宮本輝のレビュー一覧

  • 真夜中の手紙

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    2023年4月30日
    ウェブサイト投稿の記事のノベライズ。
    生活をつぶさに伺い知る楽しい試み。
    宮本輝氏の小説は好きで読んでいた。ドナウの旅人とか、オレンジの壺とか。
    ゴルフと音楽と落語と軽井沢と会食、そしてアルコール。
    日々思い入れの音楽とお酒に包まれて眠りにつく。そんな習慣、私も真似たいと思った。
    ときにお茶目な言い回しがあり、かわいいオッさんだと親しみを覚えた。

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    2023年04月30日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    大阪十三にある通称「骸骨ビル」。開発のため立ち退きを促す担当者として派遣された八木沢省三郎と個性豊かな住人たちとの交流がなんとも楽しく味わい深い。
    敵対する関係のはずがいつしかヤギショー、ヒデト、サクラちゃん、トシ坊、ナナ、チャッピー、ヨネスケと渾名で呼び合う人間関係に入り込んでいく。
    そして中庭に畑を再現し、住人たちから昔の話を聞くにつれ戦後のオーナーたちの苦労を知り彼らに感情移入していくヤギショー。

    ーー人間は何のために生まれてきたのか?
    ーー自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすため

    戦争から生還し、何かの力によって生かされたと感じた男が、孤児たちを育てて父となることで生を全うする

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    2023年04月26日
  • 道頓堀川

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    以前映画で観た作品なので、自分の頭で描く情景だけでなく映画のシーンが重なる。
    それは自分の中での創造を邪魔するものではあるけれど読書の道案内的なサポートにもなるものだな。リバーでアルバイトをする邦彦のまわりの人間模様が哀愁を帯びて描かれるのだけれど彼らの不安定な生き様を俯瞰するように読み味わえるのは自分自身が彼らよりは安定した楽な状況にあるからだろうか。

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    2023年04月19日
  • 春の夢

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    生きていく上でままならないこと、逃れられないことって誰にでもあって、それがたとえすごく小さなことだったとしてもそれによって傷ついたり深く落ち込んだり。
    そういうときに答えが出ないことは分かっているのに死というものについて考えることはよくあるなぁと思った。
    明日はもう来ないって覚悟でなきゃ生きれないほどに切羽詰まっていても、明日は必ず来るし、どんなに暗くても必ず光はあるはず。
    生と死が隣り合わせであるように光と影も隣り合わせにあることを実感させられた。
    読めば読むほどキンちゃんが愛おしく感じられる。

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    2023年03月25日
  • 春の夢

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    釘で打ち付けられても生きてるトカゲと過ごした大学生の1年の話というあらすじに惹かれて読んでみました。
    ある時代のただの青春小説ではなく、生きることの意味のようなものを主人公の生き様から学べた哲学的な1冊でした。

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    2023年02月26日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    あとがきに書かれている「ひとりひとりの無名の人間のなかの壮大な生老病死の劇」という表現が非常にしっくりときた。
    沢山の人物が登場し、亡くなっていくが、どこか淡々としていて、悲しみとは違った感情にさせられた。長い小説だが、読み終わってしまい、寂しい気分。

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    2023年02月23日
  • 草花たちの静かな誓い

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    クレバーな登場人物たちが
    解いていく謎

    少しショッキングな謎解きではあったけれど
    みんながいい方へ進んだ

    作者の落ち着いた文章が本当に好き

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    2023年02月12日
  • 愉楽の園

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    10数年以上前にバンコクに住んでいた時に読んだ本を今回再びバンコクに滞在中に再読。
    恐らく、本が書かれた時に比べるとバンコクは大きな建物がどんどんと建ち、生活スタイルも大きく変わったと思う。けれどこの本を通して、タイの宗教、歴史、文化からくる普遍的なものを感じることができた。改めて文学の素晴らしさを実感した。

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    2023年01月16日
  • 草花たちの静かな誓い

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    主人公が大きなうねりに巻き込まれる内容とは対照的に物語は淡々と静かに進み、自分がそこで暮らしているかのように場面がきめ細かく描かれる。大きな感動やワクワク感は少ないが吸い込まれていく不思議な感覚だった。

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    2023年01月06日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    流転の海、最終巻。辻堂とあんな感じになったのは意外。看病中に知り合った男についていく博美がかわいそうだなあ。前巻の「長流の畔」を読んで3年が経ったので、いろいろ登場人物を忘れていて、大団円も感動が薄いかな。流転の海シリーズの中で、一番面白くなかった巻かもしれないが、まずは完結してよかった。

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    2023年01月02日
  • 青が散る(下)

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    祐子の渡米、安斎の発病、ガリバーや主人公の悲恋、テニスの試合、不動産開発の乗り出す氏家や端山。
    決定的な大事件があるわけではない。けれど、様々の事件が続き、物語は進んでいく。
    そして、あっさりとは言えないけれど、どうしようもなく大学生たちのモラトリアムが終わる。
    この作品を名作と褒めて良いのか、よく判らない。
    でも、一つ一つの出来事が胸に沁みた。

