宮本輝のレビュー一覧

  • 草花たちの静かな誓い

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    莫大な遺産を相続するという羨ましい設定であるけれど弦矢のキャラクターもあり忘れてしまう。突然亡くなった叔母が残した謎を解いていく過程と相棒のニコとの信頼関係を築くまでをワクワクしながら読みすすめた。ラストのキョウコの真相告白はじっくりと読見応えあり全て明らかになりスッキリした。それにしても凡人には理解しがたい遺産を今後どのように生かしていくのかきっとビジネスは成功するだろう。

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    2021年08月05日
  • ドナウの旅人(上)

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    母絹子が父との離婚を決意しドナウ川を沿って黒海に向かう旅に出ることを手紙で知った麻沙子は西ドイツに向かう。そこはかつて自らが青春時代を過ごし、自らの臆病さから共に人生を歩まず去る事を決めた恋人がいる場所。恋人ジークフリートと再会し、再び恋に落ちたが母は17歳年下の長瀬道雄と旅に出ていることを知る。
    母を見つけた麻沙子とジークフリート、母絹子と道雄の4人旅が始まる。

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    2021年07月24日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    大阪での仕事に行き詰まり、心機一転富山で出直そうとする熊吾。
    しかし、実際に富山に行ってみると、共同経営者の優柔不断さが気に入らず、妻子を残したまま一人大阪に戻ってしまう。

    確かに事業を興すにはある程度の思い切りの良さが必要なのだろうが、ここにきて熊吾は運から見放されたかのように、やることなすことが上手くいかない。
    人と金とのタイミングがことごとくずれている。
    占い師の態度といい、なんだかこのまま坂を転げ落ちていくような不安に襲われてしまう。

    ただ、困窮しているとはいえ、寿司屋で寿司を食べ、タクシーを使い、困っている人には金を渡してしまう。
    遂に房江は自分の着物と指輪を質に入れるまでになる

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    2021年07月23日
  • 草花たちの静かな誓い

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    最初は難しい話なのかな?と、思っていました。
    読み始めると中盤から引き込まれました。
    他にも宮本輝さんの作品を読んでいこうと思います。

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    2021年07月22日
  • 三十光年の星たち(下)

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    不器用でも真面目で一途で、誠実な主人公仁志は佐伯にその人間性を認められる。
    物語の中では、佐伯の理不尽な要求にも葛藤しながら丁寧に応えていく。それは、仁志が佐伯に対して、どこかで憧れを抱いていたからだと思う。
    佐伯と過ごす時間が増えるにつれて、仁志の魅力が引き出され、磨かれていくように感じた。

    読んでよかった。

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    2021年07月22日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    松坂熊吾は転落の人生だ。
    またしても部下の裏切りで借金の危機を迎え、愛人の存在が妻にバレてしまう。
    子供の伸仁にも遠慮をしてしまうほど。
    方や妻の房江は夫の裏切りから自殺未遂をするが、僥倖が重なって生き延びる。
    そこからの見事な転身。
    対照的な夫婦の人生。
    さあ、いよいよ次巻は最終巻だ。

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    2021年07月20日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    今回も熊吾は同じ失敗をしている。信頼している部下に裏切られるのだ。何回同じ過ちを犯しているのかとほぞを噛む思いだ。さすがの熊吾も自分の性格を分析している。
    この先房江には困難が待ち受けているそうだ。しかしそれは満月の道であるという暗喩。
    伸仁が逞しく成長している。

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    2021年07月09日
  • 新装版 二十歳の火影

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    ネタバレ

    1978年から1980年頃に発表された作品をまとめたエッセイ集。能登へ旅した時に、同じく一人旅をしていた女性とのふとした会話から、汽車の中での母親の記憶を思い出す「能登の虹」が良かった。旅での刺激が過去を追憶するという。

    "旅へ出ると、いろんな匂い、いろんな風景、いろんな顔々を見つけるが、それは随分あとになって、私の中の固く凍った根雪の一片とからまり合いながら、別の形と化して涌きあがっていく。"

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    2021年07月04日
  • 道頓堀川

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    ネタバレ

    著者の初期を代表する「川三部作」の三作目。昭和42年、高度成長真っ只中の大阪道頓堀川が舞台。両親を亡くした大学生安岡邦彦は、喫茶店リバーで住み込みで働きながら大学に通っている。リバーのマスター武内鉄夫は、かつて玉突きに命を賭けていたが足を洗い、息子の政夫が玉突きにのめり込んでいるのを快く思っていない。玉突きで生計を立てていきたい政夫はかつて伝説の玉突き師だった父親に勝負を挑む。
    「泥の河」では小学生、「螢川」では中学生の視点から世の中を見つめていたが、「道頓堀川」では主人公が大人で人生の悲喜こもごもの当事者になっている。

    邦彦は大都市に暮らす人々をどこか覚めた目で見つめている。就職先を決める

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    2021年07月04日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    中学生になった伸仁。
    そして中古車店を立ち上げた熊吾。
    熊吾一家も変わろうとしている。
    ひ弱だった伸仁も逞しさを見せ、熊吾も相変わらず情が濃い。
    北朝鮮に旅立つ兄妹を鯉のぼりを振って見送るシーンが心に残る。

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    2021年06月30日
  • 三十光年の星たち(下)

