宮本輝のレビュー一覧
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ネタバレ凄惨な人間生活。
熊吾の激しさ(暴力と経済力)が、そして運が回復してきたように感じる。
それと対になる、蘭月ビルの人々の生活。破滅的な生き方をする者、他人の生き血を吸う者、そうした生活の中でも文化的に精神的に生きる者、ぐれずに育つ子供たちの純真さ。
人間と人間の打ち合いの中で鍛えられる伸仁。
コンプラや、多様性、パワハラはなどなどは、大切なことだが、他方でこうした人間との打ち合いによる鍛え方の機会をなくすのかも知れない。だが、果たして、人間のそんなものが無くせるはずもなく、綺麗事とお題目だけで、楽園を実現することもできない。自分の中にも、そうした闇はあるし。自覚できない中で。。
そうした人間 -
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人間を具に、描いていくとこういう小説になるのか。
テーマが分からないと思っていた。夫婦、親子、商売、戦後の社会、人間関係、親子関係、恋愛、任侠、などなど色んな要素が描かれていく。どの表象も、人間がおこすこと。自らの意思であったり、抗えない環境や抑えられない衝動だったり、そんなもの全てがごった煮である人間(ジンカン)の中で、人間(にんげん)がどう生きていくのか、子どもを育てる親も人としてどういう存在なのかが、描かれていてる様に感じる。
そうして人間を見つめていくと、今流行りのダイバーシティ&インクルージョンに通ずるセリフが出てきたり、人情は哲学の範疇に何故入っとらんのかという言葉が出てき -
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人間の複雑さ、極まれり。ゴタゴタとした中で、徐々に熊吾が、房江の人物が立ち上がってくる。
感動的な場面があったかと思うと、裏切る様に短絡的に動く熊吾。支離滅裂で、非常に賢いところと、非常に愚かなところと。様々な感情と側面が同じ人間の中に同居しており、そんな人間が集まって、すったもんだしている。
いっ時の言動は、大事だが、それらは表層的なものであり、それらを生み出す性分、変えられない業が人間にはあるということか。
作中で、宿命、環境、自分の中の姿を見せない核という、三つの敵について熊吾が考察するところが秀逸。人間の言動は、意識的なものだけでなく、これらによって影響制限を受けていることを、自 -
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人が生きていくには、重要な決断がいる時がある。和具平八郎は、最初の会社のピンチで、資金が足りない時に、手元にある金を競馬に注ぎ込んで、勝つことで会社のピンチを切り抜けた。運を天に任せる野蛮な勇気がある。その競馬で負ければ、会社も倒産していた。そして、会社の規模は大きくなり、今度は大きな会社に吸収合併される事態を迎える。思い切ってリストラするのか?倒産するのか?吸収合併されるのか?悩み続ける。日本の中小企業の経営者は、そんな悩みを常に持っているものだ。なるべく職員を残して、自らが退任する道を選ぶ。
和具平八郎は、オラシオンの馬主である。そのオラシオンを手に入れたいがために、平八郎の会社を乗っ -
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戦災孤児について全く知識が無かったので、この本を読むことにより生きることがどれだけ大変だったろうかと思いを巡らせることができた。
一人一人インタビューしたものを日記ふうにしたためてあるのでグイグイと読めた。
話の端々に心に沁み入る箇所があった。
うまくまとめられなかったので再読してピックアップしようと思う。
宮本輝氏の小説は毎回、事業を起こそうと思わせるものがある。今回は食堂。
錦繍では今で言うタウン誌を作ったエピソードがあった。
流転の海を読んで、事業を起こす事が描かれるのは宮本輝氏のお父さまの影響であることがわかる。
また今回も能を見に行くという箇所があり、たまたま能を見るチャンスに