宮本輝のレビュー一覧

  • 骸骨ビルの庭(下)

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    戦災孤児について全く知識が無かったので、この本を読むことにより生きることがどれだけ大変だったろうかと思いを巡らせることができた。
    一人一人インタビューしたものを日記ふうにしたためてあるのでグイグイと読めた。

    話の端々に心に沁み入る箇所があった。
    うまくまとめられなかったので再読してピックアップしようと思う。

    宮本輝氏の小説は毎回、事業を起こそうと思わせるものがある。今回は食堂。
    錦繍では今で言うタウン誌を作ったエピソードがあった。
    流転の海を読んで、事業を起こす事が描かれるのは宮本輝氏のお父さまの影響であることがわかる。

    また今回も能を見に行くという箇所があり、たまたま能を見るチャンスに

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    2023年07月11日
  • 草花たちの静かな誓い

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    ロサンゼルスでの豪邸と偉大な遺産を残し、
    叔母の遺言を引き受けることになった主人公が、
    亡くなったと思っていた従妹が実は行方不明になっていることを知る。

    たくさんのハーブや花が咲き乱れる庭とベランダにかけたガーベラの鉢。
    鉢は毎年一つずつ増やすように庭師に依頼していた。
    謎を調べていくうちに叔母と従妹の秘密が明かされていく。

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    2023年07月06日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    大阪や日本中に骸骨ビルというものが実在していたのかもしれない。戦災孤児の証言を元に話が進められている。詳しい感想は下巻にて。

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    2023年06月30日
  • いのちの姿 完全版

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    エッセイをあまり読んだことがなく、難しそうと敬遠していたのだが、とても読み進めやすい内容であった。
    本書の中で、見えない闇や本質に触れる描写があったが、自分が思っている以上に人には様々な事情があるし、背景がある。
    人の事情や背景に触れたときに、自分が初めて感じられることがあるのではないかと思った。

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    2023年06月29日
  • 螢川・泥の河

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    宮本輝の初期代表作、太宰治賞『泥の河』と芥川賞『螢川』を収録している。全てが代表作である純文学の権化のような作家だが、その中でもデビュー作と実質デビュー作はこの人を語るには欠かせないものだろう。

    戦後経済成長期で、発展を遂げようとしている大阪府の2つの家族を描いた『泥の河』。
    同じく戦後経済成長期で、衰退しつつある富山に住む少年と周辺を描いた『螢川』。

    全く正反対の舞台であるが、方や田舎に移ろうとし、方や都会に移ろうとする。ほぼ同じ時代に暮らしていても、2つの物語が目指す生活は異なっていた。

    しかし、彼らとて、自ら進んで計画したわけではない。運命とも、悲劇ともいえる状況に身を置かれ、やむ

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    2023年06月25日
  • 満月の道―流転の海 第七部―(新潮文庫)

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    満月の道

    熊吾が、柳田のモータプールの管理人と並行して始めた中古車販売の「ハゴロモ」は、予想以上に繁盛しスタッフの増員を余儀なくされ四十五歳の玉木則之と二十二歳の佐田雄二郎を新たに雇い入れる。

    一家は、ゴルフ場建設に意欲を燃やす柳田の要請で、もう一年モータープールの管理人を続ける事となるが、房江の負担軽減の為柳田商会から高卒の田岡勝己を派遣してもらう。
    さらに、またも国立大学の受験に失敗したシンエータクシーの神田を、合格した私大の夜間に通わせる為ハゴロモに雇い入れる。

    意に反して事業拡大するハゴロモは、房江の心配をよそに板金塗装会社「松坂板金塗装」を立ち上げる。
    そしてその資金繰りの為、

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    2023年06月17日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    柳田元雄の元で、3〜4年の期限付き経営者となった熊吾。
    房江は忙しさに追われながらも更年期の症状から解き放たれる。
    伸仁は私立中学に合格し中学生となるが、その成長の遅さに不安を感じた熊吾は伸仁の身体の全てを小谷医師に託す事に。

