宮本輝のレビュー一覧

  • 錦繍

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    何かでオススメ本だったので手に取った。
    時代は昭和。
    表面は静かで爽やかな印象を受けるけれどよくよく考えて読むとドロドロしてたなぁと思った本。
    一組の元夫婦の手紙によるやり取り。
    10年前の事件を振り返って、夫婦だった2人の伝えられなかった思いとか人生観とか運命とかを、時を経て、手紙という一方通行な表現で、自らも想いを噛み締めながら綴られている。

    亜紀の手紙は綺麗で品があり好き。
    メインでは語られないが、2人の手紙の節々に登場する亜紀の父親が印象に残った。妻(亜紀の母親)を亡くした時とか、娘(亜紀)婿(有馬)の事件の時とか、勝沼(亜紀の再婚相手)との事とか、60歳過ぎの恋心を娘婿(有馬)に打ち明ける時とか。昭和のワンマン経営社長の父親だけど、静かな愛情が感じられ1番好感が持てた。

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    2026年09月24日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    内容(ブックデータベースより)

    大阪・十三に戦前からある通称「骸骨ビル」
    戦後の混乱期に住み着いて、オーナーの阿部轍正と
    茂木泰造に育てられた孤児たちを立ち退かせるために
    三人目の担当者として送り込まれた八木沢省三郎は、
    一筋縄ではいかなさそうに見える彼らの話に耳を傾けるうちに、困難だったであろう日々を思い描くようになる。

    令和8年9月17日~22日

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    2026年09月23日
  • よき時を思う

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    久しぶりの宮本輝さん。
    正直、宮本輝さんの作品をいくつか読んできたイメージとしては、淡々とした読み口で、淡々と読み進めていく感じで、劇的な展開とかページをめくる手が止まらないと言う感じではないのだけど、
    でもいつの間にか、小説の中の世界に引き込まれて、その日常に入り込んだような感覚になっていく。
    今回もそんな感じ。
    90歳の祖母が自ら計画して晩餐会を開く。なんで自ら計画したのかなあとか、なんで晩餐会なんだろうなあとか思いながら読み進めていくと、その理由が分かってくるのだけど、それが分かった時の、静かだけどこみあげてくる感情。あー宮本輝さんの作品読んでるなーと感動。

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    2026年09月22日
  • 螢川・泥の河

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    かつて記憶にない筈なのに、哀愁のある風景や人の生活が立ち上ってくるようでした。
    泥の河はそもそも水上生活を知らなかったため、こういう生活もあったのかと。大きな出来事がない限り「生活」って記録に残らず移り変わるんだなと思いました。螢川は雪景色の描写が美しくて。終盤の螢を見に行くところは、特に竜夫と千代に蛍を見てほしくて、見られないかもとドキドキして夢中になって読みました。

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    2026年09月21日
  • 湾

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    丹後宮津の海と山と岬の美しさと、人の繋がりの大事さがうまく溶け合って、羊羹と相続と跡取りといった生臭いところも、1人語りの中で昇華してる。子供の頃から通っていた場所がこんな大作になって嬉しいですね。

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    2026年09月19日
  • よき時を思う

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    めちゃくちゃ良い。何が起きるわけでもない、話もあちゃこちゃ飛ぶ。けれど、90歳の祖母自らが企画した誕生パーティの実現に奔走する家族たちの人柄が、彼女の戦時中の隠された思い出とともに、優しく切なく浮かび上がって、これが宮本輝先生の小説なのだなあとしみじみします。

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    2026年09月16日
  • 骸骨ビルの庭 上

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    すごく面白いというわけではないが
    戦後の混乱の中をたくさんの孤児を抱えて
    生きてきた人がいたこと
    ノンフィクションとは思えない

    そして現代
    恩人の冤罪を晴らし名誉を守ろうと
    恩を受けたかつての子らが
    立ち上がりそうで立ち上がらない
    淡々としていて
    あまりドラマチックではないのだけれど
    どうなるのか結末が気になる

    今のところはそんな感じ

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    2026年09月15日
  • 優駿(下)

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    馬主、騎手、生産者など色々な立場の人達の心情が細かく描かれていて、昔の小説とはいえ馬産業のリアルを垣間見れた小説でした。そしてなんと言ってもレースシーンが臨場感満載で描かれているので、情景をハッキリと思い浮かべることが出来た。逆に嫌なキャラクターはとことん嫌なキャラクターで描かれているので、主人公レベルの登場人物たちには余計に感情移入してしまった。

    ロイヤルファミリーの元ネタなのではと感じられる位ストーリー展開が似てるが、影響を受けてしまうのはわかる気がしました

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    2026年09月14日
  • 骸骨ビルの庭 下

