宮本輝のレビュー一覧
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感想
思い通りにいかない恋、全てを捧げた部活、周囲で起こる激動。カオスな学生生活にどこか懐かしいようなリアルさを感じる。
将来の燎平と夏子はどうなったんだろうと色々想像させるような内容だった。
あらすじ
安斎は全日本で試合するも、病気がぶり返して危険する。鬱病であると分かる。友人のガリバーはレコードデビューするほど有名になっていた。
応援団の端山は、不動産業が軌道に乗り始めていた。1学年下のポンクが生意気になってきたことを理由にポンクの退部をかけて、燎平と対戦することになった。燎平はこれまでポンクに勝ったことはなかったが、不退転の決意で試合に臨む。
燎平はポンクをフルセットの上に敗る激闘を見せる。ポンクは退部した。田岡というデ杯の候補選手になった人の婚約者から、田岡と夏子が付き合っていると聞く。夏子の母親からの要請で駆け落ち同然の夏子に伝言を伝えにいく。
4回生になって最後の大会で金子とダブルスを組んで、優勝候補に敗れるも、インカレ出場を果たす。インカレの1回戦で再び同じ相手に当たるも敗れる。その日、応援に来ていた安斎が自殺したことがその後知らされる。
燎平は父親の会社に入るつもりだったが、家業が傾き、会社を畳むことになって、急遽、就職活動をして広告代理店に滑り込む。卒業が必須の条件になったが、単位を落として、追試を受ける。奇しくも夏子と二人きりでの追試だった。 -
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感想
直前に流転の海を読んだから、主人公が伸仁のように見えてしまう。境遇も部活も一緒。これも筆者の実体験に基づく物語なのだろうか?
昔、部活に打ち込んでた頃を思い出すな。プロになる訳でもないのになんであんなに頑張ったんだろう。
あらすじ
新しく新設された大学に入った燎平は、大学に入って何をするか決めかねていたが、ある日であった金子に勧誘されてテニス部に入る。部を作ったものの、コートがなく、最初は二人でコート作りから始める。
その大学でお嬢様の夏子と出会い、なんとかモノにしたいと思う。燎平はテニスを通して様々な人と出会う。テニスの元関西チャンピオンだが、精神病でテニスが出来なくなった安斎、金持ちのお嬢さんの裕子、テニスが上手いが斜に構えた貝谷、スピンを極めたテニスの老人。
夏子の家は洋菓子屋を経営していたが、父親が亡くなる。店を支えていたフランス人のペールも帰ることになり、落ち込む。
燎平たちは2回生になり、インカレを目指して、ますますテニスに打ち込む。安斎と貝谷が新たにテニス部に加わり、活気が増す。安斎はそのうち相手になる者が居なくなり、トップ選手の練習に参加する。
その頃、裕子が結婚してアメリカにいくことになり、大学を辞めると言う。燎平と夏子の関係は相変わらず縮まらないままであった。 -
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読みやすかった。短編だけど各エピソードは読み応えある。「星々の悲しみ」は、有吉の成熟した考え方が印象的だった。成績もいいのに「自分は犬猫以下」と言うこと、ただ妹に渡したメモの内容を知って、余計に好きになる。
「西瓜トラック」は、10代の頃にこんな大人の不可解な行動を経験するとしんどいけど、将来大人になったときに寛容になれるんではないかと思う。
北病棟は、、、
入社直後の入院は本人なら不安、先輩なら励ましてあげたい。同じ病棟にいた女性栗山さん、その旦那さん、自分の穴が塞がっても素直に喜べない状態。
