宮本輝のレビュー一覧

  • 彗星物語

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    ハンガリーからの留学生ボラージュが、総勢13人の大家族である城田家で3年間暮らす話。
    時代は少し昔なんだろうね、城田家は家族の繋がりが良い意味でも悪い意味でも強い、典型的な日本の家庭。
    13人も家族が入れば問題も山積みだ。その上に留学生が来たらそれはもう。
    色んな価値観があるし、対立は絶えない。
    どの問題も厄介で簡単には解決されない。でもそこが良い。
    キレイごとが書かれていないので、読みがたえがある。
    それぞれが成長する様子に感動を覚えますし、勇気も貰いました。
    みんなの異なる個性が如実に表れてて面白いです。

    あと、ボラージュの熱心な勉強姿には刺激をもらいました。
    勉強熱心な留学生に対しては

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    2012年10月18日
  • 彗星物語

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    兵庫県伊丹市を舞台に大家族+居候の外国人留学生+犬一匹が繰り広げる人間模様を描いた小説です。
    母と息子の視点から描かれており、冒頭から中盤まではくすりと笑ってしまう文章が多く、外で読むには危険と言わざるを得ません。
    では終盤は大丈夫かと言えば、さにあらず。
    今度は思わず涙するストーリー展開が待ち構えており、やっぱり危険です。

    笑いと涙を十分に味わえる本書。
    気軽に読める文章で読みやすいため、普段読書をしない方でも簡単に感情移入が出来るのではないでしょうか。
    心の洗濯をしたい時にお勧めです。

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    2012年10月17日
  • 幻の光

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    関西に所縁のある四編。土地の知識があるのでより満喫できた気がする。
    ・『幻の光』何て言ったらいいものか。なぜそんな言葉を言ったのかわからない、なぜそんな行動をしたのかわからない、という主人公ゆみ子の支離滅裂がわかりすぎて辛い。
    ・『夜桜』宮本輝の小説のよさって、人が生きているところなんだろうなと思った。こういう話を作ろうとか、こういう主張をしようとかではなく、登場人物が息をしたことによって物語が生まれている。
    ・『こうもり』こうもりの記憶。こうもりのようだった頃の個人的な記憶と重なった。
    ・『寝台車』他者のなかを通り抜ける心地よさ。これは他の話にも共通するけど、物語のなかを通り抜ける気持ちよさ

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    2013年02月28日
  • 優駿(上)

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    "恋愛"をテーマとした読書会に持って行こうかと、久々に再読。
    軽い復習のつもりだったのですが、ついつい読み込んでしまいました、秋は危険です。

    結構忘れているもので、改めて読むと家族愛の要素の方が強いようにも感じました。
    ん、一番愛情が向けられていたのは、"サラブレッド"だと思いますけども。

    で、"馬(サラブレッド)"に対する想いが、愛情が、これでもかというくらいに綴られていきます。
    そして、たまらなく夢を追いかけたくなりますが、冷徹な現実も立ちはだかって。

    人の世は有為転変、それでも自分の"芯"を見失うことが

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    2012年10月05日
  • 優駿(下)

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    優駿「オラシオン」を巡る人々の群像劇。
    読み終わった後に残る、あの爽やかな読後感はなんとも言えません。

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    2012年10月01日
  • にぎやかな天地(下)

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    出来事の作用、時間の作用。心の琴線に触れるどころか、心の襞にじわじわと染み入ります。宮本さんの本はやっぱり私の人生の友。

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    2012年09月20日
  • にぎやかな天地(上)

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    出来事の作用、時間の作用。心の琴線に触れるどころか、心の襞にじわじわと染み入ります。宮本さんの本はやっぱり私の人生の友。

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    2012年09月20日
  • 優駿(下)

