宮本輝のレビュー一覧

  • 水のかたち 下

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     ロダンはいう「石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たなければならない」
    水には、そんな力強さがある。
     志乃子は、「私は水の流れに乗って、それに身を任せて今日まできたと思っていたが、そうではないのだ。流れとともにかたちを変え続ける水に沿って生きてきて、今日の自分というものを得たのだ。どんな尖った細い難所でも、水はそのかたちになってくぐり抜けていく。私も水のかたちと同化して、微笑みながら難所をくぐり抜ける」
     志乃子には、春のひだまりのような柔らかさがある。
    志乃子は、ヒビが入った古備前の壺を見て、5万円で購入する。それが、実際には300万円で売れたのだ。志乃子には、本物を見分けるセンス

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    2023年08月27日
  • 夢見通りの人々

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    ・何を隠そう自分は宮本輝のファンの一人なのだが、少し他の作品と比べるとカジュアルな文体で新鮮で好きな作品が一つ増えた。(おそらく30代後半くらいの作品で、比較的若い頃の作品?)
    ・今は昔となった商店街内での密な人間模様や、そしてノスタルジックな温かみのある生活感が主人公の里見春太を中心に展開される。
    この、一見平凡だけれどもなぜか皆から慕われ、愛される里見春太という男の魅力は、吉田修一の人気シリーズの「横道世之介」に通ずるところがある。
    ・最後のシャレードで行われたお別れパーティのカオス感、声を出して笑った。

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    2023年08月18日
  • 錦繍

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    情景が目に浮かぶ こんなに綺麗な文章を久しぶりに読んだ気がする。小説なのに、映像が目に浮かび、登場人物の心のヒダみたいな部分まで読み手に感じさせる、読んで良かったと心から思える一冊。

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    2026年01月12日
  • 三十光年の星たち(下)

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    坪木と佐伯の関係性の変化が良かった。一方で説教くさく古臭いと感じてしまうのは、私が未熟なせいだろうか。数年後にまた読み返したいと思う本だった。

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    2023年08月03日
  • 幻の光

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    やっぱり宮本輝は天才だなあ…生きていくために必要な情念とか生命力についての言葉が重すぎる。これだけの結論を出すには、一体何人の人生と向き合ってきたのかね…

    唯一苦手な点があるとすれば、人が死にすぎる、失いすぎる点かも。でも宮本輝の悲劇って最終的には幸せな方を向いてる気がするので、嫌いにはならない。底なし沼ではない。ただ、その分逆に生々しくて残る傷が深いから、体力のある時に読みたい作家かも…

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    2023年07月26日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    熊吾の妹タネの行動に、イライラさせられた。しかし、この話しに出てくる登場人物は不倫してる人がやたらと多過ぎる。
    また、気になるのは、小学校低学年の伸仁に競馬させたりストリップを見せたりと、めちゃくちゃな父親であるところ。
    そんな感じで、はちゃめちゃな所もあるけど、ものすごく奥行きがあって、生き生きと人物が描かれているので、物語の世界にどんどん引き込まれていくよなぁ。

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    2023年07月21日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    血脈を物語にしたら宮本輝の右に出る人はいないですよね。もはや何のために生きてるかとか、そういの度外視にして人との出会いをひたすら大切にしたいです。

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    2023年07月10日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    なぜかわからないけど、すごく話しに引き込まれる。すごく奥行きがあり、人物がいきいきとえがかいるからかなぁ。
    ただ、前巻に引き続いて主人公が、妻に暴力をふるうシーンだけは嫌な気分になる。

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    2023年07月08日
  • 星々の悲しみ

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    自分の学生の頃から名前は知っていたけれど、宮本輝の本は初めて読んだ。
    大変読みやすい文体、内容であることに驚いた。


    大阪弁の会話のなんと心地いいこと。
    解説に書いてある通りになってしまうけれど、普段から村上春樹ら「都市生活者のための現代文学」みたいなのばかり読んでいるせいか、こういう少しじめっとした地味な小品がとても沁みる。
    物語に奇を衒ったようなところはなく、社会性や思想性もないけれど、心に沁み入る文章である。軽いタッチの文体でありながら、結核療養、精神病院等の描写が出てきて、生命の儚さ、人生の切なさを感じさせる。
    この、深い・難しい問題を考察するような小説でないのに、じっくり感じ入るよ

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    2023年07月08日
  • 避暑地の猫

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    エンタメ調で描くと上滑りしそうだけど人を描くので事実は小説より奇なり的なあり感がある。
    令和の今だとかなりおとぎ話的かもだけどね。
    昭和の感性があればリアリティあるかな。

