昭(釣り船屋兼仕出し屋)の息子、皐月と同級生、63歳で病死
    オカベ:皐月と同学年、「毒キノコ」、吉原の船具屋の子、悪ぶりの首領格
    美那子:商店街にある小料理店「さより」の娘、「毒キノコ」の名付け親
    やっさん:タワシ爺ちゃんの知り合い、漁師?、釣り客を漁場に運ぶ、ハイヤー的な船
    タカさん:ツル・カメを乗せてきた人、漁師?
    秀雄:マジーの幼馴染み
    八幡:白杉漁港の船棚で仕事、ボート預かりの仕事?
    大崎:漁協組合長、弟は不動産業
    藤尾:白杉漁港の人、猫の三五郎を貰ってくれた
    守屋:父親が大正時代に病気の時にお金を貸してくれた
    せいちゃん:笠原政太郞、牡蠣の養殖、皐月の中学同級生、男子、白杉漁港北端の平屋に住む、48歳で肺がん死亡
    くにやん:笠原邦久、せいちゃんの父、酒の飲み過ぎで肝炎入院、妻は男と出奔して大阪で死亡
    千沙子:せいちゃんの妹
    元七:釣り船の漁師、深海魚を釣らせる
    牧田のおばさん:白杉漁港、牧田家は3人家族、母親と娘(高卒後にベニヤ板会社へ)
    平河公正(きみまさ):青井小学校教師、教頭になった
    柴崎:青井部落、80代半ば夫妻、田口家の娘と柴崎さんの息子が結婚して婿養子として田口家に入った、嫁が死に柴崎家の両親が入って住む、柿が甘い
    田口五郎:南アフリカから帰国した、40歳になった
    柏木:アジ釣り、牧田のおばさんの仲間?、漁師?(180P)

    コーヨーレーダー社員
    石丸紀夫:社長
    林田幹元:副社長(社長代理者として引き抜く)
    高峰洋一:コーヨーレーダー社員
    鶴田彦斎(げんさい):同上
    沼田みち子:経理と総務を兼任
    山瀬通太郎:営業部員
    田鷲公作:製品管理部

    コーヨーソナー
    樋口:社長

    檜山大吾:あけぼの塾、薬学部を光太に勧める
    佐田七郎:光太が師事した大学の教授

    吉川仙蔵:北海道(道南)の鵡川(むかわ)に住むホタテ漁師

    ***********

    64年前の7月30日、大阪駅。小学5年生。
    昭和34年の夏から、西舞鶴で8人にて住む。
    田鷲家、竹園家、石丸家

    舞鶴出身の菜々江は、西陣で糸染めの修行をしたが、四条大橋近くにある老舗扇子屋「竹古堂」(小竹家)の次男と知り合い、説得されて糸屋を辞めた。次男は誂え専門の扇子屋を本店となりに開店、菜々江はそこで働き、2ヶ月ほどで結婚(でき婚で名家としては不謹慎)。
    本店の兄夫婦(小竹福太郎、竜子)は子供がおらず。
    皐月が生まれて3か月後に次男が交通事故死。

    光太は京都の大学で薬学を学ぶ。大徳寺近くに下宿(借家)。
    大学→大学院→製薬会社(京都、中堅)就職→カリフォルニアの系列会社で5年間研究員→帰国して製薬会社で研究開発一筋→研究開発室長で定年退職→相談役→K薬科大学講師→74歳

    千沙子は上七軒の「浜岡」で21歳のときに芸妓「ちはな」となり、「すみ花(谷口葉子)」と並んで「上七軒に二花(にか)あり」といわれる存在になった。

    タワシ爺ちゃんとマジーは、横浜のおちゃらけ3人組に羊羹35貫目を七掛けで買ってもらった。2億4500万円。その後、ゼロが2つつくほどに増やした。

    ツルマイ興産株式会社 光太が社長
    近江屋カウンセリング株式会社 株式会社丹後屋 皐月が社長
    (283P)

    貝野秀樹:「カイノ・コンサルティング株式会社」社長、おちゃらけの1人
    *3社はカイノ・コンサルティングに業務の多くを委託
    貝野津奈子:秀樹の孫、カイノ・コンサルティングを継いでいる

    マイケル・ヘンドリック:サンディエゴの英語教室教師
    横尾亜沙子:マイケル・ヘンドリックの補佐役、UCSD学生、3歳下、光太の妻に
    ブラム・アッケルマン:オランダ製薬会社の薬学博士

