宮本輝のレビュー一覧

  • 夢見通りの人々

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    10話の連作。商店街に住む人々は個性があり、皆知り合いで心置きなく声をかける。愛憎あり、涙あり。いろいろな人がいるが、心の底では通じ合える共同体。昭和感あふれる大阪みなみの一角。2021.5.16

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    2021年05月16日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    本当にいろんなことに出くわす家族。
    皆それぞれもがいて生きていく様は、なんか応援したくなる。

    会えないわけではないが、親と一緒に暮らせないなか、ひょうひょうとみえるノブ。えらいぞ! そのなかでの、父と子、母と子のやり取りは泣き笑いさせてもらった。

    少しづつ上向いてきた流れがどうなっていくのか、次も楽しみ。

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    2021年05月08日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    熊吾一家が大阪に戻り、熊吾の事業と小学生になった伸仁が描かれる。
    時代も昭和30年代になった。
    相変わらず熊吾は豪放磊落。
    伸仁も何か将来の大物の片鱗を見せる。
    昭和の時代の大阪に住む市井の人々。
    今ではみられない船で生活する人々。
    そのような人々も丁寧に描く。
    今後の飛躍の前のタメのような巻。

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    2021年05月07日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    第三部に入っても、面白さの勢いは止まらない。
    なんでだろうなあ。
    松坂熊吾の波瀾万丈の人生は確かにおもしろいけれど、ではジェットコースター小説なのかというと、そういうわけでもない。
    プロットに落とし込まれた伏線が…というのでもない。
    松坂熊吾という人物は確かにおもしろい人物だけれど、キャラクター小説ではない。
    短気ゆえの失敗ばかり繰り返すから、成長物語というわけでもない。

    だけど、一度読み始めると、読み止めるのが本当に難しい。
    なににそんなに引きつけられるのだろうなあ。
    大きなストーリーのうねりに身をまかせながら、熊吾の生き様を眺めているのが心地よい。

    第一部や第二部に比べて、熊吾の暴力が

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    2021年05月06日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    第9巻が発刊され全編完結と聞き数年ぶりに再読し始めたが、複雑な人間関係がわからないのであらためて最初から読み直すことにした。

    終戦後、裸一貫になり自動車部品販売で再起を図る松坂熊吾。五十歳にして子供の伸仁を授かり、妻の房江と共に家族を守り抜いていこうとする長い長い物語。
    熊後は、最初は粗暴で野卑な人物という印象であったが、読み進むにつれ人情熱く懐の深い男として魅力あふれる人間となり、また不幸な生い立ちを持つ妻の房江も芯の強い女性ということがわかる。

    第1巻は熊吾が闇市から立ち上がり、辻堂という青年を右腕にして進駐軍物資の横流しで事業の再興を図り動き始める。知人や部下に裏切られたりするなかで

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    2021年05月05日
  • 胸の香り

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    久しぶりの宮本輝。やっぱりとても巧い上手い大人の7話短編集。

    あとがきに「30枚でちゃんとした短編が書けない作家は2流と言われたことが、犯しがたい約束事と残った」を見事に実現されてる。
    1話30ページに満たない作中に、人物の人と成り、心情がしっかりと。

    7話とも物哀しい喪失感が漂う。
    90年代に書かれた作品は、携帯電話も普及してなく、男性優位の世の中は今以上。愛人を作ったり、一夜限りのアバンチュールを試みたりするのも、男の甲斐性的なところには違和感があるが、それを上回る文章力。

    ストンとした結末も好み。

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    2021年04月30日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    冒頭よりまさかの富山への転居。

    「運」が下降線をたどっていく感じを、歯を食いしばって好転させようともがく日々。相変わらずのテンポは心地よいが、スカッ、とできない内容ですね。

    「自分の生命力を信じることが強い運というものの流れに乗るのだ」

    離ればなれになる伸仁は大丈夫かな?親の立場としては耐えられないなぁ。

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    2021年04月29日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    病弱な息子のために大阪の事業を畳み、故郷の伊予に帰った松坂熊吾。
    彼と妻の房江、彼らを取り巻く人々。
    そして40年前の熊吾への恨みを晴らすために現れたやくざ者の伊佐男。
    熊吾は彼とどう対峙していくのか。
    圧倒的なキャラクターの熊吾が、美しい伊予の景色の中で描かれる。

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    2021年04月29日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    【「自伝に戻って来た?小説」、遂に完結!】

    宮本輝「野の春(流転の海 第九部)」新潮文庫

    宮本輝が34歳で書き始めた「自伝的小説」が、物語を進めるに従ってだんだん「自伝」を離れていった、と作者本人が振り返る作品である。2018年に発刊された単行本の文庫版が今月売り出されたのて、文庫しか読まない僕もようやく手にした。

    最終巻にふさわしく主な登場人物が一通り現れ、主人公松坂熊吾はそれまでやって来た複数の事業を整理し、妻・房江はホテル・多幸クラブの食堂での仕事を軌道に載せる。ひとり息子・伸仁が二十歳を越え、五十で彼を持った熊吾なりに責任を果たしたという思いに浸るが、(僕にとっては)まさかの結末

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    2021年04月27日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    とうとうここまで来たか、という感覚。第七部までは文庫でそのつど何度か再読を重ねてきたけれど、第八部は未読だった、そして一気に読んでしまった。年月の経つ中でのそれぞれの変化、心情の描き方、生と死の不思議。改めてじんわりと沁み込む小説…あぁ、やはり好きなのだ、流転の海が、熊吾が、どうしようもなく動き続ける人々や物語が。