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    馬主の電機メーカーはついに吸収合併。しかもその遠因はオラシオンの獲得にあった。また、馬主の娘が事実上の馬主となる。その娘も父の隠し子について気づく。さらに父の秘書も。動揺する娘と秘書の危険な逢引、そして寸前での娘の祈り。また、オラシオンの生産者のガンによる他界。オラシオンを追い、新聞記者を辞めて、競馬情報の世界で一山当てようとしている男とその愛人。そして、「オラシオン」に祈りを込めた青年。かれらの「祈り」を込めて、オラシオンは日本ダービーに臨む。しかし、体調は万全ではない。疲れが残っているようだ。その異常に、馬主の娘が気付く。そして、「ゲートオープン」・・・・騎手の不安な気持ち、そして、予想外

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    2012年09月17日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    流転の海シリーズ第5巻です。
    中古車業連合会の計画がつぶれた後、大阪で駐車場経営を任され、家族三人がやっと一つ屋根の下で暮らせるようになるまでの経過と、それまで伸仁が暮らしていた蘭月ビルの住人の人間模様が描かれています。

    この巻は特に、熊吾が今までかかわってきた人々との縁に助けられることが多く、因果応報を感じました。
    情厚く義理堅く愛情深く、自分にまっすぐ正直に生きた人生が今の熊吾を助けているのです!!
    人生ってそういうものよね、やっぱり。

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    2012年12月11日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    2巻も1巻に引けを取らず面白かったです!
    エネルギッシュ、骨太、なんと表現したらいいのか・・・とにかくとても深く、強い作品です。
    表現力も豊かでね、
    牛殺しのシーンは、夢にも出そうなくらいインパクトが強かった・・・
    読みながら怖すぎて手が震えました。

    人間は50歳を過ぎても日々成長です!DVの熊吾も少しづつまるくなりました。。

    すごくいい本だったけど、子供がいない夫婦についての音吉との会話には私、ちょっと傷つきました。

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    2012年12月03日
  • 私たちが好きだったこと

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    複数の友人にいいよいいよと薦められすも、今まで2回読み始めたが、何故か読みきれずふと三度手に取ってみた、3/4過ぎたとことから、引きづり混まれていき一気に読んだ。なんだこれは、という衝撃。彼女がいたり、別れたばかりだったら、3日は酒ばかりのんで会社に行かないだろうなと思うくらい。
    自分が主人公だったらどうすればよいのだと思うが、数時間後結局主人公の行動が正しいのだなと思う。小さな自分を再認識することにもなった。

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    2012年08月20日
  • にぎやかな天地(下)

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    きれいな、ゆたかな世界。
    私には聴こえるだろうか。

    ○倦まず弛まず焦らず、ひとつずつ進めて完成させる。それが仕事というものなのだ(135頁)

    ○アクセルを踏みながらブレーキも一緒に踏むような生き方はあきまへんで
    ○勢いのあるときは、がんがん行きなはれ。それは年齢とは関係おまへん。若い人が伸びてくれんと、国は滅びますよってに(141頁)

    ・確信を持ってイメージすること

    ○ぼくは、雨あがりの、薄ぐもりの空の下の、濡れた鉄橋のように生きている(379頁)

    2015.07.17 再読
    ・かっこよくなくても清潔に生きる。
    ・していい、ふり。

    ・冥利が悪いことはない。

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    2015年07月18日
  • にぎやかな天地(上)

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    先日、「テマヒマ」展を観に行って、数日前には、能登でていねいにじっくり作られたいしりを使ったお料理を堪能して、輪島で漆塗りの奥深さに感銘を受けてきたばかりで、偶然手にした本。いろいろなものが私の中で繋がってきて、ドキドキわくわくしてきた。発酵食品のことももっと知りたいけれど、作り手が気になる。そんなことも思いながらページをめくっていた。聖司のような仕事が現実にもあるのだろうか、あるといいなぁ。今、時間をかけることの意味、「待つ」ことの意義をかみしめている。下巻が楽しみ!!

