宮本輝のレビュー一覧

  • 真夏の犬

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    昭和30年代とおぼしき大阪の貧しい界隈を舞台にした9篇の短編集。
    今の時代より明らかに貧しいはずなのに活気溢れる人物達がたくましく生活している。
    「真夏の犬」熱中症なんて言葉がなかったあの頃、中2の僕が父親から廃車置き場の見張り役を命じられる。うだるような暑さ郊外の何もない場所での孤独感。昼食の弁当を狙ってくる野犬の集団。帰りのバス停までの道のりで見かける年上の女性。帰らない父親。

    「赤ん坊はいつくるか」夏にててなし子を孕んだ女が始末に困ってこの川に捨てるのだ。花札賭博に負けたのち長さ25cm幅17cmの背中の般若を切り取られた般若のおっさん。不妊の末病んでしまった妻の為に生まれたての赤ん坊を買うつもりだった小沢さん。
    どれも分厚い雨雲がかかった梅雨時の空のようになんとも言い難い、心に重くのしかかるような息苦しい読後感がたまらない。

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    2024年06月20日
  • ドナウの旅人(下)

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    ネタバレ

    お母さん(;;)
    余韻が素敵すぎる、出会えてよかった作品。
    ドラマ?があると知り、見てみたいと思ってます

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    2024年06月11日
  • 優駿(下)

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    ネタバレ

    感想
    読み進めていくうちにどんどん続きが気になる展開だった。オラシオンという馬にかけた様々な人々の夢を見た。最後の最後まで分からない展開にシビれた。

    ノーザンダンサー、プリンスリーギフト、ボールドルーラー、ダビスタ思い出す。種付けの方法が原始的なのにびっくりした。また、種付けが不発に終わるとお金がパァになるギャンブル性を含んでいることから、生産者の方もヒヤヒヤと、期待が入り混じった思いがある。人工的だが、自然も相手にする難しい競技だ。

    あらすじ
    オラシオン号は3歳になり、吉永ファームで育ったことにより、立派な馬体になっていた。吉永会長は博正に、馬に良い環境を整えることで馬が強くなると教える。オラシオンを買い付ける時に、増矢が一芝居打って、懐を温めたことが和具にバレ、和具は厩舎を増矢から砂田に変える。

    博正はトカイファームを大きくするべく、藤川老人が目をかけている牝馬を譲ってもらい、吉永ファーム門外不出の牡馬を500万円で掛け合わせてもらえる約束を取り付ける。

    博正は一世一代の勝負をしたイェローマトロンおを受胎させたが、ハナカゲを病気で失う。和具も息子の誠を腎不全で亡くす。オラシオンがデビューした頃に和具工業は大手からの圧迫を受けて業績不振に陥る。

    和具工業は結局、三栄電機に吸収合併され、和具は社長を退任する。その原因となったのが佃社長がオラシオンをどうしても欲しいという理由だった。オラシオンは順調に4連勝して皐月賞へと駒を進める。和具の秘書だった多田は自分が和具社長を裏切って、合併に加担したとして引け目を感じていた。

    一方、オラシオンの騎手の奈良は、オラシオンをどう乗りこなせば良いのか悩んでいた。オラシオンのゴール前の異様な負けん気にも畏怖していた。

    オラシオンは皐月賞、NHK杯を制していよいよダービーへ。和具はオラシオンがダービーを勝てば、トカイファームと一緒に牧場をやろうと決めていた。果たしてオラシオンはダービーを制することが出来るのか。

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    2024年06月11日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    ついに8巻まで読んだ。長かった。あと一冊で終わりかと思うと、とても寂しい。
    登場人物の何人かのことは忘れてる。
    仕方ない。
    でも何十年もかけて書かれた長いものがたりを、ぼくは二年かけて読んでいる。駆け抜けるような速さなのかというとそうでもない。
    ぼくは読むのが遅い。

    話は、中古車センターを立ち上げるところから、板金屋を売りに出すところ。
    案の定というかなんというかお決まりのドラえもんのエンディングのような、裏切りや逃げられたり、しょーもないことが発覚したりするわけだけども。それすらも日常のなかにあってなんかおもろい。
    この8巻での房江の心理描写がとても好きだ。

