宮本輝のレビュー一覧
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ネタバレまだ上巻ですが、面白くって一気に読み終わってしまいました。
出だしこそ阪神淡路大震災の被害状況のあまりのむごさに、ちょっと読む手がとまりかけたのですが、夫と姑の不実から離婚へ、ひょんなことから奥飛騨の山荘に住むことになり…と、どんどん先が気になってしまいます。
冷静に考えると、ちょっとした知り合い程度の老婦人からいきなり広大な土地と山荘を譲り受けるなんてことはないでしょうし、その後の展開も主人公がというよりも、主人公の父が資産家で博学で懐の大きな人であることが大きなポイントとなっており、そこまで恵まれた人というのもあまりいないとは思います。
でも、震災の後、まだ家に閉じ込められている人が -
Posted by ブクログ
ネタバレとうとう最終巻まで読み終わってしまいました。
第八部で妻子と別居することになり、殺伐とした第九部になるのかと思いきや、意外にものどかな日常が綴られていきます。
一緒には暮らさないけれども、家族として互いを思いやりながら暮らす熊吾と房江は、もしかすると初めて穏やかな生活を手に入れたのかもしれません。
作中でも語られますが、熊吾は人と人とをつなぐのがとてもうまい。
自分の部下にはしょっちゅう裏切られるし、家族とは別居するはめになるのだから、もしかすると親しい他人という距離が、一番熊吾との安定した関係を築けるのかもしれません。
”雑用が満足にできない人間は、どんないい大学を優秀な成績で卒業してい -
Posted by ブクログ
短編集。発行されたのは1981年。でも20代前後の青年が抱える不安や期待っていうのは時代を経ても変わらないな、と思った。
情景描写がとても心地良い感じ。そのシチュエーションがありのまま浮かんでくるような。シチュエーション自体も、現実味がある感じで好き。
だけど、毎回最後が難しい。わからないから、何度も読みたくなる。大学入試の小説問題にありそう、っていうのが1番の印象。
でもとっても好きだった。読解力が足りないので、一回読んだだけじゃうまく最後の部分を理解できない。主人公の、その瞬間に湧いてきた感情を言葉に表すのは難しいな。また読みたい。 -
Posted by ブクログ
ずいぶん久しぶりに宮本輝の小説を読んだ。何でこんなにしばらく読むことなかったんだろうと思うくらいいい小説だった。いや、この小説がいいという以前に、宮本輝の小説ってやっぱりいいなと思った。貧しいけど品がある人々の物語という感じがするのだ。この小説なんかもそうで、物乞い生活をしていた幼い雅人とその母親の様子が悲惨さがなく仲よく明るく楽しそうに見えたというのなんか、物乞い生活の人をそういう描き方をするのも含めて象徴的だと思う。
しかし、自分なりに清貧だけど満足しているらしき暮らしをしているように見えた雅人だけど心のなかではずっと母親の面影だけを抱えて生きていたんだね。それはどこか実生活でありながら現