宮本輝のレビュー一覧

  • 螢川・泥の河

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    確かに美しい文体で、イメージの中の風景も自分の幼少期が思い起こされる。
    今、考えると初恋だった近所の年上のお姉さん❗
    幸せになってたらいいなーと思いながら読めた作品

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    2023年10月08日
  • 螢川・泥の河

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    昭和30年代という戦後復興真っ只中の日本が舞台の小説。

    「泥の河」は、大阪で食堂を営む家族と、舟で様々な地域を転々としながら生活を営む家族との何か切なくなるような話。

    「螢川」は、富山に住む家族に降りかかる友人、親との死別などの悲劇、幼なじみとの淡い恋心を交えながら家族の揺れ動く心の描写に美しくも切なくなるような話。

    どちらの話も時代に翻弄されたが故に避けられない悲劇が描かれているにも関わらず、所々に差し込まれる風景描写が非常に美しく、とても惹きつけられるものがあった。古き良き時代のノスタルジーを想起させてくれる素晴らしい表現なので、風景描写だけでも読んで損はない小説。

    「朝陽はまだ姿

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    2023年10月05日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    前巻から、打って変わっての空気感。
    人生何が起こるかわからない。変転、流転は、常のものか。
    その中でも、変わらぬ己の特質がもたらす陥穽。

    行というものの大切さなども、物語の伏流の中で描かれる。
    銀行の空気や、ふとした瞬間に熊吾が思い出す、戦死した戦友たちへの申し訳ないという思いなど、今の時代に失われた日本の文化や教えというかなんというか、知恵?なのかを、うっすらと、されどさり気なく、伝えてくれる。

    伸仁の成長と、熊吾の衰え、そして暗雲立ち込める展開。
    最晩年にでも、破滅的な転落が起こりそうな予感。

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    2023年10月01日
  • 灯台からの響き

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    幸せは気づくもの。
    何でもない日常、それとなく過ぎてゆく日々。そこに確かに存在する自分。現在の自分に至る人類の永きにわたる生の継承。それは宇宙の歴史におけるほんの僅かな一瞬。その永遠と瞬間の交わりの中に在ることを尊いと思える心の持ち様。それこそが幸せの本質ではないかと思います。
    変わらぬ事こそが変わっている証。取り巻く環境の変化に添っているからこその変わらぬ様。灯台から多くの響きをいただきました。そして「まきの」の中華そばからも。

    主人公康平と彼を取り巻く人々との何気ない会話は名言の宝庫。その会話に散りばめられた一つひとつのセンテンスが心に響きます。中でも康平と新之助のやり取りは何とも言えな

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    2023年09月30日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    時代の息吹を感じられる。
    歴史的な経緯を庶民のその時大阪にいた人間として追体験できる。
    生半可な現代史よりもリアル。学問では、知ることのできないもの、知覚できないものを、表現している。文学というフォーマットで表現できるものがあることの実例かも。

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    2023年09月24日
  • 三十光年の星たち(下)

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    仕事にどう向き合っていくかを考えさせられた。
    とてもいい意味で、3年で1人前という考え方が覆される。自分がどんな大人になっていきたいか、どんな生き方をしていきたいかという、大きなことを問いかけてくれる本。
    20代で出会えて本当に良かったな。
    人生の分岐点で、必ずまた読み返すだろうな。

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    2023年09月20日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    凄惨な人間生活。
    熊吾の激しさ(暴力と経済力)が、そして運が回復してきたように感じる。
    それと対になる、蘭月ビルの人々の生活。破滅的な生き方をする者、他人の生き血を吸う者、そうした生活の中でも文化的に精神的に生きる者、ぐれずに育つ子供たちの純真さ。
    人間と人間の打ち合いの中で鍛えられる伸仁。

    コンプラや、多様性、パワハラはなどなどは、大切なことだが、他方でこうした人間との打ち合いによる鍛え方の機会をなくすのかも知れない。だが、果たして、人間のそんなものが無くせるはずもなく、綺麗事とお題目だけで、楽園を実現することもできない。自分の中にも、そうした闇はあるし。自覚できない中で。。
    そうした人間

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    2023年09月19日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    自尊心より大事なものを持たねばならない。

    富山へ移った松坂一家。
    様々な苦難が降り注ぐ。
    その中で、地味溢れる言葉に溢れている。

    徐々に苦しくなる熊吾と家族。追い詰められて来ているが、その中でどう生きていくのか。。

    熊吾のパワーが落ちて来ている感じもある。
    そして、人間の悪意や行動も、善悪ではなく、一つの自然現象なのかも知れない、という印象が浮かぶ。

    後書きで、今後の描かれる内容にも期待が高まる。どの様なことが生じるのか。早く次が読みたくなった。

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    2023年09月17日
  • 青が散る(下)

