宮本輝のレビュー一覧
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ネタバレ「泥の河」… 昭和30年。戦争の影はまだ残り、河は汚く、みんな貧しい。子どもたちも汚いし厳しいことが多いけれど、今の子どもたちとは次元の違う何か大切なものを持っているように思えてしまう。最後、姉妹の舟を追いかけるお化け鯉は、その大切なものが去っていく象徴だったのか。
「螢川」… ★5。自分のボキャブラリーではこのよさを表現できない。人の生と死、子どもであることからの決別、恋、大人として生活の責任と不安、どうなるかわからない将来への覚悟、等々。短編であってもいろんなことが描かれ胸に残った。よかった。
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久しぶりの再読。内容を忘れたと思っていたが、読みながら思い出してきた。初読の時も胸に残ったのだろう。よい本だった。 -
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ネタバレ父親の借財から逃げる大学生の哲之と母。
暗闇の中、大阪の古いアパートの柱に打ちつけた蜥蜴。
大学で出会った純真潔白な陽子。
アルバイト先のホテルで出会った数々のボーイ。
京都で日本庭園や茶室のある家屋に住む沢村。
それぞれのストーリーを描きながら一つの話にまとめ上げていく宮本輝の技量の凄さ。
大阪の古いアパートの泥臭さと、京都の洗練された伝統的な風景の相対する描写が面白い。
それは、借財に追われる哲之と、金持ちお嬢様の陽子にも通ずるものがある。
最後に蜥蜴のキンの釘を抜くシーンは、爬虫類の体液まで鮮明に描かれていて、身の毛がよだった。
哲之と陽子の夜の描き方が大学生の青春らしくて良かった。
本当に素晴らしい作品! -
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若い頃、宮本輝さんが大好きでほぼ全ての作品を読んできたのですが、『幻の光』だけはまだ読んでいませんでした。たまたま手にとって見ると、一編目が私の馴染み深い奥能登を舞台にしているとのこと。実は毎年、能登へお墓参りに行っているため、作中に出てくる曽々木海岸の情景もよく分かり、描写がとてもリアルに心に迫ってきました。収録されている他の作品もすべて「生と死」をテーマにしており、宮本さんならではの美しい方言を用いた抒情詩のように描かれています。それは、すっと心の深いところに溜まっていくような感覚です。暗い影がベースにありながらも、その中にほんの少しだけ確かな光が見える、そんな宮本文学の魅力を、改めて深く味わえる作品でした。
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素晴らしい作品。この一冊で男女の関係だけでなく、過去と未来、生と死、人間の背負う業など数々の事を考えさせられた。お互いの手紙によって物語が進んでいくという形式が時の流れと心情の変化を上手く運んでいた。この作品にだいぶ喰らってる。
人間には業があり、それに沿って人生が展開していく。人によってはその業は決して容易いものではなく受け入れがたいものかも知れない。ただ諦めて自死を選ぶのではなく、その業を受け入れた上でイマを必死に生きることで未来へと歩みを続ける。
「生きていることと、死んでいることは、もしかしたら同じことなのかもしれない」この宇宙の、生命の不思議なのカラクリはまだ俺の人生では理解できてない。 -
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全四巻。
富山の薬売りから見た幕末、明治を描きながら
“富山の薬売り”の実態も描かれている。
私の父は富山出身なので 微かに小さい頃その関係の薬が我が家にあった記憶が。
“富山の薬売り”の話は とても興味深く読ませてもらった。干し昆布が密貿易によって唐薬種と交換されていたこと。富山から薩摩まで片道35日、往復70日もかけて それこそ“薬を売る”為に “薬売り”たちは 歩き通したことなどなど。
主人公 川上弥一のドラマチックな人生を通して描かれていく。
幕末、明治の頃の話も 知っているのは 真正面から描かれた歴史。武士ではない一商人側から見た、見えた幕末、明治も興味深かった。
それにしても 弥一は働き過ぎでは!
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昭和から令和への人生一代記。感情の安定した朴訥とした語り口。宮本さんのお人柄もそうなのだろうか?
光太は舞鶴にやってきた。すき焼肉800gと5つの種を預かって。舞鶴には姉の皐月ちゃんがいて、なぜかというと喘息持ちで祖父母に預けられていたのだ。プロパンガスが来て、風呂に取り付けられる。
ツルばあちゃんの誕生日に皐月と光太は木を植える。皐月はヤマボウシ、光太はコブシ。五老ヶ岳に登る。ここからの舞鶴湾の眺めが一番美しい。父母がやってきて駅まで迎えに行く。父は新車を買うという。父は日野ルノーを購入、事務所と工場を整備して、7人雇う。
伊勢湾台風が来て、一帯は停電になり、皐月の喘息発作が治らなくて入院になったが、その日は救急車が絶えずに眠れなかった。情報が入って来ず、テレビアンテナがあっても飛ばされてしまう。伊勢湾台風で舞鶴もすごい被害に見舞われた。その後皐月ちゃんのおじいちゃんが来て、京都で高校生をやるように画策する。光太は父が皐月ちゃんと血が繋がっていないのを忘れていた。
皐月ちゃんが京都の高校に進学して、家から火が消えたようになる。大学も京都へ。だけど皐月ちゃんは父と舞鶴に帰る。大学を辞めるという。