宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
馬を作るとはどういうことか。それを育てるとは、持つとは、乗るとはどういうことか……。その営みを真っ向から見つめる作品だった。競馬とは、もっと優れた馬を手にしたい、もっと儲けたいという人間の欲によって作られる人為的なものだが、肝心の馬だけは自然の摂理とは切っても切り離せないところにあるという、絶対に乗り越えることのできない壁の高さを感じた。
馬にかかわる作品を続けて読んできているが、どうしてこんなにも熱量の大きな作品が多いのだろう。取り憑かれてしまうほどの魅力を馬は持ち、馬主、生産者、調教師とそれぞれのもとに業はめぐり、ドラマが生まれるからか。下巻でオラシオンがどんな活躍を見せてくれるのか楽しみ