宮本輝のレビュー一覧
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灯台は近づくよりも、ある程度距離を保って観る方が良い。それは家族など身近な人々も同様かもしれず、日常生活で見えなくなってしまっているそれぞれの想いや価値観など、実は非日常に身を置いて語り合うことで見えてくる部分があるものだ。
房総、伊勢志摩、青森、そして出雲と子どもたちや親友の隠し子といった相手と巡りながら、亡き妻の残した灯台に関する謎が解き明かされていく。灯台は海側を遠くまで照らすことが役割であり、足元や陸側は思いの外暗いものだ。実際に灯台に近づくプロセスで怪我をしたり、その距離感を測っていく流れが主人公の人間関係のメタファーとして機能している。
板橋区の仲宿商店街という馴染みある地元が -
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宮本輝の流転の海シリーズの第三部。
戦後の復興期の昭和20年代の大阪。愛媛の田舎を離れ事業を起こそうとする中年男性家族のフィクション。全てが順調な人などおらず、何かしらの負い目、十字架を背負っている登場人物たちが織りなす含蓄ある台詞の数々。
「人間というのは、つまるところ、矛盾だらけの奇っ怪な心にひきずり廻されるものなのだ」
「人間、転げ落ちだしたら、あっとういまや。俺らは、そんなやつらを食い物にする稼業なんや」
「俺は物事をいつでめ中途で投げ出すという性癖ぎある(中略)子供が、おもちゃに飽きるように、積み上げてきた積み木を崩して、別の物へと走って行く…」皆が貧しかった時代ながらも何とか前を向 -
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宮本輝さん著「灯台からの響き」
著者の作品は数十年前に「優駿」「青が散る」は読んだ事があるが最近は全く読んでいなかった。
最新作の「潮音」は複数巻の作品で久し振りに読むのには重いと感じ、比較的最近の読み易そうなこちらの作品を選んでみた。
物語は読書家である主人公康平の未読の本「神の歴史」の中に一枚のハガキが挟まっている所から始まる。何十年も前に妻に届いた際、何も知らないと言った灯台がイラストされたらハガキ。その妻は2年前に病気で亡くなってしまっている。
何故このハガキを亡き妻はこの本の中に挟んだのだろうか?
重たくはないが先が気になるミステリー風なタッチで描かれていく物語だった。
その灯台