宮本輝のレビュー一覧

  • 優駿(上)

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    1987年吉川英治文学賞受賞

    個人的宮本作品金字塔。
    人物の主観が章ごとに変わり2回転ほどする。
    どの章も生への執着が強く感じられとても良かった。

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    2022年09月03日
  • 水のかたち 上

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    ネタバレ

    評価が1から5まであって驚く。

    骨董の価値はその人が決めたそれで良いというのと同じだと思った。 本来の価値とは違う次元の価値。

    志乃子の価値を見誤ったのは すべての読者ではないかと思う。それを後半覆される。 どこにでもいる普通の主婦のはずだったのに。

    「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀ただしい。」
    これが水のかたち。

    ちょっと都合が良すぎないか?と誰もが思うだろう幸運が押し寄せているが 志乃子はずっと続くなどとは思っていない。

    たとえば 今 当たり前に思っている日々の出来事も 思い上がり故に当たり前に感じているのかもしれない。幸運なのだ。

    もう一つの文机に関わる話は実話であることに驚愕する。 実際に経験した方々の口は重い。

    偶然と必然、 どちらが意味があるのか時代によって扱われかたが変わったように思う。

    白ナマズ 純白の鳥 『劫』 長い長い時間の持つ意味。

    「信じると決心したら信じられるようになっていく。」

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    2020年02月23日
  • 星宿海への道

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    「星宿海への道」
    読み終わった後、鳥肌がたつような一冊。

    弟の語り口から壮絶な過去を持つ兄との回想シーンから始まる。
    全ては繋がっている。
    輪廻転成や縁を感じずにはいられない。

    本来の星海宿、兄が想う星海宿。
    母が見た星海宿、全てはつまるところ繋がっていた。

    家族というものをもう一度じっくり考えてみたい人におすすめ。

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    2019年12月30日
  • 星々の悲しみ

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    タイトルにもなっている「星々の悲しみ」が一番印象に残ったが、他の作品もいずれもとても良かった。
    宮本輝の小説はどれも叙情的で少し物悲しくて、でも読後は胸にストンと落ちてくるような不思議な気持ち良さを感じる。その感覚が癖になってどんどん読んでしまう。
    読んでいると自然と「生と死」について考えさせられる。死は容赦なく誰にでもやってくる。同じ死でもやはり若い人が死ぬのはとりわけ辛い。日々後悔のないように生きなければならない。

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    2019年11月24日
  • 田園発 港行き自転車 上

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    物語は15年前カガワサイクルの社長が出張先とは関係のない富山滑川駅で病死した先を娘と友人が辿る旅から始まる。

    北陸街道を自転車で巡る様子、富山湾やそれぞれの港町、そして黒部内陸の田園風景、川にかかる愛本橋の姿。
    行ったことのない見たことのない場所を地図を広げ確認して想像することが楽しくなる。父の死の謎は下巻に続くがこの本の素敵なところは風景描写と土地の空気感がそこかしこの文章にあふれているところです。
    下巻が楽しみ。

    京都の花街の描写も読んでいてあれこれ思います。

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    2019年11月20日
  • 青が散る(下)

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    上巻よりも下巻のほうが面白い。下巻のために上巻を読むべき。読後感:切ない。大人でも子供でもない、ある一定の期間だけに許される感情が描かれている。

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    2019年11月02日
  • 春の夢

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    忍耐の大切さを教えてくれる。また読みたい。青春のエネルギーと不安定感。ふとしたときにあの世に一歩踏み出してしまうかもしれないような危うさと、その中でも何がなんでも生きてやろうという熱情と。

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    2019年10月27日
  • オレンジの壺(下)

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    祖父が秘めていた秘密をなぜ佐和子にだけしか糸口を開かなかったのか、彼女の生き様や性格を見ていれば納得できるような気がする。
    彼女は情に生き、祖父が犯した罪をすべて溶かしてくれるような人物だと思う。すべてを許し、人のためを思う考えを持つ彼女だからこそ祖父は秘密をあかしたのではないだろうか。
    マリーのその後、佐和子と滝井、ドイツ人娼婦、なぞはたくさんあるが著書がそれを読者に投げかけている終わり方。マリーやアントセンに会わずじまいだったが、それが彼女が考える今一番いい終わり方だったんだろうと思う。思い出したくない過去としてマリーたちをそっとしておくことも彼女としての気遣いだったのだろう。

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    2019年10月21日
  • オレンジの壺(上)