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    ネタバレ

    主人公は大学でスポーツに打ち込み友人たちに囲まれ、一見リア充のようにも見えるが、本気で惚れた女には言いたいことの半分も言えない、今の何者でもない自分に対する不安にただ今はテニスに直向きに打ち込むしかないという部分にはいじらしさや青春の影を感じた。
    主人公はその潔癖さ故に結局は夏子を受け入れず、主人公だけが最後まで若者だった。しかしそれも直ぐに喪われてしまうのだと思うとなんだか切なくなった。

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    2023年09月13日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    人間を具に、描いていくとこういう小説になるのか。
    テーマが分からないと思っていた。夫婦、親子、商売、戦後の社会、人間関係、親子関係、恋愛、任侠、などなど色んな要素が描かれていく。どの表象も、人間がおこすこと。自らの意思であったり、抗えない環境や抑えられない衝動だったり、そんなもの全てがごった煮である人間(ジンカン)の中で、人間(にんげん)がどう生きていくのか、子どもを育てる親も人としてどういう存在なのかが、描かれていてる様に感じる。
    そうして人間を見つめていくと、今流行りのダイバーシティ&インクルージョンに通ずるセリフが出てきたり、人情は哲学の範疇に何故入っとらんのかという言葉が出てき

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    2023年09月12日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    人間の複雑さ、極まれり。ゴタゴタとした中で、徐々に熊吾が、房江の人物が立ち上がってくる。

    感動的な場面があったかと思うと、裏切る様に短絡的に動く熊吾。支離滅裂で、非常に賢いところと、非常に愚かなところと。様々な感情と側面が同じ人間の中に同居しており、そんな人間が集まって、すったもんだしている。

    いっ時の言動は、大事だが、それらは表層的なものであり、それらを生み出す性分、変えられない業が人間にはあるということか。

    作中で、宿命、環境、自分の中の姿を見せない核という、三つの敵について熊吾が考察するところが秀逸。人間の言動は、意識的なものだけでなく、これらによって影響制限を受けていることを、自

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    2023年09月10日
  • 優駿(下)

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    最後の最後まで、どうなるかわからない小説だった。
    様々な人の細かい心の揺れ動きが積み重なり、最後のオラシオンのダービーで集大成を迎えるという構成で、自分も物語の一員になったかのような読後感だった。
    佐木がミステリアスなままだったが、彼には幸せになって欲しいと思う。

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    2023年09月08日
  • 海岸列車(下)

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    この本を読んだのは20年くらい前で、読んだ後に鎧駅に行った。それだけでも人生に何らか影響を与えてくれた本だと言うこと。あとは宮本輝の後書が良かったという印象。

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    2023年08月22日
  • 優駿(上)

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    冒頭で産まれた仔馬を軸に、様々な登場人物が多重構造になって物語を重ねていく。
    馬に関わる人々の生い立ちや心情が細やかに描かれている。
    競馬に全く興味がなくてもスラスラと読み進める。
    上巻ラストの、突然の事件が衝撃的。下巻は一気読みしそう。

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    2023年08月19日
  • 優駿(下)

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     人が生きていくには、重要な決断がいる時がある。和具平八郎は、最初の会社のピンチで、資金が足りない時に、手元にある金を競馬に注ぎ込んで、勝つことで会社のピンチを切り抜けた。運を天に任せる野蛮な勇気がある。その競馬で負ければ、会社も倒産していた。そして、会社の規模は大きくなり、今度は大きな会社に吸収合併される事態を迎える。思い切ってリストラするのか?倒産するのか?吸収合併されるのか?悩み続ける。日本の中小企業の経営者は、そんな悩みを常に持っているものだ。なるべく職員を残して、自らが退任する道を選ぶ。
     和具平八郎は、オラシオンの馬主である。そのオラシオンを手に入れたいがために、平八郎の会社を乗っ

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    2023年08月17日
  • 愉楽の園

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    バンコクでの話し‥そこに住んでいる
    日本女性バンコクの政治家との恋愛‥
    色んなことがあり読みごたえあり

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    2023年08月08日
  • 青が散る(下)

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    最初は大学生たちの青春群像劇かーと思っていたが、登場人物たちの青春の葛藤の影の部分が読み取れると、とても面白い。
    彼らの将来がとても気になる読後感で、余韻も楽しめる。

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    2023年08月07日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    この物語は愛媛県南宇和、城辺の熊吾の
    故郷での物語。伊佐男と言うならず者が
    小さい頃に怪我をさせられたらことを
    根に持ち嫌がらせをしたりする。
    所々熊吾の行動が可笑しくて笑ったり
    しました。この人の本は3冊目、
    面白かった

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    2023年08月06日
  • 睡蓮の長いまどろみ(下)

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    上の続き‥
    母親と父親の過去には色んなことがあり
    息子の順哉。母親に会いたい気持ちと
    知りたい気持ち‥母親は息子だと一目見て
    分かった。やっぱり離れてても
    分かるのだなぁと思った。蓮と睡蓮の違い‥

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    2023年08月02日
  • 睡蓮の長いまどろみ(上)

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    この方の作品は初めて読みました。
    母親と会うシーンや事件に巻き込まれて
    しまう。続きが早く読みたいです。

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    2023年08月02日