宮本輝のレビュー一覧

  • 青が散る(下)

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    上巻では、そこまで面白いとは思わなかったが、下巻で、夏子への恋やテニスの試合など、盛り上がる場面を読んで、やっとこの作品の面白さがわかった。
    面白い。普通の主人公なのに、周りでは、ちょっと普通じゃないことが起こったりして、青春ってこんなものなのかなと思わせてくれる。
    私はあまり昔の作品が得意ではなかったが、少しづつ読むようになって、その作品が何十年も人から愛される理由や、面白みがわかってきた。嬉しい。

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    2022年07月20日
  • 草花たちの静かな誓い

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    宮本輝的な、少し屈折してて、俗っぽさもあって、人が良い青春を拗らせてる男子が、大人になって現代で生きてたらこんな感じなんだろなと思った。

    ミステリ的要素を期待せず手に取ったので、思わぬ展開に楽しんでしまった。

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    2022年05月12日
  • 月光の東

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     あるエリートサラリーマンがパキスタンのカラチのホテルで自殺することからこの物語は始まる。この小説の秀悦なのは、この自殺した背後にいる米花という女性を全く異なる2人の人物に語らせていることだろう。
     推理小説的な側面もあって、一気に読めるとても良い本だと思う。

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    2022年05月05日
  • にぎやかな天地(下)

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     主人公の聖司が日本の伝統発酵食品をまとめる本を作る中で色々な人や物や考えに出会う話。
     話の中で、その時は最悪だなと思う事が後々いい事に繋がるという場面がいくつかあった。今の自分の立場はどちらかと言うと悪いと思うが、それが後々プラスになったらいいなあと思った。
     物語の中に登場する発酵食品は、どれも作り出すのに年単位の時間がかかる物だった。いい物を作り出すのには、とても時間がかかる物だと実感したし、それは人間も同じじゃないかと思った。効率的にやる事は重要だが、コツコツ時間をかけて発酵食品のようにじっくり仕上げて行くのも同じく大事だと思う。
     最後に、今回も登場人物や土地の描写がとても良かった

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    2022年03月15日
  • 田園発 港行き自転車 上

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    富山の田園地帯に立った著者が「美しい山河を描きたい」と着想したとのこと。富山の美しい風景の中で物語は静かに進行していく。田舎の田んぼ道を自転車で失踪したくなった。

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    2022年03月05日
  • 夢見通りの人々

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    人間はロボットじゃなくて、血が通っていて、いろいろ不具合があって、それぞれこだわりがあって、、、。みんな「きれい」じゃないよ。ということがよく分かる。
    現実は生々しい。
    第九章、春太がテープを光子に渡した後の春太の気持ちの描写。(p237)
    中でも「前進しなければならない。自分は人間なのだから、前進しなければならないのだ」が、心に響く。

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    2022年02月25日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    一気読み。宮本輝は初読み。主人公の八木沢と住人(優等生的な住人)の会話があってこそのストーリー。現代のような隣人どうしが希薄な世の中ではこの様な関係を築くことはないだろう。そう言った意味ではこんな終わり方が良いようにおもう。


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    2022年02月15日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    孤児たちが住み着いた「骸骨ビル」、そこの住人を立ち退かせるため、主人公の八木沢三郎がやって来た。八木沢で三人目であるが、他の二人は何故、住人の立ち退きが出来なかったのか。上巻ではそこの住人と八木沢との出会い、住人の自分史などを混ぜながら物語は下巻へと続く。★閑話休題★阪急電車の十三(じゅうそう)駅は京都線、神戸線。高塚線の三線が交わる駅。小生がサラリーマン時代に神戸方面、大阪方面など日帰り出張時には、この十三駅で途中下車し、駅前の飲み屋で同僚と時間を潰した懐かしい場所。書き出しの風景で思い出した。

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    2022年02月14日
  • 避暑地の猫

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    ネタバレ

     未読だと思って久しぶりに宮本輝作品を手に取ったら、2015年に既に読んでいたようだ。

     軽井沢の別荘番の息子として生まれた久保修平は、別荘の持主である布施家に対する羨望と憎悪から、その心の裡に次第に狂気を育てていく。“姉妹の麦わら帽子は、卑下と憎悪のふたつの感情をぼくにもたらせてきた。(p.56)” 布施金次郎と、自らの母・姉との間の淫靡な関係を知った彼は遂に、布施金次郎を殺すことを決心する…
     まさに愛憎劇と呼びたくなる、官能的で、怪しい物語。17歳の修平の、視野狭窄さ、自分の思い込みに徐々に囚われていく様が恐ろしい。軽井沢に立ち込める「霧」も、舞台装置として非常に効果的に働いているよう

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    2022年01月03日
  • 真夏の犬

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    九篇の小説が収められている短篇集。阪神尼崎駅が舞台の作品がいくつか収録されている。かつての「煤煙と汚物の街」尼崎は猥雑な街だったようで描写が強烈で、すっかり小綺麗になった今の街との違いに驚いた。

    文庫版巻末の「解説」で作家の森絵都氏が語る宮本文学への愛着についての記述が、自分が普段宮本作品について思っていることがうまく言語化されていて腑に落ちた。
    「清も濁もなみなみ湛えた底なし沼みたいな、比類なきその作品世界にときどき無性に浸かりたくなる」

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    2021年12月21日
  • 優駿(下)