    藤尾公志郎:「丹後桜墓苑」の設計を依頼、公園の専門家、ウィーン大学・大学院で都市造園学を学んで帰国、妻子あるが皐月が好意を持ち不倫

    河瀬:青井部落の農家、墓苑近くに住む
    山下:同上、河瀬の妹 この姉妹に墓苑の管理を任せるつもり
    谷山里佳子:墓苑の従業員第一号、農家(河瀬)の娘

    2023年9月22日現在
    光太:74歳
    皐月:77歳
    亜沙子:2年前に69歳で死亡(卵巣癌から膵臓と十二指腸に転移)

    光太の子
    光和(みつかず):長男、43歳、精密機械メーカーでシンガポール赴任、来年にはコーヨーソナー(魚群探知機でシェア2位)に入社予定、2人の子
    日菜子:長女、39歳、2人の子の母、京都市内で教師、夫は放射線科医師
    菜美:次女、35歳、京都市内の総合病院で検査技師、独身、光太と同居
    和大(かずひろ):次男、22歳、大卒後に大手電池メーカーの工場で技師→一昨年よりコーヨーレーダー営業部、結婚し今年の春に男児誕生
    義和:大学2年で中退、東山区の有名料亭で修業→フレンチシェフの下で8年修業→独立準備中で光太のマンションに居候
    ・みどり:光和の妻
    ・由梨:光和の長女
    ・由衣:光和の次女

    石丸紀夫は2002年死亡
    菜々江は2006年死亡
    笠原千沙子は2019年死亡
    小竹竜子は2006年死亡

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    2026年08月02日
  • 優駿(下)

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    ネタバレ

    オラシオンがケガをして、二度とレースに出られなくなる…という展開ではなくて本当によかった(やりかねないと思ってたので)

    ※上巻を読み終わったときは、ミラクルバードのくだりがショックで、下巻に手を伸ばすのは3日間ほど置いてしまった。

    1頭の馬をめぐって関わる人たちの運命も変わっていく。その馬が偉大であればあるほど、連れてくる福も禍も大きくなっていく。現実の歴々の名馬たちもそうだったのだろうか。

    ダービーの後は描かれないけど、久美子と博正は結婚して意外と上手くやっていくんじゃないかなぁ。あと、多田さんも何やかやあって、最終的には和具さんの事業を手伝うことになる気がする。なってほしい。

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    2026年07月27日
  • 灯台からの響き

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    起伏は少なく淡々と、わりと都合良く話はすすむものの、余韻も残り味わい深いなと感じた。

    妻、夫、パートナー…なんでも知っているつもりの、いることが当たり前になっている人の知らない過去。確かに気になる。

    人生の折り返しは過ぎた私にも響く。
    老年期を迎えた主人公の、哀愁と再生を描いた優しく胸を打つ大人のための旅情物語。

    都会の商店街、旅先の灯台に足を運びたくなる。

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    2026年07月25日
  • 錦繍

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    義母が宮本輝さん好きらしく、私も読んでみた。
    往復書簡で綴られる静謐な文章。
    「今」に対する受け止め方が変わっていく場面が印象に残った。自分の不幸を他人のせいにしたりなどしたが、そうではない、これは私の業でもあるという気付き。
    もう少し大人になってから再読したいと感じた。

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    2026年07月24日
  • よき時を思う

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    2026年ナツイチフェアで「宮本輝」という懐かしい名前を見かけて購入。
    宮本輝といえば「ドナウの旅人」を繰り返し読んだ日々を思い出す。

    タイトルの「よき時を思う」にはいろんな意味があるように思う。
    物語の始まりは東小金井にある三沢平馬の四合院造りの家から始まる。平馬の話はそこそこに、すぐにそこに住む綾乃の話になり、小説の大部分は綾乃とその家族、祖母の話となる。
    90歳になる祖母が計画した豪華絢爛な本格的晩餐会。
    そこに至るまでの、家族の話。
    何か大きな事件が起こるわけでもなく、ただ日常が描かれているのだけど、その日常がそれぞれが生きてきた物語なのだと気付かされる。

