宮本輝のレビュー一覧

  • 森のなかの海(下)
    阪神大震災キッカケの物語。 人生はどう変わるの分からない...何かを無くして何かを得られたと思った時、また何かを守るとなると、強く生き幸せを得られるのか…。豊かに生きることは物質的なものではない事を、この本を読んで思う。 戦争時代背景、結婚離婚、家庭問題など多岐にわたる事を考えさせられた良本。 この...続きを読む
  • 青が散る(下)
    上下巻一気読みでした。
    色々と後悔することもあるし、間違った選択もするけど、それら全てひっくるめて”青春”なのだと思わせてくれる小説。

    燎平や金子のような不器用で真っ直ぐでどこか潔癖な感じも、
    夏子のように小さな世界の中で負け知らずで、自信に満ち溢れててどこか傲慢な感じも、
    祐子のように内に秘めた...続きを読む
  • 青が散る(上)
    予想以上に面白くて驚いている。
    登場人物それぞれに対して、”なんだかわかる気がする”部分が自分にもあって、静かに余韻に浸ってしまう。まだ上巻なのに…。

    特に燎平。
    厚かましくも今だからこそ、自分の恋愛のなかにも、この時期の燎平みたいな男の子がいたのかもしれないという気持ちになる。一見控えめなんだけ...続きを読む
  • 春の夢
    父が借金の整理を付けずに死んでしまった為に、主人公の哲之とその母は借金取りから逃れる為別々に暮らすことに。
    哲之は田舎のアパートに落ち着くのだが、ひょんな事から蜥蜴と共に暮らすことになる。

    彼女陽子への思い
    バイト先でのホテルでのゴタゴタ
    母親の暮らしを心配したり
    借金取りが家に来るのではという恐...続きを読む
  • 森のなかの海(上)
    内容の紹介文を読んだ時点でワクワクしながら読み始めて前半はページはめくる手が止まらず読書の世界に浸りきりました。後半、7人の娘が森に転がりこんだあたりからちょっと中だるみのような気がして…展開が早いのでラストまで下巻もこのまま読みすすめたい!
  • 彗星物語
    良かったー。
    晋太郎、恭太、ボラージュ、真由美、紀代美に敦子、福造。忘れてならないのが自分のことを犬だと思っていないフック。なんてキャラが個性的でそれぞれが魅力的なのだろうか。
    家族でさえも暮らしていると、些細な行き違いやうっとーしーと思うことが多々あるのに、ハンガリーの留学生を迎え、城田家の面々が...続きを読む
  • 地の星―流転の海 第二部―
    戦後の大阪で財を成したが 病弱だった子供を育てるために故郷愛媛の田舎に帰って ここでも熊吾流に大活躍する
    自然豊か そして人間も彩り豊かで 命を狙う極悪人から 地味豊かに包み込んでくれる善人まで 味わいが濃い そんな中で人が死に生まれる 
    次巻活躍するだろうと思うとその幼子からも目が離せない

    ...続きを読む
  • 流転の海―第一部―
     主人公は愛媛弁丸出しでアクの強い大男・熊吾 
    学歴はないがずば抜けた才覚と持ち前の気風の良さとで事業を拡大し一家をなす
     他の登場人物の話し言葉は 当時のあの辺りの大阪弁そのままで 違和感なくしみ込んで来る この人達は 多分作者が実際に見聞きした人たちで ただ順にポケットから取り出して 勝手に...続きを読む
  • 森のなかの海(下)
    長編を読むことが得意でない私が
    上下巻 飽きることなく読書を楽しめた

    突然の主人公の環境変化には
    少々驚いたが、
    同時に始まった老婦人の謎解きは
    最後の最後まで、興味深く読むことができた

    想像していた再会とは違っていたが
    双方の心の動きが切なくて、涙がこぼれた

    また、戦争中の時代背景を知るにつ...続きを読む
  • 青が散る(下)
    まさに青春物語

    自分もこれくらいの大学時代を過ごせればと、今となっては歯がゆく感じる
    皆目指すものが有り、時にはクールに、時には真っ直ぐに藻掻きながらも最後には現実を突きつけられるが、その経験がかけがえのないものとなっていく
    まさに、「青(青春)が散る」