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    競馬を一度もやった事なかったけどやってみたくなる。久美子が牧場仕事やれるか?なんて野暮は言うまい^ ^

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    2021年12月17日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    久しぶりに昭和の古き時代の物語を読んだ。熊吾のような豪快な心の大きい人、今はいないなあ…としみじみ思う。そして、この時代の女性の生き方は、悲しいものだったと思う。

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    2021年12月16日
  • 水のかたち 下

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    「善き人たちのつながり」
    あとがきにあるこの言葉につきる物語でした。
    余りにも良いことばかり?なので、どこかに落とし穴が?とうがった読み方をしていた自分を反省…

    少しも後ろめたいことをしたくないという気持ち、その思いに正しく生きていきたいという気持ちは、自分が生きる上で大切にしたい事と一緒だなと思った。
    とはいえ、実際にそこまで正しく真っ直ぐにはできていないから、ついついうがった読み方をしてしまったのだろうな。

    更年期、今までの自分、これからの自分を考える主人公には共感できる部分もありつつ、やはり、男性が描く女性という気も。可愛らしすぎて、嫉妬を感じてしまっただけかなぁ…いや、実際、幸運に

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    2021年11月24日
  • いのちの姿 完全版

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    宮本輝さんのエッセイ集です。
    宮本さんがさまざまな経験をされている事がわかる小説でしたが、なぜか、とても静かな気持ちで読める小説でした。落ち着いて静かに読みたい時におすすめの一冊です。

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    2021年11月21日
  • 森のなかの海(下)

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    ネタバレ

    なんでしょう、これは。
    読者アンケートの結果が悪くて、連載を打ち切りになったのでしょうか。

    上巻は、ちょっと上手くいきすぎな感はあったけれども、震災から立ち直るための居場所づくり(主人公である希美子や、彼女が引き取った少女たちの)は地に足がついたものだった。
    親の愛情に恵まれなくて、自分勝手だったり、気が短くて飽きっぽかったりした少女たちを、仕事を与えることで生活習慣や一般常識を多少とはいえ身につけさせた。

    しかし下巻にきてその流れは失速。
    希美子に山荘を遺した老女の人生の謎を追う方が主眼になっていて、10人もの少女を預かっているのに、その書き分けもほとんどできていない。
    実の息子二人はも

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    2021年11月20日
  • 春の夢

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    恥ずかしながら、私は社会人になるまで生活で苦労することは一度もなかった。
    哲之の母が、幸せだと思いながら眠りたいと願う場面で思い出すが、私は実家で両親家族に守られて幸せだと感じて眠る毎日を送っていた。


    私はたった4年間だが、親元を離れ海外で働き、守ってくれる者などいない生活を送った。
    住んでいた家は天井がぼろぼろと剥がれてヒビが入り穴が開き、湯船はなくトイレとシャワーが一緒になった浴室があり、お湯が出ないことも多々あり真冬も水を浴びていたこともあった。
    ベッドも古く中の骨が折れており、寝心地がいいとは言えない。南国だったが冷房は古過ぎて効かず、電気代が高いため稼働は1時間のみ。職場は違法労

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    2021年11月10日
  • 私たちが好きだったこと

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    ネタバレ

    流転の海シリーズを読んだあとなので、どうにもリアリティのなさが気になる。
    いきなり酔った勢いで初対面の女性たちと同居を決めるかね。
    新築のマンションに。
    さっさと荷物を搬入するなんて、怪しさしかない。

    そして、借金をしてまで行う善行というのは、どこか違うと思う。
    そりゃあ医者になれればいいだろうけれど、本人は無職で勉強だけして、生活費や学費のすべてを同居の3人が借金してまかなうというのは、いかにも無理。
    結局いろいろ破綻するし。

    親の生命保険を解約してまでお金を要してもらった挙句、彼女からお金を返してもらおうとは思わないって、バカなの?
    彼女だって大人なんだから、借りた金はきちんと返してこ

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    2021年10月27日
  • 草花たちの静かな誓い

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    映画を見終わったような読後感の一冊です。

    アメリカに住んでいた叔母・菊枝が日本旅行中に亡くなり、突如莫大な遺産を相続することになった小畑弦矢。
    諸々の手続の為、ロサンゼルスにある叔母の家に向かいますが、そこで27年前に死んだと聞かされていた叔母の娘・レイラが行方不明だと知らされます。
    レイラは生きているのでしょうか?そして生きているとしたら何処に?そもそも何故、死んだとされていたのでしょうか・・?弦矢は探偵のニコと共に謎の解明に乗り出します。
    ・・と、あらすじだけ見るとミステリのようで勿論その要素もあるのですが(“探偵”も登場しますしね)、描かれているのが宮本さんだけに、やはり“ヒューマンド

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    2021年10月10日
  • 春の夢

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    主人公が同じ大学生で「道頓堀川」にも雰囲気が似ているが、安アパートの柱に打ちつけられた蜥蜴を通じて、より深く「生と死」を掘り下げている気がする。
    全体を通して抑えられたトーンで物語は淡々と進行するが、悩みを抱えながらも希望の未来に向かって生きていく主人公の若さが羨ましい。

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    2021年10月09日
  • 三千枚の金貨(上)

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    MUROYに行きたい。
    月屋にも。

    マミヤの文房具
    手に取れたなぁ。

    どーしても斉木光生
    斉木先生と、読んでしまう…。

    下巻も楽しみぃ。

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    2021年09月26日