ドナウ河に沿って旅をする。
そんな手紙を送ってきた母親を追ってドイツへ飛んだ主人公の麻紗子。
そして、西ドイツの地で、母が17歳も年下の33歳の男性と一緒に旅をしている事を知って驚愕する。
とにかく早く母に追いついて、日本へ連れ戻さなきゃ。
かつての恋人であるドイツ人の男性と共に母を追い、様々な事情
...続きを読むから、共にドナウ河を旅することに・・。
上下巻に渡る長いお話しで、舞台は西ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアと6つの国にまたがった壮大とも言える感じ。
麻紗子と恋人、そして母親とその恋人の恋愛を縦軸にして、様々な人々との関わりや、ヨーロッパの国々の風土に影響されながら、それぞれに成長し、得がたいものを得ていく感じがした。
最初の導入部で、かなり話しの中に引きこまれ、読み進むうちに、色々な問題が生じ、色々な事を体験し、17歳も年下の男性と不倫に落ちた母親への
反感や、その生立ちや夫婦生活の境遇に同情したりもし、娘の麻紗子の恋模様や各地で関わる人達との人間模様に考えさせられる事も多く、とても読み応えがあって、久々に感動したと言える作品だった。
厚い上下2冊に渡る小説だけれど、読んでいて長いと感じる事もなく、退屈と思われるような中だるみのような部分もなくて、一気に読まさせてくれた。
宮本輝は初めて読んだのだけれど、これはとても良かったと人に勧められる作品だったかな。こういう本を読んじゃうと、次に読む作品選びにちょっと困ってしまいます・・・・^^;)
ルーマニアの果てまで行って終わったドナウの旅だったけれど、話しが終わりに近づくに従って、もっと旅していたい、終わりたくないって気持ちになってきて(面白い本に出会うと、いつもこういう心境に駆られてしまうんですね〜)、でも、この旅の終わりはどうなるんだろうって気持ちに結局勝てず、終わりまで読んでしまった感じ。
ほんと、良かったよ〜。