宮本輝のレビュー一覧

  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何とも言えぬ。何をしてるのやら。
    時代のせいにして、運のせいにして。
    偶然のせいにして。

    何に出会うか、何が起こるかは、時代や偶然、周りの環境、出会う人々、自分の特質により大きく変わるが、最終的に何を選ぶのかは自分の意思。
    腋の甘さ。

    房江回復と自分の本質の出現。落ちていく熊吾。
    未だ許してもらえると思っていた熊吾のアホさ加減。
    最後のシーンで骨身に沁みたようだが、果たして次の最終巻ではどうなるのか。。

    伸仁はどうこの事態を捉えたのか。その内面の動きは読み取れず。

    どこに向かうのか、どこに辿り着くのか。今また、混沌に放り出された感覚。

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    2023年10月01日
  • よき時を思う

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    読み終わったあと、なんとも豊かな幸福感に包まれました。
    とくに徳子さんと玉木シェフの関係。
    教師時代の教え子だった玉木少年は、幼くして両親が離婚し、母についたものの、その再婚相手から「お前はいらん」と目の前で言われ、祖父母に育てられる。
    さらに少年は重度の吃音で、どれほどの思いで生きてきたのだろうと思わせる。
    徳子さんは玉木少年はが中学を卒業すると、住み込みで仕事ができる京都のレストランへ世話をする。その際、法華経に登場する妙音菩薩が吃音でありながら、釈迦の教えを広めたことを紹介。それを御伽噺ではなく、身をもって読んだいきなさいと励ます。料理の世界で刻苦勉励し、やがてはフランス、エリゼ宮のスー

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    2023年09月24日
  • よき時を思う

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     あるインタビュー記事で、「いろんな人生が詰まったおもちゃ箱」と述べれています。

    法華経妙音菩薩品第二十四
    中国伝統の民家、四合院造り 
    来国俊の短刀
    端渓の硯
    竹細工の花入れ…など



    「見ていると幸福な気持ちになる。それはやがて『もの』ではなく幸福そのものになる。わたしはそういうものを探して集めてきた。綾乃もそうしなさい。探せば見つかる。探さない人には見つからない。」(p.93)より引用

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    2023年09月04日
  • よき時を思う

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    こんな教養があって、品のある人、
    未来の日本にいるのかな、と思ってしまう。
    徳子おばあちゃん絶滅危惧種。

    知ったような気になるのと、教養として身につける知識は全く違う。

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    2023年09月03日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    なんとも言えない。簡単な成長物語としてのビルドゥングスロマンではなし、時代小説のようなものでもなし、ましてやエンターテイメントでもなし。人間が剥き出しに描かれている様に感じるものの、良いとか悪いとか、主題が何か、今の自分には判然としない。

    紆余曲折、毀誉褒貶の人間模様。人間の多様面と厚さ、深さ、複雑怪奇さを感じる。人間の矛盾、弱さ、汚さ、儚さと、苛烈さ、酷薄さと、強さ優しさ、潔さと。美と醜が渾然一体となって、混沌のままに呈示される。どちらも人間の本質なのか。
    正に海。掴めない。

    ただ、その中でも、幼子を前にした父親を人間として見る感じる描写は、自身の父親もそうであったかもと思わせてくれて少

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    2023年09月03日
  • 真夏の犬

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    戦後間もない頃(高度成長期くらいか)の阪神地区(主に海側)の下町を舞台とする短編集。生まれ育った環境との「地縁」と、人間の「性(さが)」を強烈に描いた作品。
    その日暮らしが精一杯の少年時代・少女時代を過ごした登場人物たちが、大人になって昔を思い出したり、再会したりする話。当然、大人になるまでの間に、彼らは人生の辛苦を舐めているのだが、まだ10代前半くらいの段階で世の中のいろいろな場面を知ってしまうのである。
    彼らは子供の頃に、日雇い労働、イカサマ詐欺師、水商売、ギャンブルなどなど、さまざまな職業の大人たちを見て育つ。仕事内容だけならまだしも、お金の使い方、ドロドロした人間関係、窃盗・嘘・恐喝な

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    2023年08月30日
  • 水のかたち 下

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     ロダンはいう「石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たなければならない」
    水には、そんな力強さがある。
     志乃子は、「私は水の流れに乗って、それに身を任せて今日まできたと思っていたが、そうではないのだ。流れとともにかたちを変え続ける水に沿って生きてきて、今日の自分というものを得たのだ。どんな尖った細い難所でも、水はそのかたちになってくぐり抜けていく。私も水のかたちと同化して、微笑みながら難所をくぐり抜ける」
     志乃子には、春のひだまりのような柔らかさがある。
    志乃子は、ヒビが入った古備前の壺を見て、5万円で購入する。それが、実際には300万円で売れたのだ。志乃子には、本物を見分けるセンス

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    2023年08月27日
  • 夢見通りの人々

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    ・何を隠そう自分は宮本輝のファンの一人なのだが、少し他の作品と比べるとカジュアルな文体で新鮮で好きな作品が一つ増えた。(おそらく30代後半くらいの作品で、比較的若い頃の作品?)
    ・今は昔となった商店街内での密な人間模様や、そしてノスタルジックな温かみのある生活感が主人公の里見春太を中心に展開される。
    この、一見平凡だけれどもなぜか皆から慕われ、愛される里見春太という男の魅力は、吉田修一の人気シリーズの「横道世之介」に通ずるところがある。
    ・最後のシャレードで行われたお別れパーティのカオス感、声を出して笑った。

