宮本輝のレビュー一覧

  • 潮音 第一巻

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    ようやく読めました。連作の間が長く空く作者には珍しい三作ほぼ同時発刊ですが、まだ一作目。楽しみに次作を読みます。富山の薬売りの話はこの前読んだところですが、隠密的な政治に巻き込まれても生き残る道を探ろうとする県民性に頭が下がります。次の期待して読みます。

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    2025年04月27日
  • 潮音 第四巻

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    ネタバレ

     今年(2025)、1月の末から配本が始まり、この4月までの三か月、楽しませてもらいました。
     80前の著者が、初の歴史小説に挑むというその心意気たるや。ファンとして期待もあるが、心配も相半ばではあったが、なんとか完走したな、という印象だ。

     いろんなメディアのインタビュー記事や、四巻あとがきにもあるように、著者が、幕末の頃の薩摩と富山の薬売りの密約の存在を知り、清国との密貿易での荒稼ぎが、その後の倒幕の資金源となったという話を膨らませたのが本書。
     かつてない視点と、その壮大な仕掛けに胸躍らせながら読むことができた。

     今さら感も、正直あった。幕末ものということや、宮本輝が歴史小説という2点で。
     前者は、やはり時代として面白いことと、混乱を極める現代の世界情勢とも巧みにリンクさせるようにしていることで興味を切らせることもなかった。
     後者は、富山の薬売りの主人公(弥一)が、昔を振り返り語る設えとしたところが巧い。80前の著者が、激動の幕末、明治維新を若者(20代)目線で描くとなると無理があるのではと思ったが、それを、50代が昔語りすることで違和感が薄れた。50の主人公に語らせることで、著者年代の視点、意見も織り込みやすかったろう。
     そのあたり、一巻目から、さすがだなと、唸らされながら読んだ。今さら感は、どちらも杞憂だったよ。

     それでも、近年めずらしい大長編だ。
     さすがに、中だるみというか、尻すぼみも感じた。なにしろ、幕府崩壊、明治維新を第三巻で終えてしまい、あと何が続く? と正直思ったし、第二巻の、安政の大獄、寺田屋事件、天誅組の乱、池田屋事件、蛤御門の変など、有名な事件が頻発する中、獅子奮迅の活躍を見せる弥一らの活躍(寺田屋事件ではまるで薩摩藩の斥候のように動くし、蛤御門の変では京の市民を救う赤十字か国境なき医師団の如し・笑)に対し、三巻では、やや日常が戻ったように薬売りの立場が多く語られ、いつの間にか明治の時代がやってきていた(なにしろ戊辰戦争は端折られたりする)。
     やはり、お上のやることを、市井の目線で捉えていると、伝聞や噂話から構築される部分も多く、隔靴掻痒な部分もなきにしもあらず。
     その視点が、また本作の特徴でもあるのだけどね。

     全国に張り巡らされたという富山の薬売りの情報網と、その懸場帳に記されたという顧客情報などは、今のSNSが吸い上げているユーザー情報のハシリかもしれないと思わせるのもなかなか巧い。各戸の家族構成や健康状態、趣味趣向など、「商人にとっては喉から手が出るほどの宝物」というのは、今も昔も変わらないのだ。

     迎えた最終巻。
     西南戦争まで描かれるのは、初版の付録で付いてくる小冊子の目次一覧で知っていた。

     第二巻だったかで、寺田屋事件が
    「明治十年(1877)の西南戦争の導火線となって、ずっと燻りつづけていたと信じているからでございます。」
     と弥一が語っており、薩摩藩との長年の繋がりから、もっと大きく描かれるのかと思ったが、僅かのページしか割かれていなかったのは、やや残念。
     四巻が、ことのほか蛇足とまで言わないまでも、幕末を迎えるまでの激動期とトーンが変わってしまったのは、やはり時代ということもあり、止む無しか。
     息子の自死のクダリも、ややとってつけ。弥一の、一個人の問題とはいえ、最終章の一歩手前の、ここで語る? というタイミングも含め、なんだかなあ、だった。それと、ここで弥一は、吉田松陰の『留魂録』の、「十歳にして死ぬ者にはその十歳の中に自ずから四季がある。二十歳には自ずから二十歳の四季が、三十には自ずから三十の四季が、五十、百歳にも自ずから四季がある」を、思い出さなきゃだめなんじゃないの!?笑

     いずれにせよ、息子の死は、もっと前でもよかったのではなかろうか。弥一の人生における、弥一個人の悩み、葛藤、その克服といった物語が、時代の潮流の中で浮かび上がってこなかったのは残念だった。結局は、日本という大局のお話だったのか? と思ってしまう。

