宮本輝のレビュー一覧
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戦災孤児について全く知識が無かったので、この本を読むことにより生きることがどれだけ大変だったろうかと思いを巡らせることができた。
一人一人インタビューしたものを日記ふうにしたためてあるのでグイグイと読めた。
話の端々に心に沁み入る箇所があった。
うまくまとめられなかったので再読してピックアップしようと思う。
宮本輝氏の小説は毎回、事業を起こそうと思わせるものがある。今回は食堂。
錦繍では今で言うタウン誌を作ったエピソードがあった。
流転の海を読んで、事業を起こす事が描かれるのは宮本輝氏のお父さまの影響であることがわかる。
また今回も能を見に行くという箇所があり、たまたま能を見るチャンスに恵まれたのでこれも何かの縁と思い見に行くことにする。
それから舞台である十三に近々行くので、近辺を歩けたらと思う。 -
Posted by ブクログ
満月の道
熊吾が、柳田のモータプールの管理人と並行して始めた中古車販売の「ハゴロモ」は、予想以上に繁盛しスタッフの増員を余儀なくされ四十五歳の玉木則之と二十二歳の佐田雄二郎を新たに雇い入れる。
一家は、ゴルフ場建設に意欲を燃やす柳田の要請で、もう一年モータープールの管理人を続ける事となるが、房江の負担軽減の為柳田商会から高卒の田岡勝己を派遣してもらう。
さらに、またも国立大学の受験に失敗したシンエータクシーの神田を、合格した私大の夜間に通わせる為ハゴロモに雇い入れる。
意に反して事業拡大するハゴロモは、房江の心配をよそに板金塗装会社「松坂板金塗装」を立ち上げる。
そしてその資金繰りの為、柳田商会の松田茂とその母親の貯えからから八十万を借り受ける。
そんな頃、街中で男と言い争う森井博美を見かけるが、その余りにも窶れた見窄らしい姿に愕然とし、後を尾けるも見失う。
だが後日、たまたま食事に立ち寄った居酒屋で働く博美とついに再会してしまうのだった。
同じ頃、神田から玉木が二重に伝票を作成していると言う報告を受けるが、さしたる調査もしないまま忘れてしまう。
再び、
街中でばったり博美と遭遇した熊吾は、ヤクザのヒモと切れないので助けて欲しいと懇願され、博美の顔の傷の負い目もあり逃亡に関わってしまう。
結果、熊吾が東京へ逃した事が漏れ、赤井というヒモに八十万の手切れ金を支払うハメに。そしてその出費は想像以上に大きな重荷となってゆく。
熊吾の手切金によってひとまず自由となった博美は大阪へと戻り、モータープールとハゴロモの近所にアパートを借りる。
結局、博美の持つあまりにも甘味な肉体の虜となった熊吾は、その欲情に抗えず昼間から足繁く通うようになる。
一方、
行方不明となっていた城崎の麻衣子は、蕎麦修行の為に但馬の出石にいた事がわかる。蕎麦専門店としてのちよ熊を開店するにあたりツユの味が決まらず、房江を頼ってきたのだった。
そして…
神田の抱いていた危惧は的中し、またしても信じきっていた己の腹心・玉木の裏切りが判明する。
玉木は数百万にも及ぶ金を着服していたのだ。
そして、その金はなんと森井博美のヒモとその背後のヤクザへと流れていたのだった。
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柳田元雄の元で、3〜4年の期限付き経営者となった熊吾。
房江は忙しさに追われながらも更年期の症状から解き放たれる。
伸仁は私立中学に合格し中学生となるが、その成長の遅さに不安を感じた熊吾は伸仁の身体の全てを小谷医師に託す事に。
一方、熊吾の新事業の援助を約束した亀井周一郎は、社長の後任に据えるはずの義弟の不正が発覚し窮地に。
