宮本輝のレビュー一覧

  • 幻の光

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    他人の内面を暴き立てるでなく、ただ自分の中身を観察する。こういうひそやかな小説にこそ、日々が宿るのかもしれない。

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    2025年09月19日
  • 錦繍

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    宮本輝さん、昔よく読んだ作家さんだったので、何十年かぶりに読んでみました。
    生きると言う事は、なんと大変なことか、、

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    2025年09月15日
  • 螢川・泥の河

    「螢川」「泥の河」について

    「螢川」
    宮本輝の芥川賞受賞作「螢川」は宮本文学の永遠の傑作だ。この小説の舞台は富山。
    主人公は中学三年生の竜夫。昭和三十七年三月から物語は始まる。

    この物語において、竜夫の父の死や竜夫の友人・関根の死が主人公の人生に陰翳をもたらす。
    同級生の英子に想いを寄せる竜夫の恋心にすら、友人の死の影が伸びてゆき、そこに思春期の複雑な心理の綾が描き出される。

    宮本作品では登場人物がどんなに若年であろうと、厳然とした死が突きつけられる。
    しかし、惑いながらも死を受け止め前を向いて生きてゆく登場人物たちに、私は読みながら知らぬ間に心が鼓舞されているのだ。

    この「螢川」では四月に大雪に見舞われると、螢の

    #切ない #感動する

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    2025年08月28日
  • 灯台からの響き

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    灯台巡りがしたくなりました。
    そこで起きる人間ドラマが、また宮本輝節が効いていてよい。

    宮本輝さんの本は、いつも旅がしたくなるんだよなぁ。

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    2025年08月27日
  • 螢川・泥の河

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    物語がよくできていて、それを登場人物が力強く引っ張っていき、構成もすばらしいバランスなので、ラストの感動に繋がる。
    デビュー当時から一流としか言いようがない!

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    2025年08月27日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    何故、田舎暮らしを決意した男とその家族の話がこんなにも面白いのだろう。流転の海で出会った人達とのドラマの続きも、故郷での昔馴染みとのあれこれも、それぞれの生き方を見事に描いており、読み応えがある。悲しいところや辛いところもあるにはあるが、熊吾の人柄と才覚で一つは一つ乗り越えていく様には勇気をもらえる。この続き、熊吾がいかに大阪でまた花を咲かせるのかが楽しみである。

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    2025年08月19日
  • 螢川・泥の河

    購入済み

    今は昔の「すかみたいな死に方」

    昭和30年代を時代背景とした両作は、事故や病気で、人が「すかみたいな死に方」をする。このあたり、令和初期には、ややリアリティを感じ難く、数十年を経た今日の庶民生活の向上に(現在の物価高等の困窮を軽視するつもりはないが)感慨深い。🏞️両作いずれも心に沁み入りつつ、知識と感性の全てを注ぎ込んでもなお、理解も納得も十全でないところがある。「一滴だと透明なのにむつみあうと鉛色になる」等の描写は、到底腑に落ちたとは言えない。読書人としての未熟を感じつつ、だからこそ読書は面白いと想えた。🏞️

    #感動する

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    2025年08月13日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    出会えたことに感謝する小説。
    描かれている物語は戦後を生き抜く人々のことなので、決して軽くない。なのにこんなに読みやすく書くことができる宮本輝という作家に驚いた。
    登場人物も非常に魅力的である。熊吾は今の価値観ではかると問題だらけだが、全く憎むことのできないチャーミングなおじさんである。その周りの人々も尽くしたり裏切ったりしながらもそれぞれに魅力があり、どの登場人物にも肩入れできるような物語。