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    2022年12月28日
  • 道頓堀川

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    戦後間もない頃の昭和、大阪という土地柄を色濃く感じました。
    道頓堀川の濁りのように、一人一人の人生にも何かしらの濁りがある。道頓堀川界隈に暮らす人たちの人生の営みが描かれていました。

    歓楽街の猥雑でがちゃがちゃした感じは、うるさいのになぜかホッとする部分もあり、読みながら一人一人が抱える“苦難”や“人生の営み”みたいなのものを感じて、しんみりした気分になりました。

    個人的に、ちょっと性的な描写が多いなぁという気がしたけど、それも含めてこの作品の味わいになっている。
    喫茶店店主の武内、武内の息子・政夫、住み込みで働く邦彦。また、彼らに関わりのある人たち。
    他作品でも感じたけど、宮本輝さんの作

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    2022年12月14日
  • 夢見通りの人々

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    夢見通りに住む個性的な人たちを描いた短編集であり、大きくみると1つの物語となっている。
    幸せなことがあれば悲しいことや報われないことがあって、それがリアルな人生模様だなぁと納得してしまう。日常は白黒つけられないこともたくさんあるけれど、絶妙なバランスを保っているんだなと思う。

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    2022年12月07日
  • ここに地終わり 海始まる(下)

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    自分の思いを重視して突っ走ったなぁ。長い期間がまんしてきた分、はじけたということかも。自分の人生だから他人にとやかく言われることはないか。良くも悪くも自分の責任だしな。

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    2022年12月07日
  • 春の夢

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    なんか色々とモンモンし続ける青年の話、と思いきやのトカゲである。
    いやトカゲを飼うというのもなかなかないけど、釘で柱に打ち付けてっていうのはかなりアツいのではないか。今どきこの設定では、大家がグリーンピースあたりに通報して活動家が大量に押し寄せて人生が終わること間違いなし。ネットにも情報がばらまかれ、借金取りの比ではない苦労が待っているわけで。
    なもんだからこの設定にしつつも妙な愛情を注ぐ主人公のある種の狂気もこの時代だから許されて、なんかどーしよーもねーなーこの若者は、というありきたりな展開に実に味が出ているではないか。

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    2022年11月13日
  • 月光の東

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    ネタバレ

    宮本輝さんは最近気に入りつつある、丁寧語で統一された文体、丁寧で細やかな人たち
    舞台はまた裏日本、暗い怪しい影のあるような雰囲気
    ある女を追いかけてという筋だが、結局出会えないままに話が終わる。真相が明かされるのも探偵の結果ではなく1人の人間にたどり着いたためという。中々ない幕切ではなかろうか、その方がロマンチックでもありまたリアルでもある、切符1枚が記憶の拠り所なんて夢のある話
    また話の途中でそれとはわからぬままに何度もすれ違っているという点も僕には新鮮でその不確かさなどにリアルな魅力を感じる


    再読する
    かしわぎでの最後の夜はないままの終焉でも良かったのではという印象もすこし。月光の東が

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    2022年11月13日
  • 彗星物語

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    ハンガリーからきた留学生ポラージュ。
    14人の大家族と1匹の犬ともに過ごした3年のお話。

    『勉強しすぎて死んだ人はいない』
    学生に戻って机に向かいたくなる。
    終盤の『さあ、ここから』という気持ち、大事。

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    2022年11月13日
  • 春の夢

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    冒頭から食らいついてしまった。
    当に社会人1年目、 大東市
    野崎のアパートに私も居たせいか哲之に自分を重ねる所があった。
    懸命に生きる哲之親子と陽子 幸せであれと祈りつつ ページを繰る。
    物悲しさと 刹那が同居し、あっと言う間に読み終えた。
    蜥蜴のキンチャンが良い味を添えていた。

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    2022年11月04日
  • 焚火の終わり 下

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    1997年初版。サスペンス仕立て。上巻での疑問が下巻で、どのように展開していくのか興味津々で読み進めました。最後まで読み終わり、なんだか消化不良は残りましたが、面白かったです。タブーに切り込んでいくのが、いいなあと思いました。性的な描写もあるのですが、通俗的で下品な感じは受けません。食べ物の描写も多いです。著者の文章の力を感じます。

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    2022年11月04日
  • 優駿(上)

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    平成元年以来の20数年ぶりの再読です。
    あることをきっかけに2005年以降、宮本輝さんを遠ざけていました。しかし元々は好きな作家の一人だったのです。私のHPで宮本輝を検索すると感想付きが数冊と感想無しが大量に出て来ます。感想付きは2000年以降に読んだ本、感想無しはそれ以前の所有本ですから、2000円年以前はかなり嵌って読んでいた作家さんだったことが判ります。

    映画化されているのでご存知の方が多いはずですが競走馬の物語。
    賭け事には興味がなく競馬を知らない私でも引き込まれるのは、これが愛憎とか宿命とかが絡む人間の物語だからでしょう。良くある優しいばかり、登場人物が全て善人の物語ではありません

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    2022年11月04日