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    ネタバレ

    三十年か。自分は階段の前に立ったところで逃げたんだな。。これからもう少し進んでみよう、そんな気になる本でした。

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    2021年06月30日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    妻と子を富山に残し、大阪で再起を図る熊吾。
    そんな彼に色々な試練がかかる。
    伸仁と同じように幼い頃に富山で暮らした筆者にとって、富山の風景は心に刻まれているのであろう。
    富山の田園風景の描写は瑞々しい。
    顔面に大火傷を負った、西条あけみの描写が痛々しい。

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    2021年06月01日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    関西中古車事業連合会を再興し板金塗装会社を東尾に売り渡して大阪中古車センターの商売に専念しようとしたが、東尾の商売の失敗による失踪でまたもや窮地に立たされる熊吾。
    さらに森井博美との愛人関係を断ち切れぬまま房子にばれてしまい、自暴自棄になった房子は自殺未遂を図る。
    これまで幾多の幸不幸、喜び悲しみが繰り広げられてきたが第八巻にして最悪の展開に。しかしそんな中でも伸仁はしっかり自我を確立したくましく成長し、房江は本来の自分を取り戻す。熊吾は反省しながらも相変わらず自分の生き方を貫く。
    いよいよ最終巻を迎える物語。明るい結末を願いたい。

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    2021年05月26日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    相変わらずの読みやすさ。第1部から30年以上をかけてかかれていると考えると、リアルタイムで追いかけていたら次の展開が待ちきれなくなっていただろう。

    伸仁青年は優しさのなかに思春期がちらほらし出し、お母さんにも口答えするように。少しずつ家族3人が大人の会話になってきたのが微笑ましい。

    お父さんまだまだ稼がないと(自分に言い聞かせてます)。

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    2021年05月20日
  • 夢見通りの人々

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    10話の連作。商店街に住む人々は個性があり、皆知り合いで心置きなく声をかける。愛憎あり、涙あり。いろいろな人がいるが、心の底では通じ合える共同体。昭和感あふれる大阪みなみの一角。2021.5.16

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    2021年05月16日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    本当にいろんなことに出くわす家族。
    皆それぞれもがいて生きていく様は、なんか応援したくなる。

    会えないわけではないが、親と一緒に暮らせないなか、ひょうひょうとみえるノブ。えらいぞ! そのなかでの、父と子、母と子のやり取りは泣き笑いさせてもらった。

    少しづつ上向いてきた流れがどうなっていくのか、次も楽しみ。

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    2021年05月08日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    熊吾一家が大阪に戻り、熊吾の事業と小学生になった伸仁が描かれる。
    時代も昭和30年代になった。
    相変わらず熊吾は豪放磊落。
    伸仁も何か将来の大物の片鱗を見せる。
    昭和の時代の大阪に住む市井の人々。
    今ではみられない船で生活する人々。
    そのような人々も丁寧に描く。
    今後の飛躍の前のタメのような巻。

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    2021年05月07日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    第三部に入っても、面白さの勢いは止まらない。
    なんでだろうなあ。
    松坂熊吾の波瀾万丈の人生は確かにおもしろいけれど、ではジェットコースター小説なのかというと、そういうわけでもない。
    プロットに落とし込まれた伏線が…というのでもない。
    松坂熊吾という人物は確かにおもしろい人物だけれど、キャラクター小説ではない。
    短気ゆえの失敗ばかり繰り返すから、成長物語というわけでもない。

    だけど、一度読み始めると、読み止めるのが本当に難しい。
    なににそんなに引きつけられるのだろうなあ。
    大きなストーリーのうねりに身をまかせながら、熊吾の生き様を眺めているのが心地よい。

    第一部や第二部に比べて、熊吾の暴力が

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    2021年05月06日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    第9巻が発刊され全編完結と聞き数年ぶりに再読し始めたが、複雑な人間関係がわからないのであらためて最初から読み直すことにした。

    終戦後、裸一貫になり自動車部品販売で再起を図る松坂熊吾。五十歳にして子供の伸仁を授かり、妻の房江と共に家族を守り抜いていこうとする長い長い物語。
    熊後は、最初は粗暴で野卑な人物という印象であったが、読み進むにつれ人情熱く懐の深い男として魅力あふれる人間となり、また不幸な生い立ちを持つ妻の房江も芯の強い女性ということがわかる。

    第1巻は熊吾が闇市から立ち上がり、辻堂という青年を右腕にして進駐軍物資の横流しで事業の再興を図り動き始める。知人や部下に裏切られたりするなかで

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    2021年05月05日
  • 胸の香り

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    久しぶりの宮本輝。やっぱりとても巧い上手い大人の7話短編集。

    あとがきに「30枚でちゃんとした短編が書けない作家は2流と言われたことが、犯しがたい約束事と残った」を見事に実現されてる。
    1話30ページに満たない作中に、人物の人と成り、心情がしっかりと。

    7話とも物哀しい喪失感が漂う。
    90年代に書かれた作品は、携帯電話も普及してなく、男性優位の世の中は今以上。愛人を作ったり、一夜限りのアバンチュールを試みたりするのも、男の甲斐性的なところには違和感があるが、それを上回る文章力。

    ストンとした結末も好み。

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    2021年04月30日