宮本輝のレビュー一覧

  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    知らず手に取ったが第九部まで37年間に及ぶ小説の冒頭だった。人間のどうしようもなさと星廻りを感じさせる物語。

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    2022年04月01日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    熊吾と房江の其々からの描写で構成されているので、ストーリーに奥行きがあって面白い。登場人物も根っからの悪い人はおらず、危うい怖さはあるけれど嫌いになれない。
    また戦後の大阪の様子が思い浮かび、作品に入り込んでしまう。流転の海は一年かけてゆっくりと読もうと思っていたけれど、あっという間に読んでしまいそうだと思った。

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    2022年03月30日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    宮本輝さんの作品との出会いは16歳。青が散るでした。
    そしてこの流転の海のシリーズを読み始めたのは52歳。主人公とほぼ同じ年齢なので目を背けたくなる描写も、辛くて耐えられそうにないことも受け入れられる精神力があるように思います。
    作品に入り込みすぎてあっという間に読み終えてしまいそうなので、この流転の海シリーズは一年かけてゆっくり読みたいと思います。

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    2022年03月11日
  • 優駿(下)

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    ネタバレ

    額に白い星印を捺された漆黒の仔馬、オラシオン、祈り。

    オラシオンの誕生、育成から宿命のダービー戦までの三年間。
    二分何十秒かで決まる勝負の世界。

    和具平八郎の私生児として15年間生きた誠は「お父さんの腎臓をください。お願いですから」と言いながら亡くなっていきました。
    平八郎は「俺は生涯、俺を許さん」と言うほかありませんでした。

    平八郎の秘書の多田は久美子と一線を越えようとして、手前で逃げられ、そして平八郎をも裏切ります。

    そして騎手仲間の寺尾を殺したと思い込んでいる騎手の奈良がオラシオンに乗ります。

    トカイファームの渡海千造は亡くなりますが、息子の博正と平八郎、久美子には共通の夢が生

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    2022年02月17日
  • 優駿(上)

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    ネタバレ

    北海道の静内、渡海千造の営む小さな牧場のトカイファーム。
    そこへ息子の渡海博正と同い年で大学生の和具久美子が大阪から和具工業の社長であり、父の和具平八郎とともに、今、生まれようとする仔馬を見にやってきます。

    生まれてくる仔馬はウラジミールとハナカゲの子のサラブレッドで、のちに和具の秘書の多田により「オラシオン」スペイン語で祈りと名付けられます。

    仔馬は平八郎が三千万円で買いとり、平八郎は久美子に隠し子がいるという秘密を母に内緒にするかわりに譲ります。

    久美子は父の隠し子の誠が同じ血液型の血縁である父からの腎臓を提供され手術をしないと生きられない病気であると知り、誠の入院先の病院に逢いに行

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    2022年02月16日
  • 私たちが好きだったこと

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    ネタバレ

    宮本輝の小説はすべてがハッピーに終わらず、現実というのは山あれば谷もあるというのを暗に示しているような話が多いがこれもそう。

    結果的に見れば、主人公は大学に行かせる手助けをして、医者になれる道筋を作った挙げ句違う男に乗り換えられて恋は終わる悲しいストーリー。
    しかし女がひどいかといえば、このままだと破産する男から金の心配せず大学生活を送ることができる男に乗り換え、結婚後も安泰なわけで誠に合理的。
    でもこれじゃあ主人公はバッドエンドじゃないかと思いそうだが、本当の「愛」ってやつを受け取った四人での生活は、今後彼が得ようと思っても得られない経験であるだろうし、無駄ではないんじゃなかろうか。いやそ

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    2022年02月12日
  • 水のかたち 下

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    今まで読んだ宮本輝の中で1番好きかもしれない
    水の流れのままにではなくて、水のかたちのままに
    『善き人』の強さを最近強く感じる自分にとって、なんだか救われたような気持ちになる話だった

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    2022年01月10日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    熊吾

    過ぎるほどの人間臭み

    豪胆さと脆さ

    こんな境遇、時代背景に自己投影できる人などいないけれど

    共感できる

    共感というよりは、男性として惚れる、憧れる男ですね

    この小説の存在で、今年は寝正月になったと言っても過言ではない

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    2022年01月01日
  • 青が散る(下)

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    ネタバレ

    燎平のテニスの成長ぶりに目を見張った。
    また、ガリバーの躍進ぶり(歌手だけでなく私生活も)も非常に驚いた。
    一方、安斎の死は非常に残念でやり切れなさを覚えた。
    そして、燎平と夏子の関係は今後どのようになるのだろうか?

    最高の一冊でした!