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    2025年08月06日
  • 潮音 第三巻

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     薩摩、長州など、幕末維新に関わる様々な人たちが、どのように関わり合っていたのか、江戸や京都ではどのような事が起こっていたのか、恥ずかしながら今まで知らなかった事がたくさんありました。大政奉還、明治維新、、、日本が大きく変化した時代が細やかに描かれていて、歴史を深く学ぶことが出来ました。
     さらに、この本の主役である富山売薬人たちの果たした役割と、これから新しい時代を切り拓いていく未来が見えてきたところで、いよいよ第4巻へ突入です。今からワクワクしています。

     p68で、才児さんと弥一さんの会話の中に書かれていた弥一さんの言葉が心に残りました。
    「苦楽が合わさって、ひとつの人生になる。日月の

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    2025年07月19日
  • 水のかたち 上

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    「水の流れ」ではなく「水のかたち」。宮本輝の文章は優しい。老人の語り口のような安心感がある。「人生は恐れることはない。人間にはそれを乗り越える力が備わっている」こんなメッセージがあちらこちらにちりばめられている。平凡な主婦が、ひょんなことから、骨董品とそれにかかわる様々な人との出会いにより、齢50歳で、眠っていた才能を開花させていく、「まだまだ私も大丈夫」と勇気づけられそうな、楽しい話。心美しい主人公とそれを取り巻く人々の愛と癒しの物語。ほっこりしたいときに是非。

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    2025年07月07日
  • 潮音 第二巻

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    安政の大獄、桜田門外の変、寺田屋事件など、有名な出来事が次々に登場しました。その度に、幕末の不安定だった世の中に思いを馳せながら、心が痛みました。
    そんな状況の中で、薩摩藩と富山売薬人たちの深い繋がりが要所要所に読み取れました。この本を読んで初めて知りました。
    最終章の「禁門の変」では、薩摩藩を守るため富山売薬人たちが京都で壮絶な場面に遭遇し、命を奪われることなく無事に富山へ帰り着いた時には、ホッとして涙が出てしまいました。
    弥一さんや、彼を取り巻く人々(長吉さんや才児さん他、たくさんの仲間たち)が、とても温かくて魅力的に感じます。そして、弥一さん&お登勢さん夫妻の愛情の深さも随所に散りばめら

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    2025年07月06日
  • 潮音 第四巻

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    世は明治。富山の薬売り・川上弥一の周囲にも大きな変化が訪れ、その中で生きていることの意味を見失いかける弥一。しかし、そこから立ち直り新たなる船出へ。幕末維新を描いた著者畢生の大作・全四巻ついに完結。

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    2025年06月30日
  • 潮音 第三巻

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    いよいよ江戸幕府崩壊。激動の幕末京都に主人公の川上弥一がいる。富山の薬売りがいかなる活躍をするか、全3巻中もっとも手に汗握る一巻。そして、幕府崩壊後の商売のあり方を夢見るのがとても良い。アジア域内での貿易がこうした形で連続していくのだということを小説という形で示す好編であった。

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    2025年06月30日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    大阪千鳥橋・中古車センター編(伸仁16歳から17歳・高2から高3)

    房江さんの哀しみと諦めと、伸ちゃんの涙…
    第8部は、房江さんの気持ちに寄り添いながら読みました。
    城崎で自らの命を絶とうとした房江さんだったけれど、様々な要因(幸運)が重なり、命を救われました。
    人生には、「もしも、あの時〇〇だったら…」という偶然の巡り合わせがあると思います。房江さんが最期と決心して鰻重をお腹いっぱい食べたこと、麻衣子さんが家に引き返したことなど、色々なことが重なり房江は一命をとりとめました。
    これらは決して偶然ではないのかもしれないと、「流転の海」シリーズを読み重ねる中で感じるようになりました。

     (以

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    2025年06月14日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    大阪鷺洲・中古車販売のハゴロモ編(伸仁14歳から16歳・中3から高2)

    この巻で、私が一番心に残った熊吾の言葉は、ハゴロモの社員・神田三郎との会話の中にあります(p1 96)
    自分の鶏すき鍋が運ばれてくると、熊吾は焼酎の水割りを飲みながらトクちゃんが守屋忠臣の弟子となるために京都へ引っ越して行ったときのことを神田に話して聞かせ、「行」というものがいかに大切かを教わったのは十二歳のころだと言った。
    「ぎょう…?行なうの行ですか?」
    と神田は箸を置いて訊いた。
    「うん、その行じゃ。ひとつのことを実際にやり続ける。ひたすら、やり続ける。そういう意味では、わしは家庭の主婦というのはえらいと思うのお。

