宮本輝のレビュー一覧

  • 五千回の生死
    短編集が、好きだ。
    村上春樹の「象の消滅」「レキシントンの幽霊」にはじまり、
    辻仁成「千年旅人」、堀江敏幸「雪沼とその周辺」・・・どれも素敵で、
    印象に残っている。その作家の作風とユーモアに溢れていて、
    ひとつひとつの文章に「その人らしさ」が感じられるからだ。

    そして、宮本輝。
    彼の本はちゃんと読...続きを読む
  • 焚火の終わり 上
    離れてそだった
    兄と妹の恋愛ということで
    敬遠してたけど
    二人が爽やかで
    文章も淡々としていて
    ある意味勇気をもらった。
  • 流転の海―第一部―
    粋な関西のおっさんの独特な視点から色々教わることが多い。生きるのに必死で、周囲のことなんかかまっていられないはずなのに、なんでそんなに優しいの。人間の側面をそれぞれに体現した登場人物と、熊吾のやりとりが本当に勉強になる。
  • 優駿(下)
    宮本輝さん作品は大好きですが、とくに圧倒されました。絶対先にオチやネタばれを見ないよう心がけて読んでました(笑)。
    とくにラスト20頁は、本物のレースを見てるくらい興奮しました~。
    登場人物たちの生き様が、生々しいです。
  • 優駿(下)
    北海道・静内の小さな牧場、トカイファームで主人が一世一代の博打に出て産まれた青毛の馬。

    クロと呼ばれたその馬はやがてスペイン語で「祈り」という意味の『オラシオン』と名付けられる。

    生産者の愛情、厩舎の思惑、馬主の過去未来、ジョッキーの恐怖等々。あらゆる感情がその馬に乗せられながらオラシオンは恐ろ...続きを読む
  • ドナウの旅人(上)
    この長い小説を読み始めて、さっき涙を流しながら読み終わった
    ステラというタクシー運転手の
    「楽天家でなきゃあ、こんな厄介なことばかりの、悪人だらけの世の中を
    生きていけるもんか。人生なんて挫折して当たり前じゃないの。
    うまくいくほうが不思議なんだっていうふうに、あたしはいつのまにか
    考えるようになっ...続きを読む
  • 私たちが好きだったこと
    宮本輝さんの『私たちが好きだったこと』で
    大好きなロバちゃんの言葉・・・
    発した意味はちょっと違うけど、
    今こそ、わたしは「静かにしのごう」と思ったの

    『私たちが好きだったこと』は平成7年の作品
     工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を
     乗り越え、医者を志す愛子、美...続きを読む
  • 夢見通りの人々
    大坂の夢見通りという商店街の1軒に下宿する
    里見春太とその商店街の一癖も二癖もある人々のお話
    少しにがくって、生々しくって、おかしくて、悲しい
    読んでいてすごく思ったのは、宮本輝さんの小説って
    ストーリーも長短編かもテーマも時代も色々と違うけど
    芯はずっとぶれていないんだなぁということ
    やはりこの本...続きを読む
  • 森のなかの海(上)
    阪神大震災で被災し、離婚し、不思議な縁から
    奥飛騨の森のなかで住むことになる希美子と
    一緒にすむ人たちの再生の物語
    いつも勇気と涙がわいてくる
    これでもいいんだよと言ってもらえている気がする

    森のなかで象徴的な不思議な樹「大海(ターハイ)」のように
     すべてを受け入れて動じず
     すべてを包み込んで...続きを読む
  • 海岸列車(上)
    もう、読むのは何度目でしょうか
    大好きな宮本輝さんの小説の中で
    数々の物語上の人物の中で一番好きな人
    手塚夏彦と高木澄子が出てくる小説

    読むたびに、かおりや夏彦に会いたくて仕方が無くなる
    ボウ・ザウナの生き様に涙が出そうになる
    出てくる人たち皆が愛おしい
  • 地の星―流転の海 第二部―
    「地の星」(流転の海・第二部) 僕はこのシリーズの中でこの本がいちばん好きです。戦後の混乱期、大阪で事業を成功させた主人公・熊吾が、50才を過ぎて産まれて子供と妻の健康の為に事業をたたみ、愛媛の田舎で暮らす、そしてまた故郷を棄て大阪に越す直前までの話。シリーズの中のいわばスローライフ的章。僕達が、文...続きを読む
  • 花の回廊―流転の海 第五部―
    新事業に再起をかける主人公は裏切られ、途方に暮れるが、人の恩というものに助けられる。高度経済成長という時代に起こる様々な出来事に翻弄されながらも、たくましく生きていく登場人物に元気をもらえる。
    続きはいつ発行されるのか、大変待ち遠しいです。
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―
    新しい土地で再出発したのに、次から次へと失敗。離れ離れになった家族はそれぞれに苦労しながらなんとか一年を過ごす。特に主人高の妻の孤独さの表現はなかなかで、今まで激動だった前作より心の深い描写が際立っていたと思う。
  • 地の星―流転の海 第二部―
    一巻とは打って変わって背景も時代も異なり、そこもまた魅力なんだけど、主人公が経験を積んでどんどん変わっていくのを見るのも楽しい。倫理的にとても考えさせられた一冊でした。
  • 血脈の火―流転の海 第三部―
    勢いづいて第3作目に突入。
    やはり、田舎でくすぶっているわけにはいかなかったみたい。
    まぁ、これほど勢いのある人ならムズムズしちゃうだろうね。
    大阪でいろいろな事業に身を乗り出すが、そこそこうまくやってしまうのだよ。凄い。目の付けどころがいいのか、商才があるのか?
    伸仁も少しは元気になったようで、ご...続きを読む
  • 新装版 命の器
    友達から、勧められた一冊。200ページ足らずの薄ぺらい本ながら、実に素晴らしい本であった。いつも、つねに(死)という恐怖が心のどこかで、私を脅かしている。心にグッと迫りくる言葉が
    どれだけあっただろう。心に迫る部分につけた折り目の数に、驚くばかり。手帳に文章を写し・・~命の器~素晴らしくいい題名だと...続きを読む
  • 幻の光
    初めて読んだ宮本輝の本。学生の頃。
    これをとてもよい本だと思えたことが、なんだか大人になったような気がしたもんだ。

    確かに暗い。でもそれがよい。
    この暗さに乗っかる関西弁がものすごく響く。
  • 約束の冬(下)
    上巻同様、桂二郎と留美子の語りで進みます。

    桂二郎の大人の対応、蘊蓄の深みなど、ダンディーな社長さんを思わせます。
    ゴルフで、あばら骨を痛めちゃうところは、おちゃめですが…。

    留美子と手紙の主との劇的な展開を期待しますが、ちょっと肩透かしな感じもありました。

    全体を通して、素敵な大人の会話を楽...続きを読む
  • 約束の冬(上)
    現在、32歳になった留美子と、留美子の家の真向かいに住む、54歳の会社・社長の桂二郎の二人の語りで話が進みます。

    それぞれが様々な問題に直面しながら、リンクしていきます。
    登場人物たちも、良い人が多く、丁寧な言葉を選んでいて、安心して読めます。

    この後の展開が楽しみです。
  • 道頓堀川
    喫茶店のマスター・武内と、アルバイト学生・邦彦の二人の語りで物語が進みます。
    ビリヤードにのめり込む息子、ビリヤード屋の店主、小料理屋の親父、ゲイボーイ、ストリップのダンサー、絵描きの易者、などなど…。なんとも色の濃い人たちに囲まれています。

    それぞれが、葛藤しながら前を向いて生きて行く姿に清々し...続きを読む