     弥一が、来し方行く末を語る相手は第三巻の後半まで明かされない。最終的には、大阪で新聞社を立ち上げる社主に対して4年間語り続けていたとのこと(朝日新聞がモデルか?)。
     最後には、その社主との、対話でもあるかと思ったのだが……。

     いずれにせよ、それぞれ400ページ超の全四巻。楽しませてもらった。
     さすがの筆致で、読みやすい巻、ワクワクする巻などは2日ほどで読み終わったものもあった。やはり幕末は面白いし、宮本輝は読みやすい。
     最晩年のチャレンジは大成功と言っていいのではなかろうか。その老境の気概にも、大いに勇気をもらった気がする。

     壮大な歴史物語に、最初は腰の引けていた著者。書けると思ったきっかけが日向街道を実際に歩いている時だったとインタビューやあとがきで語っている。
     明治6年になり、昔を振り返る弥一の述懐は、まさにその時の心境だったのではと、四巻の以下の文章は、こちらも涙ながらに読ませてもらった。

    「園田様も河村様も、よくぞ生き抜いたものだ。薩摩仲間組も黙々と日向街道の海沿いの道を歩きつづけたぜ。富山から片道三十数日の道。往路復路合わせて七十数日の道を、雨に打たれ、風に曝され、日に焼かれながら、足元の土の道を見つめて、ひたすら歩いたぜ。福松さんも富蔵様も、義助さんも。」

     そして、多くの先達は既に故人となり、

    “「順番が来ましたので、それじゃあ私はこれで」
    と口には出さないが、こっちを振り返ることもなく、そっと手だけ振って消えていったという感じだ。“

     宮本輝も、そうして去っていく日も、そう遠くないと思うが、まだ、もう少し作品に触れていたいとも思った。
     お疲れさまでした、という言うのは、まだまだ先であってほしい。

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    2025年04月27日
  • 潮音 第三巻

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    目線の置き方が、いかにも宮本輝さんらしいと感じる。幕末の動乱は、商人から恐らくこのように見えていたのだろう。

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    2025年04月20日
  • 優駿(下)

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    ネタバレ

    オラシオンはさぞかっこいい馬なんだろうな、、と想像するとワクワク。皐月賞、NHK、そしてダービー。馬の仕上げの大変さなど改めて分かる。和具社長、馬主の久美子、ファームの博正、ジョッキー奈良。死神元秘書の多田。そして、誠。みな一生懸命生きている。すごくいい小説だった。

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    2025年04月14日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    『流転の海』第二部。
    五十歳にして授かった病弱な息子(宮本輝がモデル)と妻の健康のため、事業をすべて引き払い、郷里の愛媛県南宇和に引きこもった松坂熊吾。

    昭和の田舎の色濃い空気が漂っている。
    現代ではめったにお目にかからない、暴力や、色恋や(婚外子が非常に多い)、ヤクザ者や、戦争帰りの人や、四国の闘牛、選挙、うわさ話などなど、エピソードがいちいち濃いなあ。
    戦争で家族を失った人も数多く、また、医療や衛生状況が発達していないからか、病死する人もあまたいる。

    『流転の海 読本』なる本も購入し、索引ですぐ人物がわかる優れものなのだが、まだ読んでいない行く末もわかったりするのが玉にきず。
    とりあえず、第三部に進みます。

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    2025年04月13日
  • 優駿(上)

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    馬の誕生から始まり、それを取り巻く周りの人達のやり取りに目が離せない。(上)を、それこそ馬の様に駆け抜けてしまった。競馬に詳しくない人でも全く問題なく愉しめると思う。

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    2025年04月11日
  • 潮音 第一巻

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    ネタバレ

    越中富山に生まれた川上弥一の目を通した幕末の歴史。維新の志士を通した話はあきるほど読んできたが、商人の目を通して見た歴史の転換点はユニークで読み応えがある。一巻は安政の大獄まで。読み進むにつれて、才児などの脇役にも愛着が湧いてくる。

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    2025年04月02日
  • 螢川・泥の河

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    宮本輝さん、錦繍に続いて二作目。
    最初は方言に慣れるまで戸惑ったが、泥の河、螢川ともに心理、情景描写が深くて、想像を掻き立てられる。
    物悲しさのある暗い話だけど美しく感じた。

    幼年期と思春期のふたつの視線で、人の世の哀歓を大阪と富山の二筋の川面に映し、生死を超えた命の輝きを刻む初期の代表作2編。
    「泥の河」 太宰治賞
    「螢川」  芥川賞

    解説に書かれてあるように、
    古くてなつかしい風景に宿る人の暮らしの哀しみを味わえたように思います。美しい文学的表現、再読したい。

    本日、素敵な書店にて購入。感謝です。

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    2025年03月19日
  • 潮音 第二巻

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    京を中心とした幕末の動乱が市井の視点で描かれている。話の展開がゆっくりであった第一巻とはうって変わって、ストーリーが目まぐるしく展開する。早く続きが読みたい!