    いきるとはなにだろうか。
    ただ生きていることではないことは確かだが。。
    2024年のあいだに読み終えようかどうしようか。迷う

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    2024年05月23日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    現在松坂熊吾ロス状態。
    37年かけた小説が遂に完結。37年ですよ、完結を待たずに亡くなった方もいらっしゃるでしょう。筆者自身も申し訳なかったとインタビューに答えておりました。そう思うと私は運が良かった。
    偶々この小説を知ったのが50歳になった昨年で、第一部の感想にも書きましたが、主人公松坂熊吾も同じ50歳、時代背景が全く違いますが、何か運命を感じて読み始めた結果、私自身にとっては今後生きていく上での大きな指標となりました。

    筆者自身の父親を元にした自伝的大河小説、実際は3分の1ぐらいが実際に起こった事で後は創作と言う事です。それにしても魅力的な登場人物、そして彼ら彼女らの生き様を見ますと全てが事実ではないかと感じてしまいます。

    50歳で出来た息子が二十歳になるまで生きていたいと願った松坂熊吾、見事71歳で天に召されました。つまり筆者の父親ですね。そして、34歳で書き始めたこの小説を書き終えたのが同じ71歳。震えましたよ。

    松坂熊吾が亡くなるシーン、その瞬間50歳の私がいつか死ぬ時が来る、その時娘たちに何を残してやれるのか、そして現在76歳の私の父がいつか死ぬ時が来る、父は私に何を残してくれたのか、この二つの思いが合わさって涙が止まりませんでしたね。

    本当にこの年齢で読めた事に感謝します。
    息子がいたら50歳になったら読む本として遺言に残したい。(娘にちょっと刺激的w

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    2024年05月23日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    北朝鮮へ日本人が自ら行くような時代があったのかと、驚いた。市井に根付いた歴史観を学べるのも本書の魅力ではないだろうか。ついに6巻。毎度、面白い。

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    2024年05月21日
  • 水のかたち 下

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    一つの茶碗を手にしてから人との縁や繋がりが広がり続けて、様々な人と接する事や様々な事が日常に起こるけれど主人公は自分という尺からは無理をして逸脱せずに、常に自分というものを大切にしている。主人公はその素晴らしさに気がつかないが友人はそれを感じて影響を受けて、人生の捉え方や生き方が変わっていく。
    人との繋がりの中で、戦後の壮絶な経験をしながらも自分の信念を変えずに人々を救った名もなき人の事も知り思いを馳せる主人公。
    そのどれもに私は感情が動かされました。

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    2024年04月18日
  • 水のかたち 上

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    人と人とが何故の縁で出逢い、そしてその時を境にそれぞれの川が合流して新たな畝りを形成していくように時は流れる。
    キャノンボールアダレイのジャスを聴きながら、早苗の純粋で清い心に心打たれ、上は終わり。

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    2024年04月06日
  • 星々の悲しみ

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    中学の国語の教科書にて「星々の悲しみ」が載っていたのがキッカケでした
    他のストーリーも含めて珍しい経験ですが無くはないよね、というストーリーという印象です

    個人的に非現実的な設定のストーリーは面白くて当然、日常をどれだけ面白く書けるかを期待しているタイプなのでこの作品は私に合っていて非常に面白かったです

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    2024年04月05日
  • 三十光年の星たち(下)

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    よかった
    内容に感動したというより
    文章に心打たれた

    上巻より付箋だらけになってびっくり
    忘れないうちに書き出そうと思う

    私はあることに修行中(⁈)の身

    教わり導かれる立場として
    教え導く方々の言葉が沁みた

    人との出会いが
    人生を変える

    よい出会いをしたい

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    2024年03月30日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    在日朝鮮人と言われた人々の暮らし、思想、逞しさが伝わってきた。毎回のように、重厚なテーマが物語の根底に流れていて、読み応えがある。
    人間性を形作るのは環境。まさにその通りだと思う。特に子供の時分はその影響力が計り知れない。良い環境とは何か。考えるきっかけにもなった。

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    2024年03月23日
  • 三十光年の星たち(下)

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    憧れることを諦めた人がこの作品を読むと、胸がちくちくすると思う。少なくとも私はそうだった。
    若さとは愚かであることではなく、愚かしいほど純粋であることをわからされた。私は少なくとも、今はそのような歳ではないし、そのような人との出会いもない。主人公をあえてアラフォーの成年を選んだのは、宮本輝本人が苦労した歳であったからだと、作者のあとがきに記されていた。

