あらすじ
「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
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それぞれの登場人物が前向きに生きることを選択してくれてよかった。人は哀しみを抱えて生きていく生き物で、様々な過去がありながら懸命に今を生きるしかないのだと思った。
人を好きになることは厄介事を引き受けるようなもので、苦しみが必ずおまけのようについてくる でも仕方ない、仕様がないものだとも思う。
瀬尾由香子は誰かに愛されて欲しかった、かわいそう( ; ; )
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美しい文章とは「これ」のことか、と思いました。
読みやすく、くどく無いのに頭の中に鮮明に思い浮かぶ情緒深い景色。
生と死だったり業だったりの話でいまいち理解しきれませんでした。
この本の主張をまるきり理解するには僕は若造すぎるのかもしれません。
出直します。
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読んだ後なんとも言えない気持ちになる。でも、心の中に強い芯みたいなものがある感覚になる。
お互いのことを深く理解し合った人がいる、という事実は、たとえ一緒にならなくとも、心強いもの
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私は若造なので「ゆかこ、ゆかこうるさいわねえええ!!!奥さんにもっと謝りなさいよ!!」とか思っちゃった。結婚ってマジで何?とは思うんだけどこの本の主題ってそこじゃないんやろな。過去を乗り越えて現実を見つめ直して1歩進んでいくっていう物語なんだろな。個人的には令子ほんとに強い女だなと思った。恋人?の元奥さんとの手紙読んで「私元奥さんのこと好き」って泣けねえよどういうことだよ、、、、。
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素晴らしい作品。この一冊で男女の関係だけでなく、過去と未来、生と死、人間の背負う業など数々の事を考えさせられた。お互いの手紙によって物語が進んでいくという形式が時の流れと心情の変化を上手く運んでいた。この作品にだいぶ喰らってる。
人間には業があり、それに沿って人生が展開していく。人によってはその業は決して容易いものではなく受け入れがたいものかも知れない。ただ諦めて自死を選ぶのではなく、その業を受け入れた上でイマを必死に生きることで未来へと歩みを続ける。
「生きていることと、死んでいることは、もしかしたら同じことなのかもしれない」この宇宙の、生命の不思議なのカラクリはまだ俺の人生では理解できてない。
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何かでおすすめ作品として取り上げられていて気になって手に取った作品。三島由紀夫とか志賀直哉とか古い純文学系も好きな自分としては文章が美しく、それでいて読みやすく心が掴まれた。二人の書簡でのやりとり、一方的になってしまうもつれた感じも含めて空気感が好きだったし、読んだあと何度も読み返したいと心から思った。2人はなぜ別れてしまったのかこれからどうなるのか読みながらグイグイ引き込まれた
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文学の森 2026年6月クールのテーマ作品
過去から現在につながり、そして未来へとつながる。
過去に引きずられず今を精一杯生きることが、きっと自分にとって一番ふさわしい未来につながると感じた。
数十年ぶりの再読だが、宮本輝さんの美しい文章は心地よいなぁ。
Posted by ブクログ
心が震えました。
昭和60年に発行されているのですね。
男と女、人生について、どこかで聞いたことあるような話なのに、文体や語り方によって深く引き込まれる物語になっています。
ぱっと見薄い1冊の中に、すごく身の詰まった物語が入っていて、読後しばらく動けませんでした。(お勧めされて、古いのでこわごわ読んだのですがほんとに読んで良かったです。)
