宮本輝のレビュー一覧

  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    流転の海、最終巻。辻堂とあんな感じになったのは意外。看病中に知り合った男についていく博美がかわいそうだなあ。前巻の「長流の畔」を読んで3年が経ったので、いろいろ登場人物を忘れていて、大団円も感動が薄いかな。流転の海シリーズの中で、一番面白くなかった巻かもしれないが、まずは完結してよかった。

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    2023年01月02日
  • 青が散る(下)

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    祐子の渡米、安斎の発病、ガリバーや主人公の悲恋、テニスの試合、不動産開発の乗り出す氏家や端山。
    決定的な大事件があるわけではない。けれど、様々の事件が続き、物語は進んでいく。
    そして、あっさりとは言えないけれど、どうしようもなく大学生たちのモラトリアムが終わる。
    この作品を名作と褒めて良いのか、よく判らない。
    でも、一つ一つの出来事が胸に沁みた。

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    2022年12月28日
  • 道頓堀川

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    戦後間もない頃の昭和、大阪という土地柄を色濃く感じました。
    道頓堀川の濁りのように、一人一人の人生にも何かしらの濁りがある。道頓堀川界隈に暮らす人たちの人生の営みが描かれていました。

    歓楽街の猥雑でがちゃがちゃした感じは、うるさいのになぜかホッとする部分もあり、読みながら一人一人が抱える“苦難”や“人生の営み”みたいなのものを感じて、しんみりした気分になりました。

    個人的に、ちょっと性的な描写が多いなぁという気がしたけど、それも含めてこの作品の味わいになっている。
    喫茶店店主の武内、武内の息子・政夫、住み込みで働く邦彦。また、彼らに関わりのある人たち。
    他作品でも感じたけど、宮本輝さんの作

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    2022年12月14日
  • 夢見通りの人々

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    夢見通りに住む個性的な人たちを描いた短編集であり、大きくみると1つの物語となっている。
    幸せなことがあれば悲しいことや報われないことがあって、それがリアルな人生模様だなぁと納得してしまう。日常は白黒つけられないこともたくさんあるけれど、絶妙なバランスを保っているんだなと思う。

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    2022年12月07日
  • ここに地終わり 海始まる(下)

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    自分の思いを重視して突っ走ったなぁ。長い期間がまんしてきた分、はじけたということかも。自分の人生だから他人にとやかく言われることはないか。良くも悪くも自分の責任だしな。

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    2022年12月07日
  • 螢川・泥の河

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    宮本輝さんと言う作家はなぜこうも人間の生きていく悲しみを描いていくのだろう。
    その文章が胸に沁み、浮かび上がる人間の優しさを感じながらもやっぱり読後感は淋しい。

    泥の河
    原作よりも映画を先に観ており、底辺に暮らす人とその底辺よりも少し上という感じの人々の思いやり優しさに感動したものだった。
    原作を読んで映画の方は少し表現の仕方に違いがあると感じたが両者が私に与える心の震えは同じようなものだった。
    水上生活者の喜一が信雄の家に招かれた時に誇らしげに軍歌「戦友」を歌う。
    聞いた信男の父晋平が「うまい、ほんまにうまいなあ」と褒める。
    なぜだろう、この文章を読んで私は涙が溢れ出た。
    喜一の父親は戦争

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    2022年11月17日
  • 春の夢

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    なんか色々とモンモンし続ける青年の話、と思いきやのトカゲである。
    いやトカゲを飼うというのもなかなかないけど、釘で柱に打ち付けてっていうのはかなりアツいのではないか。今どきこの設定では、大家がグリーンピースあたりに通報して活動家が大量に押し寄せて人生が終わること間違いなし。ネットにも情報がばらまかれ、借金取りの比ではない苦労が待っているわけで。
    なもんだからこの設定にしつつも妙な愛情を注ぐ主人公のある種の狂気もこの時代だから許されて、なんかどーしよーもねーなーこの若者は、というありきたりな展開に実に味が出ているではないか。

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    2022年11月13日
  • 月光の東

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    ネタバレ

    宮本輝さんは最近気に入りつつある、丁寧語で統一された文体、丁寧で細やかな人たち
    舞台はまた裏日本、暗い怪しい影のあるような雰囲気
    ある女を追いかけてという筋だが、結局出会えないままに話が終わる。真相が明かされるのも探偵の結果ではなく1人の人間にたどり着いたためという。中々ない幕切ではなかろうか、その方がロマンチックでもありまたリアルでもある、切符1枚が記憶の拠り所なんて夢のある話
    また話の途中でそれとはわからぬままに何度もすれ違っているという点も僕には新鮮でその不確かさなどにリアルな魅力を感じる


    再読する
    かしわぎでの最後の夜はないままの終焉でも良かったのではという印象もすこし。月光の東が

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    2022年11月13日
  • 彗星物語

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    ハンガリーからきた留学生ポラージュ。
    14人の大家族と1匹の犬ともに過ごした3年のお話。

