宮本輝のレビュー一覧

  • 夢見通りの人々

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    夢見通りに生きるそれぞれ生き様が切実な重みをもって胸に迫ってくる。深く重い人生観を啓示する宮本先生の技量に心底酔わされる。

    0
    2012年07月13日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    シリーズを読破してしまいたくないためだけに先に引き伸ばしているのだけれど、ややもすれば明日にでも本屋に寄りかねない勢いにさせられてしまう中毒性の読み物。第4作は宮本さんが主人公の年齢により近づき、主人公の心理描写にリアリティが増しているように感じる。運命の岐路に立つ波乱万丈の主人公とその家族の行く末がまるで自分のことのように案じられるまでにただただどっぷりと作品に浸かっている自分を発見するのみである。

    0
    2012年07月12日
  • 幻の光

    Posted by ブクログ

    表紙の裸婦絵は高山辰雄でとても印象深い。
    表題作「幻の光」ほか短編3作を所収で、どれもしっとりとした雰囲気の中で人間の情念を丹念に描いた作品になっている。
    「幻の光」は前夫の自殺した理由をわからず空虚にさまよう心を抱えながら再婚し、奥能登曾々木で暮らす主人公が、前夫に語りかけることで自らと対話するというスタイルをとる。兵庫尼崎での貧乏で暗い少女時代から、前夫との生活の中での会話、曾々木での安定した生活という人生の流れの中で、様々なエピソードが繊細な描写で深い余韻を残してくれる。すうっと消えていった祖母の話や大阪駅で見送ってくれた知り合いのおばちゃん、曾々木で蟹を獲りに行って遭難したと思われたおばちゃんの話が特に印象深い。ともすれば生死のはざまで生きてきた主人公が、冬の日本海の荒波の中で前夫の死を見つめ直し、現在の夫の前妻の影に嫉妬できるまでに再生できたところに安堵した。死へと向かう光が生と結びついている描写が妙に納得感があった。
    「夜桜」は、若い頃にゆとりがなかったばかりに離婚したことを後悔し、息子を事故で喪ったばかりの主人公の自宅に、奇妙なお願いに登場した見ず知らずの青年との、ある1晩の物語。ややもすれば長く住んでいると見落としがちな光景に、ちょっとの幸福感を共有できた心温まる物語となっている。
    「こうもり」は、少年時代の出来事と不倫プチ旅行を行っている現在とをパラレルに行き来しながら何ともいえない主人公のいたたまれなさを表した作品。少年時代の友人?との冒険的行動が印象深い。
    「寝台車」は大阪から東京に出張することになった主人公が、現在の商談経緯と少年時代の心に突き刺さる思い出を振り返りながら、情感に浸る作品。寝台車というロートルな情景で思い返される記憶の湧き起こりが印象的な物語になっている。
    どの作品も、喪失感を抱える主人公たちが「プチ旅行」「現在と過去」などを背景に、心の暗部を見つめながらも明日に向かって生きる、人間の生死のはざまに漂う思いを優しく包み込んでくれるような感じがする。

    0
    2012年07月01日
  • 五千回の生死

    Posted by ブクログ

    この本、確か三読目。9つの話からなる短編集。何れも短編の妙味を玩昧できる。とりわけ「眉墨」。年老いた母親が死の病の影に怯えながら、就寝前にせっせと眉墨をひく手を休めない様子を眺める息子。その描写は、あたかも一幅の淡墨画のような美しさをたたえ、生命の持つ逞しさと儚さが合わせ鏡のように映る。いずれの話も、幼少・青春・社会人、そして大人となりその世代において鮮烈な思い出もあれば、過酷な忘れ難き体験もある。それらを持て余しながらも、人生という歳月が「力」を与えているんだということを教えてくれる珠玉の短編集。

    0
    2012年06月05日
  • 夢見通りの人々

    Posted by ブクログ

    もはや個性が強すぎるを通り越し、とてもクセのある人が何故か集まっている夢見通り。
    各章ごとに書かれる人々の日常は、それぞれ何らかの問題を抱えているが、夢や希望を持っている。
    しかし、結局思い通りの結果にはならず、とてももどかしい。
    だけど、その上手くいかない感じがやけに人間らしくて、しっくりくる感じもする。
    ある意味、人間クサイお話です^^

