宮本輝のレビュー一覧
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感想
熊吾のパワフルでむちゃなところは眉をひそめるところがあるが、なぜか目が離せない。
熊吾や音吉などの人物評や人間こうあるべしみたいなやり取りはそのまま納得するものではないが、その人物のこれまでの体験や人生を通して知ったことを聞いているようで面白い。
あらすじ
流転の海、第二弾。
熊吾は宇和島に帰り、2年が経った。
田舎では幼い頃に喧嘩した増田というヤクザに出会い、因縁をつけられたり、妹の不倫相手のどうしようもないヒモ男の世話や、網元の和田を議員にする相談など、忙しい日々を過ごしていた。
そんな中、辻堂が裏切った井草が金沢で結核を患い、死にかけている。親友の中国人の周の愛人であった節子を囲っていると聞き、金沢へ駆けつける。
南宇和に帰り、和田茂十の選挙参謀として奮起するが、茂十がガンであることが分かり、選挙を諦める。
その後、隣りの復員した音吉の案でダンスホールを始めるが、妹の夫の政夫が、ホールの窓から転落して亡くなる。最初は盛況だったホールも伊佐男の嫌がらせで客足が遠のく。
その後、伊佐男は部下に裏切られて命を狙われる。部下に殺される前に拳銃自殺を図る。熊吾はこの1年で多くの人の死を目の当たりにして、故郷を去り、大阪に戻る決意をする。 -
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ネタバレなんとも感想が難しい。
1982年、のちにバブル経済とよばれる好景気の直前が舞台でしょうか。
中途半端に過去なので、ちょっとした違和感がすごく気になってしまう。
主人公は大阪の大学生だが、父が亡くなる直前に残した借金のため、京都にほぼ近いようなはずれのボロアパートに暮らし、ホテルのボーイのアルバイトで生活している。
借金取りに追われ、母親とも別れて身を潜めて暮らしているが、時々ちょっと贅沢だな、と思う部分もある。
贅沢をする、というのではなく、例えばホテルで出る賄いを食べずに帰るとか、お金を借りる相手をわざと怒らせて借りずに返すとか。
そんな場合じゃなかろう?って思うのだけれど。
生活の糧はアルバイトで得ているはずなのに、失恋したと思えば20日も仮病で休むし、スマホのない時代、無断欠勤も当たり前…だったっけ?
とはいえ、バブルの前なので、自己破産なんて知恵もなく、ホテルのボーイなのに借金取りに何度も顔をボコられても、割と普通に「酔っ払いにやられた」とか言って仕事してるし。
お客さん、びっくりしないのか?
など、突っ込みつつも、その極限で生きている大学生が、辛いことも経験しつつ腐らずに、誠実に、時には弱く、短慮だったとしても、明るい未来を思わせる終わり方なのは、さすが宮本輝というところでしょうか。
哲之がボロアパートに越してきた日、ケチケチ大家が電気の契約をするのを忘れていたため真っ暗な部屋で壁にくぎを打ったことで、壁に打ちつけられたままその一年間を生き通した蜥蜴が助演賞。
蜥蜴はただ生きているだけなのだけど、哲之がそれをもとに哲学的にいろいろ思索するわけです。
時に宗教であったり、時に自らの人生についてだったり。
それから哲之の彼女がかなりキュート。
女子大生のわりには懐が広く、かと思えば他の男性にちょっとゆれてみたり。
そして、最後の一行が秀逸。
このためにこの作品があるのではないかと思うくらいの、良いエンディングでした。 -
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上下共通レビュー さらさらした小説であっという間に読み終わりました。宮本輝さんの小説はいつもそんな感じ、スピード感があるというか、読みやすい文章というか、とにかくさらっと読めました。疲れているときにさらっとお茶漬けを食べたくなるように、たまに読みたくなります。世界中の恵まれない子どもたちがたくましく生きて欲しい、そしてそのために自分に出来ることがあればしたいと思いました。
阪神淡路地区を大地震が襲った日、36歳の女性の平穏な人生も崩壊を始めた。夫は地震の直後に愛人のもとへ行き、姑もその存在を認めていたのだった。離婚を決意した女性は、両親や妹たちに支えられ再出発をはかる。やがて、学生時代に知り合った老婦人から奥飛騨の広大な森と山荘を相続し、息子二人と移り住むことに。現代に希望の光を与える大作。
