宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『流転の海』第二部。
五十歳にして授かった病弱な息子(宮本輝がモデル)と妻の健康のため、事業をすべて引き払い、郷里の愛媛県南宇和に引きこもった松坂熊吾。
昭和の田舎の色濃い空気が漂っている。
現代ではめったにお目にかからない、暴力や、色恋や(婚外子が非常に多い)、ヤクザ者や、戦争帰りの人や、四国の闘牛、選挙、うわさ話などなど、エピソードがいちいち濃いなあ。
戦争で家族を失った人も数多く、また、医療や衛生状況が発達していないからか、病死する人もあまたいる。
『流転の海 読本』なる本も購入し、索引ですぐ人物がわかる優れものなのだが、まだ読んでいない行く末もわかったりするのが玉にきず。
とりあえ -
Posted by ブクログ
「螢川」は芥川賞に輝いた作品である。主人公竜夫少年時代より物語は始まるが昭和37年3月末からである。その時代に作者は生まれていないがその頃の庶民の生活実態を作者は如何にして斯様に描けたのであろうか。思わず小生の少年時代から苦労の青年時代を偲ばせられる思いでジーンと人生の真実が告げられた感じがして現実涙が流れた。芥川賞作品というと現実物は抽象的で作者よがりの作品が多く、読まず嫌いの感がなきにしもあらずだが、この様な平易な書き方で、ものすごい感動に接した。本が好きで良かったー。と切実に感激した。宮本輝の作品が俺を待っている。小生の健康も余り先が無いように思われるが、著作者の作品に心が動かされ、もう