宮本輝のレビュー一覧

  • 青が散る(下)

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    一人一人の「若者」をここまで緻密に美しく表現できる宮本輝は凄いとしか言いようがない。

    大人になって大学生活を懐かしむ時期にもう一度読んだら、その時は違った感じ方をすると思う。将来再読したい。

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    2021年06月11日
  • 三十光年の星たち(下)

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    無理だと思える難題が、次々と仁志に任せられるようになる。しかし、仁志は段々と師匠・佐伯からの薫陶や一つ一つの言葉の意味を自分で考えて、成長していく。師匠に応えたい、師匠の夢を実現したい、その想いで不可能を可能にしていく姿は、師弟関係の美しさを見事に表していたように思えた。
    現代では、さとり世代と言われてるように、ググれば答えに出会える。何なら人生の悩みのアドバイスも、無責任にネットに書いてある時代となった。その一方で、仁志や虎雄のように、師匠からの一見意味のわからない言葉について、真剣に考えて、ああでもない、こうでもないと愚直に努力する人はどれくらいいるのだろうか。自分はそのような人になりたい

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    2021年06月05日
  • 三十光年の星たち(上)

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    ネタバレ

    自分を磨く方法を教えるよ
    働いて働いて働き抜くんだ。これ以上は働けないってところまでだ。もう一つある。自分にものを教えてくれる人に、叱られつづけるんだ。叱られて、叱られて、叱られて、これ以上叱られたら、自分はどうかなってしまうってくらい叱られ続けるんだ。このどっちかだ

    自分は師匠からどれだけ叱られたことがあっただろうかと考えさせられる一文だった。

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    2021年06月01日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    10年ほど前に読み始めたが、当時まだ第5巻までしか書き上げられておらずそこで中断したままだった。このたび遂に全巻完結し文庫化されたとのことで第1巻から再読したが、1か月で全9巻一気読み、圧倒的な面白さでした。

    なにより松坂一家のみならず登場人物ひとりひとりが背負う人間性を丁寧に描き、自分自身の遠い記憶を呼び覚ますような昭和30~40年代の大阪の下町に浸り続けたひと月でした。
    登場人物があまりにも多く、人間関係が複雑にまじりあってわからなくなるので今回は人物相関図を作りながら読み進めていったのが大正解。前半で登場した人物ややりとりを最後まで絡んでおり丁寧に回収されていることなどあらためて素晴ら

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    2021年05月28日
  • 優駿(下)

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    映画版のラストしか知らなかったけど、非常に満足した作品だった。競馬に対する見方が劇的に変わった。おすすめの本を聞かれたときに紹介したい一冊になった。

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    2021年05月22日
  • 優駿(上)

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    友人の薦め。ミラクルバード第3戦の描写は圧巻。北海道の牧場や競馬場の情景が目の前に出てくるようで面白く読めた。「ウマ娘。」で競馬を知った人にも読んで欲しいな。

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    2021年05月04日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    ■持って生まれた星廻りと血の呪縛■

    第三部のストーリーの舞台はいわゆる「戦後」からの脱却期、日本人がようやく自分たちのために上を目指して歩みだす時代。様々な男女、親と子が登場し、それぞれが持って生まれた星廻り、あるいはその体内にどうしようもなく流れる血を意識させる。

    両親の愛を知らずに育った熊後の妻房江は「子供は自分の親に育てられるのがいちばん幸せや」と言う。たとえ親が薄情でも極道でも敵国でも船上の住む飲んだくれでも、それぞれの宿命の下、自分の親に育てられるのがいちばん幸せなのだと思うと、何だか切なくなってくる。

    房江はまた、「誰が悪いのでもなく、すべては自分の持って生まれた星廻りのよう

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    2021年04月23日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ■動物としての人間が本来持つ生命力を感じる■

    舞台は戦後。焼け野原から裸一貫、事業の再起をかけのし上がろうとする松坂熊吾の野太い生きざまと、その荒々しい流れに巻き込まれ、溺れ、また反発する男たち、女たちの盛衰や友情、裏切り、愛憎を描く。

    熊吾は仁義に厚く豪胆、ガキ大将がそのまま大人になったような人物。しかも先見の明があり、機知に富む。情にもろい半面、身勝手で嫉妬深く暴力的だ。男尊女卑やDVという概念すらなかった時代、我が子のこととなると愛情のあまり我を忘れて怒鳴り散らす。そんな偏屈な人物像に親しみを覚え、自然と感情移入してしまう。

    むき出しの欲望、ギラギラした闘争心、他人を蹴落としてでも

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    2021年04月23日
  • 優駿(上)

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    馬券という紙切れ一枚に詰まった人間模様。
    泥臭い中にも、馬ゆえの神秘的な雰囲気も醸し出す名作。続きが気になります。