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    2021年12月20日
  • 田園発 港行き自転車 下

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     何か運命に引き寄せられるように登場人物が富山に集まっていく様がおもしろかった。
     登場人物もそれぞれ事情を抱えつつも嫌味のない感じで魅力的だった。それもあって話の中に入り込みやすかった。特に千春と佑樹のコンビは、田舎でゆっくり育った良さみたいなのが出てるような気がして好きだった。
     本の中では富山県の田園風景を描くシーンが多々あったが、その描写を読んで富山県に行ってみたくなった

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    2021年11月28日
  • 森のなかの海(上)

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    ネタバレ

    まだ上巻ですが、面白くって一気に読み終わってしまいました。

    出だしこそ阪神淡路大震災の被害状況のあまりのむごさに、ちょっと読む手がとまりかけたのですが、夫と姑の不実から離婚へ、ひょんなことから奥飛騨の山荘に住むことになり…と、どんどん先が気になってしまいます。

    冷静に考えると、ちょっとした知り合い程度の老婦人からいきなり広大な土地と山荘を譲り受けるなんてことはないでしょうし、その後の展開も主人公がというよりも、主人公の父が資産家で博学で懐の大きな人であることが大きなポイントとなっており、そこまで恵まれた人というのもあまりいないとは思います。

    でも、震災の後、まだ家に閉じ込められている人が

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    2021年11月04日
  • 道頓堀川

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    橋から眺める道頓堀の光芒が目に映る様だった。朝陽を浴びた寂しげな街並み、ネオン輝く夜の歓楽街。川には歴史があり、そこで暮らす者にも人生がある。男の過去への後悔が川の濁りに似ている。歓楽街の光彩は過去を照らすが、決して未来は照らさない寂しさも孕んでいた。

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    2021年10月28日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    とうとう最終巻まで読み終わってしまいました。
    第八部で妻子と別居することになり、殺伐とした第九部になるのかと思いきや、意外にものどかな日常が綴られていきます。
    一緒には暮らさないけれども、家族として互いを思いやりながら暮らす熊吾と房江は、もしかすると初めて穏やかな生活を手に入れたのかもしれません。

    作中でも語られますが、熊吾は人と人とをつなぐのがとてもうまい。
    自分の部下にはしょっちゅう裏切られるし、家族とは別居するはめになるのだから、もしかすると親しい他人という距離が、一番熊吾との安定した関係を築けるのかもしれません。

    ”雑用が満足にできない人間は、どんないい大学を優秀な成績で卒業してい

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    2021年10月24日
  • 星々の悲しみ

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    一つ一つ、綺麗な物語だと思った。
    人間のドロドロした感情、妬みや裏切り、執着など、負の部分が描かれているけれど、目を背けさせたいのではなく、ましてや正義感や正論で矯正しようというのでもない。淡々とした丁寧な文章が、非常に好ましく心地良かった。

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    2021年10月24日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    ようやく読み終わりました。
    熊のおっちゃん、房江さんみたいな奥さんでホンマに良かった。
    もう一度通読したいと思いますが、今すぐは無理かな。

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    2021年10月24日
  • 星々の悲しみ

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    短編集。発行されたのは1981年。でも20代前後の青年が抱える不安や期待っていうのは時代を経ても変わらないな、と思った。
    情景描写がとても心地良い感じ。そのシチュエーションがありのまま浮かんでくるような。シチュエーション自体も、現実味がある感じで好き。
    だけど、毎回最後が難しい。わからないから、何度も読みたくなる。大学入試の小説問題にありそう、っていうのが1番の印象。
    でもとっても好きだった。読解力が足りないので、一回読んだだけじゃうまく最後の部分を理解できない。主人公の、その瞬間に湧いてきた感情を言葉に表すのは難しいな。また読みたい。

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    2021年10月02日
  • 草花たちの静かな誓い

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    ミステリだと思い手に取った。想像していた内容とは違っていたのだが、とても良い一冊に出会えた。

    すっと物語に惹き込まれ、社会の光と陰を覗き見た気がした。ストーリーの展開に想像はついたのだけれど、それでも彼らの感情や行動を見守らずにはいられなかった。
    人間の表と裏、愛と憎しみ、尊敬と失望。時には人間ではないものに助けられながらも、人は人と関わって生きていく。

    秋の高い空に、青すぎる彼の地の空を重ねてみたりした。

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    2021年09月14日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    この本を書き上げるために作家になられた。父の仇をうつために三十七年かけて「流転の海」を書き尽くした。これに心が動かないはずがない。

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    2021年09月12日
  • 草花たちの静かな誓い

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    高校受験勉強時の問題集で出会った螢川に衝撃を受けて以来、ずっとファンです。この作品もやっぱり自分の中にスッと入ってくる文章、楽しめました。ミステリーとして読むと、もしかすると「?」となるかもしれませんが…

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    2021年08月21日
  • 星宿海への道

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    ずいぶん久しぶりに宮本輝の小説を読んだ。何でこんなにしばらく読むことなかったんだろうと思うくらいいい小説だった。いや、この小説がいいという以前に、宮本輝の小説ってやっぱりいいなと思った。貧しいけど品がある人々の物語という感じがするのだ。この小説なんかもそうで、物乞い生活をしていた幼い雅人とその母親の様子が悲惨さがなく仲よく明るく楽しそうに見えたというのなんか、物乞い生活の人をそういう描き方をするのも含めて象徴的だと思う。
    しかし、自分なりに清貧だけど満足しているらしき暮らしをしているように見えた雅人だけど心のなかではずっと母親の面影だけを抱えて生きていたんだね。それはどこか実生活でありながら現

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    2021年08月15日