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    自分の離婚をきっかけに、祖父との日記との距離を縮める。なぜ祖父が佐和子だけにしか自分の秘密をみられないようにしたのか。祖父が佐和子に知ってほしかった秘密とは。秘密と謎が佐和子を闇に引きずり込む。その闇に佐和子は夢中になっていく。

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    2019年10月21日
  • 愉楽の園

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    私はこれまでに7度タイに行ったことがある。
    この小説を読んでタイで過ごした気分になり読み進むのが楽しみでしょうがなかった。
    タイの暑さや湿度や匂いまでも感じられるような気がした。
    単なる恋愛小説かと読んでいると不思議な人物や出来事などミステリーにも思えてくる。

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    2019年09月23日
  • 錦繍

    購入済み

    映画化されることを期待します、

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    2019年09月06日
  • いのちの姿 完全版

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     エッセイでありながら小説的でもあり、それらの境目を不思議な感覚で味わえる一冊でした。19編それぞれに描かれた生と死が様々な表情を見せてくれます。ほほえましかったり悲しかったり、切なかったりやさしかったり、ときには恐ろしかったり不気味だったり。
     お気に入りは『パニック障害がもたらしたもの』です。私もパニック障害(と併発していたうつ病)に苦しんだ時期があり、共感したとともになにか救われたような気がしました。宮本輝さんが出会ったお医者さんがおっしゃっていたという「天才は、ほとんどこの病気を持っています」という言葉を鵜呑みにしようかなと思います。できる限りストレスを少なく、もっとシンプルに生きていきたいです。
     解説の行定勲さんとの対談番組(「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」)も以前に拝見しました。むしろそこで初めて宮本輝さんを存じ上げ、そのときは「ゆるい雰囲気がなんとなくすてきな人だなあ」と感じただけなのですが、その後に短編集である『星々の悲しみ』を拝読して虜になりました。
     この『いのちの姿 完全版』は、宮本輝さんの他の小説やエッセイをもっと楽しみたいなと思わせてくれる作品です。この一冊に出会えてよかった。

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    2019年08月19日
  • 優駿(下)

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    メモりたくなるような指南がたくさん出てきました。宮本輝の小説はそんなことがたくさんあります。ストーリーも楽しく読ませて頂きました。

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    2019年08月11日
  • 優駿(上)

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    面白くどんどん読めた。久々の宮本輝、やっぱりいい。騎手も大変な稼業だな。引き込まれて読んだ。勝ち負けの世界に身を置くのは厳しい。強くないと生きていけない。人間のイヤなところ、汚いところ、あぶり出されています。

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    2019年08月09日
  • 花の降る午後

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    誠実でまっすぐで聡明な主人公の典子。
    亡き夫への想いを胸にしまいながら、神戸の老舗レストランを切り盛りしていく姿、周りの人を大切に愛していく姿は誰もが幸せを願いたくなります。

    偶然にも私と同い年の主人公。この年の女性が感じる正直な思い、若くもなく年寄りでもない自分。恋でも仕事でも何かを新しく始めるには遅いような、でもこの歳になっても1人の女性であることは変わらない気持ちを持っているということに自分自身も戸惑ったり罪悪感を感じたり自制をかけている姿は歯がゆくもあり共感できることでもあります。

    たくさんのストーリーが折り重なっており結末が分からない箇所もあります。それでもこの物語を読んでいると、主人公や周りの人の生き方が手に取るようにわかります。読者が感じるその後の結末もおそらく作者の思惑と一致しているのではないでしょうか。

    久しぶりに一気に読みたくなる本に出会いました。

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    2019年07月15日
  • 星宿海への道

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    中国旅行中にタクラマカン砂漠近郊の村から、自転車に乗ったまま忽然と姿を消した瀬戸雅人。

