宮本輝のレビュー一覧
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ネタバレ若い頃にこの作品を読んでいたら、きっと「いかにも自分勝手な人々の、どこか華奢な物語だ」と感じていたように思う。
けれど、少しだけ歳を重ね、友情も、恋愛も、そして性も、刹那的な出会いをそれなりに経験してきた今の自分と重ね合わせて読むと、登場人物たちが抱える胸の痛みが、不思議なほど身近に感じられた。他人の物語を読んでいるはずなのに、かつて自分が感じた胸騒ぎや、あの頃の感情がふいに蘇ってくる。
とりわけ最後の、
「思い起こせば、なにもきわだった派手な思い出があるというわけではないが、心根のきれいだった自分というものの〈気配〉とはそう簡単に訣別できないではないか」
という一節には、心を強く揺さ -
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一言で表すなら「寂寥感」
現代的な本のように、特に大事件が起きるわけでもない。が、読んでいる間は時を忘れ、作中の世界観に引き込まれる。文章ひとつひとつが精査され、熟考の末編まれたものだということがよくわかる。非常に味わい深く、読むのに時間がかかるが、その分自分の思考が研ぎ澄まされるような感覚がある。癒えない戦争の傷跡、格差社会、生の儚さ、死のあっけなさ、思春期の戸惑い、などなど。思い返せばあらゆるテーマをこの物語は描き出している。しかし、あえてこの本から得られるものを言語化するべきではないように思われる。単純に言葉にできないものを、宮本氏がこの180ページの小説でもって描き出したのだと思う。だ -
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以前、「◯◯強調月間」「勝手に◯◯特集」等テーマを設定し選書したことがありました。今回はあまり続ける意図のない「灯台」絡み…それも海外文学連続3作でしたが、国内編の本作で最後です。
本作とも関係しますが、GPS等の進歩で灯台の役割が縮小し、廃止が進んでいるようです。が、機器トラブルの際の命綱、またその地域のシンボル(観光資源等)として、存在し続けてほしいです。
中華そば屋を夫婦で営んでいた康平(62歳)は、2年前に妻を亡くして以来、店を閉め家にこもっています。子ども3人も皆成人(3番目が大学生)し、同じ商店街にそれなりに親友もいて、好きな本を読んで過ごし、仕事への切迫感はありません。 -
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ネタバレ湾
著者:宮本輝
発行:2026年5月25日
新潮社
初出:「新潮」2024年6月号~2025年4月号、6~12月号
湾とは、舞鶴湾(京都府)のこと。
同じ舞鶴市にあっても、「人」の形をした湾に面した、西舞鶴と東舞鶴とでは世界が違うし、離れていて交流も少ない。東は産業の中心地、西は漁村集合体。物語は、西舞鶴にあるいくつかの集落が舞台。そこに入ってくる人、去っていく人、戻ってくる人、行き来をする人を描く長い物語。1959年から2023年に至るまでの話。
主人公は1949(昭和24)年生まれの光太。3歳、2学年上の姉である皐月とは父親が違う。父親は生後3ヶ月の時に死亡。母親が再婚し、光太が生 -
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ネタバレオラシオンがケガをして、二度とレースに出られなくなる…という展開ではなくて本当によかった(やりかねないと思ってたので)
※上巻を読み終わったときは、ミラクルバードのくだりがショックで、下巻に手を伸ばすのは3日間ほど置いてしまった。
1頭の馬をめぐって関わる人たちの運命も変わっていく。その馬が偉大であればあるほど、連れてくる福も禍も大きくなっていく。現実の歴々の名馬たちもそうだったのだろうか。
ダービーの後は描かれないけど、久美子と博正は結婚して意外と上手くやっていくんじゃないかなぁ。あと、多田さんも何やかやあって、最終的には和具さんの事業を手伝うことになる気がする。なってほしい。
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2026年ナツイチフェアで「宮本輝」という懐かしい名前を見かけて購入。
宮本輝といえば「ドナウの旅人」を繰り返し読んだ日々を思い出す。
タイトルの「よき時を思う」にはいろんな意味があるように思う。
物語の始まりは東小金井にある三沢平馬の四合院造りの家から始まる。平馬の話はそこそこに、すぐにそこに住む綾乃の話になり、小説の大部分は綾乃とその家族、祖母の話となる。
90歳になる祖母が計画した豪華絢爛な本格的晩餐会。
そこに至るまでの、家族の話。
何か大きな事件が起こるわけでもなく、ただ日常が描かれているのだけど、その日常がそれぞれが生きてきた物語なのだと気付かされる。
小説の最後に、再び三沢平 -
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美しい舞鶴湾のお話。最近行ってないな。よくドライブしたな。五老ケ岳よく行ったな。
かなり近くて風景が目に浮かぶのでつい買ってしまったやん、
昭和高度成長期、五粒の種を託され舞鶴に向かう少年光太の語りで物語は進む。腹違いの姉皐月と、祖父のタワシじいちゃん。その従兄弟のマジ—、そのお嫁さんであり姉妹のツルカメばあちゃん、レーダーの会社の社長である父と母…
高度経済成長の真っただ中に美しい田舎の漁村で成長していく光太と皐月。血縁家族の共同生活がまた楽しい。朝鮮特需や高度成長期の昭和時代に長閑な漁村で生活を営む人々のその時代時代の人情味溢れたエピソードの数々は昭和の時代のおおらかさとか、平成の時 -
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泥の河は1955年頃の大阪を舞台にした小説で、川沿いに住む少年たちの交流を余情感たっぷりに描いている。うどん屋の息子の信雄、対岸の船の家に住む喜一と銀子、そして母親。物語は信雄と喜一の出会いから始まる。二人は川で遊ぶうちに親しくなり、信雄は船の家に通い、喜一の姉の銀子、さらに母親とも知り合いになる。その中で信雄は喜一と銀子の母親は娼婦であること、そのことで近隣住民から疎外されていることを知る。しかし信雄の両親は喜一と銀子を差別せず、愛情を持って接する。その態度は信雄にも伝わったと思う。ところが地域の神社の祭りの日の出来事で信雄と喜一の絆には距離ができてしまう。そして最後は会うこともかなわず、別
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大学の四年を終えて、燎平や仲間たちはそれぞれの人生を歩きはじめるところで、完。
「青が散る」とは「青春の終幕」の意であったか。
でもって非リアな青春を送ってしまった私には、その感傷が今一つピンとこないのだった。
学生時代の私が読んでいたらどう感じたかはわからない。
でも、ドラマを見なかったということからも、当時からこういう世界とは距離を置いていたような気がするな。
親目線でみると、親の金で大学に行っているのに、勉強をするわけでもバイトするわけでもない。
恋愛はまあいいだろう。
部活もまあいい。
でも、勉強はしろよ。
家業が倒産するのしないのという時ですらバイトもしないで、デートの時は小遣い