宮本輝のレビュー一覧

  • 優駿(上)
    映像化もされている競馬ファンなら言わずとも知れた不朽の名作。と言いながら、学生時代は野球バカだった自分が、競馬が好きになって、小説が好きになって、競馬の小説ってどんなのがあるんだろう、とようやくたどり着いた作品。

    内容は競馬ファンじゃなくても受け入れられていることからも分かるように、競馬が織りなす...続きを読む
  • 約束の冬(上)
    「空を飛ぶ蜘蛛を見たことがありますか?」

    なんて素敵なラブレター。
    すべての登場人物の凛とした、その生き方がわたしの姿勢を正してくれる。

    真摯に、
    誠実に、
    ひたむきに、
    愛を。
  • 約束の冬(下)
    「もしその地図に示した場所で彼が待っていたら、好きになるだろうから」

    こんなに素敵な恋愛小説をほかに知りません。
  • 優駿(上)
    競走馬を絡めたストーリーが面白いということもさることながら、
    流暢な文章で描かれた登場人物がとにかく魅力的だった。

    登場人物が「生きてる」という印象を強く感じた。
    生き生きとしているというよりは、
    生々しいという言葉の方がしっくりくる。

    一人一人の生に粘度を感じた。

    弱さ・欲・汚さ・狡猾さ・滑...続きを読む
  • 約束の冬(下)
    清清しい。
    悪意のある人間が登場人物にいない。
    悪意のある人ばかりが、現実にも虚構にも多すぎるので(私を含め)
    茨木さんの謳った。「どこかに美しい村はあるか・・・」の村が
    ここにあった!と思わせてくれた。
    尊敬できる登場人物がいて、愛すべきキャラがいる
    ここに住むことができたら、仕事もしやすいことだ...続きを読む
  • 骸骨ビルの庭(上)
    教訓的であり、人が誰かのために生きることの尊厳を改めて考えさせられた作品だった。2度読んで2回ともおもしろかった
  • 骸骨ビルの庭(上)
    日曜朝のFM、小川洋子さんのメロディアスライブラリーでこの本を取り上げていた。表紙のバロック風というか不気味なイメージにも惹かれ手に取った。
    表紙のイメージとは違って、大阪十三のゴテゴテしたような、侘しいようなビル。かつての孤児達の職業は猥雑さが満載だが、スッキリ書かれているので、いやらしさが無い。...続きを読む
  • にぎやかな天地(下)
    発酵食品の成熟/人生の成熟

    納豆と糠漬と、とろろ昆布に鰹節を入れた吸い物、それにご飯だけの日

    質素だけど高級な食材で体調を整える。
    続けるのは、難しいけど、人生感と合わせて、贅沢だと思いました。
  • 彗星物語
    ハンガリーからの留学生ボラージュが、総勢13人の大家族である城田家で3年間暮らす話。
    時代は少し昔なんだろうね、城田家は家族の繋がりが良い意味でも悪い意味でも強い、典型的な日本の家庭。
    13人も家族が入れば問題も山積みだ。その上に留学生が来たらそれはもう。
    色んな価値観があるし、対立は絶えない。
    ...続きを読む
  • 彗星物語
    兵庫県伊丹市を舞台に大家族+居候の外国人留学生+犬一匹が繰り広げる人間模様を描いた小説です。
    母と息子の視点から描かれており、冒頭から中盤まではくすりと笑ってしまう文章が多く、外で読むには危険と言わざるを得ません。
    では終盤は大丈夫かと言えば、さにあらず。
    今度は思わず涙するストーリー展開が待ち構え...続きを読む
  • 幻の光
    関西に所縁のある四編。土地の知識があるのでより満喫できた気がする。
    ・『幻の光』何て言ったらいいものか。なぜそんな言葉を言ったのかわからない、なぜそんな行動をしたのかわからない、という主人公ゆみ子の支離滅裂がわかりすぎて辛い。
    ・『夜桜』宮本輝の小説のよさって、人が生きているところなんだろうなと思っ...続きを読む
  • 優駿(上)
    "恋愛"をテーマとした読書会に持って行こうかと、久々に再読。
    軽い復習のつもりだったのですが、ついつい読み込んでしまいました、秋は危険です。

    結構忘れているもので、改めて読むと家族愛の要素の方が強いようにも感じました。
    ん、一番愛情が向けられていたのは、"サラブレッド"だと思いますけども。

    で、...続きを読む
  • 優駿(上)
    競走馬に関わる人々を描いた群像劇です。
    映画にもなりましたが、映画は現実の競馬の映像を使う関係で物語が変わっているのが少々面白かったですね(オラシオン役はメリーナイスでしたので・・・)。
  • 優駿(下)
    優駿「オラシオン」を巡る人々の群像劇。
    読み終わった後に残る、あの爽やかな読後感はなんとも言えません。
  • にぎやかな天地(下)
    出来事の作用、時間の作用。心の琴線に触れるどころか、心の襞にじわじわと染み入ります。宮本さんの本はやっぱり私の人生の友。
  • にぎやかな天地(上)
    出来事の作用、時間の作用。心の琴線に触れるどころか、心の襞にじわじわと染み入ります。宮本さんの本はやっぱり私の人生の友。
  • 優駿(下)
    馬主の電機メーカーはついに吸収合併。しかもその遠因はオラシオンの獲得にあった。また、馬主の娘が事実上の馬主となる。その娘も父の隠し子について気づく。さらに父の秘書も。動揺する娘と秘書の危険な逢引、そして寸前での娘の祈り。また、オラシオンの生産者のガンによる他界。オラシオンを追い、新聞記者を辞めて、競...続きを読む
  • 花の回廊―流転の海 第五部―
    流転の海シリーズ第5巻です。
    中古車業連合会の計画がつぶれた後、大阪で駐車場経営を任され、家族三人がやっと一つ屋根の下で暮らせるようになるまでの経過と、それまで伸仁が暮らしていた蘭月ビルの住人の人間模様が描かれています。

    この巻は特に、熊吾が今までかかわってきた人々との縁に助けられることが多く...続きを読む
  • 地の星―流転の海 第二部―
    2巻も1巻に引けを取らず面白かったです!
    エネルギッシュ、骨太、なんと表現したらいいのか・・・とにかくとても深く、強い作品です。
    表現力も豊かでね、
    牛殺しのシーンは、夢にも出そうなくらいインパクトが強かった・・・
    読みながら怖すぎて手が震えました。

    人間は50歳を過ぎても日々成長です!...続きを読む
  • 私たちが好きだったこと
    複数の友人にいいよいいよと薦められすも、今まで2回読み始めたが、何故か読みきれずふと三度手に取ってみた、3/4過ぎたとことから、引きづり混まれていき一気に読んだ。なんだこれは、という衝撃。彼女がいたり、別れたばかりだったら、3日は酒ばかりのんで会社に行かないだろうなと思うくらい。
    自分が主人公だった...続きを読む