    いつも他人の問題に巻き込まれるけど、なんだかんだ言って仲介役を引き受けてしまう里見春太の人柄が好きですね
    彼はそういう運命なんだろう・・・


    宮本輝さんは天才ですね^^

    0
    2012年05月19日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    流転の海第三部。松坂親子の物語の折り返し地点にあたる本作では、両親の愛情を一身に受けながら健やかに成長し、自由闊達で多彩な側面を見せ始めている息子・伸仁の姿が印象的です。豪胆で情に厚い父親のもとで心の贅沢を思う存分味わってきた作者ならではの豊かな感性が第三部の壮大な人間ドラマの中にも息づいています。

    0
    2012年04月30日
  • 青が散る(上)

    Posted by ブクログ

    大学生に「おすすめの本は」と聞かれたら私は迷わずこれを勧める。 20代、それより若いうちに必ず読んで欲しい

    0
    2012年04月09日
  • 睡蓮の長いまどろみ(下)

    Posted by ブクログ

    長編上下巻もの。アッシジと北海道に行きたくなった。親子の絆って。。相変わらず心を揺さぶる安定感。ナイス。

    0
    2012年04月08日
  • 幻の光

    Posted by ブクログ

    宮本輝短編Weekだった。この文体、この視点、純文学なんだよな。。すごいな。たぶんこれ書いたとき、俺と同年代か年下、すごいな。。

    0
    2012年04月08日
  • 五千回の生死

    Posted by ブクログ

    もう圧倒的に好き。二十歳の火影以降、宮本輝さんの短編集ははずれなし。こんな短い文章でなんでここまで、揺さぶられるのか。憧れ。

    0
    2012年04月08日
  • 月光の東

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    14年位前の作品で、ひとりの女性をめぐって
    その女性と一緒にいた後、自殺した夫の妻の日記と
    その女性と中学時代に同級生だった男の語りで、物語が進むのです
    米花という女性が、どのように生きてきたのか
    全てのことが明らかになることはないのですが、
    傷ついた妻の再生と、米花の壮絶で固い意思、女としての弱さ
    何故か、この米花が好きで、何度も読んでしまう小説です

    0
    2012年03月11日
  • 森のなかの海(下)

    Posted by ブクログ

    宮本輝さんの作品はいつもそうだと思いますが、すごく流れやリズムが良くて一度読み始めるとやめられず、一気に読んでしまいました。

    下巻に出てくる「森は木を拒まず、海は川を拒まず」という言葉にとても惹かれました。
    他にも素敵な言葉がたくさん詰まっていて、何回も読み返したくなる作品です。

    0
    2017年02月18日
  • 骸骨ビルの庭(上)

    Posted by ブクログ

    心に響くお話でした。
    すべての登場人物に奥行があって、引き込まれました。
    戦争によって、孤児とならざるを得なかった子供たち、
    戦地での体験に、心縛られる大人たち、
    誰もが必死で生きねばならなかった終戦直後の暮らし。
    ただ生きるのではなく、人として崇高に生きる事の大切さ。
    魂魄…魂は心だけではなく体にも宿るもの。
    自分を変えようと思ったら、何度も何度も挫折を繰り返しながら、それでもなりたい自分を目指して、続けて行く事。

    色んな事を考えさせられました。

    0
    2012年01月13日
  • 五千回の生死

    Posted by ブクログ

    短編集が、好きだ。
    村上春樹の「象の消滅」「レキシントンの幽霊」にはじまり、
    辻仁成「千年旅人」、堀江敏幸「雪沼とその周辺」・・・どれも素敵で、
    印象に残っている。その作家の作風とユーモアに溢れていて、
    ひとつひとつの文章に「その人らしさ」が感じられるからだ。