火
すべてが意地悪く陰鬱。火だけが明るい -
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感想
熊吾は人に裏切られすぎやろ。激しやすい割にお人好しなのかな。
熊吾の人生厳しすぎやろ。
あらすじ
中古車ハゴロモが起動にのってきた熊吾は、シンエーモータープールの管理人をそろそろ辞退しようと思っていた。モータープールでは柳田の社員寮で門限を守らない者やエアーブローカーの溜まり場になって房江が疲弊していた。
そんな折、千代麿より麻衣子が女の子を産んだと聞く。伸仁も高校生になった。
熊吾は、元ダンサーの森井博美と再会し、ヤクザ男と別れるのを助けて欲しいとお願いされる。博美はそのうち姿を消したが、モータープールにヤクザが来たので熊吾は手切金を払う。
熊吾は、中古車の販路を広げるために、板金の店も開く。麻衣子は城崎で小料理屋を蕎麦屋に変えて、商売を続けることにした。房江がつゆの味を決める手助けをする。
ハゴロモで、黒木が不正な取引に気づき、経理の玉木が不正をしていたことに気づく。玉木はノミ屋で賭博をやっており、その裏には博美の男のヤクザが糸を引いていたことが分かり、愕然とする。 -
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ネタバレ久々に読みかえした。
そういえばこういう内容だったな。
私としては、梶井よりも絶対に尾辻さんのほうが幸せになれると思うのだけれど、それはやはり「恋」という幻覚という名のフィルターがかかってしまうと、痘痕も靨…でも志穂子は幼いころから18年間も長野の結核病棟に入院していたのだから純粋なのだろうな。
それに尾辻と結ばれることになったら、ダテコはどうなる?ってなるからかな。
みんなが幸せになれればいいなと思う。
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梶井克也は人気コーラスグループ<サモワール>の主力メンバーだった。虚飾と悪徳の世界を逃れて日本を脱出し、ヨーロッパを放浪したあげくぼろぼろになってリスボンからその手紙を投函したのだ。そして始まった愛が志穂子の無垢の魂に点火したのだった――。めくるめく恋への船出を描く宮本文学の最高傑作!(背表紙より) -
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ネタバレタイトルから、ほのぼのした作品なのかと思いきや、「夢なんてそうそう叶うわけはない」という現実を突きつける、手厳しい短編集でした。
難波の少し南に位置する「夢見通り」。その名称とは裏腹に、通りの住人たちは、ひと癖もふた癖もある。ホモと噂されているカメラ屋の若い主人・森雅久。美男のバーテンしか雇わないスナックのママ・奈津。性欲を持て余している肉屋の辰巳竜一・竜二兄弟…。そんな彼らに詩人志望の里見春太と彼が思いを寄せる美容師の野口光子を配し、めいめいの秘められた情熱と、彼らがふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて忘れがたい印象を残すオムニバス短編集。
夢見通りの住人たちは、個性派すぎて正直あまり近づきたくはないほど。けれども、不器用な彼らが時折チラつかせる「業」とでもいうべき悲哀を見るにつけ、遣る瀬ない気持ちになります。泣くに泣けず、笑うに笑えない、隘路に立つ彼ら。否、われら? -
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感想
熊吾一家のどん底期といったところか?
