宮本輝のレビュー一覧

  • よき時を思う

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    不思議な小説だった。
    すごく大きな起伏があるわけでもなく、つらつらと順を追って書いているだけ。
    それなのに、情景がありありと浮かんできて、登場人物の誰もが魅力的だった。

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    2026年01月27日
  • 錦繍

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    10年ぶりに偶然邂逅した元夫婦の、手紙のやり取りで綴られる物語。傍にいても気づかぬこと、離れていても分かること。縺れ合う糸の混沌を裏返せば美しい刺繍となるように、迷い悔やみながら歩む人生もいつか美しい錦となる。哀しさ切なさと共に勇気が湧いてくる美しい作品だった。

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    2026年01月24日
  • 錦繍

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    ネタバレ

    とてもきれいな書簡小説だった…
    文体はもちろんのこと、内容も高尚で美しく
    読んでいて心がスゥーっと洗われていくような感じがした。

    亜紀と靖明は10年前に、靖明の不貞・殺人事件が原因で離婚をした。そして、その10年後蔵王のゴンドラで奇跡的な再会を果たす。その再会ではお互い見つめ合い少しの挨拶で終わったが、亜紀には靖明に聞きたいことがたくさんあった。不貞の相手由加子と靖明の関係性とその真実、亜紀との離婚を踏みきった理由…それを切実に書簡で尋ねる亜紀。それに対しはじめは躊躇したものの、亜紀に嘘偽りもない事実を書き連ねて返信していく靖明。ふたりの計14通から見えてくるさまざまな真実に、胸が締め付けら

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    2026年01月21日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    宮本輝の流転の海シリーズ第四部。
    時は昭和20年年代末、大阪の事業に失敗した主人公は再起をかけて人づてに家族と北陸に移る。が、そこでも物事は順調とはいかず、妻子を置いて大阪へ戻る。慣れない土地に残された妻子は、水が合わない場所での生活に四苦八苦する。
    「子供からおとなへと急速に移行していく際、人相や体型だけでなく、精神も型崩れを起こす。肉体は放っておいても成長するが、精神の型崩れには手当てが必要だ」
    「おとなになるっちゅうのは、自分の胸に秘めちょくことが増えるっちゅうことでもあるんじゃ」
    「ひとりの人間の心の領域というのは、じつに広大なものです。氷山の一角という言い方がありますが、海面 に出て

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    2026年01月17日
  • 錦繍

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    宮本輝さん著「錦繍」
    宮本輝作品の中でも人気上位の未読の作品をと思いこの作品を選んでみた。

    作品は離婚した元夫婦関係にあった男女の手紙のやり取りだけで構成されている。
    携帯電話が主流の今の時代、「手紙」でのやり取りという作風がとてもノスタルジックに感じられ、言葉の気品の高さもあいまって妙に味わい深い雰囲気を感じさせられる。
    人が口を揃えて「名作」と位置付ける理由がよくわかる作品だった。

    手軽で利便性に富んだ携帯電話。
    今の時代では当たり前に電話、メール、ライン等でメッセージを送受信できる。
    誰の生活にも無くてはならない必需品であり、また個人の一部といってもいい位の重要ツールでもある。

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    2026年01月13日
  • 灯台からの響き

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    灯台は近づくよりも、ある程度距離を保って観る方が良い。それは家族など身近な人々も同様かもしれず、日常生活で見えなくなってしまっているそれぞれの想いや価値観など、実は非日常に身を置いて語り合うことで見えてくる部分があるものだ。

    房総、伊勢志摩、青森、そして出雲と子どもたちや親友の隠し子といった相手と巡りながら、亡き妻の残した灯台に関する謎が解き明かされていく。灯台は海側を遠くまで照らすことが役割であり、足元や陸側は思いの外暗いものだ。実際に灯台に近づくプロセスで怪我をしたり、その距離感を測っていく流れが主人公の人間関係のメタファーとして機能している。

    板橋区の仲宿商店街という馴染みある地元が

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    2026年01月13日
  • 潮音 第四巻

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    西郷、大久保、岩倉等々、有名人の名前や寺田屋事件、大政奉還、西南戦争の実際の事件は数多登場するが、あくまで架空の人物川上弥一を中心にした富山の薬売りの庶民の眼から見たお話。激動の時代に翻弄される庶民の姿が非常に良く伺える内容で、新たな幕末物語が垣間見え面白かった。一つ気になったのは、京都の干物屋の若狭屋の話はどうなったの?というところ。弥一のお陰でお店が立派になったと主人が言ってるので、一体どういう事か聞きに行こうと思ったきり、最後まで若狭屋は登場しなかったように思うが。見逃したかなあ?

