宮本輝のレビュー一覧

  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    宮本輝の自伝的長編小説流転の海の第六部。読み終わって、心に残ったのは、慈雨の音という題名。
    いろんな場面でその題名を思わせるエピソードは絡んでくるが、私が感じたのは雨という存在そのものだ。世の中の水が遠い旅を経て、また、雨となって地上に落ちてくる。それは、動物でも植物でも命ある全てのものへの慈しみとして繰り返される。この小説の主人公熊吾は、幼い頃、伯父のところへ預けられ、四書五経から能に至るまでさまざまな教養を叩き込まれる。カッとなったら人を半殺しの目に合わせるような乱暴者でありながら、常に自分の行動や言説を省み、息子の伸仁にも人としての道を説く彼の髄には幼い頃に染み込んだ慈雨が巡り巡ってまた

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    2025年09月02日
  • 草花たちの静かな誓い

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    このタイトルからは結末が想像できなかった!
    普段、あまり海外の小説を読まないからか登場人物を追うのに少々手こずった(巻頭の人物紹介で辟易してしまう)。
    ただ、主人公は日本人男性で人物たちも物語の進捗に応じてある程度絞られていくので大丈夫。

    おばさんの缶スープがおいしそうで、くいしんぼうな読者である私は読んでいて楽しかった。

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    2025年09月01日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    1982年から執筆を始めた宮本輝の自伝的大河小説の第五部。波乱万丈の一生を送った松坂熊吾やその息子の伸仁の成長がダイナミックな筆致で描かれており、めちゃくちゃ惹きつけられる。昨夜は夜中の3時までかかって一気読みしてしまった。
    また、新しく出てくる登場人物のなんと魅力的なことか。ボロアパートの一室を茶室にしてそこで寝起きをする、真の侘び人。子供たちに創作のお話を聞かせる怪人二十面相。盲目の妹を支えながら前科者の父と暮らす秀才の兄と息を呑むほどの美形の妹。それぞれのキャラクターが立ちすぎて、スピンオフがいくつもできそう。また、昭和初期の街並みや社会情勢をそこに抱える問題を捉えながらリアルに表現して

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    2025年08月31日
  • 潮音 第四巻

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    激動の2〜3巻を主人公たちと共に耐えぬいて読んで、やっと4巻明治編に突入。武士が大量に失業してしまい、他の仕事に今さら移れない不満が渦巻く中で、商人たちの知恵と行動力が頼もしい。時代をつかむ才覚がある人たちが、名を残さなくてもいい仕事をしてきているのでしょう。それはこれからもきっと。明治維新を新しい視点で読めて、たくさんの発見があり、読後はなんだか達成感でいっぱいになれる作品でした。

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    2025年08月30日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    富山の風景が目に浮かぶ、素敵な物語。登場人物の一人ひとりがそれぞれ色々な人生を歩んでいて、ゆるやかに繋がっているのが心地良かった。
    みんな色々抱えているけれど、それを大切な日常の風景や人に支えられて乗り越えられる事ができるのだと、改めて人や風景を愛おしくおもう事ができた。
    読み進めていくうちに、自分の身の周りとリンクすることがちらほら出てきて不思議な縁を感じた本でもある。
    とにかくこの本を読んだら、入善町をひたすら歩きたくなること間違いなし。

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    2025年08月24日
  • 潮音 第四巻

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    ようやく最終章を読んだ。派手な新撰組や維新で名の上がった偉人(と薩長が言っている人たち)ではなく、富山の薬売りを通して、激動の時代を描写する作者の力量に今更ながら感動を覚える。歴史の物語にも見る角度によっては大きな違いが出来るなあ、と改めて思う。大作の完成、ありがとうございました。

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    2025年08月22日
  • 潮音 第四巻

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    宮本輝の歴史ものの小説
    幕末から明治維新にかけての激動の時代を富山の売薬業者目線から捉えた作品
    坂本龍馬、西郷隆盛などの歴史的有名人目線の話は読んだことがあるが、町人目線での視点は斬新であった
    一巻の序盤はあまり背景がよく分からず、あまり引き込まれなかったが、段々と本の中に引き込まれるような感覚は、宮本輝ならではと思った
    干し昆布を北海道から清国まで貿易する一連の流れに、薩摩や富山の売薬業者、廻船業者が絡んでいたのは知らなかった
    終盤の弥一の息子の自死については切ない気持ちになった

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    2025年08月21日
  • 草花たちの静かな誓い

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    ネタバレ

    子供を想う親の真実の愛情、優しさとは何か考えさせるものがありました

    事実を知ったら悲しいけれど、自分のアイデンティティに関わる事実を知りたい気持ちと事実を知らない方が幸せなこともあるのかも

    自分は気づかなかったり知らないでいて、
    思ってる以上に周りの人たちに支えられて愛されて今の自分があるのかもしれないなと感じました 

    草木と心で会話してみようかな

    切ない物語でしたが、読み始めると一気に非日常に引き込まれて、青い空とうみと鮮やかな庭の草木が目に浮かびました

    ニコとのスープ屋さんは結果的に大成功する気がします

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    2025年08月21日
  • 潮音 第一巻

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    富山の薬売りの目を通して語られる幕末。
    紙ふうせんをお土産に、置き薬を配る彼らは、とても我慢強く誠実。
    知識も計算力もあり、どこの土地に行っても信用できる人となるべく育てられた精鋭たち。

    読み進めるほどに、なぜ富山の山奥から全国に薬売りを展開したのか納得できる。
    そして全国区の情報網から見えてくる幕末の様子!

