宮本輝のレビュー一覧

  • 螢川・泥の河

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     とても綺麗な2作品です。子供の揺れ動く機微を繊細に捉えながら、悲しみを含んでいたり、社会の黒いところを切り取っている物語が素敵でした。とても哀愁を感じさせる物語でした。宮本輝さんは、2作品目ですが、また読んでみたいなと思います。

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    2024年12月22日
  • 青が散る(下)

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    感想
    思い通りにいかない恋、全てを捧げた部活、周囲で起こる激動。カオスな学生生活にどこか懐かしいようなリアルさを感じる。

    将来の燎平と夏子はどうなったんだろうと色々想像させるような内容だった。


    あらすじ
    安斎は全日本で試合するも、病気がぶり返して危険する。鬱病であると分かる。友人のガリバーはレコードデビューするほど有名になっていた。

    応援団の端山は、不動産業が軌道に乗り始めていた。1学年下のポンクが生意気になってきたことを理由にポンクの退部をかけて、燎平と対戦することになった。燎平はこれまでポンクに勝ったことはなかったが、不退転の決意で試合に臨む。

    燎平はポンクをフルセットの上に敗る

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    2024年12月19日
  • 青が散る(上)

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    感想
    直前に流転の海を読んだから、主人公が伸仁のように見えてしまう。境遇も部活も一緒。これも筆者の実体験に基づく物語なのだろうか?

    昔、部活に打ち込んでた頃を思い出すな。プロになる訳でもないのになんであんなに頑張ったんだろう。


    あらすじ
    新しく新設された大学に入った燎平は、大学に入って何をするか決めかねていたが、ある日であった金子に勧誘されてテニス部に入る。部を作ったものの、コートがなく、最初は二人でコート作りから始める。

    その大学でお嬢様の夏子と出会い、なんとかモノにしたいと思う。燎平はテニスを通して様々な人と出会う。テニスの元関西チャンピオンだが、精神病でテニスが出来なくなった安斎

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    2024年12月19日
  • 草花たちの静かな誓い

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    とても穏やかな静かなお話でした。巨額の遺産相続したらおいらはこんなに静かでいられるかなぁなんて思う。そして親子ってずっと強い絆があるんだろうと。

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    2024年12月16日
  • 青が散る(下)

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    おそらく、青春小説として読み始めた
    上下巻で長かったが、青い春が眩しい

    主人公に対し、早く恋を実らせたら?と焦ったくなり
    それでも多分実らない恋なんだろうな、など
    小説としての展開は読みやすいが
    その中で人のリアルな気持ちをすごく感じた

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    2024年11月28日
  • 星々の悲しみ

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    やることをやりながら過ごしている。
    それぞれに置かれた状況の中での普通の日々だろう。なのにその中には死や犯罪やわからない何かがいつもどこかにあって不安定で穏やかでない感じがする。それでいて人の体温のぬくさがある。不思議な印象深さのある本だった

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    2024年11月24日
  • 星々の悲しみ

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    読みやすかった。短編だけど各エピソードは読み応えある。「星々の悲しみ」は、有吉の成熟した考え方が印象的だった。成績もいいのに「自分は犬猫以下」と言うこと、ただ妹に渡したメモの内容を知って、余計に好きになる。
    「西瓜トラック」は、10代の頃にこんな大人の不可解な行動を経験するとしんどいけど、将来大人になったときに寛容になれるんではないかと思う。

    北病棟は、、、
    入社直後の入院は本人なら不安、先輩なら励ましてあげたい。同じ病棟にいた女性栗山さん、その旦那さん、自分の穴が塞がっても素直に喜べない状態。


    すべてが意地悪く陰鬱。火だけが明るい

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    2024年11月22日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    感想
    熊吾は人に裏切られすぎやろ。激しやすい割にお人好しなのかな。

    熊吾の人生厳しすぎやろ。


    あらすじ
    中古車ハゴロモが起動にのってきた熊吾は、シンエーモータープールの管理人をそろそろ辞退しようと思っていた。モータープールでは柳田の社員寮で門限を守らない者やエアーブローカーの溜まり場になって房江が疲弊していた。

