宮本輝のレビュー一覧

  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    冒頭よりまさかの富山への転居。

    「運」が下降線をたどっていく感じを、歯を食いしばって好転させようともがく日々。相変わらずのテンポは心地よいが、スカッ、とできない内容ですね。

    「自分の生命力を信じることが強い運というものの流れに乗るのだ」

    離ればなれになる伸仁は大丈夫かな?親の立場としては耐えられないなぁ。

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    2021年04月29日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    病弱な息子のために大阪の事業を畳み、故郷の伊予に帰った松坂熊吾。
    彼と妻の房江、彼らを取り巻く人々。
    そして40年前の熊吾への恨みを晴らすために現れたやくざ者の伊佐男。
    熊吾は彼とどう対峙していくのか。
    圧倒的なキャラクターの熊吾が、美しい伊予の景色の中で描かれる。

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    2021年04月29日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    【「自伝に戻って来た?小説」、遂に完結!】

    宮本輝「野の春(流転の海 第九部)」新潮文庫

    宮本輝が34歳で書き始めた「自伝的小説」が、物語を進めるに従ってだんだん「自伝」を離れていった、と作者本人が振り返る作品である。2018年に発刊された単行本の文庫版が今月売り出されたのて、文庫しか読まない僕もようやく手にした。

    最終巻にふさわしく主な登場人物が一通り現れ、主人公松坂熊吾はそれまでやって来た複数の事業を整理し、妻・房江はホテル・多幸クラブの食堂での仕事を軌道に載せる。ひとり息子・伸仁が二十歳を越え、五十で彼を持った熊吾なりに責任を果たしたという思いに浸るが、(僕にとっては)まさかの結末

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    2021年04月27日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    とうとうここまで来たか、という感覚。第七部までは文庫でそのつど何度か再読を重ねてきたけれど、第八部は未読だった、そして一気に読んでしまった。年月の経つ中でのそれぞれの変化、心情の描き方、生と死の不思議。改めてじんわりと沁み込む小説…あぁ、やはり好きなのだ、流転の海が、熊吾が、どうしようもなく動き続ける人々や物語が。

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    2021年04月23日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    五十歳をすぎてようやく授かったわが子は非常に身体が弱かったので、大阪での事業を処分して、故郷愛媛の南宇和に戻った熊吾。
    それから2年、伸仁は健康になり、妻の房江もまた田舎の生活になじんでいるようで、このまま南宇和で生涯を過ごしてもいいと思いはじめる熊吾。

    しかし、そこに現われたのが、子ども時代の熊吾との相撲のせいで片足に一生残る障害を負った「わうどうの伊佐男」だ。
    特別に残虐な極道となった伊佐男の執拗な嫌がらせに、不穏な空気が全編に渡って漂う今作は、しかしなかなか読みごたえのあるものだった。

    一年の間に熊吾の周辺にいくつもの死が訪れる。
    それは悪いことが起きる予兆のようでもあり、運命の動く

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    2021年04月23日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ようやく最終巻の文庫本が出たので、第一部から一気読みする。
    関西財界の風雲児、松坂熊吾が終戦後に事業を再開。
    同時に50歳を過ぎて初めて子供を授かったことから物語が始まる。
    強烈な人間の魅力を持つ熊吾。
    彼を取り巻くたくさんの人たちの人間模様。
    彼がどのように息子を育て、事業を大きくしていくのか。
    続きが楽しみだ。

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    2021年04月21日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    「何がどうなろうと、たいしたことはありゃあせん」

    大好きな女房をぶん殴るのだけはやめれば良いのに、とは思っていたが、はたまた。

    退屈なページがない不思議な物語。

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    2021年04月14日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    読み終わってしまった。
    読み終わってしまった。

    感想なんか書けへん。
    この作品を超えると作品を今後読むことはない気がする。37年間ブレずに書き続けられた著者を心からすごいと思う。あとがきにもあったけど、最後まで健康で書き終えてくださったことに感謝しかない。

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    2021年04月10日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    敗戦2年目の大阪を舞台に、戦前の事業や財産を取り戻そうとする松坂熊吾の物語。
    とはいえシリーズの第一部であるのに、熊吾は既に50歳。
    今後は徐々に息子の伸仁の話にシフトしていくのだろうけれど、とりあえず今はまだ赤んぼなので。

    豪快で男気があって人を見る目に長けている熊吾だが、短気で嫉妬深く暴力に訴えるところが欠点。
    身近にいるとちょっと厄介かもしれないけれど、読者としていうならばとても魅力的。

    疎開していた故郷の宇和島から大阪に戻ってみれば、自社ビルには闇市が入り込み、勝手に商売をしている。
    まずそれらを立ち退かせ、商売の糸口をつけなければならない。
    昔世話をした人に裏切られたりしながらも

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    2021年04月08日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    自分と同世代の熊吾。息子が二十歳まで生きる、って、全く同じ決意には共感。豪快ながら不安を抱え生きていく様、家族や周りの人物像。時代背景があるにしろ、心地よい引き込まれ感。

    さあ、男、家族、親子の行く末はどうなるのか。
    宮本氏の「生死観」の描き方にも注目かな。

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    2021年04月08日
  • 夢見通りの人々

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    目次
    ・夢見通り
    ・燕の巣
    ・時計屋の息子
    ・肉の鏡
    ・十八回目の逃亡
    ・宝石箱の中
    ・帰り道
    ・白い垢
    ・波まくら
    ・洞窟の火