    大河ドラマ規模の大きな物語。時間はかかっても、これは4巻まで読破したい。

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    2025年08月17日
  • 夢見通りの人々

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    今村夏子が小説って面白いんだなぁと知った本と聞いて読んだ。里見春太がたばこ屋のおばあちゃんの入れ歯を洗ってあげて、おばあちゃんがあんな汚らしいものを洗ってくれるなんてと心の中で感動してる場面が好きだった。里見春太の人間性に惹かれた。時計屋の息子がいくら若いからといっても無責任すぎて嫌だった。肉屋のヤクザ上がり兄弟や、凄まじい喧嘩をした中華料理屋の夫婦などクセが強い人たちばかりで面白かった。

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    2025年08月17日
  • 潮音 第四巻

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    大作もついに完結。幕末から明治にかけて躍動する主人公たちの姿を通じて、生きた歴史を学ぶことができたと思います。

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    2025年08月11日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    著者自らの父をモデルとしたとされる「松坂熊吾」の物語。子にとっては厄介な父親の人生は読むものを飽きさせず、傍若無人の思えた人物に垣間見える人間らしさややさしさに魅入られずにはいられない。

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    2025年08月09日
  • 潮音 第二巻

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    第一巻とは打って変わって、激動の幕末の京都を舞台とした第二巻。
    正直、今まで幕末ものには興味なかったのだが、本書のストーリーにグイグイ引き込まれ、今後、食わず嫌いだった幕末ものにも手を出そうかと思うくらい。
    あと二巻がどのように展開していくのか、楽しみでしかない。

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    2025年08月01日
  • 潮音 第四巻

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    良かった!幕末の様子も、越中富山の薬売りも幕府御禁制の密貿易も知らない事ばかり。また、登場人物の前向きな姿勢とその人物の大きさ。主人公弥一は,若い。

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    2025年07月30日
  • 潮音 第三巻

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    幕末を富山売薬仲間の立場から見た話。密貿易による繁栄が倒幕を果たした。ただそれも紙一重の駆け引きの中での成就。

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    2025年07月24日
  • 潮音 第一巻

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    富山の薬売りについては、一般常識程度には知っていましたが、、。
    なるほど、確かに全国各地で行商をしていれば、各地の情報が集まってくるでしょうね。
    内容自体は面白く、読みごたえがあり、先が楽しみでありますが、難点は本が分厚すぎて、他の本が読めなくなるんですよね…。

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    2025年07月22日
  • 潮音 第四巻

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    ネタバレ

    最終巻は明治となり、弥一たちが会社を立ち上げていく姿を描いている。ものすごい速度で近代化しようとする国家にあって、富山の薬売りから新しい企業として生まれ変わろうとする姿が生き生きと描かれていて、好みの問題だが、四冊の中で一番読み応えがあった。

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    2025年07月12日
  • 潮音 第二巻

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    良かった!富山売薬仲間の薩摩藩のために,ひいては、富山藩のためにできる事を必死に活躍する様は、目が離せない。歴史を鳥瞰し、横断的に見るのは、いろいろな事を教えてくれる。時間が楽しみ。

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    2025年07月08日
  • 螢川・泥の河

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    《蛍川》
    私の好きな場面は、蛍の群れと遭遇するシーン。蛍が、先の見えない母と息子の不安な心を灯してくれているかのようだ。これからも、何度となく思い出される光景であろう。信じてこれからの人生を強く生き抜いてほしいと思った。
    《泥の川》
    登場人物の葛藤を想像しながら、読みすすめた。考察が必要であり、読者によって受け止め方は様々ではないか。私は感傷的な思いが残った。混沌としている世の中、時代に生きる少年の純粋さも印象的だった。それに向き合う思春期の葛藤、物悲しさがあった。人それぞれ、背景(貧しい家庭に生まれた等)をもっている。その中でも、その人が乗り越えられる試練が与えられ、生き抜いて行けるんだと信

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    2025年07月06日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    流転の海、第二部「地の星」。面白かった。
    主人公の熊吾が大阪から、故郷の愛媛県の南宇部でのお話。ダンスホールを作ったりとクソダメに息子が落ちたり、鮎を掴んだり。色々あった。

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    2025年07月03日