    一方、熊吾の新事業の援助を約束した亀井周一郎は、社長の後任に据えるはずの義弟の不正が発覚し窮地に。
    そして、末期の癌に罹患している事が判明する。

    援助の当てが外れた熊吾は、
    房江に内緒で自らが忌み嫌っていたエアブローカーに手を染め伸仁の治療費を捻出していたが、やがて大久保五郎という老人から伸仁を保証人として金を借り、小さいながらも中古車販売店・ハゴロモをスタートさせ

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    2023年06月10日
  • 優駿(下)

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    サラブレッドに関わる人々の思いを感じる事ができる作品。生産者の、願い(祈り)や血統への期待、未来への想いが伝わり、読後はより深く「競馬」というブラッドスポーツを楽しめるようになること必須。上下巻に渡る長編だが、中弛みする事なく最後にピークを持ってくる内容は圧巻。ダービー前のこの季節にぜひ!

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    2023年05月14日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    この物語は、
    なぜこんなにも惹きつけて止まないのか…

    一部・二部の頃の、房江に向けたクソのような暴力には、嫌悪感しか覚えなかったけれど…。

    陰と陽。
    正と負。
    相反する両極の性質を内包する、
    人間というもの…

    主人公・熊吾の卓越した洞察力。
    そして、年齢・性別・国籍・身分を問わず自分間違いは素直に認める公平性(feirness)。

    その底に棲む禍々しい暴力性。


    房江の優しさと慈愛、
    次々に襲いかかる災厄に負けない強さと時折のぞくお茶目な一面。
    一方で、彼女の人生に、べったりと張り付て離れない不安(不幸)の陰。


    伸仁の脆弱な身体に宿る、
    しなやかな強さを持つ心。

    そんな、大きな

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    2023年05月06日
  • 螢川・泥の河

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    太宰治賞を受賞した泥の河と,翌年に芥川賞を受賞した螢川のカップリング.恥ずかしながら宮本輝を読んだのは初めてだが,美しいですね.

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    2023年05月03日
  • 螢川・泥の河

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    ネタバレ

     1947年生まれ、宮本輝さん。芥川賞作家で好きな作家さんです。まさに、純文学と言った作品を書かれると思います。作風は変化するでしょうけど、この頃の作品が気に入っています。「蛍川・泥の河」、1994.12発行。「泥の河」は、太宰治賞。小学2年、うどん屋の信夫の「廓舟」の喜一(小2)、姉の銀子(小4)、母親へのそれぞれの思いが伝わってきます。「蛍川」は芥川賞。中学2年、竜夫の同級生、英子への恋心、いたち川のはるか上流に降る蛍の大群が。その情景が瞼に浮かびます!

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    2023年05月03日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    我が人生のバイブル(笑)
    「流転の海」第四部

    気の遠くなるような長旅を経て富山へと辿り着いた松坂一家を出迎えたのは、想像を絶する豪雪と先行きの不安を暗示する高瀬夫婦の応対だった。

    程なく、
    高瀬勇次の人間を見誤っていた事に愕然とする熊吾の元に、河内善助の急死の知らせが届く。

    河内の告別式の為に帰阪した熊吾は、千代麿から自動車ブローカー・久保敏松と引き合わされ、観音寺のケンとも再会する。
    そして、観音寺のケンから房江と二人で自分の子を身籠った女・百合を預かって欲しいと頼まれる。

    やがて、高瀬との事業に見切りをつけた熊吾は、高瀬にゴム付きの手袋の事業を薦め、自身は単身大阪への帰還を決意する

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    2023年04月13日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    「流転の海」第三部。
    舞台は再び大阪に。
    しばしの休息を経て自らの戦場へと戻った熊吾は、時代の先行きを読む確かな感性で、中華料理屋「平華楼」、雀荘「じやんくま」、きんつばの「ふなつ屋」等次々と事業を起こし軌道に乗せる。

    だが…

    伸仁が死にかけた近江丸事件を皮切りに台風による高潮の被害で大金を失い、電電公社と労組の不毛な争いに巻き込まれた形の理不尽な食中毒事件…
    さらには共同経営者・杉野の脳溢血と熊吾の母親の失踪、房江の精神の乱れと、
    津波のごとく次々に災厄が襲いかかる。