    そんな折、千代麿より麻衣子が女の子を産んだと聞く。伸仁も高校生になった。

    熊吾は、元ダンサーの森井博美と再会し、ヤクザ男と別れるのを助けて欲しいとお願いされる。博美はそのうち姿を消したが、モータープールにヤクザが来たので熊吾は手切金を払う。

    熊吾は、中古車の販路を広げるため

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    2024年11月21日
  • ここに地終わり 海始まる(下)

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    ネタバレ

    久々に読みかえした。
    そういえばこういう内容だったな。
    私としては、梶井よりも絶対に尾辻さんのほうが幸せになれると思うのだけれど、それはやはり「恋」という幻覚という名のフィルターがかかってしまうと、痘痕も靨…でも志穂子は幼いころから18年間も長野の結核病棟に入院していたのだから純粋なのだろうな。
    それに尾辻と結ばれることになったら、ダテコはどうなる?ってなるからかな。
    みんなが幸せになれればいいなと思う。


    ーーーーーーーーーーーーー
    梶井克也は人気コーラスグループ<サモワール>の主力メンバーだった。虚飾と悪徳の世界を逃れて日本を脱出し、ヨーロッパを放浪したあげくぼろぼろになってリスボンから

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    2024年11月17日
  • 夢見通りの人々

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    ネタバレ

    タイトルから、ほのぼのした作品なのかと思いきや、「夢なんてそうそう叶うわけはない」という現実を突きつける、手厳しい短編集でした。

    難波の少し南に位置する「夢見通り」。その名称とは裏腹に、通りの住人たちは、ひと癖もふた癖もある。ホモと噂されているカメラ屋の若い主人・森雅久。美男のバーテンしか雇わないスナックのママ・奈津。性欲を持て余している肉屋の辰巳竜一・竜二兄弟…。そんな彼らに詩人志望の里見春太と彼が思いを寄せる美容師の野口光子を配し、めいめいの秘められた情熱と、彼らがふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて忘れがたい印象を残すオムニバス短編集。

    夢見通りの住人たちは、個性派すぎて正直あまり近

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    2024年11月05日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    感想
    熊吾一家のどん底期といったところか?

    お金もなく、家族もバラバラで、スラム街のような長屋に住む。ここから上がっていって欲しい。


    あらすじ
    熊吾一家は大阪にいた。苦労して立ち上げた中古車業も解体し、ラッキーというビリヤード場の一角で中古車ブローカーをしていた。房江は小料理屋で働き、伸仁は妹が住むスラムのような長屋、蘭月ビルに住まわせていた。

    長屋には朝鮮人が多く住んでいて、北朝人と韓国人に分かれて揉めているようだった。また、アパートの環境は悪く。人が病死することがしばしばあった。

    どん底生活の中、熊吾は柳田を説得して、F女学院の跡地の払い下げに成功し、大型駐車場であるモータープー

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    2024年10月26日
  • 人生の道しるべ

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    過去の対談を集めたもの、死生観のことを掘り下げていて読み応えあり。
    死は当たり前のこと、死は日常と思っていれば死を淡々と受け入れられるようになるのか…。
    いやいやそれにはもっと修行が必要だわ。
    85歳まで書いていたいから健康には(糖質制限)気を使っているという宮本輝、85とは言わず90になっても書いていてほしい。
    1年に必ず再読する本が3冊あるという。
    「赤毛のアン」全巻と
    藤村の「夜明け前」
    西行の詩      の3冊

    赤毛のアンは特に6巻がいいらしい。
    「赤毛のアン」は「続赤毛のアン」までしか読んでないから、6巻となると遠い道のりだわ。

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    2024年10月22日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    松坂一家の長い物語が終わった。9巻。文庫本で5000ページくらいか。感想を書き切ることは到底不可能と知り、読み方について少し書いておきます。一冊目は、知人からのオススメで読んだ。もちろん存在は知っていたし、宮本氏の「優駿」や「螢川」「泥の川」などを読んできた。僕が高校生の頃に1番読んだ作家だった。
    二冊目を読むまでは少し時間を空けた。他の本も読む。同じようにして、一冊読んでは、海外ミステリーを読んだり、旅行エッセイを読んだりと、インターバルに別の本を挟んで読んだ。なんだかんだで、約2年読み終えるまでかかった。
    感慨というか、なんというか、もうこれ以上に読むものがないのだという虚無感というか、