    そして、宮本輝。
    彼の本はちゃんと読んだのは初めてである。「蛍河」は買ったものの
    読めていないのだ。
    素敵な、キレイな文章を書く人だと思った。
    そしてどの舞台も関西なんだよね。身近な光景。
    大阪の猥雑な雰囲気とそこに見え隠れする哀愁、人情・・・
    9つのどの作品も「生」「死」「人生」を感じさせる。
    それぞれの人物が背負ってきた過去があり、物語の終わりには彼らの未来を考えさせられる。
    何気ない日常の、でも特別な一コマが、綺麗に抜き取られていると思った。そういう意味で「雪沼とその周辺」とか、「パークライフ」とか、「スティル・ライフ」の好きな私の嗜好をくすぐった。
    すごく好きです。彼の作品、もっと読みたいな。

    0
    2011年11月05日
  • 焚火の終わり 上

    Posted by ブクログ

    離れてそだった
    兄と妹の恋愛ということで
    敬遠してたけど
    二人が爽やかで
    文章も淡々としていて
    ある意味勇気をもらった。

    0
    2011年10月31日
  • ドナウの旅人(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この長い小説を読み始めて、さっき涙を流しながら読み終わった
    ステラというタクシー運転手の
    「楽天家でなきゃあ、こんな厄介なことばかりの、悪人だらけの世の中を
    生きていけるもんか。人生なんて挫折して当たり前じゃないの。
    うまくいくほうが不思議なんだっていうふうに、あたしはいつのまにか
    考えるようになったのさ。だから、あたしは、いいことがあったら、
    ああ、よかった、よかったって手を叩いて喜ぶんだ。悪いことが起こったら、
    まあ世の中、こんなもんだって口笛吹いて、おかしくもないのに笑ってやるのさ。」
    シギィの「おそらく、人間とは、ひとつの欠点の消滅によって新しい美徳が
    生じるというのではない。欠点は欠点のままに、その人のちょっとした
    心の作動によって美徳に生まれ変わる」というところで
    きっと前は泣かなかっただろうと思いながら、静かに涙が出てしょうがなかった
    初めて読んだ時は、娘の麻沙子の年より若かったのに
    いまは母親の絹子の年にちかくなっていて、
    それでも同じように、いや、違う形でも
    こんなに心に響く小説を読めることがとてもうれしい
    この物語のあと、麻沙子のお父さんはどうしたんだろう
    長瀬は、オダは、どうしたんだろう
    いや、きっと笑っているよな なんて思いを巡らしている

    0
    2011年09月11日
  • 森のなかの海(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    阪神大震災で被災し、離婚し、不思議な縁から
    奥飛騨の森のなかで住むことになる希美子と
    一緒にすむ人たちの再生の物語
    いつも勇気と涙がわいてくる
    これでもいいんだよと言ってもらえている気がする

    森のなかで象徴的な不思議な樹「大海(ターハイ)」のように
     すべてを受け入れて動じず
     すべてを包み込んで動じず
    わたしもそういう人になりたい

    0
    2011年09月09日
  • 海岸列車(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    もう、読むのは何度目でしょうか
    大好きな宮本輝さんの小説の中で
    数々の物語上の人物の中で一番好きな人
    手塚夏彦と高木澄子が出てくる小説

    読むたびに、かおりや夏彦に会いたくて仕方が無くなる
    ボウ・ザウナの生き様に涙が出そうになる
    出てくる人たち皆が愛おしい

    0
    2011年09月07日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    新事業に再起をかける主人公は裏切られ、途方に暮れるが、人の恩というものに助けられる。高度経済成長という時代に起こる様々な出来事に翻弄されながらも、たくましく生きていく登場人物に元気をもらえる。
    続きはいつ発行されるのか、大変待ち遠しいです。

    0
    2011年08月12日
  • 新装版 命の器

    Posted by ブクログ

    友達から、勧められた一冊。200ページ足らずの薄ぺらい本ながら、実に素晴らしい本であった。いつも、つねに(死)という恐怖が心のどこかで、私を脅かしている。心にグッと迫りくる言葉が
    どれだけあっただろう。心に迫る部分につけた折り目の数に、驚くばかり。手帳に文章を写し・・~命の器~素晴らしくいい題名だと
    改めて思う。

    0
    2012年09月28日