宮本輝、他にも読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
今こそ読みたい、日本文学の金字塔
一気読みしてしまいました。
手紙だけでこれほどまでに豊かな情景と、複雑な人間の感情を表現できるのかと驚かされます。
切ない再会から始まり、絶望を越えて生き直そうとする二人の姿には、普遍的な強さを感じました。
私にとってこの本は、モーツァルトの音楽と出会わせてくれた大切な一冊でもあります。
作中で触れられるその調べをきっかけに聴き始め、今でも私の日常に欠かせないものとなっています。
美しい日本語と音楽の深みに触れたい時に、ぜひ手に取ってほしい名作です。
Posted by ブクログ
書簡体が心地良いです。
別れた男女の偶然の再会が、
過去を引き釣り出し
どうにも堪えられない思いが
手紙を出すという行動にかわり
互いに過去を責め合い
やがて過去を追い越す。
2人の手紙のやりとりに
胸にくるものがあります。
作品とは関係ないですが、
私も転勤先で偶然、学生時代の同級生と同僚として再会し
驚いて声を掛け合ったのですが、以降なぜか避けられて
いる気がします。初日がピークで、漫才の出オチみたいだなと
思ってます。
宮本輝さんは初めて読みましたが、
文章がするすると流れているようで、
一旦読み始めると苦もなくページが
進みます。
古本屋で買った文庫本に、元の持ち主のメモが
栞がわりに挟まってまして
宮本輝 『潮音』
と、書かれてました。
次はコチラを手に取ってみたいと思います。
Posted by ブクログ
過去は変えられないから気にしたってしょうがないとよく言われる。
これは間違っていて、しっかりと消化するべきだと思う。
過去の連続があっていまを形づくっている。
男も過去に過ちを繰り返して今のだらしなさを確立させた。
ただ、みらいを形作るのもいずれ過去となるいま。人は変わるべき生き物。
Posted by ブクログ
今ならメールやLINEなんだろうけど、手紙でのやり取り、哀愁があるなぁ。
宮本輝さんの物語は、生きるということを本当に強く噛みしめさせる。
生きてりゃいろいろあんだよ。
何度もそうつぶやき生きてきた自分を優しくつつみ込んでくれる。やべぇ、書きながら込み上げてきた、、、
みんな一生懸命生きているんだよね。
登場人物みんなそうだった。
普通に考えたらどうしようもない奴と思ってても、最後はちょっと応援したくなる描き方。よし、となれるから不思議です。
名作!
Posted by ブクログ
「耳でも聞きたい」そう思った小説は初めてだった。
往復書簡だからなのか、読んでいる時も頭の中で誰かが読んでいるようなイメージがあった。
読み終えるまでの過程はすごくモヤモヤしたのに、終わってしまったららすぐにまた最初のページを開いてしまった。
本当に不思議な魅力のある本。
モーツァルトの39番シンフォニィを聴いてしまうし、蔵王のダリア園からドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトに乗ってみたいと思う。
綺麗なだけのお話では決してない。
だけど、妙に心に残る言葉や景色は何だろう。
手紙の中で綴られる素直な気持ちや、どうしようもなくても生きる生命の美しさなのかな。
Posted by ブクログ
ええ。めちゃめちゃ面白かった。モーツァルトの調べから「生きていることと死んでいることが同じこと」と悟るなんて、、、全編通して死相が漂っている感じがすごく好みだった。冒頭から悲しい物語を予感させ、沁み込んでくる文章だった。まさしく解説通り、手紙で振り返ることで過去を生き直し、未来へ向かう物語。業ってなんだろう、死ぬってなんだろう。余韻に浸ってます。父の「勝沼と離婚してもいい」という切り出すシーンも重くて、涙ぐんでしまった。手紙は終わるべき時機にきちんとけじめをつけて終わって、二人が未来へ進んで良かった。かなり好きな小説だった。
Posted by ブクログ
久々に良い本読んだな…と思う読後感。
あらすじに離婚した男と女の愛と再生の物語ってあるし要は復縁していく経緯を描く物語を期待して読み進めていたけれど、
再生ってそういうことか〜!ってなりました。
二人が綴る書簡の美しさはまさに錦繍。
ラストが近づくほど美しく、作品としても味わえるような素敵な一冊でした。
