宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編集が、好きだ。
村上春樹の「象の消滅」「レキシントンの幽霊」にはじまり、
辻仁成「千年旅人」、堀江敏幸「雪沼とその周辺」・・・どれも素敵で、
印象に残っている。その作家の作風とユーモアに溢れていて、
ひとつひとつの文章に「その人らしさ」が感じられるからだ。
そして、宮本輝。
彼の本はちゃんと読んだのは初めてである。「蛍河」は買ったものの
読めていないのだ。
素敵な、キレイな文章を書く人だと思った。
そしてどの舞台も関西なんだよね。身近な光景。
大阪の猥雑な雰囲気とそこに見え隠れする哀愁、人情・・・
9つのどの作品も「生」「死」「人生」を感じさせる。
それぞれの人物が背負ってきた過去があり -
Posted by ブクログ
ネタバレこの長い小説を読み始めて、さっき涙を流しながら読み終わった
ステラというタクシー運転手の
「楽天家でなきゃあ、こんな厄介なことばかりの、悪人だらけの世の中を
生きていけるもんか。人生なんて挫折して当たり前じゃないの。
うまくいくほうが不思議なんだっていうふうに、あたしはいつのまにか
考えるようになったのさ。だから、あたしは、いいことがあったら、
ああ、よかった、よかったって手を叩いて喜ぶんだ。悪いことが起こったら、
まあ世の中、こんなもんだって口笛吹いて、おかしくもないのに笑ってやるのさ。」
シギィの「おそらく、人間とは、ひとつの欠点の消滅によって新しい美徳が
生じるというのではない。欠点は欠