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    2024年10月09日
  • 道頓堀川

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    宮本輝さん、3作品目。富山出身の私にとって、宮本輝さんは、螢川の人でした。
    泥の河、道頓堀川、大阪の中心部を流れる河川が舞台のこの2作品は、現代にも通じるものがあるし、私の知らない都会の闇部分が印象深く残りました。

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    2024年10月06日
  • 春の夢

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    ネタバレ

    キンちゃんが希望、忍耐、勇気この3つを抱きつづけ生きてきた。この3つを兼ね備えてる人間ほど怖い奴はいないよな

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    2024年10月03日
  • 人生の道しるべ

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    ネタバレ

     惜しい本を、読み飛ばしていた。
     が、単行本が出た2015年は、まだ読書生活を復活させてなかった頃だった。

     しかも、2011年の新刊『三十光年の星たち』を読んで、宮本輝ともちょっと距離を置こうとしていた時期にも重なる。その『三十光年の~』のレビューの冒頭には、こう記してある。

    「宮本輝も齢をとったな、と思わせる一冊だった。佐伯という老人を通して今の若者世代に説教したいことをちりばめたような何とも後味の悪い印象。」

     その少し前の作品あたりから、金持ちな老人が出てきて話を引っ張りまわすような感じがあり、うすうすと感じていた説教臭さ、関西の親戚の叔父貴がいかにも言いそうな、蘊蓄や御宣託が

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    2024年10月04日
  • 三十光年の星たち(下)

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    宮本作品に10年以上ぶりに触れた
    10年前の自分はなにをやっていただろう
    20年後の自分は?
    色々考えることが多い作品だった
    今を精一杯生きる
    自分は精一杯の何%かな

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    2024年09月30日
  • 三十光年の星たち(上)

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    宮本作品を10年ぶりに読んだ
    過去10作品以上読んでいるのに、作家の名前すら忘れていた
    下巻が楽しみであると共に、これを機会に宮本作品を読み直してみようかと思う

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    2024年09月27日
  • 私たちが好きだったこと

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    1980年を舞台にした作品のため、登場人物の言葉や作中における表現内容に古さを感じるところがあるが、これも今までの宮本作品と同様に良い味を出している。
    主人公を含めた同居人4人全員がどうしようもなくお人好しで、自分よりも他人を優先する性格の持ち主であるがゆえに、自分自身との葛藤、同居人との衝突を繰り返す。しかし、これらの出来事を通して、若かった4人が一回りも二回りも大人として成長する姿は『青が散る』に通じるところがある。
    お人好しすぎるのもどうかなと思うが、そういう人間なのだと諦念にも似た感情でもって作品を読んでいた。主人公らに同情したり、共感したりする場面はほとんどなかったと感じる。
    最後に

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    2024年09月17日
  • よき時を思う

    ネタバレ

    あり得ないほど豪華な誕生日会

    徳子お祖母ちゃんを見ていたら、教師が崇高な仕事だった頃を思い出す。
    いつの間に、教師は何を言っても許される不満の捌け口へと化していったのだろう。
    そして、その原因は……?

    ここに登場する幾人もの教え子たちは、徳子先生への恩を決して忘れない。
    生命の奥底で、感謝の念が静かに時を待っていたのだ。
    時や場所を隔てても、お互いを思う美しすぎる愛が、まるで千穐楽のような90歳の誕生日会(晩餐会)へと螺旋のように絡み合いながら集まっていく。
    そして、玉木シェフの読み上げる手紙は、私は何度も読み返し、何度も嗚咽した。
    嗚呼、人に励ましと勇気を送る教師という仕事のなんと誇り高きことか!
    そして、その愛情に応

    #深い #笑える #泣ける

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    2024年09月16日