    最後の文章がこの物語の全てなのだと思う
    ...続きを読む
  • 胸の香り
    初めてこの小説を読んだのは高校生のときでした。それからずっと、宮本輝さんの短篇についての考え方が書かれている「あとがき」が印象に残っていました。
    短篇が7作収録されているのですが、どれも短いなかに凝縮されていて、頭の中にどんどん物語の世界が広がっていきます。読む人の状態に合わせて変化する、大好きな短...続きを読む
  • 優駿(下)
    ”生まれる仔馬が牡馬でありますように。風の申し子のように早く、嵐のように烈しく名馬の天命をたずさえて生まれますように。”北海道の小さな牧場で生を受けた一頭のサラブレッドオラシオン。北海道の大自然が育む緑と光の原野の中で育ち、順調に競走馬への道を歩み始める。そして生産者、馬主、騎手、調教師等の命をモチ...続きを読む
  • 三十光年の星たち(下)
    男は老人から起業したい人向けの融資事業と融資事業から店をオープンした女性から伝説のソースを引き継ぐことになる。
    男は老人たちを通して、自分は何をすべきかと人生の覚悟を磨いていく。
    人間としてどうありたいか。ちょっと参考になる本。
  • 三十光年の星たち(上)
    迷える若者に読んでほしい1冊だと思う。
    なぜ注目されなかったんだろう。はっきり言ってそう思う。
    主人公の男は何をやっても中途半端なままで来てしまった30歳。
    でも佐伯老人との出会いが人生を変えていくことになる。
  • 水のかたち 下
    平成28年9月

    主人公の人生が平凡だったものから変わっていく。
    その中で主人公の中にあるものは変わらず大切に一滴一滴の力を大切に。

    ファニー(偽物)が世界を席巻している時代。
    偽物、まがいもの、うらっつらだけ。そういうのに人間は騙されやすい。
    一丈のほりを越えぬもの、十丈二十丈のほりをこうべきか...続きを読む
  • 水のかたち 上
    平成28年9月 

    主人公の志乃子は、夫、子供3人の平凡な主婦で50代に突入。
    そこで、人生について考える。考えさせられる。動かされる。
    主人公、姉、友達のジャズシンガー少しずつ変わっていく。


    心は巧みなる画師のごとし
     心には心に描いたとおりになっていく、そんな凄い力がある。
    命は食なり
    石に...続きを読む
  • 青が散る(下)
    大阪郊外の新設大学に入学した主人公たちが4年間、テニスに打ち込み、恋に焦がれ、人生のとば口を知る青春小説の金字塔。
    描かれる恋は全てが一方通行。
    登場人物たちのもがく姿が愛おしい。
    青春小説、学園小説の類は随分読んだが、学生時代の鬱屈をこれほどまでに描いた作品は無いのではないか。
    大学が「4...続きを読む
  • 優駿(下)
    物語は、牧場、騎手、馬主、社長、秘書と様々なシーンの主人公が、それぞれの想いを胸に精一杯生きた生き様が交錯する展開にグイグイ惹かれた。
    また話の流れも色々人が死んだり予想外の展開に驚きの連続で一気読みでした。

    余談だけど、若い頃、競馬に没頭して、北海道にわたり馬に乗っていた頃を思い出した。物語の時...続きを読む
  • 彗星物語
    関西弁が心地よく、敦子お母さんの目線で書かれているけれど、子供たちの気持ちも手に取るようにわかって泣けました。それぞれのキャラクターの設定がしっかりしているからだと思います。
  • ドナウの旅人(下)
    前から気になっていたこの本をついに読み終わりました。
    冷戦終結前の時代に、ドナウの源流から終わりまでの長大な旅。現代とは比べものにならないくらい大変な旅だと思います。
    物語の最初のうちは、これはマサコの物語なのかなと思ったけれど、意外とすぐにシギィとの再会と婚約があり、そして長瀬目線の語りが入ってき...続きを読む