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    やはり解決しない、でもそれぞれが何かを学び、傷跡を抱えて前を向いていく、宮本先生ならではの物語、響く。
    上巻の抜書きは、ガガーンと生まれてこの方の疑問への答えだったし、下巻にも、「人間は変われない生き物なのだ。自分の人生を決める覚悟は、一度やにどの決意では定まり切れるものではない。何度も何度も、これでもかこれでもかと教えられ、叱咤され、励まされ、荒々しい力で原点にひきずり戻され、そのたびに決意を新たにしつづけて、やっと人間は自分の根底を変えていくことができるのだと思う」とねー。
    骸骨ビルと呼ばれる堅牢な建物で戦災孤児を育てたふたりの男。まだ生きるそのひとりと、彼を慕う中年になった孤児たちを立ち退かせるべく派遣された、これまた中年男のストーリー。
    概要に「青年」とあるのは間違いぞ。
    登場人物が多く話があちこち飛ぶけど、厳選されながら、研ぎ澄まされた、みたいなキツさのない優しい文章で、ゆるゆるまとめていくこの手腕。
    あちこちにはさまれるお料理も美味しそう。
    何か、温かいお椀をゆっくり味わった気持ちです。

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    2026年09月06日
  • 錦繍

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    ★4〜4.5 特に、読後感がすばらしかった。

    手紙だけの本ってすごい。

    古い作品ゆえ、古臭い文体で気になった所は多いにあったが、古いが故の美しさに徐々に沼り、

    時代のせいか、男は浮気をして当然、みたいなところとかが受け入れられなかったけど、

    別れて数年後に、偶然再会したことから、手紙をやり取りし、最終的にはお互いがお互いの道を強く歩み出すところがよかった。

    終盤の紅葉の中での父と娘のやり取りもぐっときた。

    現在のダンナが、愛人と子供まで育てていた事が最後の最後でさらりと書かれてた。

    生と死についても多く触れられていた。
    死んでも命は宇宙を漂い、また、人の中にも残る。

    ねずみが猫に食べられてるまさにその時、亜紀と息子は満天の星空を見上げていた。
    世界は色々ある。

    生きている、死んでいるにとどまらず、『命』を交わらせている事が『錦繍』だと私は感じた。

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    2026年09月05日
  • 草花たちの静かな誓い

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    宮本さんには珍しいサスペンス物?
    と見えるけれど実はそこが目的なのではなく
    人に言えない、人は解決してくれない深い問題をどう切り抜け守って行くのか
    覚悟と信念とでもそれだけでは長く続かない
    その心の拠り所は何も言わないで寄り添ってくれるもの
    人生経験を重ねた人が書ける力作

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    2026年08月29日
  • 錦繍

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    1985年に出版された本書。最近のものしか読んでこなかった自分にとっては新鮮な文体だった。
    時代背景としてはまだまだ男権的な日本で、女性の台頭が始まろうかとしている頃ではないだろうか。
    終始手紙の交換を通じて物語は進んでいくから、主人公は2人いるように思う。

    かつて夫婦であった2人がそれぞれの視点で過去を振り返り吐露していく。
    物語に山場があるわけでもクライマックスらしいものがあるわけでもなかったが、ちょっとした合間の時間に読むのには丁度よい面白さだった。
    マイナスも特になかったかな。

    前半、ひしひしと離別の後悔が伝わってきて、勢いで結婚することはあっても勢いで離婚することは控えた方がよいな、と心得た一冊でした。

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    2026年08月27日
  • 湾

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    昭和34年、5粒の種と高級牛肉、そして大金を託され大阪から1人、京都・舞鶴へ向かった少年・光太は祖父母と住む異父の姉・皐月のもとへ向かう。そこは京都・舞鶴。海と空と緑の美しい舞鶴湾を舞台とした物語。

    何十年ぶりの宮本輝さんの作品。高校生の時『青が散る』を読んで「大学生って楽しそうだなぁ」と思ったのを今でも覚えてる。

    多少の起伏はあるけれど、そこまでの大事件はなく平和すぎてなかなか読み進まなかった。

    昭和30年代から70年代は、今よりも生活は苦しいし、いろんなしがらみなどもあるけれど、やっぱり今より平和で羨ましくなる。

    私の親と同年代の宮本さん。まだまだ、描き続けてほしいです。

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    2026年08月25日
  • 錦繍

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    文章が美しく、全て読み終わるとタイトルも秀逸だと思った。

    男性側のデリカシーの無さや、それでいて聞かれたことに対してなかなか直球で答えないところにイラっとしながらも(笑)、次の手紙が気になってどんどん読めた。
    一方で、ところどころ出てくるスピリチュアルな部分は全てを理解するのは難しかった。

    離婚した2人ではあるが、一緒に過ごした幸せな時間や愛情は確かにあって(だからこそ男性のしたことに腹が立つのだが)、最終的には、お互いの幸せを心の中で願いながらもそれぞれが前を向いて進んでいく。結ばれなかったとしても、人生においてそのように思える人がいることは尊いと感じた。