    小説の最後に、再び三沢平馬の話に戻り、アレ?誰だったっけと最初に戻って確認する。


    高齢の祖母と孫娘の話は、以前読んだ「祖母姫ロンドンへ行く」を思い出すけど、あちらの話が動ならこちらは静。
    静かに心に沁みる。

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    2026年07月15日
  • 錦繍

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    昔の本だから読みにくいかなと思いきやつらつら読めます。読みやすい。読後はなんだか郷愁というか子供時代の事や田舎のこととか色々蘇ってきてめっちゃセンチメンタルになります。でも良かった。

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    2026年07月15日
  • ドナウの旅人(上)

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    西ドイツが存在し、まだ、東欧が共産圏であった頃なので、物言いとかもちょっと違うし、今あるような便利なものがない時代なので、旅の進め方もちょっと懐かしかさを感じながら読み進められました。突然失踪した母親を追って、ドナウ川へ、、そして、それぞれ難しさや思いをかかえた人々が登場し、、下巻が楽しみです。霧が丘

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    2026年07月04日
  • 湾

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    美しい場所から生まれる美しい家族の話。

    大きな事件が起きるわけではない。舞鶴という場所で生まれ育った主に姉弟の物語。
    ここで生まれ育ったわけではないけどそんな幼少期があったような、あるいはそこに憧れを抱くような美しい記憶。
    振って湧いた僥倖はシンプルに羨ましい。
    これほど伸びやかに生きられたら、と思う。

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    2026年06月23日
  • 湾

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    美しい舞鶴湾のお話。最近行ってないな。よくドライブしたな。五老ケ岳よく行ったな。

    かなり近くて風景が目に浮かぶのでつい買ってしまったやん、

    昭和高度成長期、五粒の種を託され舞鶴に向かう少年光太の語りで物語は進む。腹違いの姉皐月と、祖父のタワシじいちゃん。その従兄弟のマジ—、そのお嫁さんであり姉妹のツルカメばあちゃん、レーダーの会社の社長である父と母…

    高度経済成長の真っただ中に美しい田舎の漁村で成長していく光太と皐月。血縁家族の共同生活がまた楽しい。朝鮮特需や高度成長期の昭和時代に長閑な漁村で生活を営む人々のその時代時代の人情味溢れたエピソードの数々は昭和の時代のおおらかさとか、平成の時代の慌ただしさとか、令和のなんとも混とんとした時代を彷彿とさせる。時折出てくる喘息の吸入器とか知らないが伊勢湾台風のお話。興味深々。大金を得るも冷静な光太と皐月。年代が行ったり来たりしたので話がときおり惑いながらも良き時代を回顧した久しぶりの宮本輝さんの長編小説は主人公がいつも謙虚で創造させる風景が宮本輝でした。舞鶴にまた行ってみよう。スカイタワーの海軍カレーと蒲鉾食べなきゃ
    宮本輝はやっぱり好きかな


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    2026年06月19日
  • 潮音 第四巻

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    時代背景と越中富山の薬売りから話が大きく広がりを見せ楽しませてもらった。つくづく大変な時代だったと感じた。
    太一郎の自死がわからないまま終わったのは何故なんだとしか思えない。私見では、偉大な父親の将来構想を聞いて一瞬の気の迷いが、自分を行き詰まらせてしまったのだろうか?いずれにしても、なにやら腑に落ちない事件だった。著者の考えを聞きたいものだ。

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    2026年06月16日
  • 螢川・泥の河

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    泥の河は1955年頃の大阪を舞台にした小説で、川沿いに住む少年たちの交流を余情感たっぷりに描いている。うどん屋の息子の信雄、対岸の船の家に住む喜一と銀子、そして母親。物語は信雄と喜一の出会いから始まる。二人は川で遊ぶうちに親しくなり、信雄は船の家に通い、喜一の姉の銀子、さらに母親とも知り合いになる。その中で信雄は喜一と銀子の母親は娼婦であること、そのことで近隣住民から疎外されていることを知る。しかし信雄の両親は喜一と銀子を差別せず、愛情を持って接する。その態度は信雄にも伝わったと思う。ところが地域の神社の祭りの日の出来事で信雄と喜一の絆には距離ができてしまう。そして最後は会うこともかなわず、別れるシーンで終わる。何か重苦しい展開ではあるが、うどん屋の長男として大事に育てられる信雄と娼婦の母親のもとで学校にも通えない喜一との育ちの違いが、二人を分断する要因にもなった様で、人が抱えざるおえない運命的なものを感じさせる作品だったと思う。