    『勉強しすぎて死んだ人はいない』
    学生に戻って机に向かいたくなる。
    終盤の『さあ、ここから』という気持ち、大事。

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    2022年11月13日
  • 春の夢

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    冒頭から食らいついてしまった。
    当に社会人1年目、 大東市
    野崎のアパートに私も居たせいか哲之に自分を重ねる所があった。
    懸命に生きる哲之親子と陽子 幸せであれと祈りつつ ページを繰る。
    物悲しさと 刹那が同居し、あっと言う間に読み終えた。
    蜥蜴のキンチャンが良い味を添えていた。

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    2022年11月04日
  • 焚火の終わり 下

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    1997年初版。サスペンス仕立て。上巻での疑問が下巻で、どのように展開していくのか興味津々で読み進めました。最後まで読み終わり、なんだか消化不良は残りましたが、面白かったです。タブーに切り込んでいくのが、いいなあと思いました。性的な描写もあるのですが、通俗的で下品な感じは受けません。食べ物の描写も多いです。著者の文章の力を感じます。

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    2022年11月04日
  • 優駿(上)

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    平成元年以来の20数年ぶりの再読です。
    あることをきっかけに2005年以降、宮本輝さんを遠ざけていました。しかし元々は好きな作家の一人だったのです。私のHPで宮本輝を検索すると感想付きが数冊と感想無しが大量に出て来ます。感想付きは2000年以降に読んだ本、感想無しはそれ以前の所有本ですから、2000円年以前はかなり嵌って読んでいた作家さんだったことが判ります。

    映画化されているのでご存知の方が多いはずですが競走馬の物語。
    賭け事には興味がなく競馬を知らない私でも引き込まれるのは、これが愛憎とか宿命とかが絡む人間の物語だからでしょう。良くある優しいばかり、登場人物が全て善人の物語ではありません

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    2022年11月04日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    宮本輝氏のご一家がモデルの大河小説第2部。妻子の健康のため、一度郷里に戻った松坂熊吾らを描く。第1部から続いている、戦争を弾劾する姿勢は胸を打つ。

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    2022年10月31日
  • 道頓堀川

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    味わい深い作品でした。
    邦彦の青春、武内鉄男の人生、二人を取り巻く道頓堀川界隈で生きる人々。
    鉄男と息子政夫とのビリヤードでの対決。

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    2022年10月29日
  • 彗星物語

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    平凡な家庭が、一人の留学生の登場で変化していく。
    どこにでもありそうな出来事。
    でも、家族にとっては特別。

    心に残る物語だった。

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    2022年09月13日
  • 春の夢

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     読書力養成読書、11冊目。

     なんだろう、この、読むにつれて少しずつ少しずつ、じわじわと心に染み込んでくる、コクとうまみ。

     始めはあまり好みじゃないかもと思いながら読んでいたのが、いつの間にか抜け出せなくなっていて、気がつけば懸命に生きる主人公に喝采を送っていた……。こういうのって、もしかしたら、これこそが、優れた文学作品というものなのではないかと思いました。

     主人公の井領哲之は大学留年中。死んだ父が残した借金のために、母と別れて大阪の大東市にあるアパートに住んでいます。この物語は、このアパートで過ごした哲之の1年間を描いています。

     哲之は、やくざの取り立てに怯えながら、恋人陽

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    2022年09月11日
  • いのちの姿 完全版

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    宮本輝、初読み。文章が好き。
    人にはそれぞれ事情がある、という言葉、これを読んで、めちゃくちゃ重みがあった。

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    2022年09月11日
  • 五千回の生死

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    ネタバレ

    現実からはみ出すぎないぎりぎりの範囲、尼崎の交差点に1人の男の大事な大事な手紙が埋まってるなんて、夢のある話ではないか

    あぁっどうして、もったいない、のような後悔と焦りの気持ちにさせられる、単なる恐怖よりもこういう気持ちの方が僕は感情が揺らぐ、トマトの話も、ライターの話も
    今更どうしようもないやん、みたいな事柄を積み重ねて大人になってゆくのかな


    宮本輝、大阪育ちということで大変没入しやすい場面設定。

    五千回の生死 宮本輝
     トマトの話:伊丹、梅田
     眉墨:軽井沢病院

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    2022年08月28日
  • 春の夢

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    詳しく当時の時代背景を知るわけではないが、自分が生きたわけではないセピア色の日本が書かれているようで、素敵な空気感の作品だった

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    2022年08月08日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    豪胆かつ小心で、猥雑な面も併せ持つ松坂熊吾とその眷属たちが織り成す、濃密な小宇宙を描く。宮本輝氏本人と実父・実母をモデルとした大河編の第一部。

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    2022年07月22日