宮本輝のレビュー一覧
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昭和30年代とおぼしき大阪の貧しい界隈を舞台にした9篇の短編集。
今の時代より明らかに貧しいはずなのに活気溢れる人物達がたくましく生活している。
「真夏の犬」熱中症なんて言葉がなかったあの頃、中2の僕が父親から廃車置き場の見張り役を命じられる。うだるような暑さ郊外の何もない場所での孤独感。昼食の弁当を狙ってくる野犬の集団。帰りのバス停までの道のりで見かける年上の女性。帰らない父親。
「赤ん坊はいつくるか」夏にててなし子を孕んだ女が始末に困ってこの川に捨てるのだ。花札賭博に負けたのち長さ25cm幅17cmの背中の般若を切り取られた般若のおっさん。不妊の末病んでしまった妻の為に生まれたての赤ん坊を買うつもりだった小沢さん。
どれも分厚い雨雲がかかった梅雨時の空のようになんとも言い難い、心に重くのしかかるような息苦しい読後感がたまらない。
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Posted by ブクログ
ネタバレ感想
読み進めていくうちにどんどん続きが気になる展開だった。オラシオンという馬にかけた様々な人々の夢を見た。最後の最後まで分からない展開にシビれた。
ノーザンダンサー、プリンスリーギフト、ボールドルーラー、ダビスタ思い出す。種付けの方法が原始的なのにびっくりした。また、種付けが不発に終わるとお金がパァになるギャンブル性を含んでいることから、生産者の方もヒヤヒヤと、期待が入り混じった思いがある。人工的だが、自然も相手にする難しい競技だ。
あらすじ
オラシオン号は3歳になり、吉永ファームで育ったことにより、立派な馬体になっていた。吉永会長は博正に、馬に良い環境を整えることで馬が強くなると教える。オラシオンを買い付ける時に、増矢が一芝居打って、懐を温めたことが和具にバレ、和具は厩舎を増矢から砂田に変える。
博正はトカイファームを大きくするべく、藤川老人が目をかけている牝馬を譲ってもらい、吉永ファーム門外不出の牡馬を500万円で掛け合わせてもらえる約束を取り付ける。
博正は一世一代の勝負をしたイェローマトロンおを受胎させたが、ハナカゲを病気で失う。和具も息子の誠を腎不全で亡くす。オラシオンがデビューした頃に和具工業は大手からの圧迫を受けて業績不振に陥る。
和具工業は結局、三栄電機に吸収合併され、和具は社長を退任する。その原因となったのが佃社長がオラシオンをどうしても欲しいという理由だった。オラシオンは順調に4連勝して皐月賞へと駒を進める。和具の秘書だった多田は自分が和具社長を裏切って、合併に加担したとして引け目を感じていた。
一方、オラシオンの騎手の奈良は、オラシオンをどう乗りこなせば良いのか悩んでいた。オラシオンのゴール前の異様な負けん気にも畏怖していた。
オラシオンは皐月賞、NHK杯を制していよいよダービーへ。和具はオラシオンがダービーを勝てば、トカイファームと一緒に牧場をやろうと決めていた。果たしてオラシオンはダービーを制することが出来るのか。 -
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ついに8巻まで読んだ。長かった。あと一冊で終わりかと思うと、とても寂しい。
登場人物の何人かのことは忘れてる。
仕方ない。
でも何十年もかけて書かれた長いものがたりを、ぼくは二年かけて読んでいる。駆け抜けるような速さなのかというとそうでもない。
ぼくは読むのが遅い。
話は、中古車センターを立ち上げるところから、板金屋を売りに出すところ。
案の定というかなんというかお決まりのドラえもんのエンディングのような、裏切りや逃げられたり、しょーもないことが発覚したりするわけだけども。それすらも日常のなかにあってなんかおもろい。
この8巻での房江の心理描写がとても好きだ。
いきるとはなにだろうか。
ただ生きていることではないことは確かだが。。
2024年のあいだに読み終えようかどうしようか。迷う -
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現在松坂熊吾ロス状態。
37年かけた小説が遂に完結。37年ですよ、完結を待たずに亡くなった方もいらっしゃるでしょう。筆者自身も申し訳なかったとインタビューに答えておりました。そう思うと私は運が良かった。
偶々この小説を知ったのが50歳になった昨年で、第一部の感想にも書きましたが、主人公松坂熊吾も同じ50歳、時代背景が全く違いますが、何か運命を感じて読み始めた結果、私自身にとっては今後生きていく上での大きな指標となりました。
筆者自身の父親を元にした自伝的大河小説、実際は3分の1ぐらいが実際に起こった事で後は創作と言う事です。それにしても魅力的な登場人物、そして彼ら彼女らの生き様を見ますと全てが事実ではないかと感じてしまいます。
50歳で出来た息子が二十歳になるまで生きていたいと願った松坂熊吾、見事71歳で天に召されました。つまり筆者の父親ですね。そして、34歳で書き始めたこの小説を書き終えたのが同じ71歳。震えましたよ。
松坂熊吾が亡くなるシーン、その瞬間50歳の私がいつか死ぬ時が来る、その時娘たちに何を残してやれるのか、そして現在76歳の私の父がいつか死ぬ時が来る、父は私に何を残してくれたのか、この二つの思いが合わさって涙が止まりませんでしたね。
本当にこの年齢で読めた事に感謝します。
息子がいたら50歳になったら読む本として遺言に残したい。(娘にちょっと刺激的w -
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憧れることを諦めた人がこの作品を読むと、胸がちくちくすると思う。少なくとも私はそうだった。
若さとは愚かであることではなく、愚かしいほど純粋であることをわからされた。私は少なくとも、今はそのような歳ではないし、そのような人との出会いもない。主人公をあえてアラフォーの成年を選んだのは、宮本輝本人が苦労した歳であったからだと、作者のあとがきに記されていた。
陰鬱な変わらない日々を変えてくれた一人の老人。
「君の三十年後を見たい」と言われた成年。
その時になったら、あなたはここにはいないのに、と思う成年。それも分かった上で「つべこべ考えずに進め」と言う老人。
いずれ、分かる。
その言葉に期待を膨らませられるか、不安を抱くか、はたまた両方か。読む人によって変わるのはそこだけだし、作者も読者に伝えたいのはそこだと感じた。
今の世の中、何でもかんでも理由づけをしたがる。その上でお互いを尊重し、分かり合えと言う。そんなことが可能なのだろうか。
「余計なことは考えず、何の意味があるのかもどうでもいい。ただひたすらに働け。いずれ分かる。」
この時代にそんなことを言えばパワハラと思われるかもしれないが、結局こじれている人の多くは、この事実を受け入れたくない人だと思う。早く結果が欲しい、早く結論を知りたい。三十代という年齢の人たちが抱えるコンプレックスを一刀両断する作品だったと思う。
人の人生を否定して、自分の生き方を押し付ける老害。そう言えばそれ切りなのだけれど、その目線になった瞬間、あなたは主人公と同じように、純粋に憧れを抱いてしまうかもしれない。