お金もなく、家族もバラバラで、スラム街のような長屋に住む。ここから上がっていって欲しい。
あらすじ
熊吾一家は大阪にいた。苦労して立ち上げた中古車業も解体し、ラッキーというビリヤード場の一角で中古車ブローカーをしていた。房江は小料理屋で働き、伸仁は妹が住むスラムのような長屋、蘭月ビルに住まわせていた。
長屋には朝鮮人が多く住んでいて、北朝人と韓国人に分かれて揉めているようだった。また、アパートの環境は悪く。人が病死することがしばしばあった。
どん底生活の中、熊吾は柳田を説得して、F女学院の跡地の払い下げに成功し、大型駐車場であるモータープールの開設に漕ぎ着ける。家族も管理人としてそこに移り住むことで、安定した生活を取り戻す。
しかし、蘭月ビルにまだ通う伸仁に災難が降りかかりそうになる。津久田という男が刃傷沙汰を起こし、勘違いで伸仁も切られそうになったのだ。熊吾は伸仁を蘭月ビルから決別させないといけないと思うのであった。 -
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松坂一家の長い物語が終わった。9巻。文庫本で5000ページくらいか。感想を書き切ることは到底不可能と知り、読み方について少し書いておきます。一冊目は、知人からのオススメで読んだ。もちろん存在は知っていたし、宮本氏の「優駿」や「螢川」「泥の川」などを読んできた。僕が高校生の頃に1番読んだ作家だった。
二冊目を読むまでは少し時間を空けた。他の本も読む。同じようにして、一冊読んでは、海外ミステリーを読んだり、旅行エッセイを読んだりと、インターバルに別の本を挟んで読んだ。なんだかんだで、約2年読み終えるまでかかった。
感慨というか、なんというか、もうこれ以上に読むものがないのだという虚無感というか、
なんとも言えない喪失感に取り囲まれている。 -
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ネタバレ惜しい本を、読み飛ばしていた。
が、単行本が出た2015年は、まだ読書生活を復活させてなかった頃だった。
しかも、2011年の新刊『三十光年の星たち』を読んで、宮本輝ともちょっと距離を置こうとしていた時期にも重なる。その『三十光年の~』のレビューの冒頭には、こう記してある。
「宮本輝も齢をとったな、と思わせる一冊だった。佐伯という老人を通して今の若者世代に説教したいことをちりばめたような何とも後味の悪い印象。」
その少し前の作品あたりから、金持ちな老人が出てきて話を引っ張りまわすような感じがあり、うすうすと感じていた説教臭さ、関西の親戚の叔父貴がいかにも言いそうな、蘊蓄や御宣託が多くて、ヤになったのだ。
その後、そろそろどうかな?と、新作を手に取ったのは2021年の『灯台からの響き』。実に10年も間が空いてしまった。
「でも、宮本輝が、ヤなジジイのままではなく、また佳き作家として戻って来てくれた印象を持てた本書は、二重丸だ。」
とレビューしたので、その後は、なるべく読んではいる。
10代、20代のころのように、新刊が出ればすぐに全部読んでいたころとはちょっと違うけど。
そして対談相手が吉本ばなな。こちらも、20代の頃、彼女がデビューした時からの初期の数冊は、単行本ですぐに読んでいた。素敵な感性と表現力を持った大好きな作者さんだ。
そんな二人の対談。ハズレるわけがない。
主に、作家論だったが、とても示唆に富んでいる。何かを創作する人の姿勢、死への心構え、なにより人生との向き合い方が多く語られている。
小説の面白さを教えてくれた人生の大先輩と、同じ時代の空気をすって育ってきた同世代。発せられる言葉が、どちらの口から出ても、スっとしみ込んで腹落ちするのは、数多たの作品を通して、自分なりに感じてきた作者のヒトトナリと合致するところがあるからだろう。
作品や、エッセイから感じ取っていた人物像から、予想通りの、人肌感が伝わるひと言ひと言に、大いに感銘をうけた。 -
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1980年を舞台にした作品のため、登場人物の言葉や作中における表現内容に古さを感じるところがあるが、これも今までの宮本作品と同様に良い味を出している。
主人公を含めた同居人4人全員がどうしようもなくお人好しで、自分よりも他人を優先する性格の持ち主であるがゆえに、自分自身との葛藤、同居人との衝突を繰り返す。しかし、これらの出来事を通して、若かった4人が一回りも二回りも大人として成長する姿は『青が散る』に通じるところがある。
お人好しすぎるのもどうかなと思うが、そういう人間なのだと諦念にも似た感情でもって作品を読んでいた。主人公らに同情したり、共感したりする場面はほとんどなかったと感じる。
最後に、主人公の与志によるこの作品を象徴する台詞があるので、これを引用する。
「俺たち、病気なんだよ。その人のためになるなら、何でも許してしまうっていう病気なんだよ。愛子だって、おんなじ病気さ。人間にとって何が幸福なのかは、長い目で見なきゃわからないよ。俺は、愛子が自分の夢を叶えるために、何か役に立ちたいんだ。」