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    2025年06月12日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    大阪福島・シンエー・モータープール編(伸仁12歳から13歳、中1から中2)
    大阪、城崎で、様々な人たちの運命が絡み合うように物語が展開していきます。これから第7部、第8部と、城崎は注目すべき場所となっていきます。
    「流転の海読本」(堀井憲一郎著)で第6部の人物関係図を見ながら、一つ一つの場面を思い起こしながら、あらためて「流転の海」の面白さを実感します。
    中学生になった伸仁は、房江さんに対する言動も「思春期だなあ」と感じられる場面が見られます。一方で、モータープールに勤めている気難しい佐古田とも仲良く接するなど、伸ちゃんの人柄に温かなものを感じます。
    色々書きたいことが頭の中に充満してしまい

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    2025年06月11日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    尼崎・蘭月ビル編(伸仁10歳〜11歳 小4の終わりから小6)
    伸仁は、熊吾の妹・タネの家に預けられます。その蘭月ビルには、様々な事情を抱える人たちが住んでいて、事件が勃発したり、死人が出たり…そんな驚くべき環境の中で、伸仁は成長していきます。
    周りを惹きつける伸仁の人柄も、そこかしこで読み取ることができて、「伸ちゃん、頑張って〜」と心のなかで応援しながら読み進めていきました。
    その後、熊吾が大阪でモータープールの管理人となり、親子が再び一緒に住めるようになり、第6部へと続きます。

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    2025年06月07日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    富山編
    伸仁9歳(小4)
    大阪での不本意な出来事が重なり、親子で富山に移り住むことになったところから、第4部は展開していきます。
    富山の稲穂に囲まれた道を、熊吾と伸仁がサイクリングをする場面があります。折にふれて熊吾は伸仁に色んな話をします。
    熊吾が伸仁に語る言葉をノートに書き写しながら読みました。心にすっと入っていく言葉の数々は、私自身の生きる糧になっていると言っても過言ではないと思えます。
    「自分の自尊心よりも大切なものを持って生きにゃあいけん」(p64)
    「自分ができることは、ケチな料簡を起こさずに、親身になってしてあげにゃあいけん。見返りを求めちゃあいけんぞ。自分がしてあげたことに対

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    2025年06月06日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    第2部の舞台は、熊吾の故郷・愛媛の南宇和です。(伸仁が4歳から5歳まで)。
    病弱な妻子の健康を思って、事業の志半ばで郷里にひきこもり、伸びやかな自然の恵みのなかで、我が子の成長を見守ります。
    その郷里でも、増田伊佐男など、強烈な人たちが登場します。様々な人たちが関連しあって、目が離せない展開ですが、第2部でも熊吾の言葉に注目しながら、まとめたいと思います。
    (p46から)
    「世の中というものは、この天と地が、いっしょくたになっちょるようなもんじゃ。お前はまだチビ助やが、そんなお前の中にも、この空よりもでっかい宇宙がある。お前の中に、お天道さまも、お月さまも、ぎっしりつまっちょる」
    (p420か

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    2025年06月02日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    著者自らの父をモデルとした「松坂熊吾」の波乱の人生を、戦後日本を背景に描く自伝的大河小説・流転の海シリーズ(全9冊)。
    今年(2025年)の2月から3月にかけて、3度目の再読をしました。
    第1部は、終戦直後の大阪が舞台となっています。
    50歳で初めて授かった伸仁に深い愛情を注ぐ熊吾の言葉が、第2部以降もたくさん出てきます。
    心に沁みる言葉をノートに書き留めながら読み進めていきました。
    「お前が二十歳になるまで、わしは絶対死なんけんのお」
    「お前に、いろんなことを教えてやる。世の中の表も裏も教えてやる。それを教えてから、わしは死ぬんじゃ。世の中にはいろんな人間がおるぞ。こっちがええときは、大将や

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    2025年06月01日