宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
4.3
それはやがて、
「物」ではなく、もはや幸福そのもの
となる…
そんなモノたちが
洪水のように溢れてる物語
◯四合院造りの屋敷
◯東山区・数寄屋造りの料亭や茶室
◯来国俊の懐剣
◯端渓の硯 筆 便箋
◯蘭亭序等の臨書の手本書
◯与謝野晶子からシェークスピア、トーマスマン、プラトンまで…笑
◯谷中の竹細工職人の竹籠
◯岡山・高梁の竹屋に教わり、米糠で5年間磨き続けた花器。
◯ワイン、フレンチの真髄と言える品々
◯家紋のエンブレム
そして、
フォーマルな場でのマナーから、株の売買の鉄則まで
ノブレス・オブリージュ
おもわずググった京都の「小ぬか雨食堂」
吃音の蕎麦職人・清蔵 -
Posted by ブクログ
宮本輝さんの文章はやっぱりいいなぁ。
読みながらしみじみと感じる箇所があちこちにありました。
核家族が当たり前だった昭和の時代を思い出す。
宮本さんの描く家族、登場人物が私にはなんとも魅力的でした。
90歳の誕生日記念に晩餐会を開くという徳子おばあちゃん。
ドレスコードは女性がイブニングドレス、男性はタキシードと実に華やか。
どうして「晩餐会」なのか。おばあちゃんが語ったその理由にはある想いがあった。
おばあちゃんが上品で凛としていて素敵。
徳子おばあちゃんと孫・綾乃のアイコンタクト、兄妹の軽口などちょっとしたシーンも好き。
物語にはスピード感もなく大きな事件もない。
だけど、静かな味わい -
Posted by ブクログ
大阪十三にある通称「骸骨ビル」。開発のため立ち退きを促す担当者として派遣された八木沢省三郎と個性豊かな住人たちとの交流がなんとも楽しく味わい深い。
敵対する関係のはずがいつしかヤギショー、ヒデト、サクラちゃん、トシ坊、ナナ、チャッピー、ヨネスケと渾名で呼び合う人間関係に入り込んでいく。
そして中庭に畑を再現し、住人たちから昔の話を聞くにつれ戦後のオーナーたちの苦労を知り彼らに感情移入していくヤギショー。
ーー人間は何のために生まれてきたのか?
ーー自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすため
戦争から生還し、何かの力によって生かされたと感じた男が、孤児たちを育てて父となることで生を全うする