    物語は、雅人の2歳年下の弟・紀代志と、彼の子を身ごもった千春の視点で進んでいく。

    雅人は彼が8歳の時に、瀬戸家の養子となった。

    それまでは、盲目の母と橋の下で物乞いをしていた。

    母の死をきっかけに、紀代志の両親が雅人を養子にしたのだ。

    進学を勧められながらも、中学を卒業してタツタ玩具に就職して30年以上。結婚もせず、地道に、地味なおもちゃを売って生き抜いきた雅人。

    雅人が少年の頃から憧れていた「星宿海」。

    そこから遠く離れた場所で、彼は突然に姿を消した。

    「もし子供が女の子だったら『せつ』という名前をつけたいと思います」

    「せつ」は雅人の実の母の名前。

    宿命に翻弄され、どん底のような境遇にありながらも、強く明るく生き抜いた母子。


    弟の紀代志が、恋人の千春が、雅人の人生をたどっていく中に、幾重にも深い人生の様相が見えてくる。

    宿命の嵐に晒されても、人は生き抜いていく。

    人間をだますのも人間。だが、人間を救うのも人間だ。

    胸の奥に手を入れられて、心をがっちり捕まれたような重さがこの小説にはあった。

    宮本輝の人間賛歌、ここにあり。

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    2019年07月12日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    いよいよ物語も佳境に入ってきた。ハッピーエンドではないのかもしれないけれど、完結が本当に楽しみ。どんな一文で締めくくるんだろう。

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    2019年06月30日
  • 私たちが好きだったこと

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    ネタバレ

    感想というか好きな部分。

    「個人のプライバシーに唾吐いて、言いたい放題、書きたい放題。それを読むやつも、なるほどそうなのかと、いとも簡単に信じ込む。どいつもこいつも、口舌の徒になる。俺は、そんなふうになりたくないんだ。逢ったこともなければ、話をしたこともない人を、誉めたり、けなしたりするのは犯罪だよ。

    コオロギもカブトムシも、鮭も鯨も、雀も鷲も、みんな子どもを産む。どうして人間だけ子供を産むことに不自由になってしまったのだろう。命、ばんざいだ。ばんざい、ばんざい、おめでとう。

    時間も偶然も金では買えない。でも、命も金では買えない。金で買えないもののために、金が必要なんだ。金ってやつは、金で買えないもののために真価を発揮する。

    物の秩序は、その膨大な数が偶然の疫病と季節の無慈悲からではなく、産むと同じように、激しく破壊する避けがたい運命のために殺され滅ぶことを求めているのか、私にはわからない。

    俺は、騙してくれって言ってんじゃないよ。嘘をつくってことと、本当のことを口にしないってこととは違うんだ。自分の胸に収めて、黙ってられるかどうかが、人間としておとなかどうかってことだろう?

    他人によって傷つけられるものは自意識だけだ」

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    2025年10月05日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    蘭月ビルが中心に展開する。伸仁の体験はすごい、としか言いようが無い。同じ年代の娘が私にもいるが、とても伸仁のような人生経験はさせられていない。

    この小説は大河だ。大きな流れの中で、読者はストーリーに迫ったり、離れたり。私自身も読み始めてから、相当な時間がかかってしまっている。

    一つには、何か悪いことがあると、切なくなり、しばらく読み進められなくなってしまうのだ。しかも前触れも無く、いきなり悪いことが起こるのが、この流転の海である。

    今回はモータープールの話が進む。少しずつ前に進み始めている熊吾たちの生活。すでに全10巻が完成している。次はすんなりと読み進められるだろうか。

    このような小説とのつきあい方も、実は楽しみの一つだったりする。つまり時間の流れを味わうという意味で。

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    2019年01月15日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    カンタンな流れで言うと、大阪に戻ってきて、中華料理屋、雀荘。消防のホースの修繕。プロパンガス。きんつば屋。と仕事を変えていく。台風などいろんな事件があって、うまくいかないが、松坂熊吾のアイデアと実行力で次々と新規事業をモノにしていく。

    個人的には、松坂熊吾の糖尿病発覚が大きい。伸仁は7歳にしてヤクザと賭けマージャンをしたりストリップ嬢に花束を贈ったりしている。さらに義母の失踪、杉野信哉との確執、麻衣子が丸尾千代麿が愛人に産ませた子、伊佐男の子どもを産んだ浦辺ヨネとその子との同居生活などが描かれる。

    相変わらず松坂熊吾のキャラクターが抜群で、これまで読んだ小説の中でベストキャラクターはこの人ではないかと思う。生きることのタイヘンさ、裏の顔を持つ人間、ダイナミックな展開、ませているけど押さない子どもとのユーモラスなやりとり、ここまで描けるものかと思うディテイル。小説の面白さを限界を広げてるような作品だ。 

    この本は2日で読んだ。やはり短期間で読んだほうが感動が大きい。

    『賢いやつしか怒っちゃあいけんのお。馬鹿を怒ると、卑屈になりよって、逆恨みされる』

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    2019年01月09日