    やがて、
    高瀬勇次の再三にわたる懇請を受け入れ、富山で自動車部品を扱う会社を起こす為、大阪を離れる決意をするのだった。

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    2023年04月13日
  • 五千回の生死

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    情景がありありと目に浮かび、心にグサグサくる素晴らしい文学。「死にたい」と「生きたい」が交互にくる現象を「お前はどうや?」って人に確認したくなるの、すごいわかる。1日に五千回もきてるかはわからないけど、わかる

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    2023年03月12日
  • よき時を思う

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    近江八幡の90歳の徳子ばあちゃんが記念に晩餐会を開きたいと言う。京都の高級レストランでかなり金をかけて。東京で暮らす孫の綾乃から見た家族たちの人生。

    素晴らし過ぎる。徳子ばあちゃんがステキだ。大らかなのに細かい所に目が届く。どういう小説なのか説明しにくいが、宮本輝らしい、人生賛歌だった。輝作品読み返したい。

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    2023年03月01日
  • 草花たちの静かな誓い

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    カリフォルニアの景色を思い浮かべながら読み進められた。宮本輝さんは実際に行ったのかな?

    話は失踪した従姉妹の事が徐々に明らかになっていく事を軸に進められいる。
    最後までドキドキしながら読み進める事ができた。

    宮本輝さんの作品にはシチューだとかスープで商売を始める描写が多いのですが、今回もありました。
    流転の海を読み、宮本輝氏の生い立ちの中で飲食業で成功する為に試行錯誤をしたという描写があったので時々作品に出てくる意味がわかった気がする。

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    2023年01月15日
  • 三十光年の星たち(下)

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    20代のうちに読みたかった。
    人に勧めると説教くさく捉えられるかな。ただ純粋に、これからの人生にあかりを灯してくれるような作品でした。

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    2022年12月25日
  • 流転の海(第一部~第九部)合本版(新潮文庫)

    ネタバレ 購入済み

    死ぬ前に完結して良かった!

    さっき調べてみたら、書き始めたのは自分(私)がまだ小学生の頃で、腰が抜けるほどビックリしました!
    それで完結が2018年…。まだ4年ぐらいしか経ってないじゃんよww。

    著者曰く「最初はもっと早く書き上げる予定だったし、巻数ももっと少ない積もりだったんだけど…」と、いつだったかお話ししていましたが、結果的にはこの歳月…。

    (年老いた)実家の母は、当初「早くこの続きが読みたい!」と、新刊が出る度に買ってくる私へ催促していたものでしたがw、途中で認知症を患い、今この本の話をしても「あ~、そんな物語を読んでいた様な気がするねぇ…」等と切ない事を語っておりました。
    だから、その分だけ自分

    #アツい #感動する #笑える

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    2022年12月15日
  • 焚火の終わり 上

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    1997年作品。著者の作品が好きで、よく読みます。この作品も好きです。著者の書く関西弁が心地よいです。文章も美しい。作品はサスペンス仕立てで、ページが進みます。真相が、どのように解明されていくのか興味深いです。主人公の二人が魅力的です。特に美花。同性愛や兄妹かもしれないのに惹かれ合う二人。性的な描写もありますが、いやらしさは感じません。美しくさえ思えます。下巻で、どう展開していくのか、どのような終末に至るのか楽しみです。

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    2022年10月25日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    読み終わってしまった(涙)
    自分は50うん歳になる令和の4年まで、ずっと流転の海を読まずにおりました。
    なんとこの最終巻の文庫本の発売が令和3年。
    一巻目の発売から出会っていたら読み終えるまで37年かかったかも。もしもその頃から読んでいたら、ずっと心の片隅にあった本だったかもしれない。
    そして大好きな青が散るをまた読もうと思います。伸仁がモデルの青が散るも、流転の海の読後は違った発見があるかもしれない!

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    2022年10月19日