    人には幸せな瞬間だけではなく、辛い経験や後悔・嫉妬などの様々な感情もあるが、それら全てが織り重なってその人だけの錦繍になるのではないかと、タイトルについても考えさせられた。

    全ての手紙を読み終えた後で、また最初から読みたくなる一冊だった。

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    2026年08月22日
  • 螢川・泥の河

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    この本からは、人の世の哀しみと、無常感を感じた。
    言葉で深く語るよりも、読者それぞれが読後の感情を個人で味わう類の作品だと思う。
    文章は淡々としているけれど、でも一つ一つの出来事や情景が、なんともいえない寂寥感を与えてくる。
    また違ったタイミングで再読したい。

    ■泥の河
    タイトルからして不穏というか…救いのなさみたいなのを感じていたが、やはり終始重苦しさが漂う作品。時代背景が違うから当たり前だが、あの年齢で、短い期間に経験する出来事としてはハードすぎる…。

    ■蛍川
    タイトルからは想像を絶するような美しい景色を想像していたけど…良い意味で裏切られたと言うか。
    蛍を見た時の情景描写が、自分には全く美しいとは思えなかった。もちろん圧倒される光景ではあるのだろうけれど、どこか畏怖さえ感じてしまう様な。

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    2026年08月19日
  • 錦繍

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    宮本輝とは、余韻を感じさせるのが上手な作家である。最後の方になると、読み終えたくなくなる気持ちになるし、読み終えた後は、物語の中にしっかり浸っていたくなる。
    登場人物がそれぞれ嫌なところもありながら、魅力的な愛すべき存在として描かれているのも素晴らしい。

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    2026年08月17日
  • 錦繍

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    他人という距離感になったから話せることってあるよな、と思った。とても読みやすい文章でどんどん読めた。

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    2026年08月16日
  • 私たちが好きだったこと

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    ネタバレ

    若い頃にこの作品を読んでいたら、きっと「いかにも自分勝手な人々の、どこか華奢な物語だ」と感じていたように思う。

    けれど、少しだけ歳を重ね、友情も、恋愛も、そして性も、刹那的な出会いをそれなりに経験してきた今の自分と重ね合わせて読むと、登場人物たちが抱える胸の痛みが、不思議なほど身近に感じられた。他人の物語を読んでいるはずなのに、かつて自分が感じた胸騒ぎや、あの頃の感情がふいに蘇ってくる。

    とりわけ最後の、

    「思い起こせば、なにもきわだった派手な思い出があるというわけではないが、心根のきれいだった自分というものの〈気配〉とはそう簡単に訣別できないではないか」

    という一節には、心を強く揺さぶられた。

    自分自身の思い出を振り返ってみても、それは決してこんなにも美しくも、あるいは汚れてもいない。ただ、確かに「あの時の自分」は存在していた。そして、当時は何気なく過ぎていった些細な出来事や感情の一つひとつが、知らないうちに今の自分を形づくっているのだと思う。

    過去とは、ただ思い出すものではなく、今の自分の中に残り続けているものなのかもしれない。

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    2026年08月16日
  • 螢川・泥の河

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    一言で表すなら「寂寥感」
    現代的な本のように、特に大事件が起きるわけでもない。が、読んでいる間は時を忘れ、作中の世界観に引き込まれる。文章ひとつひとつが精査され、熟考の末編まれたものだということがよくわかる。非常に味わい深く、読むのに時間がかかるが、その分自分の思考が研ぎ澄まされるような感覚がある。癒えない戦争の傷跡、格差社会、生の儚さ、死のあっけなさ、思春期の戸惑い、などなど。思い返せばあらゆるテーマをこの物語は描き出している。しかし、あえてこの本から得られるものを言語化するべきではないように思われる。単純に言葉にできないものを、宮本氏がこの180ページの小説でもって描き出したのだと思う。だから、一般化はすべきではない。この本には、これを読むことでしか得られないものがある。それだけ。
    これは、読む時期によって感想が変わる類の本だと思う。いま、まだ人生経験の浅い自分からすると、すべては他人事で、作中の出来事として、感じられる。それだからこそ、素直にこの作品の雰囲気に酔いしれることができるのかもしれない。でも、いずれ多くの死と対峙したり、生きる虚しさを痛感したりしたあとだと、ひとつひとつのテーマが胸に迫り来るものとして感じられるのではないだろうか。もう一度いつか読み直したい作品

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    2026年08月14日
  • 潮音 第一巻

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    越中富山の薬売りの端緒からのストーリー
    幕末の時代を奔走した彼らの物語は興味深い時代でもあり、楽しませてもらいました。

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    2026年08月12日