    大阪の下町(っていうの?)にある、夢見通り商店街に住む人々が織りなす人間模様。
    ちょっぴりビターが濃い目だけど、人々は鬱屈を抱えながらも強かに、あっけらかんと生きている。

    子どものころから盗みグセがあり、一度も万引の現場を取り抑えられたことのない時計屋の息子。
    貯めた金で駆け落ちをするが、妊婦の彼女を養う術は、高校生の彼にはなくて…。

    性と暴力の衝動を抑えることができず、学生のころから問題行動ばかり起していた元ヤクザの肉屋の兄弟。
    心を入れ替えて真面目に働いて

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    2021年03月24日
  • 彗星物語

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    ただでさえ同居人(+犬)の多い城田家にハンガリー人のボラージュがやってきて…留学の3年間の出来事は、よくありそうな家族のエピソード。派手さは何にもない。でも心に染み渡るようなほろっとした感覚。


    個人的には福造のセリフにくすっと笑わせられるものが多かった。おもろいじいちゃん。

    どんなにゴールが近くても「よし、これからだ」と気を引き締める。これは大事にしていきたいと思った。それと、悪い気持ちを胸に石を掲げ叩きなくすという考え方。教訓めいたものもすんなり入ってきた。

    家族写真、撮りたくなったなあ。
    35年も前の話なんだけど、今読んでも面白かったよ。

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    2021年03月24日
  • ここに地終わり 海始まる(下)

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    テンポや空気感が心地よい。生きていることの奇蹟、人間の無常さを穏やかに、押し付けがましくなく感じられる。人の心が変わっていくのは自然なことだし、その時その時で自分を深く見つめて、何をやりたいかを見極める、それが幸福なのかなと感じた。

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    2021年02月13日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    日々生きていて、過去に見たり聴いたりしたものが急に線になり、繋がるような瞬間があるが、この小説においても記憶の染み込んだ風景、絵画、街並を通じて、記憶の中の人たちが結びつく様が至極丁寧に描かれている。(故に少々回りくどい部分もあり、星は4つ。上巻の半分過ぎるあたりまでは辛抱が必要)
    個人的に、好きな人たちとの想い出の詰まった京都・南座界隈が出てきて急に惹き込まれたところもあり、登場人物たちの夫々の土地での想い出が紐解かれていくような進行に何故か「懐かしい」という気持ちにさせられた。富山も是非訪れてみたい。

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    2021年01月11日
  • 道頓堀川

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    小説家、宮本輝が描くまだ戦後の色合いが大阪を舞台にした昭和40年代の学生を中心に描かれる人間模様。
    フィクションではあるらしいが、父を失い大阪で学生時代を過ごした著者自身の体験と重なるところがあるとは思う。
    登場人物は多岐にわたるが、共通する言葉のは「赦し」ではないかと個人的に解釈する。裏切られようとも、苦しい環境に置かれようともそれぞれがやさぐれずに生きていけるのは、過去を赦す心構えが根底にあるからではなかろうか。
    登場人物の一人である喫茶店マスターが、自分の妻と駆け落ちされた易者に20年後に邂逅し、何も気付かない易者に「どんなことが、しあわせやと思いますか?」と聞かれ「辛い悲しいことが起こ

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    2021年01月04日
  • 優駿(下)

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    血統だけでは勝てない。運も必要。人も頑張りだけで成功するわけではない。そこに軋轢、敵意、無力感が生じる。1頭の駿馬の誕生からの3年間は登場人物それぞれの生活、気持ちにどんな変化が起ころうと一途で清らかだった。久々に爽やかな読後感が得られた小説だった。2021.1.2

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    2021年01月02日
  • 避暑地の猫

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    螢川的な物語を期待して、以前先輩に勧められたこの本を手に取ってみた。
    螢川全然違うやん・・
    古き悪き昭和の香り。サスペンスを追う気持ちで読み進めていくうちに、徐々に宮本輝さんらしい筆致にのめりこんでいった。弱者を描く鋭さと薄暗い虚無感。
    そして全然直接的でないのに(ないから?)、めちゃめちゃ艶かしい姉。こういうのも書く人だったんだ、知らなかった。
    後味が良いものではなかったが、読書にのめり込む気持ち良さを久々に味わった。
    私は無邪気な後輩にオススメする気持ちにはなれないが、気持ちに余裕がある時にどうぞ。

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    2020年12月30日
  • 優駿(上)

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    競走馬に纏わる物語。主人公は馬でなく、競馬に関わる人たちの愛憎、触れあいが主題。泥々した人間関係とは対照的に馬の眼は澄んで美しい。2020.12.21

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    2020年12月21日
  • にぎやかな天地(下)

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    「倦まず弛まず焦ず」
    「わかりにくいものをわかりにくく言うのは所詮偽物。ゼロから物を産む人は具体的で普遍的なことを知ってる」
    「巧言令色鮮なし仁」
    「学べば則ち固ならず」

    上下で心に残った言葉です。
    (正確に書けているかわかりません)
    多分、受け止めきれていない言葉がたくさんあるんだろうなと思います。
    また読み返すことになるんだろうなと思います。

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    2020年12月06日
  • 青が散る(上)

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    宮本輝の錦繍を読んで、文章が好きだったことと、
    主人公が大学生だった大学生のうちに読んでおこうと思い、手に取った。

    登場人物一人一人が個性があって、人間らしい面を持ち合わせているので共感できて面白かった。
    大学4年間なにに使うのか、このままでいいのか、恋愛も含めて焦りの気持ちとかも今の自分に通じるものがある。
    話の方向がどうなるのかまだわからないけれど、下巻も楽しみに読みたい。

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    2020年12月04日