あらすじ
「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
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Posted by ブクログ
手紙のやり取りだけの構成は斬新だった。そしてその文体の美しさに引き込まれた。
がしかし!いろいろ言いたいことがある。
いやそもそも、不倫相手と心中という運命的な事件のゆえに愛し合いながらも離婚した夫婦…だとぉ?!
亜紀よ!目を覚ますのよ!ってところからツッコミを入れなければならない。
夫が不倫相手と心中事件を起こしたのよ?
それでも愛する?はぁ?
なわけあるかい!ドン引きで秒で追い出すわよ!
世の男性の頭の中って、こんなにご都合良いのかしら?
そして有馬に物申す!!あなたの伝えたいことは、相手が聞きたいこととズレているのだわよ!さらに傷を抉ってきてんじゃないわよ!
という具合に、全くデリカシーのない有馬に途中からうんざりしつつ、でもそこがこの物語の面白みでもあるのだけれど。聞こえのよいことばかりなら、面白みが薄々になってしまうから。
そこで忘れてはならない、事件の張本人である不倫相手の由加子。
有馬にとっての由加子という存在は、有馬が唯一カッコイイ男を演じていられる相手だったんじゃないだろうか、、
家に帰れば婿養子として、亜紀の夫としての価値がどうしても引っ付いてくる。
由加子と共にしている時間だけが、有馬が有馬靖明として存在できる瞬間だった、、
帰れば、また亜紀の付属品となるのだから。
対して由加子の有馬に対する想いとは、、
有馬へ言った「あなたは家に帰っていくじゃない」このひと言に全てが詰まってる。
由加子は「有馬の全部が欲しい」
有馬は「由加子といる自分が好き」
愛の矢印が違う方をむいているのよ。残酷だわね。けれども世の不倫の男女とは大体がこのようなもの。報われない。不倫なんて結局はエゴイズムでしかないと私は思う。
というわけで、どっぷり余韻に浸れる作品であることは間違いない!