    陰鬱な変わらない日々を変えてくれた一人の老人。
    「君の三十年後を見たい」と言われた成年。
    その時になったら、あなたはここにはいないのに、と思う成年。それも分かった上で「つべこべ考えずに進め」と言う老人。

    いずれ、分かる。

    その言葉に期待を膨らませられるか、不安を抱くか、はたまた両方か。読む人によって変わるのはそこだけだし、作者も読者に伝えたいのはそこだと感じた。

    今の世の中、何でもかんでも理由づけをしたがる。その上でお互いを尊重し、分かり合えと言う。そんなことが可能なのだろうか。

    「余計なことは考えず、何の意味があるのかもどうでもいい。ただひたすらに働け。いずれ分かる。」

    この時代にそんなことを言えばパワハラと思われるかもしれないが、結局こじれている人の多くは、この事実を受け入れたくない人だと思う。早く結果が欲しい、早く結論を知りたい。三十代という年齢の人たちが抱えるコンプレックスを一刀両断する作品だったと思う。

    人の人生を否定して、自分の生き方を押し付ける老害。そう言えばそれ切りなのだけれど、その目線になった瞬間、あなたは主人公と同じように、純粋に憧れを抱いてしまうかもしれない。

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    2024年03月19日
  • 焚火の終わり 下

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    人に秘められた謎を快楽の燃料とし、聖なる何かを生み出す。主人公の2人にとってはそれは出生の謎であり、自分たちは血のつながった兄妹なのか、ということで、ふくよかに支配され、残忍な愛撫を返す、深い快楽の関係につながるわけだが、謎が謎のままにしたい、でも知りたい、という葛藤と揺らぎを辿り、結局そこを明らかにしないことに決別した、そこからの2人の人生は本当に何もかもを楽しめる、前向きで明るい関係になっていくんだろうなと感じられた

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    2024年03月17日
  • 三千枚の金貨(下)

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    「20年待てない人はたかがしれている。」というような意味のセリフがあったが、趣味で盆栽をしているせいかこの時間の長さへの精神的な捉え方は考えさせられたし、忘れられない言葉になりそうです。
    宮本輝さんには人生を教わる事がとても多いけれど、草原の椅子だったか、他の作品だったか忘れけれど、「男は耳をしっかり洗わないといけない」というようなセリフも覚えていて、読んだその日から今に至るまで耳を洗わなかった日はない。

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    2024年04月06日
  • 三十光年の星たち(上)

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    宮本輝さんの作品にはいつも感動させられます。今の自分が主人公の立場だったら、この状況から逃げてしまうだろうと思いながらも、逃げなかったらこうなっていた話が書かれている気がしました。下巻が楽しみです。

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    2024年03月05日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    自尊心より大切なものを見つける。
    自分で実際に見聞きしたものだけを信じる。
    心根の腐るような言動はしない。
    何が起きても、大したことはない。
    主人公から我が子へ送る言葉が、心に響く。
    些事にとらわれず、我が道をひたすらに突き進む主人公の生き方が、かっこいい。
    妻が喘息にかかっている情報を得ても、すぐに連絡をせずに、目の前の雑事をさらっと片付ける姿がなんだか心に残った。

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    2024年02月29日
  • 約束の冬(下)

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    色んな大人がいて、それぞれ意思があって約束がある。約束は守るという至極当たり前のことをできる大人になりたい。逆に言えば守れない約束はしない。律することもできれば破ることもできる。力を入れるより抜く方が難しい。

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    2024年01月07日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    登場人物が多く、ごちゃごちゃしている話なのに、すっと頭に入ってくる。まさに映像が思い浮かぶような物語。主人公の主義主張が好きなんだよなぁ。今の時代にはそぐわない、もしかしたら古い価値観と言われてしまうかも、でも芯が通ってるように思う。次も読もう。

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    2024年01月03日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    第一部に引き続き、一気に読んでしまった。
    主題がありすぎるんだけど、ごちゃごちゃしてない感じがすごい。次も楽しみ。

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    2023年12月14日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    長編第一部
    宮本輝の父親を描いたとされる自伝的小説。
    豪放磊落、しかし、決して完璧でない、むしろどこか精神的な病を患っているかのような主人公の在り方に、とても惹かれた。今の時代には、おそらく受け入れられないであろう。だからこその憧憬かもしれない。魅力的で人間臭いキャラクターが多数登場。続きが楽しみ。

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    2023年12月10日