宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦前に建てられた英国調のビルはGHQに接収され、屋上にアンテナを張り巡らした姿が骸骨に見えると、いつしか骸骨ビルと呼ばれるようになった。
この建物をマンションに建て替えようという話が持ち上がるが、ほぼ孤児院としてそこで育った人々は今も居座っており、主人公の八木沢が彼らを立ち退かせるために送り込まれる。けれどごくごく一般人の八木沢は、その住民たちの生い立ちを聞くうちに次第に感化されただ骸骨ビルで住むだけの人になる。
戦後日本の光と闇が綯い交ぜとなった生活史が興味深くもっと知りたくなる。まだ続きがあるのが嬉しい。
ジャンルはなんなんだろう?他ではあまり経験できない読み心地。犯人がわからない人物から -
Posted by ブクログ
遂にドイツから始まったドナウの旅が終わった・・・という感じで、上巻から始まり、すごくはまりました!
今では自由に往き来できるヨーロッパの国々も、この作品の時代は厳しい出入国審査があり、共産圏である東ヨーロッパでは自由に旅もできない。
麻沙子とドイツ人の恋人シギィ、母親の絹子と愛人の長瀬、二組の旅人がドイツからオーストリア、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアと、ドナウ川を旅をする姿が、ドナウに沿ってだんだん色濃くなる共産圏の国々の時代背景と共に描かれているのが、この物語を一層魅力的にしているなと感じた。
旅の途中で出会う人々の背景も、限られた中で端的に描かれていて、登場人物全員に興味が沸い -
Posted by ブクログ
私も10年前、ニュルンベルクから、レーゲンスブルク、パッサウ、そしてウィーンへとドナウ川に沿って旅をしたことがあり、この物語の主人公達が旅するのと全く同じ順番にドナウ川沿いの街がでてきて、私も見たその時の風景を思い出し、凄く懐かしく、もう一度訪れたくなりました。
母親と若い愛人、娘と恋人、といった異色の二組が、ドナウに沿って旅を進めるごとに、どんどんこの物語にはまっていきます。母親の愛人である長瀬という男が訳有りで、母親と旅をすることになった経緯や、長瀬という男がとても興味深く、ページをめくっていくのが楽しくて仕方がない。
ドイツから始まる彼等の旅が、ドナウ沿いのドイツの街、ドイツを経てオース -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価が1から5まであって驚く。
骨董の価値はその人が決めたそれで良いというのと同じだと思った。 本来の価値とは違う次元の価値。
志乃子の価値を見誤ったのは すべての読者ではないかと思う。それを後半覆される。 どこにでもいる普通の主婦のはずだったのに。
「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀ただしい。」
これが水のかたち。
ちょっと都合が良すぎないか?と誰もが思うだろう幸運が押し寄せているが 志乃子はずっと続くなどとは思っていない。
たとえば 今 当たり前に思っている日々の出来事も 思い上がり故に当たり前に感じているのかもしれない。幸運なのだ。
もう一つの文机に関わる話は実話であ