宮本輝のレビュー一覧

  • 満月の道―流転の海 第七部―
    満月の道

    熊吾が、柳田のモータプールの管理人と並行して始めた中古車販売の「ハゴロモ」は、予想以上に繁盛しスタッフの増員を余儀なくされ四十五歳の玉木則之と二十二歳の佐田雄二郎を新たに雇い入れる。

    一家は、ゴルフ場建設に意欲を燃やす柳田の要請で、もう一年モータープールの管理人を続ける事となるが、房江...続きを読む
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―
    柳田元雄の元で、3〜4年の期限付き経営者となった熊吾。
    房江は忙しさに追われながらも更年期の症状から解き放たれる。
    伸仁は私立中学に合格し中学生となるが、その成長の遅さに不安を感じた熊吾は伸仁の身体の全てを小谷医師に託す事に。

    一方、熊吾の新事業の援助を約束した亀井周一郎は、社長の後任に据えるはず...続きを読む
  • 優駿(下)
    サラブレッドに関わる人々の思いを感じる事ができる作品。生産者の、願い(祈り)や血統への期待、未来への想いが伝わり、読後はより深く「競馬」というブラッドスポーツを楽しめるようになること必須。上下巻に渡る長編だが、中弛みする事なく最後にピークを持ってくる内容は圧巻。ダービー前のこの季節にぜひ!
  • 花の回廊―流転の海 第五部―
    この物語は、
    なぜこんなにも惹きつけて止まないのか…

    一部・二部の頃の、房江に向けたクソのような暴力には、嫌悪感しか覚えなかったけれど…。

    陰と陽。
    正と負。
    相反する両極の性質を内包する、
    人間というもの…

    主人公・熊吾の卓越した洞察力。
    そして、年齢・性別・国籍・身分を問わず自分間違いは素...続きを読む
  • 錦繍

    互いでしか癒せない孤独がある_
    ふたりが抱える孤独を癒したとき
    ふたりを包む世界が輝きだす



    愛し合いながらも離婚した男女
    一通の手紙から始まるふたりの愛と再生の物語_



    互いのさまざまな感情が 文通を通して
    過去~現在~未来という色糸で織りなされ
    読み終わる頃には美しい金色...続きを読む
  • 螢川・泥の河
     1947年生まれ、宮本輝さん。芥川賞作家で好きな作家さんです。まさに、純文学と言った作品を書かれると思います。作風は変化するでしょうけど、この頃の作品が気に入っています。「蛍川・泥の河」、1994.12発行。「泥の河」は、太宰治賞。小学2年、うどん屋の信夫の「廓舟」の喜一(小2)、姉の銀子(小4)...続きを読む
  • 螢川・泥の河
    太宰治賞を受賞した泥の河と,翌年に芥川賞を受賞した螢川のカップリング.恥ずかしながら宮本輝を読んだのは初めてだが,美しいですね.
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―
    我が人生のバイブル(笑)
    「流転の海」第四部

    気の遠くなるような長旅を経て富山へと辿り着いた松坂一家を出迎えたのは、想像を絶する豪雪と先行きの不安を暗示する高瀬夫婦の応対だった。

    程なく、
    高瀬勇次の人間を見誤っていた事に愕然とする熊吾の元に、河内善助の急死の知らせが届く。

    河内の告別式の為に...続きを読む
  • 血脈の火―流転の海 第三部―
    「流転の海」第三部。
    舞台は再び大阪に。
    しばしの休息を経て自らの戦場へと戻った熊吾は、時代の先行きを読む確かな感性で、中華料理屋「平華楼」、雀荘「じやんくま」、きんつばの「ふなつ屋」等次々と事業を起こし軌道に乗せる。

    だが…

    伸仁が死にかけた近江丸事件を皮切りに台風による高潮の被害で大金を失い...続きを読む
  • 五千回の生死
    情景がありありと目に浮かび、心にグサグサくる素晴らしい文学。「死にたい」と「生きたい」が交互にくる現象を「お前はどうや?」って人に確認したくなるの、すごいわかる。1日に五千回もきてるかはわからないけど、わかる
  • よき時を思う
    近江八幡の90歳の徳子ばあちゃんが記念に晩餐会を開きたいと言う。京都の高級レストランでかなり金をかけて。東京で暮らす孫の綾乃から見た家族たちの人生。

    素晴らし過ぎる。徳子ばあちゃんがステキだ。大らかなのに細かい所に目が届く。どういう小説なのか説明しにくいが、宮本輝らしい、人生賛歌だった。輝作品読み...続きを読む
  • 錦繍
    手紙のやりとりの中で繰り返されるフレーズが読後も心に残っています。
    人生の節目のたびに読み返したいと思える一冊でした。
  • 錦繍
    はじめの1ページ目から、あまりの日本語の美しさに泣きそうになった。何度開いてみても、1ページ目に感動してしまう。いつか冬の蔵王に行ってみたい。
  • 錦繍
    離婚し別の道を歩んでいた夫婦が10年ぶりに偶然再会し、その後の手紙の往来により物語が進む。二人を引き裂いた事件の裏側、その後の人生、今、そして未来に向かう男女の心情が文学的で美しい。
  • 草花たちの静かな誓い
    カリフォルニアの景色を思い浮かべながら読み進められた。宮本輝さんは実際に行ったのかな?

    話は失踪した従姉妹の事が徐々に明らかになっていく事を軸に進められいる。
    最後までドキドキしながら読み進める事ができた。

    宮本輝さんの作品にはシチューだとかスープで商売を始める描写が多いのですが、今回もありまし...続きを読む
  • 三十光年の星たち(下)
    20代のうちに読みたかった。
    人に勧めると説教くさく捉えられるかな。ただ純粋に、これからの人生にあかりを灯してくれるような作品でした。
  • 流転の海(第一部~第九部)合本版(新潮文庫)

    死ぬ前に完結して良かった!

    さっき調べてみたら、書き始めたのは自分(私)がまだ小学生の頃で、腰が抜けるほどビックリしました!
    それで完結が2018年…。まだ4年ぐらいしか経ってないじゃんよww。

    著者曰く「最初はもっと早く書き上げる予定だったし、巻数ももっと少ない積もりだったんだけど…」と、いつだったかお話ししていまし...続きを読む
  • 錦繍
    『往復書簡が紡ぎ出す、生きる意味と未来への希望』

    元夫との偶然の再開をきっかけに始まった往復書簡。過去の事実、現在の状況を分かち合う中で、生きる目的と未来への希望を抱いていく様を描く。始めはドロドロの愛憎劇かと思いきや、とても綺麗なエンディングに、心揺さぶられた!
  • 焚火の終わり 上
    1997年作品。著者の作品が好きで、よく読みます。この作品も好きです。著者の書く関西弁が心地よいです。文章も美しい。作品はサスペンス仕立てで、ページが進みます。真相が、どのように解明されていくのか興味深いです。主人公の二人が魅力的です。特に美花。同性愛や兄妹かもしれないのに惹かれ合う二人。性的な描写...続きを読む
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)
    読み終わってしまった(涙)
    50うん歳になる令和の4年まで、ずっと流転の海を読まずにおりました。
    なんとこの文庫本の発売が令和3年。
    一巻目の発売から出会っていたら読み終えるまで37年の間、心の片隅にあった本だったかもしれない。
    大好きな青が散るをまた読もうと思います。伸仁がモデルの青が散るも、流転...続きを読む