宮本輝のレビュー一覧

  • 水のかたち 下

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    ネタバレ

    主人公と同じ年代というのもあり、久々にのめり込んで読んでしまった。人にはそれぞれ考えや歴史があり、それを纏って生きている。それを誰にいうでもなく自慢するでもなく嘆くのでもなく。
    なのに見た目や振る舞いだけで人を判断していた主人公はそれを後悔をしていた。それは自分にもある性質なので主人公とともに反省をした。

    後半の、終戦後の北朝鮮からの脱出劇は、実際に経験された方から伺った内容をもとにしているとのこと。なので読むのがとても辛かったし、とても恐ろしかった。

    この「水のかたち」は宮本輝氏の作品の中でも私にとって感銘を受けた作品の上位になった。
    (おこがましくてすみません)

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    2024年10月03日
  • 三十光年の星たち(下)

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    三十年後を目指して、自分の人生を懸命に作り始める青年。
    そんな苗木と、それを支える添え木たちの優しい物語でした。
    下巻も素敵な言葉が散りばめられてます。
    宮本輝さんの小説、やっぱりいいなぁ。
    次は『ドナウの旅人』を再読しよう。

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    2024年09月22日
  • ドナウの旅人(上)

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    上下巻と長い物語。最初は挫折しそうだったが読み進めるうちにどんどんひきこまれた。感想は解説に集約されていた。

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    2024年09月20日
  • 田園発 港行き自転車 下

    ネタバレ

    幸せな主人公

    読む人によって誰が主人公になるかは、変わってくるのだろう。
    タイトルを見る限りそれは直樹ではないような気がするが。

    社会と親族の荒波を乗り越えてきた直樹の実力と人を見抜く力は凄いのだが、平岩によってこの登場人物の多くは、幸せと成功を掴む。なんという大きな人間であろうか。
    そして、それによって奇しくも自分自身か最高の人生へと昇華されていく。
    彼にとっては幼くして亡くなった息子の分身でもある佑樹と2人で歩く至高のひととき。
    自身が生涯をかけて取り組んだ仕事を、はからずも1番認めてくれた佑樹との会話。そのシーンがしっかりと読者には見えたのではないだろうか。

    それにしても、直樹はなんと幸せな人なの

    #感動する #泣ける #笑える

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    2024年09月16日
  • 田園発 港行き自転車 上

    ネタバレ

    えにし(縁)の不可思議

    何という素敵な本!
    何度も泣きました
    何度も笑いました
    そして
    何度も幸せになりました

    佑樹のような誰にでも好かれる人に
    海歩子のような聡明な人に
    夏帆のような心優しい人に
    千春のように素直な人に
    平岩のような実直な人に
    私はなりたい
    次々に出てくる主な登場人物全てに憧れます

    宮本輝様
    1日でも長生きしてください
    まさに更賜寿命!!
    どうか1冊でも多くの'奇跡'をこの世に残してください

    #ハッピー #泣ける #深い

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    2024年09月16日
  • 灯台からの響き

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    板橋にある、本屋イトマイで購入。
    その時は、旅行に出かけることが多くその移動中に読んでいました。灯台を目指す主人公と自分が重なり、一緒に旅している相棒のようでした。
    旅のお供にぴったりの一冊です。

    心も温まり、最後のシーンは感慨深いものがありました。

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    2024年09月09日
  • 三十光年の星たち(上)

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    日常生活に疲れてしまい、宮本ワールドに浸りたくて再読。
    心の優しい人たち、美味しそうな料理、京都の街並み、付箋を貼りたくなる言葉の数々…。
    とても心地よい時間を過ごせました。
    下巻もゆっくり読み進めたい。

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    2024年09月06日
  • 灯台からの響き

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    今回も寸胴出てきた!!今回は中華のスープだった。
    それはさておき。ロードムービー風の展開でどの場面もワクワクし、灯台の情景を思い浮かべることができた。読み終わって清々しくなれる作品だった。

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    2024年09月01日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    何が起きても、大した事ありゃあせん。
    50歳、70歳になった時にもう一度読み返したい。
    私も、人間臭くて、かっこつけて、誰かの心に残る、そんな人生を歩んでいきたい。

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    2024年08月01日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    人を傷つける覚悟とは、最悪傷つけた人が死ぬ覚悟をもつことだと思う。そんなつもりはなかった、は通じない。不倫は誰も幸せにならない。

    人生で自立すること=経済的自立は重要な視点。まずはこの条件が成立することで、ようやく精神的自立に繋がるのだろう。

    最終巻が楽しみだ。

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    2024年07月27日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    久々の流転の海シリーズ読破。
    宮本さんの文章は、すっと頭に入ってくる。
    五感で感じ取れる文章というのだろうか、まるで自分がその世界にいるかのような錯覚を覚える。
    物語としての面白さとは別に、文章の書き方がすごいなぁ。
    女に溺れ、金を使いすぎ、社員に裏切られる、波瀾万丈すぎるが、そこが面白い。