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    2012年08月07日
  • 約束の冬(上)

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    れぞ宮本輝の世界!!
    あくまでも私の中での宮本輝さんのイメージですが。
    久々に大満足。
    特別哀しいできごとがある訳でもなく、ごく普通の日常(多少のゴタゴタはあるけど)が描かれてるだけなのに、なんだか泣けた。
    読み終わって幸せな気持ちになれた。

    もしも10年前に「10年後、地図の場所でお待ちしています。ぼくはその時、あなたに結婚を申し込むつもりです」なんて手紙をくれた高校生が自分の目の前に現れて、しかも今でも想い続けてくれてたら、それってすごいドキドキだよなぁ。
    いい年して私ってばまだ「白馬に乗った王子様」思考があるのかもしれない。。。
    宮本輝さんは「日本という国の民度がひどく低下してい

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    2012年08月03日
  • 道頓堀川

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    道頓堀川の淀んだ泥水から、乞食の絵描きは人間の深緑色を見る。その緑色に惹かれて身を滅ぼしていった女と、その男が喫茶店に飾る美しい翡翠の水差し。


    宮本輝の小説といえばまず一番に「業」だと思う。
    人間の、どうにも自分の力ではあがらえない行動や心情や関係をありありと書く。


    自分の範疇を超えた業は自分以上に自分自身を映し、そしてあるとき些細に思えていた物事の本当の"濃さ"にふと気づかされたなら、それがどんな人生であれ、人としての冥利に尽きる。
    圧巻だなー

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    2012年07月18日
  • 夢見通りの人々

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    ネタバレ

    夢見通りに生きるそれぞれ生き様が切実な重みをもって胸に迫ってくる。深く重い人生観を啓示する宮本先生の技量に心底酔わされる。

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    2012年07月13日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    シリーズを読破してしまいたくないためだけに先に引き伸ばしているのだけれど、ややもすれば明日にでも本屋に寄りかねない勢いにさせられてしまう中毒性の読み物。第4作は宮本さんが主人公の年齢により近づき、主人公の心理描写にリアリティが増しているように感じる。運命の岐路に立つ波乱万丈の主人公とその家族の行く末がまるで自分のことのように案じられるまでにただただどっぷりと作品に浸かっている自分を発見するのみである。

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    2012年07月12日
  • 幻の光

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    表紙の裸婦絵は高山辰雄でとても印象深い。
    表題作「幻の光」ほか短編3作を所収で、どれもしっとりとした雰囲気の中で人間の情念を丹念に描いた作品になっている。
    「幻の光」は前夫の自殺した理由をわからず空虚にさまよう心を抱えながら再婚し、奥能登曾々木で暮らす主人公が、前夫に語りかけることで自らと対話するというスタイルをとる。兵庫尼崎での貧乏で暗い少女時代から、前夫との生活の中での会話、曾々木での安定した生活という人生の流れの中で、様々なエピソードが繊細な描写で深い余韻を残してくれる。すうっと消えていった祖母の話や大阪駅で見送ってくれた知り合いのおばちゃん、曾々木で蟹を獲りに行って遭難したと思われたお

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    2012年07月01日
  • 五千回の生死

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    この本、確か三読目。9つの話からなる短編集。何れも短編の妙味を玩昧できる。とりわけ「眉墨」。年老いた母親が死の病の影に怯えながら、就寝前にせっせと眉墨をひく手を休めない様子を眺める息子。その描写は、あたかも一幅の淡墨画のような美しさをたたえ、生命の持つ逞しさと儚さが合わせ鏡のように映る。いずれの話も、幼少・青春・社会人、そして大人となりその世代において鮮烈な思い出もあれば、過酷な忘れ難き体験もある。それらを持て余しながらも、人生という歳月が「力」を与えているんだということを教えてくれる珠玉の短編集。

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    2012年06月05日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    読み終わった本は、貰ってくれる人に上げているが
    このシリーズは残している…。

    次作との間隔が長く待ち遠しいが、時々読み返したり…。

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    2012年05月28日