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    2025年03月03日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    戦争から生還し、沢山の孤児たちの親代わりとして生きた男の話。損得勘定抜きに、自分の幸せも二の次にして、こういう人生が送れるってスゴイなぁ。それだけやはり戦争での、人には語りたくない体験が、影響してしまったということなのだろうな

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    2025年02月28日
  • 潮音 第一巻

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    宮本輝✕時代小説✕長編 ということもあり、大きな期待を寄せつつ手にしてみた。
    前置きがやや長くてもどかしさを感じたが、ストーリー自体は読み応えあり。視点の置き方が流石と感じた。続編に期待。

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    2025年02月22日
  • 螢川・泥の河

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    「螢川」は芥川賞に輝いた作品である。主人公竜夫少年時代より物語は始まるが昭和37年3月末からである。その時代に作者は生まれていないがその頃の庶民の生活実態を作者は如何にして斯様に描けたのであろうか。思わず小生の少年時代から苦労の青年時代を偲ばせられる思いでジーンと人生の真実が告げられた感じがして現実涙が流れた。芥川賞作品というと現実物は抽象的で作者よがりの作品が多く、読まず嫌いの感がなきにしもあらずだが、この様な平易な書き方で、ものすごい感動に接した。本が好きで良かったー。と切実に感激した。宮本輝の作品が俺を待っている。小生の健康も余り先が無いように思われるが、著作者の作品に心が動かされ、もう少し頑張って作者の著書に接してみたい。感動‼

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    2025年02月20日
  • 優駿(下)

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    今の自分なら平八郎な誘われたら思い切って着いて行くだろうな。牧場を持ったり馬主になったりするのはちょっとした夢だよなぁ

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    2025年02月13日
  • 彗星物語

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    「森の中の海」に続く宮本輝。事件が次から次へと起こるのだが、留学生と犬とで、いつのまにやら解決してしまう。楽しく温かい家族の物語で、いつまでも読んでいたかった。うちも高校生の短期ホームステイ位なら受け入れても良いかも。出会いは彗星のごとく。本当にそうなんだよなぁ

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    2025年01月23日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    人生において、これ程裏切られた人間はいるだろうか
    その度にドン底に落ち、蘇る繰り返し
    全8部にわたる
    最後の一巻になってしまった
    30年をかけて作者が育てた作品を1か月で読んでしまいそうだ

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    2025年01月15日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    波乱の人生が続いている
    作者の年齢と熊吾の年齢が並んだ
    あと残り2巻となってしまった
    大事に読んでいこうと思う
    解説にある登場人物一覧
    素晴らしい

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    2025年01月13日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    前作を読んで1年以上経ってしまったんだなー印象深い作品だったから忘れられないけれど細かい部分は忘れているな。読本を片手に復習しながら読んだ。相変わらずの破天荒な熊吾の人生の一部をのぞき見した気分になれた。このシリーズは順番に読むつもりでいるけれどどこから読んでも楽しめるようになっているようだ。振り返りや過去の事柄の説明もあるから読んでるうちに思い出せた。この物語を完結する時はどんな感動があるのか楽しみだ。次は1年以内に読むつもりでいる。

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    2025年01月11日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    熊吾は伸仁が20歳になるまでは生きたいという人生の目標
    流転の海は第九部で完結とのこと
    ようやく第五部を読み終えた
    伸仁ももうすぐ中学生
    人生陰と陽
    第四部はかなり陰だったか、第五部は陽へと
    第六部はどんな展開になるやら

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    2025年01月05日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    人間関係、親子関係、夫婦関係
    色々な関係が存在する
    作者はその混沌とした関係を描いて、読者に何を訴えているのだろうか
    子供は成長する
    親はどう対処すれば良いのだろう

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    2024年12月31日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    この長編第2部をあっという間に読み終えた
    そのぐらい夢中にさせる作家宮本
    第3部も読む前から楽しみだ
    人生悩むことも多いが、たいしたことないか

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    2024年12月29日