Posted by ブクログ
義母が宮本輝さん好きらしく、私も読んでみた。
往復書簡で綴られる静謐な文章。
「今」に対する受け止め方が変わっていく場面が印象に残った。自分の不幸を他人のせいにしたりなどしたが、そうではない、これは私の業でもあるという気付き。
もう少し大人になってから再読したいと感じた。
Posted by ブクログ
昔の本だから読みにくいかなと思いきやつらつら読めます。読みやすい。読後はなんだか郷愁というか子供時代の事や田舎のこととか色々蘇ってきてめっちゃセンチメンタルになります。でも良かった。
Posted by ブクログ
会社の先輩から純文学が読めるなら、これを読んでほしいと半ば強引に読むことになりました。
正直なところかつての文豪の作品でも、いわゆる純文学と括られる作品はなかなかハードル高めのものが多いイメージがありますよね。
錦繍は元夫婦と言う関係性の2人が偶然の再会をしたことから始まり、手紙と言う手段で過去を精算していく物語。
手紙だけのやり取りがここまで奥行きを出し引き込ませるのかと、正直驚きました。
素直に面白かったです、新しい作品ばかり読もうとしてましたがもっと色々な作品に触れてみたいと思わせられました。
Posted by ブクログ
言葉の重みというものを感じることが出来る作品だと感じました。
本著は終始男女2人の手紙のやり取りの内容で進められていきますが、手紙を書いている両者が内省し絞り出しながら言葉を紡ぎ出しているのが有り様に見て取れる事が非常に素晴らしいと感じました。
時には心のどこかにある感情を言葉にしようとする苦しみを表現し、逆に言葉が溢れ出てくるという表現が適するほど言葉が走っているような感覚になる場面も見受けられます。
ただ、終盤にかけてお互いに覚悟を感じさせる雰囲気の言葉に変遷していく過程は見所の一つではないでしょうか。
これは著者がもつ言葉を紡ぎ出す力が秀でている証拠ではないかと思います。
最新作では時代小説を書いている様なのでどの様な作品になるか楽しみです。
Posted by ブクログ
ラジオ朗読で聴き、興味をもって読書へ。
状況を解説する本文はなく、手紙で紡ぐ小説。まるで自分が相手の手紙を待っているかのように、次の手紙は!?と読み進んでいった。互いの気持ちを読みながら、時に、それでどうしたの?、どうしてそうした?!、そうだったのか、と思いを巡らし、読後は、じんわりした寂寥感を感じながら、少ししてから本をそっと閉じた作品。
Posted by ブクログ
悲しみを振り返る往復書簡。愛しながら離れてしまった夫婦が、過去と現在を少しずつ知らせ合い、次第に傷が癒されていく。
男女の愛情というものは、人の形のようにお互いの想いの形は少しずつ違っている。すべて都合にいいように理解できるものではない。振り返ってみて避けようがなかったことと、後悔も人生の一部だと受け入れていく。そうしなければ時間は重すぎる。
離婚して10年後、錦秋の蔵王のゴンドラで偶然出会った。二人は言葉の用意もなく分かれた。
こうして先ず女(勝沼亜紀)から長い長い手紙を書く。
(有馬靖朗)は、今の生活を知られたくない。無職で金に追われている。
亜紀はもう分かれた理由は分かっている、それで別れたのだ。靖明が別の女と付き合っていた、結婚後も続いていた。だまされてきた。だが靖明はその女と心中をして女が死んだ。そんな終わり方を許すことはできなかった。
その傷を忘れられないまま勧められて新しい夫を迎え、障害のある子を産んだ。
靖明は、青春時代を送った養子先で知り合った女が初恋だった。周りの目を引くような奔放な女に惹かれた。初めての恋などは自然に消えていく。だが靖明には二人の忘れられない出来事が結婚後も心に残っていた。
そしてふと逢ってみたいと思い、つながりが復活した。そんなことを書き送るようになった。
何度かの手紙で過去の出来事を書くようなっていく。
亜紀は靖明と分かれた後に結婚した夫も外に女がいた。息子の世話に明け暮れていたが、細やかさのない夫は子供をかわいがるように見えるが、夫婦のつながりは薄かった。
次第に過去から現在のくらしや心境を、知らせあうようになる。
靖明は何人かの女と交わってきたが、今の女と支え合って生きて行こうと思うと書く。
亜紀は今の夫と別れ子供を育てながら生きていくと知らせる。