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    2024年07月21日
  • 真夏の犬

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     九つの短編からなる短編集です。最初に文庫化されたのが1993年なので、もう31年も前に書かれた作品です。
     宮本輝さんの師匠?だった池上義一さんから「いい短編が書けない作家は信用するな」と言われ一念発起し短編に挑戦し、何度も何度もダメ出しされた末にようやくOKをもらって出来上がった作品なんだそうです。
     解説は森絵都さんで、宮本作品を読む理由について次のように書かれていました。
    (すごく端折ってしまって申し訳ありません)
     『インスタグラムだとかSNSには明るく楽しげでポジティブな人々の営みがさらけだされているけど、私たちの日常はそんなに明るく楽しいのだろうか?宮本作品には、何も気取っていな

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    2024年07月11日
  • 花の降る午後

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    752

    476P

    宮本輝
    1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生れ。追手門学院大学文学部卒業。広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため二年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。『道頓堀川』『錦繍』『青が散る』『流転の海』『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』『にぎやかな天地』『骸骨ビルの庭』等著書多数。

    花の降る午後 (角川文庫)
    by 宮本 輝
    八月に入ってから、典子は、昼食兼用の食事をとる前、アヴィニョンから不動坂を降り、北野坂に曲がって山手幹線の手前まで行き、思いきり足を上げて速歩で二往復することを

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    2024年07月04日
  • 真夏の犬

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    昭和30年代とおぼしき大阪の貧しい界隈を舞台にした9篇の短編集。
    今の時代より明らかに貧しいはずなのに活気溢れる人物達がたくましく生活している。
    「真夏の犬」熱中症なんて言葉がなかったあの頃、中2の僕が父親から廃車置き場の見張り役を命じられる。うだるような暑さ郊外の何もない場所での孤独感。昼食の弁当を狙ってくる野犬の集団。帰りのバス停までの道のりで見かける年上の女性。帰らない父親。

    「赤ん坊はいつくるか」夏にててなし子を孕んだ女が始末に困ってこの川に捨てるのだ。花札賭博に負けたのち長さ25cm幅17cmの背中の般若を切り取られた般若のおっさん。不妊の末病んでしまった妻の為に生まれたての赤ん坊

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    2024年06月20日
  • ドナウの旅人(下)

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    ネタバレ

    お母さん(;;)
    余韻が素敵すぎる、出会えてよかった作品。
    ドラマ?があると知り、見てみたいと思ってます

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    2024年06月11日
  • 優駿(下)

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    ネタバレ

    感想
    読み進めていくうちにどんどん続きが気になる展開だった。オラシオンという馬にかけた様々な人々の夢を見た。最後の最後まで分からない展開にシビれた。

    ノーザンダンサー、プリンスリーギフト、ボールドルーラー、ダビスタ思い出す。種付けの方法が原始的なのにびっくりした。また、種付けが不発に終わるとお金がパァになるギャンブル性を含んでいることから、生産者の方もヒヤヒヤと、期待が入り混じった思いがある。人工的だが、自然も相手にする難しい競技だ。

    あらすじ
    オラシオン号は3歳になり、吉永ファームで育ったことにより、立派な馬体になっていた。吉永会長は博正に、馬に良い環境を整えることで馬が強くなると教える

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    2024年06月11日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    ついに8巻まで読んだ。長かった。あと一冊で終わりかと思うと、とても寂しい。
    登場人物の何人かのことは忘れてる。
    仕方ない。
    でも何十年もかけて書かれた長いものがたりを、ぼくは二年かけて読んでいる。駆け抜けるような速さなのかというとそうでもない。
    ぼくは読むのが遅い。

    話は、中古車センターを立ち上げるところから、板金屋を売りに出すところ。
    案の定というかなんというかお決まりのドラえもんのエンディングのような、裏切りや逃げられたり、しょーもないことが発覚したりするわけだけども。それすらも日常のなかにあってなんかおもろい。
    この8巻での房江の心理描写がとても好きだ。

    いきるとはなにだろうか。

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    2024年05月23日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    現在松坂熊吾ロス状態。
    37年かけた小説が遂に完結。37年ですよ、完結を待たずに亡くなった方もいらっしゃるでしょう。筆者自身も申し訳なかったとインタビューに答えておりました。そう思うと私は運が良かった。
    偶々この小説を知ったのが50歳になった昨年で、第一部の感想にも書きましたが、主人公松坂熊吾も同じ50歳、時代背景が全く違いますが、何か運命を感じて読み始めた結果、私自身にとっては今後生きていく上での大きな指標となりました。

    筆者自身の父親を元にした自伝的大河小説、実際は3分の1ぐらいが実際に起こった事で後は創作と言う事です。それにしても魅力的な登場人物、そして彼ら彼女らの生き様を見ますと全て

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    2024年05月23日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    北朝鮮へ日本人が自ら行くような時代があったのかと、驚いた。市井に根付いた歴史観を学べるのも本書の魅力ではないだろうか。ついに6巻。毎度、面白い。

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    2024年05月21日
  • 水のかたち 下

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    一つの茶碗を手にしてから人との縁や繋がりが広がり続けて、様々な人と接する事や様々な事が日常に起こるけれど主人公は自分という尺からは無理をして逸脱せずに、常に自分というものを大切にしている。主人公はその素晴らしさに気がつかないが友人はそれを感じて影響を受けて、人生の捉え方や生き方が変わっていく。
    人との繋がりの中で、戦後の壮絶な経験をしながらも自分の信念を変えずに人々を救った名もなき人の事も知り思いを馳せる主人公。
    そのどれもに私は感情が動かされました。

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    2024年04月18日