そして、末期の癌に罹患している事が判明する。
援助の当てが外れた熊吾は、
房江に内緒で自らが忌み嫌っていたエアブローカーに手を染め伸仁の治療費を捻出していたが、やがて大久保五郎という老人から伸仁を保証人として金を借り、小さいながらも中古車販売店・ハゴロモをスタートさせる。
城崎では、
ヨネの死によって美恵が大阪へと去り、続いて正澄も千代麿夫婦が引き取り、正澄の祖母・ムメも亡くなる。
一人になった麻衣子は実の母親と「ちよ熊」を引き継ぐが、やがて連絡が取れなくなる。
また一方では、
井草の妻のもたらした、
海老原太一の詐欺教唆と借金の証拠となる名刺は、熊吾によって観音寺のケンの手に渡るが、海老原太一が衆議院選挙への出馬を決めて程なく、その自死が報道される。
やがて、一通の郵便が届く。
中にはたった一枚の名刺が… -
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この物語は、
なぜこんなにも惹きつけて止まないのか…
一部・二部の頃の、房江に向けたクソのような暴力には、嫌悪感しか覚えなかったけれど…。
陰と陽。
正と負。
相反する両極の性質を内包する、
人間というもの…
主人公・熊吾の卓越した洞察力。
そして、年齢・性別・国籍・身分を問わず自分間違いは素直に認める公平性(feirness)。
その底に棲む禍々しい暴力性。
房江の優しさと慈愛、
次々に襲いかかる災厄に負けない強さと時折のぞくお茶目な一面。
一方で、彼女の人生に、べったりと張り付て離れない不安(不幸)の陰。
伸仁の脆弱な身体に宿る、
しなやかな強さを持つ心。
そんな、大きな矛盾を抱えた人間の生き様に、感動と共感を得ずにいられない。
久保敏松の裏切りにより一文無しとなった熊吾は、伸仁を富山に残し房江と共に大阪へ戻るが、結局一人の寂しさに根を上げた伸仁を迎えに行く事に。
熊吾と房江は電気も水道も通っていない船津橋のビルに住んでおり、二人共深夜まで戻らない事が多い為、伸仁は尼崎の蘭月ビルという長屋に住む妹のタネに預ける事となる。
中古車のエアー・ブローカーで糊口を凌ぐ熊吾は、旧知の柳田元雄に出資させ、福島西にある女学院の移転に伴う千二百坪の跡地を使って巨大なモータープールを作る計画に邁進する。
一方房江は、大阪灘波宗右衛門町の小料理屋「お染」で働き、底意地が悪く嫉妬深い店主・田嶋カツ代の嫌がらせに耐えながら得意の料理によって顧客の心を掴んで行くが、偶然来店した、新町の「まち川」時代の売れっ子芸者・千代鶴(島津育代)との再会以後、育代から執拗な嫌がらせに遭う。
そして…
貧乏人の巣窟であり、
社会的規範の外に生きる者や、祖国が南北に分かれ反目し合う朝鮮人達の巣食う蘭月ビルで、逞しくしたたかに育ってゆく伸仁。
そんな中でも、
音吉の尽力で熊吾の母の消息(死亡)が判明し、千代麿が愛人に産ませ、浦辺ヨネ(わうどうの伊佐男の子を産んだ愛人)に預けていた娘・美恵を、ヨネの死亡により引きとる事になったり、
また、かつて井草が持ち逃げした金五十万が海老原太一へと渡っていた証拠の名刺が見つかったりと周りも慌ただしい。
やがて、
ついに土地の買収に成功した熊吾は、柳田の下での期限付き運営責任者としてながらモータープールの経営に本腰を入れる。
そして、房江も「お染」を辞め伸仁も戻り、松坂一家は管理人としてモータープールの一角に住み込む。
事業の順調な滑り出し、そして、蘭月ビルの住人・ヤカンのホンギの結んだ縁によって再会した亀井周一郎が熊吾の再起への助力を約束し、漸く明るい兆しが…
だが、
蘭月ビルで出会った絶世の美少女・津久田咲子の存在は、どの様な禍いをもたらすのか…
