宮本輝のレビュー一覧

  • 花の回廊―流転の海 第五部―
    舞台となっている昭和30年代と現在との時代背景の違いに改めて驚かされた。ほんの50年前が別時代のように思える、それほど当時の大阪・尼崎の町の情景、人間模様、社会の出来事が赤裸々に詳細に述べられている。熊吾の豪放さと合わせ持つ細やかな心配り、房江の暖かさと思いやりの深さ、それに今回は伸仁の繊細だがたく...続きを読む
  • 海岸列車(下)
    二十年ぶりの再読。 当時の読後感の記憶は全くなかったけれど 読み直してみて、 宮本さんの小説の中でも とても印象に残る作品となった。
    読み終えて、登場人物たちの行く末を案じたり、 祈ったりといった余韻の深さがそのひとつ。
    いつかふと実感したり こういうことなのかもと感じることがあるに違いない
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  • 五千回の生死
    短編集。
    表題作「五千回の生死」は1日に五千回生きたくなったり死にたくなったりする男が出てくるちょっと不思議で、かつ力強い作品。
    1作目の「トマトの話」という短編は、読後しばらく動けなくなりました。小説の力ってすごいと改めて思いました。
  • 森のなかの海(上)
    素晴らしい本。小説というより人間のドキュメンタリーのような。宮本氏は被災者なのか詳しく取材してかかれたのか。何があっても生き続けることを考えさせられる。また人としての質や精神性の高さなど深く共鳴した。
  • 道頓堀川
    久々に読み返しましたが、何度読んでも、濃密で味わい深くて、読書をする楽しみを十二分に感じることができるなあと思いました。「辛い哀しい事が起こっても、いっこうにへこたれんと生きていけることが幸せやと思いますねェ」というセリフが好きです。
  • 星宿海への道
    宮本輝の小説は、とてもたくさんのものが詰まっていると思う。この小説では、特にそのことを強く感じました。生と死、愛と恨み、孤独、人生における偶然、運命、意志の力、幸せ。いろいろな事が思い浮かびます。あと、しまなみ海道に行きたくなりました。本文中の風景を自分で見てみたい。
  • 愉楽の園
    オンナとしてこんな風に生きられたらいいな・・・って思うようなお話。
    心の赴くまま、なすがまま。
    タイに行きたくなります。
  • 森のなかの海(上)
    小説内に出てくる「大海(ターハイ)」(これが題材の森のなかの海)が、友人から教わった中国童謡「大海 故郷」とリンクして、心洗われ心救われた作品。
  • 焚火の終わり 上
    異母兄妹の2人が、兄が見つけた母の謎のメモや、妹の家から異様な写真を発見したことをきっかけに浮かんだ疑問。

    「二人は本当に兄妹なのか?」

    続きが気になる・・・・。
  • 森のなかの海(上)
    「流転の海」シリーズは別として、わたしにとっては宮本輝作品の中でナンバー1。懐の深いお父さんにとても憧れを感じる。希望に満ちたものがたり。
  • 森のなかの海(上)
    自分が読んだのは文庫じゃないんだけど、文庫にしても相当な長さがある本。

    きっかけはタイトル。

    やっぱり基本タイトルで読みたい本を探すので「森の中の海」と言うタイトルに神秘というか不思議な感覚を覚えて手に取った。

    当時は高校生だったんだけど、そんな年齢でも分かる重い、でも明るさがある内容だった。...続きを読む
  • 幻の光
    北陸出身なので、日本海の荒波と厚い雲に覆われた暗い空に、すごく感情移入できます。
    ラスト近く主人公が浜辺の道を歩いていて、海に光が射す場面…鳥肌が立ちました。
  • オレンジの壺(下)
    スリルとロマンが一杯詰まった小説。
    ヒロインの成長がよく書かれている。
    宮本さんだからこそ、こんなにわかりやすく丁寧に、且つワクワクさせる文章が書けるんだろうな。
  • オレンジの壺(上)
    話が思いもよらない方向へ進んで行く。
    凄くワクワクする。続きを早く読みたい。そんな小説。
    このヒロイン、共感できる。
  • 約束の冬(上)
    月光の光を読んだ時には難しすぎて全然わからなかったのだが、約束の冬を読んで、これは辺見庸に次ぐ写実的な作家だと思う。
  • 森のなかの海(上)
    背景には、阪神淡路大震災がある。その中で行われていたヒトとも思えない所業で夫と離婚した妻。両親が死んでしまい3人姉妹だけで生きなくてはいけなくなったものたち。森の中でひっそりと生きていた、過去の知れない老婦人。
    老婦人死後、妻と姉妹達は森の中で暮らす。そこでの再生と救済物語。

    教育のあり方を見た気...続きを読む
  • 月光の東
    今のところ宮本輝の中で一番好き。
    わがままに、自分ペースで、
    周りを巻き込んで生きていく、
    ちょっとうらやましい女性。
  • 焚火の終わり 上
    2007/02/05 Mon
    知人から貸された本w
    宮本輝は初めての挑戦です。
    茂樹と美花の異母兄弟?が、その真相を追い求めていく。
    どうなの??どうなるの??と思いながら読んでたら、あっという間に上巻を読み終えてしまいました。
    最初から「やばいなぁ」とは思っていたけど、やっぱりって感じ。
    1つ気に...続きを読む
  • 約束の冬(下)
    これぞ宮本輝の世界!!
    あくまでも私の中での宮本輝さんのイメージですが。
    久々に大満足。
    特別哀しいできごとがある訳でもなく、ごく普通の日常(多少のゴタゴタはあるけど)が描かれてるだけなのに、なんだか泣けた。
    読み終わって幸せな気持ちになれた。

    もしも10年前に「10年後、地図の場所でお待ちしてい...続きを読む
  • 約束の冬(上)
    やっぱり宮本輝の作品にはすごく引き込まれてしまう。この作品は「人は何を拠り所にして生きていくのか。」問う傑作と紹介されていたが、現実が嫌になってしまっても、私たちには大切なものが何かあるはずだって思える作品だった。たくさんの登場人物の心の綺麗さがすごく癒されるし、自分も、頑張らなきゃなって思えた。