宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の学生の頃から名前は知っていたけれど、宮本輝の本は初めて読んだ。
大変読みやすい文体、内容であることに驚いた。
大阪弁の会話のなんと心地いいこと。
解説に書いてある通りになってしまうけれど、普段から村上春樹ら「都市生活者のための現代文学」みたいなのばかり読んでいるせいか、こういう少しじめっとした地味な小品がとても沁みる。
物語に奇を衒ったようなところはなく、社会性や思想性もないけれど、心に沁み入る文章である。軽いタッチの文体でありながら、結核療養、精神病院等の描写が出てきて、生命の儚さ、人生の切なさを感じさせる。
この、深い・難しい問題を考察するような小説でないのに、じっくり感じ入るよ -
Posted by ブクログ
大阪十三にある通称「骸骨ビル」。開発のため立ち退きを促す担当者として派遣された八木沢省三郎と個性豊かな住人たちとの交流がなんとも楽しく味わい深い。
敵対する関係のはずがいつしかヤギショー、ヒデト、サクラちゃん、トシ坊、ナナ、チャッピー、ヨネスケと渾名で呼び合う人間関係に入り込んでいく。
そして中庭に畑を再現し、住人たちから昔の話を聞くにつれ戦後のオーナーたちの苦労を知り彼らに感情移入していくヤギショー。
ーー人間は何のために生まれてきたのか?
ーー自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすため
戦争から生還し、何かの力によって生かされたと感じた男が、孤児たちを育てて父となることで生を全うする -
Posted by ブクログ
戦後間もない頃の昭和、大阪という土地柄を色濃く感じました。
道頓堀川の濁りのように、一人一人の人生にも何かしらの濁りがある。道頓堀川界隈に暮らす人たちの人生の営みが描かれていました。
歓楽街の猥雑でがちゃがちゃした感じは、うるさいのになぜかホッとする部分もあり、読みながら一人一人が抱える“苦難”や“人生の営み”みたいなのものを感じて、しんみりした気分になりました。
個人的に、ちょっと性的な描写が多いなぁという気がしたけど、それも含めてこの作品の味わいになっている。
喫茶店店主の武内、武内の息子・政夫、住み込みで働く邦彦。また、彼らに関わりのある人たち。
他作品でも感じたけど、宮本輝さんの作