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我が人生のバイブル(笑)
「流転の海」第四部
気の遠くなるような長旅を経て富山へと辿り着いた松坂一家を出迎えたのは、想像を絶する豪雪と先行きの不安を暗示する高瀬夫婦の応対だった。
程なく、
高瀬勇次の人間を見誤っていた事に愕然とする熊吾の元に、河内善助の急死の知らせが届く。
河内の告別式の為に帰阪した熊吾は、千代麿から自動車ブローカー・久保敏松と引き合わされ、観音寺のケンとも再会する。
そして、観音寺のケンから房江と二人で自分の子を身籠った女・百合を預かって欲しいと頼まれる。
やがて、高瀬との事業に見切りをつけた熊吾は、高瀬にゴム付きの手袋の事業を薦め、自身は単身大阪への帰還を決意する。
久保敏松と中古車販売会社を起こす元手作りの為、名刀・関の孫六を手放す決意をするが、その道すがら再会したストリッパー西城あけみの顔に大火傷を合わせ、新たな柵を産んでしまう。
過去に大怪我を負わせた海老原太一を頼り、関の孫六を買い取って貰い資金を得るが、その日の食べ物にも窮する房江らの窮状を知りながら、森井博美(西条あけみ)との肉欲に溺れる熊吾。
一方、富山での暮らしに言いようのない行き苦しさを感じる房江は喘息を発症してしまう。
そして、房江に約束した期日を過ぎても事業の進展が遅々として進まない中、今度はなんと久保敏松によって新事業に参加した業者の預り金を含む全財産を持ち逃げされてしまうのだった。
万事窮した熊吾は、森井博美の手術に用立てた金を返して貰い、博美との関係に終止符が打たれる。
やがて、
富山に戻った熊吾は、伸仁を富山に残し房江を大阪に伴う決意をするのだった。 -
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「流転の海」第三部。
舞台は再び大阪に。
しばしの休息を経て自らの戦場へと戻った熊吾は、時代の先行きを読む確かな感性で、中華料理屋「平華楼」、雀荘「じやんくま」、きんつばの「ふなつ屋」等次々と事業を起こし軌道に乗せる。
だが…
伸仁が死にかけた近江丸事件を皮切りに台風による高潮の被害で大金を失い、電電公社と労組の不毛な争いに巻き込まれた形の理不尽な食中毒事件…
さらには共同経営者・杉野の脳溢血と熊吾の母親の失踪、房江の精神の乱れと、
津波のごとく次々に災厄が襲いかかる。
やがて、
高瀬勇次の再三にわたる懇請を受け入れ、富山で自動車部品を扱う会社を起こす為、大阪を離れる決意をするのだった。
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ネタバレ 購入済み
死ぬ前に完結して良かった!
さっき調べてみたら、書き始めたのは自分(私)がまだ小学生の頃で、腰が抜けるほどビックリしました!
それで完結が2018年…。まだ4年ぐらいしか経ってないじゃんよww。
著者曰く「最初はもっと早く書き上げる予定だったし、巻数ももっと少ない積もりだったんだけど…」と、いつだったかお話ししていましたが、結果的にはこの歳月…。
(年老いた)実家の母は、当初「早くこの続きが読みたい!」と、新刊が出る度に買ってくる私へ催促していたものでしたがw、途中で認知症を患い、今この本の話をしても「あ~、そんな物語を読んでいた様な気がするねぇ…」等と切ない事を語っておりました。
だから、その分だけ自分が…!!とも思うのですが、自分も第4巻を過ぎた辺りから記憶が怪しくなっているので、最初から読み直そうとこの度電子で買い直しました。
自分が死ぬまでにキッチリ読み終えることを目標に、頑張ります!