宮本輝のレビュー一覧
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小さな牧場、トカイファームが夢を託して生産した一頭の競走馬「オラシオン」を巡る物語、なのかな?
「上」を読み終えた時点ではまだわかりませんが、途中まではオラシオン中心に、生産者であるトカイファームの主と息子(博正)、馬主になる社長(和具平八郎)、馬を譲り受けることになる娘の久美子、秘書、トラックマン、調教師、騎手…
さまざまな関係者が絡み合って物語が展開されます
かなりドロドロした思惑でいろんな出来事が展開していき、これが全て事実やったら競馬界もなかなかしんどい世界やなぁと思わされるような内容でした
生産者の息子(博正)だけは純朴な感じかな、サラブレッドに対する熱い気持ちを持った、トカ -
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「流転の海」全九部中八部目まで来た。
あと一巻しか残っていないのを寂しく感じるようになった。
熊吾は、またもや会社の金を横領されたり、女とずるずると関係を続けたり、妻や息子に愛想をつかされるのも当然という気がする。
しかし、こんな時にも、他人に仕事を探してやったり、免許を取らせてやるなどのおせっかいを焼くところが、大将、大将と慕われるゆえん。
また、資金繰りに非常に困っていても、とりたてて節約しているようには見えず、糖尿病であるのに、酒を飲んで美味しいものを食べている。そういう熊吾を見ても、読者である私ももう慣れっこになってしまっている。
とりあえず第九部に進みます。 -
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・泥の河
1977年、太宰治賞受賞作。
昭和30年、戦後。関西の川沿いのうどん屋の息子、信雄が、船で暮らす喜一と銀子と出会う。
50年も昔に書かれたのに、文体や表現に古さを感じない。何か大きな感動や衝撃があるわけではないが、わりとずっと世界に惹き込まれていた。
・螢川
1977年、芥川賞受賞作。
舞台は昭和37年。中学生の竜夫。元敏腕起業家の父、重竜と、母の千代。
友人の関根は、竜夫が想いを寄せる英子のことが好きだと言う。
衰える父。友人の事故。思春期の恋心。貧しさ。そういった当時ありふれていたであろう感情の機微が伝わってきて、好きだった。 -
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戦後の貧しい時代の、大人の振る舞いを、子供目線で語る。貧しいながらより貧しい友達を心配し、苦労する母親を悲しませない気遣い。子供は見ている。自分の記憶も絡んで感情移入をしてしまう。また少年が、友達の姉や母親、自分の母親や初恋相手の同級生が発する匂いから、何かわからない刺激を感じる。これもあったかもしれない。なんとも甘酸っぱい。そして泥の河はお化け鯉、蛍川は密集した蛍、それぞれ作者が描きたいクライマックスへの自然な盛り上がり方。こういう作品は気持ちよく読める。大切な人が何人も死に、生活は不安だらけだが不思議と暗くないのは、いまとあまりに違いすぎるからか。
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Posted by ブクログ
宮本輝さん、初読みです。
穏やかで良質な小説を読んだなという感じがした一冊でした。家族間で晩餐会を開くということに驚きましたが、他は衝撃的な出来事が特に起きないのが、かえって新鮮でした。
叔母夫婦が留守の間、中国の四合院作りの家のうちの一棟、倒座房に住むことになった綾乃。彼女の祖母を中心とした物語でした。
その祖母が90歳の記念に晩餐会を開くことになり、その準備を手伝うことで綾乃が祖母の教え子と出会い、祖母の教師としての一面を知ることになります。そして語られた過去で祖母の生きてきた歴史を知ります。
この祖母の徳子おばあちゃんが、凛として気遣いもぬかりなく、とてもすてきな人でした。戦争を経