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    2021年04月19日
  • 幻の光

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    『生と死』

    どんな環境におかれようとも、わずかな幸せを求めて懸命に生きようとする力

    そんな力も、理由もなく突然訪れる『死』の前では無力だ

    『死』に向き合いながら生きていく人の儚さを、淡々とした語りの中で感じざるを得ない

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    2021年04月29日
  • 道頓堀川

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    後悔し続ける中年とジュブナイルの青臭さ。
    当時の“男”の描き方が上手すぎる。
    作者の作品では一番好きです。

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    2021年03月22日
  • 優駿(下)

    購入済み

    優駿

    一頭の馬をめぐり、馬主、生産者、騎手、厩務員、予想屋まで全て網羅。
    あとがきにあった、よくわからず・・・いえ、わかりすぎです。
    競馬好きは一度は読んだほうがいいですね。
    ただ、ただ素晴らしい。

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    2021年02月17日
  • 青が散る(下)

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    ネタバレ

    大学生という立場で読んだので、また大人になったら違う感想を持つのだと思う。大学生のうちに一度読めて良かった。
    男女の価値観が古くて受け入れたくないなあって思うところも多かった。「女だから、結婚したら亭主と子供を好きになる」とか。
    結末はハッピーエンドとは言い難いけれど皆何かにひたむきになっていて、きっと大人になって思い返すと「間違った」とは言っても後悔はしなさそう。
    きっと青春ってほとんどの人にとって、いっぱい悩んで、後から「悩むのも大切で、時間が巻き戻ってもほとんど同じ事するだろうな」って思って、キラキラした物だけじゃなくても肯定出来るような物かなあって思った。自分もきっとそう思うような道を

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    2021年02月10日
  • にぎやかな天地(下)

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    ここで終わるのが潔い
    せめて発酵本かと思ってたけど、
    それがテーマじゃないからね!って
    いやいや。それは宮本輝読者だもの、大丈夫だよね?って
    読者を信じる姿勢だよ

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    2021年01月10日
  • 彗星物語

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    14人家族ってだけで登場人物十分多過ぎなのに、各人のキャラが立っていて、作中別段大きな事件が起きるわけではないけれど、笑ったり、そして、最後は嗚咽するくらい泣いてしまった。
    読み終えたあと、家族写真を撮りたくなった。

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    2020年10月25日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    マンションへの建て替えを了承したものの、ビルに居続ける茂木氏。彼は生きる場所と意味を与えてくれたビルの正統な後継者である友人阿部氏に不義理を働いた女性に、彼女がそこで知るべきことを知らせる義務感から居残っていた。
    そのビルで育った子供たちの思い出と、彼らを育てた阿部・茂木両氏との思い出とが読んでいく中で重層構造を成していく。思い出に関係のない様々な知識も込められ、知的好奇心が満たされる感覚が良い読書体験として残る。
    末尾まで来た時に、頭の中に残ったものはとても綺麗なのだけれど、文字では伝えきれない。良書。

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    2020年10月25日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    戦前に建てられた英国調のビルはGHQに接収され、屋上にアンテナを張り巡らした姿が骸骨に見えると、いつしか骸骨ビルと呼ばれるようになった。
    この建物をマンションに建て替えようという話が持ち上がるが、ほぼ孤児院としてそこで育った人々は今も居座っており、主人公の八木沢が彼らを立ち退かせるために送り込まれる。けれどごくごく一般人の八木沢は、その住民たちの生い立ちを聞くうちに次第に感化されただ骸骨ビルで住むだけの人になる。
    戦後日本の光と闇が綯い交ぜとなった生活史が興味深くもっと知りたくなる。まだ続きがあるのが嬉しい。
    ジャンルはなんなんだろう?他ではあまり経験できない読み心地。犯人がわからない人物から

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    2020年10月25日
  • 青が散る(上)

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    ネタバレ

    メモ。
    青くて幼くて脆くて必死に生きてた。
    大人になって世間に擦れて沈んでしまう、若さに裏打ちされた感情を思い起こさせる作品だった。
    誰もが椎名燎平であり安斎克己であり氏家陽介でありむしろ誰でもない。
    この世は怖い。人生は大きい。

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    2020年09月06日
  • 彗星物語

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    ゆるーい、よくありそうな家族のお話。
    愛に溢れた、あったかい家族のお話。
    人と人の繋がりの大切さ
    忖度感情なく、見返りを求めない無償の愛。
    家族だからこそ、できるものだと思った。
    心あったまりました

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    2020年07月22日
  • ドナウの旅人(下)

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    遂にドイツから始まったドナウの旅が終わった・・・という感じで、上巻から始まり、すごくはまりました!

    今では自由に往き来できるヨーロッパの国々も、この作品の時代は厳しい出入国審査があり、共産圏である東ヨーロッパでは自由に旅もできない。
    麻沙子とドイツ人の恋人シギィ、母親の絹子と愛人の長瀬、二組の旅人がドイツからオーストリア、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアと、ドナウ川を旅をする姿が、ドナウに沿ってだんだん色濃くなる共産圏の国々の時代背景と共に描かれているのが、この物語を一層魅力的にしているなと感じた。
    旅の途中で出会う人々の背景も、限られた中で端的に描かれていて、登場人物全員に興味が沸い

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    2020年07月07日