マロングラッセを知ったのはこの小説。 -
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上下共通レビュー さらさらした小説であっという間に読み終わりました。宮本輝さんの小説はいつもそんな感じ、スピード感があるというか、読みやすい文章というか、とにかくさらっと読めました。疲れているときにさらっとお茶漬けを食べたくなるように、たまに読みたくなります。世界中の恵まれない子どもたちがたくましく生きて欲しい、そしてそのために自分に出来ることがあればしたいと思いました。
阪神淡路地区を大地震が襲った日、36歳の女性の平穏な人生も崩壊を始めた。夫は地震の直後に愛人のもとへ行き、姑もその存在を認めていたのだった。離婚を決意した女性は、両親や妹たちに支えられ再出発をはかる。やがて、学生時代に知り合った老婦人から奥飛騨の広大な森と山荘を相続し、息子二人と移り住むことに。現代に希望の光を与える大作。
マロングラッセを知ったのはこの小説。 -
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松坂一家のドタバタ劇は続きます。
60代で立ち会上げた『中古車のハゴロモ』は無事軌道に乗り、むしろ拡大していく彼の商才は大したもんではありますが、またいつものように女絡みで一波乱ありそうでワクテカ状態です。65歳でもギンギンですね、よ!松坂の大将!私も亜鉛摂取して大将に負けないぐらい頑張りマッスル。
第四部で別れた女(西条あけみ)に偶然出逢ってしまい、焼け木杭に火で5秒で合体、あひゃ、これは言い過ぎか、彼女のヒモ野郎(893屋さん)に手切れ金を渡し、再び失楽園の世界へ・・・
以前経営していた中古車販売で社員にお金を持ち逃げされて結果会社を畳んだ松坂の大将、またやらかします。信頼していた社員にまたごっそり持っていかれましたね。もー、バカバカ、大将のバカ!
ここで伸仁くんが名作『赤毛のアン』に線を引いていた一節〔アンにもの事を冷静に受け取れと言うことは、性格を変えろということになるだろう〕これですよ、正に同じ失敗を繰り返す松坂の大将お前にピッタリやがな。
そして〔松坂熊吾に同じ失敗を繰り返すなということは、性格を変えろということになるだろう〕大将は自分で分かったみたいですね。お疲れ様です。
あとがきでは次回第8部で大将の奥様房江さんが大変苦労すると書かれておりました・・・・房江さん、ファイツ! -
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解説に記載の通り、「人とは単彩一色ではなく、万華鏡のようにさまざまな面を見せる」ことが熊吾や熊吾が関わる人々から感じられる、人間味溢れる物語です。
3部では、伸仁の成長も感じられ、熊吾も親として成長を喜ぶ親子愛が感じられるシーンが多く、温かい気持ちになりました。
特に、最後の伸仁が火事に巻き込まれたかもしれないと熊吾が嗚咽を出して泣くシーンは心打たれるものがありました。
周英文と麻衣子など、親子の繋がりの深さや愛情を感じられ、家族とは何かを深く考えさせられます。
そばにいるから分かるわけではない。血が繋がっているから親や子として認められるわけでもない。
複雑だけど、それでも家族。
熊吾のような愛情溢れる人になれるかは分かりませんが、私もこの子のためになら生きていきたいと思える親になりたいです。 -
Posted by ブクログ
ごく普通の生活をしていた主婦が人との繋がりによって自分の幸せを広がっていく、ありそうでありえない物語の後編。
主人公は自分の力で引き寄せたのではない様々な事柄は、その生き方によって、自ずと引き寄せられていく、その生き方は相手に合わせて変化しながらも、結局は変わらない信念のようなものによって繋がっていくのだと伝えてくる、そんな話だった。そうした生き方を表したタイトルの言葉は、作者の思いが込められているのか、まあわかるような、そうかなぁというところもありか。
朝鮮半島からの過酷な脱出の物語は、ストーリーの中で重要な要素ではあるけど、これはこれで別の話の方が良かったのではないかなとも思う。
作者あとがきには、善き人たちの繋がりというテーマに欠かすことのできない無名の庶民の力を盛り込んだとあったが、そんな逸話も含めていろいろなストーリーが繋がっていく面白さがあった。