    屋敷の主人と屋敷番家族の話。
    引き込まれて最後まで読み通した。
    宮本輝の描き出す世界恐るべし。
    また何か宮本作品読みたいなと思ったかな。

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    2023年07月04日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    久しぶりに宮本輝さんの作品を読んだが、やはり文章・人物の描き方等全てにおいて素晴らしかった。
    主人公が妻に暴力を振るう場面は、嫌な気分になったが、すごく話に引き込まれた。続きが楽しみ。

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    2023年06月24日
  • 春の夢

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    色々な問題を抱えた大学生が様々なことち苦悩しながら送る日々が描かれる。
    蜥蜴の存在が哲之の考え方や行動に変化を与えているように感じる。

    時代状況などを知らない面もあったものの、面白く読めた。あと陽子みたいな彼女ほしい。

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    2023年05月20日
  • 水のかたち 下

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    2023年5月6日
    一気読み。
    真っ当な人には真っ当な人がくる。
    秀でた人には秀でた人がくる
    朱に交われば赤くなるの言葉通り。

    もしや利を狙った輩が蔓延るのでは?
    とか、騙す組織が現れるのでは、と心配したが、信頼できる人たちの繋がりだった。
    戦争の爪痕は語りついでいくべきと思う。

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    2023年05月06日
  • 水のかたち 上

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    2023年5月5日
    輝氏の作品は上下と長いものが多いのだと、少し腰が引ける。
    平凡な主婦志乃子が半年間にガラッと変わる。強運の持ち主。
    めまぐるしく環境。
    めまぐるしく変わる人たちとの交流。
    今や京都も遠くはない。

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    2023年05月06日
  • 真夜中の手紙

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    2023年4月30日
    ウェブサイト投稿の記事のノベライズ。
    生活をつぶさに伺い知る楽しい試み。
    宮本輝氏の小説は好きで読んでいた。ドナウの旅人とか、オレンジの壺とか。
    ゴルフと音楽と落語と軽井沢と会食、そしてアルコール。
    日々思い入れの音楽とお酒に包まれて眠りにつく。そんな習慣、私も真似たいと思った。
    ときにお茶目な言い回しがあり、かわいいオッさんだと親しみを覚えた。

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    2023年04月30日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    大阪十三にある通称「骸骨ビル」。開発のため立ち退きを促す担当者として派遣された八木沢省三郎と個性豊かな住人たちとの交流がなんとも楽しく味わい深い。
    敵対する関係のはずがいつしかヤギショー、ヒデト、サクラちゃん、トシ坊、ナナ、チャッピー、ヨネスケと渾名で呼び合う人間関係に入り込んでいく。
    そして中庭に畑を再現し、住人たちから昔の話を聞くにつれ戦後のオーナーたちの苦労を知り彼らに感情移入していくヤギショー。

    ーー人間は何のために生まれてきたのか?
    ーー自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすため

    戦争から生還し、何かの力によって生かされたと感じた男が、孤児たちを育てて父となることで生を全うする

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    2023年04月26日
  • 道頓堀川

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    以前映画で観た作品なので、自分の頭で描く情景だけでなく映画のシーンが重なる。
    それは自分の中での創造を邪魔するものではあるけれど読書の道案内的なサポートにもなるものだな。リバーでアルバイトをする邦彦のまわりの人間模様が哀愁を帯びて描かれるのだけれど彼らの不安定な生き様を俯瞰するように読み味わえるのは自分自身が彼らよりは安定した楽な状況にあるからだろうか。

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    2023年04月19日
  • 春の夢

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    生きていく上でままならないこと、逃れられないことって誰にでもあって、それがたとえすごく小さなことだったとしてもそれによって傷ついたり深く落ち込んだり。
    そういうときに答えが出ないことは分かっているのに死というものについて考えることはよくあるなぁと思った。
    明日はもう来ないって覚悟でなきゃ生きれないほどに切羽詰まっていても、明日は必ず来るし、どんなに暗くても必ず光はあるはず。
    生と死が隣り合わせであるように光と影も隣り合わせにあることを実感させられた。
    読めば読むほどキンちゃんが愛おしく感じられる。

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    2023年03月25日
  • 春の夢

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    釘で打ち付けられても生きてるトカゲと過ごした大学生の1年の話というあらすじに惹かれて読んでみました。
    ある時代のただの青春小説ではなく、生きることの意味のようなものを主人公の生き様から学べた哲学的な1冊でした。

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    2023年02月26日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    あとがきに書かれている「ひとりひとりの無名の人間のなかの壮大な生老病死の劇」という表現が非常にしっくりときた。
    沢山の人物が登場し、亡くなっていくが、どこか淡々としていて、悲しみとは違った感情にさせられた。長い小説だが、読み終わってしまい、寂しい気分。

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    2023年02月23日