そんな時間の流れが二人の手紙に書かれていく。
いつまで書いていてもきりがありません。いよいよ筆を擱くときが来たたようでございます。私はこの宇宙に、不思議な法則とからくりを秘めている宇宙に、あなたと令子さんのこれからをお祈りいたします。
さようなら。お体、どうかくれぐれもお大切に。さようなら。
人生には後悔はいくつもある。気づかないまま後になって気づくもの、故意に起こしたもの、運命だと諦めるもの、重くても軽くても、分岐点で進路を間違えたと気が付いた時には遅い。そんな中で生きて死んでいく。
その一つの形が手紙に中にあって、それは誰にとっても悲しみを生きることに繋がっていて共感を呼ぶ。
錦秋の蔵王があって、毎年四季を繰り返している。不意の出会い、そんな偶然で過去が繋がっても、思い出にして日常を生きて行かないといけない。そんな話だった。
Posted by ブクログ
10年ぶりに偶然邂逅した元夫婦の、手紙のやり取りで綴られる物語。傍にいても気づかぬこと、離れていても分かること。縺れ合う糸の混沌を裏返せば美しい刺繍となるように、迷い悔やみながら歩む人生もいつか美しい錦となる。哀しさ切なさと共に勇気が湧いてくる美しい作品だった。
Posted by ブクログ
とてもきれいな書簡小説だった…
文体はもちろんのこと、内容も高尚で美しく
読んでいて心がスゥーっと洗われていくような感じがした。
亜紀と靖明は10年前に、靖明の不貞・殺人事件が原因で離婚をした。そして、その10年後蔵王のゴンドラで奇跡的な再会を果たす。その再会ではお互い見つめ合い少しの挨拶で終わったが、亜紀には靖明に聞きたいことがたくさんあった。不貞の相手由加子と靖明の関係性とその真実、亜紀との離婚を踏みきった理由…それを切実に書簡で尋ねる亜紀。それに対しはじめは躊躇したものの、亜紀に嘘偽りもない事実を書き連ねて返信していく靖明。ふたりの計14通から見えてくるさまざまな真実に、胸が締め付けられると同時に、人間という生き物のやるせなさもひしひしと感じられた…
特に印象に残ったシーンは、さまざまな死や無になる描写が出てくるなかで、最後にふたりが見出した未来を語るシーンだ。ずっとふたりは過去を振り返り書簡していたが、いつしかそれぞれにこれからの生き様を語り、お互いの健闘を祈る姿は凛々しく、そして美しかった。
手紙の尊さを改めて感じた作品。
私も誰かに手紙を書きたくなった…
そしてこの作品が昭和60年に執筆されたことに、
いまだ驚きを隠せない。
宮本輝さん…また気になる作家さんに出会ってしまった!!
Posted by ブクログ
初めての書簡体小説だった.時代感が合わないなと思ったら40年前の作品だった.
なんで手に取ったのか覚えてないけど,今でも読めるようなロマンチックでリアリスティックな内容だったなー
Posted by ブクログ
離婚した男女が手紙を通して過去を語り合い、過去を再解釈しそれぞれが前へ向いて進んでいく話。
モーツァルトを聴きながら読んだ。
女性目線からだと亜紀が不憫でならない。どこにも置けない切ない気持ちになった。
生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかもしれない。
生きてると辛いことが多くてこんな風に感じることが多い。
昭和57年に刊行されている本だけどとても読みやすかった。
Posted by ブクログ
たぶん20代のころぶりの、再読。あるできごとによって別れた夫婦が、十年後、偶然の再会をし、手紙のやり取りをする。二人の再会時の年齢よりも、はるかに年を取ってしまって、読み返して思うのは、二人が大人だということ。それで、妻がちょっとはしゃいだ感じになっているのがかわいらしく、しかし、どうにもならないので無念だということ。業や、生まれ変わりにについては、あいかわらずわからない。生まれる前から決まっていた、そういうものもあるかもしれない、とは思う。
再会は本当に、全くの偶然だった。夫がそこへ行くことは、そのときまで決まっていなかったし、あと数秒違えば、同じゴンドラにも乗っていなかった。二人が再会したことの奇跡に感謝したくなる。そんな、あのときああしたら、ああしなかったら、が、自分の人生にもいくつもあるのだろうな。だけど、現実には、今ある人生を愛してゆくしかないのだろう。