宮本輝のレビュー一覧

  • いのちの姿 完全版

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    ネタバレ

    作者あとがきより
    「小説にしてしまうとあまりに小説になりすぎる」という思い出や経験を……「これ以上書くと創作の領域だというぎりぎりの分水嶺あたりをうろつきながら」書かれたそうだ。

    書かれたもの総て「いのち」にかかわること。
    「いのち」とは? 命でも生命でもなく。
    前のエッセイ集は「命の器」
    「どんな人と出会うかはその人の器次第」と書いてあった。
    これはグサッと刺さる。

    解説の行定勲監督は 
    「どの登場人物にも嘘がないのは、「どれだけの人生に触れ、そのどの急所に目を向けてきたか」にあると思う。」
    「真実は一つではない。その出来事のどんな側面に何を感じるかで違ってくるという宮本さんのものの見方

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    2023年12月05日
  • 愉楽の園

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    宇賀さんのエッセイ、「じゆうがたび」の中で出てきた本書、気になって読んでみた。
    情景描写なのか?ストーリーなのか?
    読んでいても終始、熱帯特有の湿度がまとわりつく感じがします。
    面白いです。

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    2023年11月20日
  • 螢川・泥の河

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     2篇とも死や不幸や性の目覚めが少年の目を通して描かれている。それらは劇的ではないが主人公に影響を与える。登場人物の日常が微かに変化していく様子が、美しさとうら寂しさを感じさせる季節や街の描写と相俟って妙なる調べとなっている。この作者の事物の描き方捉え方は自分の好みかもしれない。

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    2023年11月13日
  • 草花たちの静かな誓い

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    宮本さんもこんな感じのミステリというかサスペンス仕立てのものを書くんだー、というのが最初の感想。

    が、しっかりと宮本さんのテイストだった。

    良い作品と思うが、一つだけあるのはジェシカという登場人物の描き方が今ひとつな気がする。

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    2023年11月03日
  • 水のかたち 下

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    日常を起点としながらも、スケール感のあるストーリー展開。
    明るくあっけらかんとした主人公の人柄に惹かれた。

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    2023年10月21日
  • 螢川・泥の河

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    『泥の河』では高度経済成長期間近の大阪の雰囲気を感じることができる。
    小学生や中校生といった多感な時期特有の葛藤を2作品では見事に表現されていると感じた。
    『泥の河』で出てきた巨大な鯉ってどんなものなのか想像しながら読むと少し面白かったです。
    廓舟で生活する母と2人の子どもが、次の場所では平和に過ごせることを祈るばかり。
    『螢川』は文句なしの面白さ、これこそ昭和の純文学という感じ。最後の螢が一面に飛んでいることを描写する文章が美しい。一昔前はこんなにも螢が多く綺麗だったのかと思いながら読み進めた。

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    2023年10月13日
  • 水のかたち 下

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    それぞれの人間模様と幸せの連鎖。それぞれバラバラなのが人の個性なのでそれがそのまま表現されていて安心します。

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    2023年10月09日
  • 水のかたち 上

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    小説の時間のスピードって読んでる側からすると合う合わないあると思うんですけど、宮本輝さんはその辺がすごいんですよね。人が人生で決断する瞬間に出会えます。最近のトレンドとは違うんだけど紫綬褒章取られてる方で私の青春時代の作者で50才って年齢をとても大切にしてることに個人的に共感してるし、熊吾も共に読んで生きてきた感じで是非読んで欲しいです。下巻読むまでもなく、心で読めます。

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    2023年10月08日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    何とまあ、あっさりと。。。
    最後まで、、最後の最後まで、人間は人間のまま、ちょっとしたことで過ちをする。
    熊吾の伸仁への言葉。何の意図から出てきたのか。よくわからん。
    房江も伸仁も、何故あんな親父を再び受け入れることができたのか。
    訳がわからぬ。

    ただ、この長い小説は、色んな局面の光(時代、人、天災、裏切、病気、色欲)に照らされて浮かび上がる様々な熊吾の反射を描くことで、熊吾という人間がどういう人なのかを知っていくものなのかも知れない。
    前巻で、女房を殴る根拠が明かされ、そしてこの巻では、人を助けることや実は頑固さがないことなどが描かれ。。
    今の自分にはそんなところしか、味わえない。
    何故青

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    2023年10月02日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何とも言えぬ。何をしてるのやら。
    時代のせいにして、運のせいにして。
    偶然のせいにして。

    何に出会うか、何が起こるかは、時代や偶然、周りの環境、出会う人々、自分の特質により大きく変わるが、最終的に何を選ぶのかは自分の意思。
    腋の甘さ。

    房江回復と自分の本質の出現。落ちていく熊吾。
    未だ許してもらえると思っていた熊吾のアホさ加減。
    最後のシーンで骨身に沁みたようだが、果たして次の最終巻ではどうなるのか。。

    伸仁はどうこの事態を捉えたのか。その内面の動きは読み取れず。

    どこに向かうのか、どこに辿り着くのか。今また、混沌に放り出された感覚。

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    2023年10月01日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    なんとも言えない。簡単な成長物語としてのビルドゥングスロマンではなし、時代小説のようなものでもなし、ましてやエンターテイメントでもなし。人間が剥き出しに描かれている様に感じるものの、良いとか悪いとか、主題が何か、今の自分には判然としない。