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    2021年04月23日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    五十歳をすぎてようやく授かったわが子は非常に身体が弱かったので、大阪での事業を処分して、故郷愛媛の南宇和に戻った熊吾。
    それから2年、伸仁は健康になり、妻の房江もまた田舎の生活になじんでいるようで、このまま南宇和で生涯を過ごしてもいいと思いはじめる熊吾。

    しかし、そこに現われたのが、子ども時代の熊吾との相撲のせいで片足に一生残る障害を負った「わうどうの伊佐男」だ。
    特別に残虐な極道となった伊佐男の執拗な嫌がらせに、不穏な空気が全編に渡って漂う今作は、しかしなかなか読みごたえのあるものだった。

    一年の間に熊吾の周辺にいくつもの死が訪れる。
    それは悪いことが起きる予兆のようでもあり、運命の動く

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    2021年04月23日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ようやく最終巻の文庫本が出たので、第一部から一気読みする。
    関西財界の風雲児、松坂熊吾が終戦後に事業を再開。
    同時に50歳を過ぎて初めて子供を授かったことから物語が始まる。
    強烈な人間の魅力を持つ熊吾。
    彼を取り巻くたくさんの人たちの人間模様。
    彼がどのように息子を育て、事業を大きくしていくのか。
    続きが楽しみだ。

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    2021年04月21日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    「何がどうなろうと、たいしたことはありゃあせん」

    大好きな女房をぶん殴るのだけはやめれば良いのに、とは思っていたが、はたまた。

    退屈なページがない不思議な物語。

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    2021年04月14日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    読み終わってしまった。
    読み終わってしまった。

    感想なんか書けへん。
    この作品を超えると作品を今後読むことはない気がする。37年間ブレずに書き続けられた著者を心からすごいと思う。あとがきにもあったけど、最後まで健康で書き終えてくださったことに感謝しかない。

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    2021年04月10日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    敗戦2年目の大阪を舞台に、戦前の事業や財産を取り戻そうとする松坂熊吾の物語。
    とはいえシリーズの第一部であるのに、熊吾は既に50歳。
    今後は徐々に息子の伸仁の話にシフトしていくのだろうけれど、とりあえず今はまだ赤んぼなので。

    豪快で男気があって人を見る目に長けている熊吾だが、短気で嫉妬深く暴力に訴えるところが欠点。
    身近にいるとちょっと厄介かもしれないけれど、読者としていうならばとても魅力的。

    疎開していた故郷の宇和島から大阪に戻ってみれば、自社ビルには闇市が入り込み、勝手に商売をしている。
    まずそれらを立ち退かせ、商売の糸口をつけなければならない。
    昔世話をした人に裏切られたりしながらも

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    2021年04月08日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    自分と同世代の熊吾。息子が二十歳まで生きる、って、全く同じ決意には共感。豪快ながら不安を抱え生きていく様、家族や周りの人物像。時代背景があるにしろ、心地よい引き込まれ感。

    さあ、男、家族、親子の行く末はどうなるのか。
    宮本氏の「生死観」の描き方にも注目かな。

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    2021年04月08日
  • 夢見通りの人々

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    ネタバレ

    目次
    ・夢見通り
    ・燕の巣
    ・時計屋の息子
    ・肉の鏡
    ・十八回目の逃亡
    ・宝石箱の中
    ・帰り道
    ・白い垢
    ・波まくら
    ・洞窟の火

    大阪の下町(っていうの?)にある、夢見通り商店街に住む人々が織りなす人間模様。
    ちょっぴりビターが濃い目だけど、人々は鬱屈を抱えながらも強かに、あっけらかんと生きている。

    子どものころから盗みグセがあり、一度も万引の現場を取り抑えられたことのない時計屋の息子。
    貯めた金で駆け落ちをするが、妊婦の彼女を養う術は、高校生の彼にはなくて…。

    性と暴力の衝動を抑えることができず、学生のころから問題行動ばかり起していた元ヤクザの肉屋の兄弟。
    心を入れ替えて真面目に働いて

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    2021年03月24日
  • 彗星物語

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    ただでさえ同居人(+犬)の多い城田家にハンガリー人のボラージュがやってきて…留学の3年間の出来事は、よくありそうな家族のエピソード。派手さは何にもない。でも心に染み渡るようなほろっとした感覚。


    個人的には福造のセリフにくすっと笑わせられるものが多かった。おもろいじいちゃん。

    どんなにゴールが近くても「よし、これからだ」と気を引き締める。これは大事にしていきたいと思った。それと、悪い気持ちを胸に石を掲げ叩きなくすという考え方。教訓めいたものもすんなり入ってきた。

    家族写真、撮りたくなったなあ。
    35年も前の話なんだけど、今読んでも面白かったよ。

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    2021年03月24日
  • ここに地終わり 海始まる(下)

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    テンポや空気感が心地よい。生きていることの奇蹟、人間の無常さを穏やかに、押し付けがましくなく感じられる。人の心が変わっていくのは自然なことだし、その時その時で自分を深く見つめて、何をやりたいかを見極める、それが幸福なのかなと感じた。

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    2021年02月13日
  • 田園発 港行き自転車 下

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    日々生きていて、過去に見たり聴いたりしたものが急に線になり、繋がるような瞬間があるが、この小説においても記憶の染み込んだ風景、絵画、街並を通じて、記憶の中の人たちが結びつく様が至極丁寧に描かれている。(故に少々回りくどい部分もあり、星は4つ。上巻の半分過ぎるあたりまでは辛抱が必要)
    個人的に、好きな人たちとの想い出の詰まった京都・南座界隈が出てきて急に惹き込まれたところもあり、登場人物たちの夫々の土地での想い出が紐解かれていくような進行に何故か「懐かしい」という気持ちにさせられた。富山も是非訪れてみたい。

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    2021年01月11日