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    2026年06月07日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    次から次へとテンポよく展開していき面白かったです 登場人物も魅力的で引き込まれました 第二章も読みたいです

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    2026年06月06日
  • 錦繍

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    会社の先輩から純文学が読めるなら、これを読んでほしいと半ば強引に読むことになりました。
    正直なところかつての文豪の作品でも、いわゆる純文学と括られる作品はなかなかハードル高めのものが多いイメージがありますよね。
    錦繍は元夫婦と言う関係性の2人が偶然の再会をしたことから始まり、手紙と言う手段で過去を精算していく物語。
    手紙だけのやり取りがここまで奥行きを出し引き込ませるのかと、正直驚きました。
    素直に面白かったです、新しい作品ばかり読もうとしてましたがもっと色々な作品に触れてみたいと思わせられました。

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    2026年06月01日
  • 灯台からの響き

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    ネタバレ

    久々の宮本輝、青が散る、川3部作など若いころからよく読んでいた作家。母も読んでいたような気がする。2020年の作ではあるがやっぱり宮本輝だ、テンポは遅く、60代の私をうならせる文がある。設定がラーメン屋の親父だけど本を山ほど読んでいるというのが昭和らしい、森鴎外の渋谷抽斎も読んでいる、子供3人と心を通じ合い妻蘭子が2年前に死んで締めていたラーメン屋を再開業するまでのお話し。たまにはいい・

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    2026年05月31日
  • 青が散る(下)

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    大学の四年を終えて、燎平や仲間たちはそれぞれの人生を歩きはじめるところで、完。
    「青が散る」とは「青春の終幕」の意であったか。

    でもって非リアな青春を送ってしまった私には、その感傷が今一つピンとこないのだった。
    学生時代の私が読んでいたらどう感じたかはわからない。
    でも、ドラマを見なかったということからも、当時からこういう世界とは距離を置いていたような気がするな。

    親目線でみると、親の金で大学に行っているのに、勉強をするわけでもバイトするわけでもない。
    恋愛はまあいいだろう。
    部活もまあいい。
    でも、勉強はしろよ。
    家業が倒産するのしないのという時ですらバイトもしないで、デートの時は小遣いをせびる。

    そのデートも、ホテルのレストランでワインを開けてステーキを食べるんだよ。
    身の丈を知れ。
    分をわきまえろ。
    自分の子どもだったら、絶対許さん。

    というわけで、ごめん、いい小説だとは思うけれども、私向きではなかったわ。

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    2026年05月23日
  • よき時を思う

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    よき時を思い、こんなに穏やかに過ごせるよう努力したい。
    いや心乱れることも、穏やかに感じられるよう昇華されているのか。
    10代のころから宮本輝さんの小説を読んでいますが、いつもすこし不思議な読書感を得ます。

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    2026年05月10日
  • 青が散る(上)

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    多分私が学生の頃にドラマ化して、すごく人気があったように思います。
    私はドラマを見てはいなかったけれど、石黒賢が主役で、友達役として清水善三さんが出ていたことだけ覚えています。

    せっかくなのでドラマのキャストを調べたら、親友が佐藤浩市で、主人公が憧れるヒロイン(華やかな美人)が二谷友里恵で、ひそやかな美人が川上麻衣子であることがわかりましたので、脳内イメージはキャスト寄りに。
    善三さんのライバル役が遠藤憲一なのにびっくり。
    そんなイメージ全くなかったので。

    さて、ストーリーとしては、新設大学に進学した主人公が、成り行きでテニス部の創立に関わり、結果としてテニス三昧の大学生活を送るという話。
    このころからなのかな、勉強をするためではなく、人生の夏休みのような感じで男学生になる人たちが増えたのは。

    それでも、親が亡くなったり結婚が決まったりする仲間もいて、時間の流れ方は平等ではないのよね。
    自分のことだけを考えていればいい時期というのは、当事者はしんどいこともあるけれど、大人になった今振り返ると贅沢な時間だったなあと思う。

    さて、下巻では何が起きるのか?

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    2026年05月09日
  • 潮音 第二巻

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    川上弥一は 京に拠点を移す。
    伏見寺田屋騒動、池田屋事件、禁門の変と 怒涛の幕末情景が 描かれる。
    薩摩仲間組が 斥候役として 伏見から洛中へ 駆けずり回ることに。
    よく誰も命を落とさなかったものだ。

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    2026年05月08日