あらすじ
「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
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Posted by ブクログ
読む前
愛し合っていた2人が、ただすれ違って誤解してしまったがために離婚したけれど、手紙を通して再び相思相愛になる話
なのかなと勝手に思っていた
でも読んでみたら、思っていたよりもちゃんと不倫していたし、有馬さんは思ってたよりもダメな男やった
お勧めしてくれた方がこの本を読んだ感想として、「ちゃんと言葉にしないとすれ違う」というようなことを言っていたからこそ、そう思ってたのかも?
その意味を、ただ「事実を伝えること」みたいな意味合いで受け取っていたのだけど、この小説を読んでみて、実際にあった出来事は受け止め方に差はあれど大きな変わりはなく。
でも「お互いがしっかりと本音を伝え合うこと」で、しっかりと過去に向かい合って、受け入れて、今を生きることができるようになった話やなと感じた。
だからこそ、言葉にしないとすれ違うというのは、自分の思い込みを正さないとというわけでなく、自分の気持ちや物事をきちんと受け止めるためにはちゃんと言葉にしてそのまんまを伝えることが大切やということかも。と思った。
あと、要所要所で、障がいのある息子を業だと言ったり、男の不倫は性だと言ったり、小さな、ん?って思うことはちらほらあった。
なんとなくやけど、時代錯誤やなという感じの違和感。
けれど。その小さな違和感になる要素がなければ、この手紙は本心ではないものだったし、2人は前を向けなかったような気がする。
めちゃくちゃ人間臭い2人が、めちゃくちゃ時間をかけて過去を受け入れて、ようやく今を生きることができるようになった話という感想
でも、手紙形式だったからか、「こう生きるべき」というよりは、「こういう人生がある」みたいな小説で、なんかわからんけど今の小説にはない感覚な気もした
え、いいな、とてもいいな