宮本輝のレビュー一覧
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私も10年前、ニュルンベルクから、レーゲンスブルク、パッサウ、そしてウィーンへとドナウ川に沿って旅をしたことがあり、この物語の主人公達が旅するのと全く同じ順番にドナウ川沿いの街がでてきて、私も見たその時の風景を思い出し、凄く懐かしく、もう一度訪れたくなりました。
母親と若い愛人、娘と恋人、といった異色の二組が、ドナウに沿って旅を進めるごとに、どんどんこの物語にはまっていきます。母親の愛人である長瀬という男が訳有りで、母親と旅をすることになった経緯や、長瀬という男がとても興味深く、ページをめくっていくのが楽しくて仕方がない。
ドイツから始まる彼等の旅が、ドナウ沿いのドイツの街、ドイツを経てオース -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価が1から5まであって驚く。
骨董の価値はその人が決めたそれで良いというのと同じだと思った。 本来の価値とは違う次元の価値。
志乃子の価値を見誤ったのは すべての読者ではないかと思う。それを後半覆される。 どこにでもいる普通の主婦のはずだったのに。
「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀ただしい。」
これが水のかたち。
ちょっと都合が良すぎないか?と誰もが思うだろう幸運が押し寄せているが 志乃子はずっと続くなどとは思っていない。
たとえば 今 当たり前に思っている日々の出来事も 思い上がり故に当たり前に感じているのかもしれない。幸運なのだ。
もう一つの文机に関わる話は実話であ -
Posted by ブクログ
祖父が秘めていた秘密をなぜ佐和子にだけしか糸口を開かなかったのか、彼女の生き様や性格を見ていれば納得できるような気がする。
彼女は情に生き、祖父が犯した罪をすべて溶かしてくれるような人物だと思う。すべてを許し、人のためを思う考えを持つ彼女だからこそ祖父は秘密をあかしたのではないだろうか。
マリーのその後、佐和子と滝井、ドイツ人娼婦、なぞはたくさんあるが著書がそれを読者に投げかけている終わり方。マリーやアントセンに会わずじまいだったが、それが彼女が考える今一番いい終わり方だったんだろうと思う。思い出したくない過去としてマリーたちをそっとしておくことも彼女としての気遣いだったのだろう。 -
Posted by ブクログ
エッセイでありながら小説的でもあり、それらの境目を不思議な感覚で味わえる一冊でした。19編それぞれに描かれた生と死が様々な表情を見せてくれます。ほほえましかったり悲しかったり、切なかったりやさしかったり、ときには恐ろしかったり不気味だったり。
お気に入りは『パニック障害がもたらしたもの』です。私もパニック障害(と併発していたうつ病)に苦しんだ時期があり、共感したとともになにか救われたような気がしました。宮本輝さんが出会ったお医者さんがおっしゃっていたという「天才は、ほとんどこの病気を持っています」という言葉を鵜呑みにしようかなと思います。できる限りストレスを少なく、もっとシンプルに生きてい