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    2023年08月18日
  • 錦繍

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    情景が目に浮かぶ こんなに綺麗な文章を久しぶりに読んだ気がする。小説なのに、映像が目に浮かび、登場人物の心のヒダみたいな部分まで読み手に感じさせる、読んで良かったと心から思える一冊。

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    2026年01月12日
  • 三十光年の星たち(下)

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    坪木と佐伯の関係性の変化が良かった。一方で説教くさく古臭いと感じてしまうのは、私が未熟なせいだろうか。数年後にまた読み返したいと思う本だった。

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    2023年08月03日
  • 幻の光

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    やっぱり宮本輝は天才だなあ…生きていくために必要な情念とか生命力についての言葉が重すぎる。これだけの結論を出すには、一体何人の人生と向き合ってきたのかね…

    唯一苦手な点があるとすれば、人が死にすぎる、失いすぎる点かも。でも宮本輝の悲劇って最終的には幸せな方を向いてる気がするので、嫌いにはならない。底なし沼ではない。ただ、その分逆に生々しくて残る傷が深いから、体力のある時に読みたい作家かも…

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    2023年07月26日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    熊吾の妹タネの行動に、イライラさせられた。しかし、この話しに出てくる登場人物は不倫してる人がやたらと多過ぎる。
    また、気になるのは、小学校低学年の伸仁に競馬させたりストリップを見せたりと、めちゃくちゃな父親であるところ。
    そんな感じで、はちゃめちゃな所もあるけど、ものすごく奥行きがあって、生き生きと人物が描かれているので、物語の世界にどんどん引き込まれていくよなぁ。

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    2023年07月21日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    血脈を物語にしたら宮本輝の右に出る人はいないですよね。もはや何のために生きてるかとか、そういの度外視にして人との出会いをひたすら大切にしたいです。

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    2023年07月10日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    なぜかわからないけど、すごく話しに引き込まれる。すごく奥行きがあり、人物がいきいきとえがかいるからかなぁ。
    ただ、前巻に引き続いて主人公が、妻に暴力をふるうシーンだけは嫌な気分になる。

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    2023年07月08日
  • 星々の悲しみ

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    自分の学生の頃から名前は知っていたけれど、宮本輝の本は初めて読んだ。
    大変読みやすい文体、内容であることに驚いた。


    大阪弁の会話のなんと心地いいこと。
    解説に書いてある通りになってしまうけれど、普段から村上春樹ら「都市生活者のための現代文学」みたいなのばかり読んでいるせいか、こういう少しじめっとした地味な小品がとても沁みる。
    物語に奇を衒ったようなところはなく、社会性や思想性もないけれど、心に沁み入る文章である。軽いタッチの文体でありながら、結核療養、精神病院等の描写が出てきて、生命の儚さ、人生の切なさを感じさせる。
    この、深い・難しい問題を考察するような小説でないのに、じっくり感じ入るよ

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    2023年07月08日
  • 避暑地の猫

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    エンタメ調で描くと上滑りしそうだけど人を描くので事実は小説より奇なり的なあり感がある。
    令和の今だとかなりおとぎ話的かもだけどね。
    昭和の感性があればリアリティあるかな。

    屋敷の主人と屋敷番家族の話。
    引き込まれて最後まで読み通した。
    宮本輝の描き出す世界恐るべし。
    また何か宮本作品読みたいなと思ったかな。

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    2023年07月04日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    久しぶりに宮本輝さんの作品を読んだが、やはり文章・人物の描き方等全てにおいて素晴らしかった。
    主人公が妻に暴力を振るう場面は、嫌な気分になったが、すごく話に引き込まれた。続きが楽しみ。

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    2023年06月24日
  • よき時を思う

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    4.3
    それはやがて、
    「物」ではなく、もはや幸福そのもの
    となる…

    そんなモノたちが
    洪水のように溢れてる物語


    ◯四合院造りの屋敷
    ◯東山区・数寄屋造りの料亭や茶室
    ◯来国俊の懐剣
    ◯端渓の硯 筆 便箋
    ◯蘭亭序等の臨書の手本書 
    ◯与謝野晶子からシェークスピア、トーマスマン、プラトンまで…笑
    ◯谷中の竹細工職人の竹籠
    ◯岡山・高梁の竹屋に教わり、米糠で5年間磨き続けた花器。
    ◯ワイン、フレンチの真髄と言える品々
    ◯家紋のエンブレム


    そして、
    フォーマルな場でのマナーから、株の売買の鉄則まで

    ノブレス・オブリージュ

    おもわずググった京都の「小ぬか雨食堂」

    吃音の蕎麦職人・清蔵

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    2023年05月23日
  • 春の夢

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    色々な問題を抱えた大学生が様々なことち苦悩しながら送る日々が描かれる。
    蜥蜴の存在が哲之の考え方や行動に変化を与えているように感じる。

    時代状況などを知らない面もあったものの、面白く読めた。あと陽子みたいな彼女ほしい。

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    2023年05月20日
  • よき時を思う

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    「人は生きた様に死ぬ」と何処かで読んだか聞いたかした。この物語おしゃれだし丁寧だし美しい。登場人物の生きる姿勢が清い。しみじみ!!

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    2023年05月06日