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    2026年01月12日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    宮本輝の流転の海シリーズの第三部。
    戦後の復興期の昭和20年代の大阪。愛媛の田舎を離れ事業を起こそうとする中年男性家族のフィクション。全てが順調な人などおらず、何かしらの負い目、十字架を背負っている登場人物たちが織りなす含蓄ある台詞の数々。
    「人間というのは、つまるところ、矛盾だらけの奇っ怪な心にひきずり廻されるものなのだ」
    「人間、転げ落ちだしたら、あっとういまや。俺らは、そんなやつらを食い物にする稼業なんや」
    「俺は物事をいつでめ中途で投げ出すという性癖ぎある(中略)子供が、おもちゃに飽きるように、積み上げてきた積み木を崩して、別の物へと走って行く…」皆が貧しかった時代ながらも何とか前を向

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    2026年01月10日
  • 道頓堀川

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    多くのビルが立ち並び、ネオンがあちこちで輝き、食事やお酒、女を目当てに、さまざまな人間が集まる活気渦巻く道頓堀川エリア。

    しかし対象的に、本作が焦点を当てるのは、そのネオンの光をも吸い込むかのような、黒く澱んだ道頓堀川と、そこで生活を営む人間の悲しさや儚さである。

    読み進めるうちに、昭和のミナミへとタイムスリップしたかのような感覚に陥り、静かに物語へ引き込まれた。

    いわゆる「面白い小説か」と問われれば、そうではないのかもしれない。ただ、何故か余韻の時間が非常に長い小説である。

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    2026年01月04日
  • 錦繍

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    ネタバレ

    何故か解説の「書くことによってだけ辛うじて伝え得る悔恨を、哀惜を、思慕を綴ったような便り」の所で涙が出てしまいした。正にその通りです。

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    2025年12月28日
  • 潮音 第一巻

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    宮本輝さんの作品は、読みやすくて好きです。
    初の歴史もの長編小説と言うことで
    本の装丁も素敵でした。

    2作目も早く読みたくなります。

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    2025年12月27日
  • 灯台からの響き

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    audible⭐︎
    康平さんの作る中華そば食べたいなぁ〜っとずっと頭から離れずにいた。
    話の中にでていた、出雲日御碕灯台は14年前に主人と旅行で行った場所だった。灯台の中の螺旋階段を登った記憶やお店、景色を思い出した。
    心温まるお話しだった。

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    2025年12月27日
  • 灯台からの響き

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    宮本輝さん著「灯台からの響き」
    著者の作品は数十年前に「優駿」「青が散る」は読んだ事があるが最近は全く読んでいなかった。
    最新作の「潮音」は複数巻の作品で久し振りに読むのには重いと感じ、比較的最近の読み易そうなこちらの作品を選んでみた。

    物語は読書家である主人公康平の未読の本「神の歴史」の中に一枚のハガキが挟まっている所から始まる。何十年も前に妻に届いた際、何も知らないと言った灯台がイラストされたらハガキ。その妻は2年前に病気で亡くなってしまっている。
    何故このハガキを亡き妻はこの本の中に挟んだのだろうか?
    重たくはないが先が気になるミステリー風なタッチで描かれていく物語だった。

    その灯台

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    2025年12月27日
  • 潮音 第三巻

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    これまでやる気の塊のような弥一だったが、まさに「魔」がさしやる気が失せてしまうという超スランプに陥った。死というものに取りつかれるとまさにこんな感じになり、人によっては自ら命を絶ってしまうようになる。弥一最大の危機を迎え、更には富山の薬売りが明治のご一新により過渡期を迎える。弥一はこの危機をどうやって切り抜けるのか?四巻が楽しみになる展開である。

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    2025年12月26日
  • 優駿(下)

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    行ったり来たりしながら長い時間をかけて読んだ。登場人物たちの関係をうまく頭の中で描き切れなかったせいで、この物語の良さをじゅうぶんには理解できていないようで悔しい。またいつかきちんと時間をとって読み直したい一冊。とはいえ、馬小説のよさがギュッと詰まった一冊であることはとても伝わってきた。人間のために、人間の手によって作られるサラブレッドという特殊な動物を前にすると、私たちは悠久の時の流れに想いを馳せたくなるものらしい。私たちが自然の中でどう生きてきたかということ、そしてこれからどう生きていくのかということを、真摯に見つめる物語だった。

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    2025年12月25日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    とうとう、あと1巻まで来た。
    熊吾の浮気が遂にバレた。家族に謝りに行くまでは良かったが、また逆ギレして妻と子供に暴力をふるった。謝って簡単に許される問題じゃないだろ。読んでいて、またしても頭にきてしまった。
    しかし最後は、房江が熊吾に見切りをつけて生まれ変わり、いきいきしている姿が描かれて終わった。
    ラスト1巻では、よりを戻さず房江の人生を生きる終わり方にしてほしいな。

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    2025年12月23日
  • 優駿(下)

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    20年前に読んだ時は、涙を流しながら感動した。
    今回はそこまで、感動できなかった。
    自分が多田さんより年老いたせいか、当時の印象よりチャラいな、こんなだったけかな。と。
    とはいいつつ、やっぱり良書であることにはかわりないと思う。濃ゆい。

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    2025年12月20日
  • 潮音 第二巻

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    富山の薬売りから見た寺田屋事件、禁門の変が非常にリアルに描かれている。読み手として、まるで自分で見たような感覚になるのは、やはり著者の表現力の素晴らしさにあると思う。寺田屋を近くの旅籠の二階の布団部屋から見張ったなどという表現は恐れ入る。新しい視点の幕末ものとして非常に興味深い。

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    2025年12月11日
  • 錦繍

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    初めは有馬に対する嫌悪感と不信感しかなかった。

    でも、有馬さんからの手紙を読み進めていくうちに、彼の波瀾万丈な人生に寄り添い始めてしまう。
    亜紀もしかり。

    読み始めた時とは違う感情が最後には込み上げてきて、2人の再会とこれからの人生に美しさが見えた。

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    2025年12月08日
  • 螢川・泥の河

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    螢川は、素晴らしい情景が見事に浮かんできて息を呑んだ。どちらも少年の感受性が絶妙に描かれていると思った。

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    2025年12月04日