宮本輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ宮本輝は書きたいものをたくさん心に持っていると以前読んだことがあるが 彼は後半の想像を絶する過酷な引揚げの話を後世に伝えたくて この本を企画したのではないか?
だから あえていつも口元が笑っているように見える 春のような雰囲気のおばさんを主人公に持ってきて 恵まれすぎる暖かいお話で舞台の準備をしたのじゃないか
始まりはなんともおだやかな 人をなごませる主婦が主人公 家族も次々登場する人物も いい人ばかり
近所の古い喫茶店の2階に亡きマスターが集めた骨董品(がらくた?)があり 見亡人にすすめられその中から 気軽に2~3 もらうけることになるが これらが後に大変価値のあるものと分かり 骨董の世界入り込んでいく 彼女にはどうやら骨董品を見極める才能があるらしい また次々と出会う人たちも温かみにおある人ばかりで この人たちに助けられながら最後はビル群の中の 趣味の良い喫茶店に骨董品をならべる経営者になってしまう なんとも調子が良すぎてはがゆい
彼女が貰い受けた骨董品は文机や茶碗のほかに手の込んだ細工物の手文庫であったが この箱の中に手縫いの小さな汚いリュックサックがあり ビッシリと書き込まれたメモの束が入っていた
これの内容は「ほのぼの」から一転して非常に厳しいもので敗戦後北朝鮮に取り残された人たちの記録であった 軍人は先に逃げてしまい 一般人は朝鮮人や突然南下してきたロシアの兵隊にひどい目に会う 大勢が犯され衣類を剥がれ野ざらしの死体になったなかで 一人の男性の知恵と強い意志によって1年後の良い季節を選んで 150人もの日本人を海路によって38度線を突破 引揚後も才覚によって 戦後の厳しい時代を乗り越えた記録であった たくさんの偶然に助けられ奇跡的に一緒に引き上げることが出来た幼子に伝えたくて書き残したようだが 戦後の生活苦の中 途中で途切れた状態になっている 苦労の末書き残した人の家族がまだ生きておられることがわかり続きを聞く旅に出る
敗戦後大陸や南方から奇跡的に 命からがら引き上げてきたという話は聞いたことがあるが ここまで悲惨で生々しいものははじめて -
Posted by ブクログ
面白かった。
読み終わった後、すがすがしい風を感じるような小説だった。
うまくいかないことを、自分には向かないといって逃げ出すことは簡単。ただ、そのあとには、たぶん何も残らない。
躓いても、ゆっくりでも
一生懸命に、ひたすらに、楽をせずに働き続けた先に
本当に人生が始まるのかも。
60歳までをどう生きるかで、その後の人生も決まってくるのかもしれない。
もっと楽な道を選ぼうとしている30代の弱い自分に、目の前だけを見て仕事を選ぶなと、言われている気がした。
失敗してもいいんだ。
失敗し続けて、最後にどうにかカタチにできるまで続ければいいんだ。
まだやっと階段の前に立ったばかりなのかもしれない。