    紆余曲折、毀誉褒貶の人間模様。人間の多様面と厚さ、深さ、複雑怪奇さを感じる。人間の矛盾、弱さ、汚さ、儚さと、苛烈さ、酷薄さと、強さ優しさ、潔さと。美と醜が渾然一体となって、混沌のままに呈示される。どちらも人間の本質なのか。
    正に海。掴めない。

    ただ、その中でも、幼子を前にした父親を人間として見る感じる描写は、自身の父親もそうであったかもと思わせてくれて少

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    2023年09月03日
  • 真夏の犬

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    戦後間もない頃(高度成長期くらいか)の阪神地区(主に海側)の下町を舞台とする短編集。生まれ育った環境との「地縁」と、人間の「性(さが)」を強烈に描いた作品。
    その日暮らしが精一杯の少年時代・少女時代を過ごした登場人物たちが、大人になって昔を思い出したり、再会したりする話。当然、大人になるまでの間に、彼らは人生の辛苦を舐めているのだが、まだ10代前半くらいの段階で世の中のいろいろな場面を知ってしまうのである。
    彼らは子供の頃に、日雇い労働、イカサマ詐欺師、水商売、ギャンブルなどなど、さまざまな職業の大人たちを見て育つ。仕事内容だけならまだしも、お金の使い方、ドロドロした人間関係、窃盗・嘘・恐喝な

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    2023年08月30日
  • 水のかたち 下

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     ロダンはいう「石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たなければならない」
    水には、そんな力強さがある。
     志乃子は、「私は水の流れに乗って、それに身を任せて今日まできたと思っていたが、そうではないのだ。流れとともにかたちを変え続ける水に沿って生きてきて、今日の自分というものを得たのだ。どんな尖った細い難所でも、水はそのかたちになってくぐり抜けていく。私も水のかたちと同化して、微笑みながら難所をくぐり抜ける」
     志乃子には、春のひだまりのような柔らかさがある。
    志乃子は、ヒビが入った古備前の壺を見て、5万円で購入する。それが、実際には300万円で売れたのだ。志乃子には、本物を見分けるセンス

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    2023年08月27日
  • 夢見通りの人々

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    ・何を隠そう自分は宮本輝のファンの一人なのだが、少し他の作品と比べるとカジュアルな文体で新鮮で好きな作品が一つ増えた。(おそらく30代後半くらいの作品で、比較的若い頃の作品?)
    ・今は昔となった商店街内での密な人間模様や、そしてノスタルジックな温かみのある生活感が主人公の里見春太を中心に展開される。
    この、一見平凡だけれどもなぜか皆から慕われ、愛される里見春太という男の魅力は、吉田修一の人気シリーズの「横道世之介」に通ずるところがある。
    ・最後のシャレードで行われたお別れパーティのカオス感、声を出して笑った。

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    2023年08月18日
  • 錦繍

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    情景が目に浮かぶ こんなに綺麗な文章を久しぶりに読んだ気がする。小説なのに、映像が目に浮かび、登場人物の心のヒダみたいな部分まで読み手に感じさせる、読んで良かったと心から思える一冊。

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    2026年01月12日
  • 三十光年の星たち(下)

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    坪木と佐伯の関係性の変化が良かった。一方で説教くさく古臭いと感じてしまうのは、私が未熟なせいだろうか。数年後にまた読み返したいと思う本だった。

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    2023年08月03日
  • 幻の光

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    やっぱり宮本輝は天才だなあ…生きていくために必要な情念とか生命力についての言葉が重すぎる。これだけの結論を出すには、一体何人の人生と向き合ってきたのかね…

    唯一苦手な点があるとすれば、人が死にすぎる、失いすぎる点かも。でも宮本輝の悲劇って最終的には幸せな方を向いてる気がするので、嫌いにはならない。底なし沼ではない。ただ、その分逆に生々しくて残る傷が深いから、体力のある時に読みたい作家かも…

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    2023年07月26日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    熊吾の妹タネの行動に、イライラさせられた。しかし、この話しに出てくる登場人物は不倫してる人がやたらと多過ぎる。
    また、気になるのは、小学校低学年の伸仁に競馬させたりストリップを見せたりと、めちゃくちゃな父親であるところ。
    そんな感じで、はちゃめちゃな所もあるけど、ものすごく奥行きがあって、生き生きと人物が描かれているので、物語の世界にどんどん引き込まれていくよなぁ。

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    2023年07月21日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    血脈を物語にしたら宮本輝の右に出る人はいないですよね。もはや何のために生きてるかとか、そういの度外視にして人との出会いをひたすら大切にしたいです。

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    2023年07月10日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    なぜかわからないけど、すごく話しに引き込まれる。すごく奥行きがあり、人物がいきいきとえがかいるからかなぁ。
    ただ、前巻に引き続いて主人公が、妻に暴力をふるうシーンだけは嫌な気分になる。

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    2023年07月08日