宮本輝のレビュー一覧

  • 優駿(下)

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    映画版のラストしか知らなかったけど、非常に満足した作品だった。競馬に対する見方が劇的に変わった。おすすめの本を聞かれたときに紹介したい一冊になった。

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    2021年05月22日
  • 優駿(上)

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    友人の薦め。ミラクルバード第3戦の描写は圧巻。北海道の牧場や競馬場の情景が目の前に出てくるようで面白く読めた。「ウマ娘。」で競馬を知った人にも読んで欲しいな。

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    2021年05月04日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    ■持って生まれた星廻りと血の呪縛■

    第三部のストーリーの舞台はいわゆる「戦後」からの脱却期、日本人がようやく自分たちのために上を目指して歩みだす時代。様々な男女、親と子が登場し、それぞれが持って生まれた星廻り、あるいはその体内にどうしようもなく流れる血を意識させる。

    両親の愛を知らずに育った熊後の妻房江は「子供は自分の親に育てられるのがいちばん幸せや」と言う。たとえ親が薄情でも極道でも敵国でも船上の住む飲んだくれでも、それぞれの宿命の下、自分の親に育てられるのがいちばん幸せなのだと思うと、何だか切なくなってくる。

    房江はまた、「誰が悪いのでもなく、すべては自分の持って生まれた星廻りのよう

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    2021年04月23日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    ■動物としての人間が本来持つ生命力を感じる■

    舞台は戦後。焼け野原から裸一貫、事業の再起をかけのし上がろうとする松坂熊吾の野太い生きざまと、その荒々しい流れに巻き込まれ、溺れ、また反発する男たち、女たちの盛衰や友情、裏切り、愛憎を描く。

    熊吾は仁義に厚く豪胆、ガキ大将がそのまま大人になったような人物。しかも先見の明があり、機知に富む。情にもろい半面、身勝手で嫉妬深く暴力的だ。男尊女卑やDVという概念すらなかった時代、我が子のこととなると愛情のあまり我を忘れて怒鳴り散らす。そんな偏屈な人物像に親しみを覚え、自然と感情移入してしまう。

    むき出しの欲望、ギラギラした闘争心、他人を蹴落としてでも

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    2021年04月23日
  • 優駿(上)

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    馬券という紙切れ一枚に詰まった人間模様。
    泥臭い中にも、馬ゆえの神秘的な雰囲気も醸し出す名作。続きが気になります。

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    2021年04月19日
  • 幻の光

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    『生と死』

    どんな環境におかれようとも、わずかな幸せを求めて懸命に生きようとする力

    そんな力も、理由もなく突然訪れる『死』の前では無力だ

    『死』に向き合いながら生きていく人の儚さを、淡々とした語りの中で感じざるを得ない

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    2021年04月29日
  • 道頓堀川

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    後悔し続ける中年とジュブナイルの青臭さ。
    当時の“男”の描き方が上手すぎる。
    作者の作品では一番好きです。

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    2021年03月22日
  • 優駿(下)

    購入済み

    優駿

    一頭の馬をめぐり、馬主、生産者、騎手、厩務員、予想屋まで全て網羅。
    あとがきにあった、よくわからず・・・いえ、わかりすぎです。
    競馬好きは一度は読んだほうがいいですね。
    ただ、ただ素晴らしい。

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    2021年02月17日
  • 青が散る(下)

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    ネタバレ

    大学生という立場で読んだので、また大人になったら違う感想を持つのだと思う。大学生のうちに一度読めて良かった。
    男女の価値観が古くて受け入れたくないなあって思うところも多かった。「女だから、結婚したら亭主と子供を好きになる」とか。
    結末はハッピーエンドとは言い難いけれど皆何かにひたむきになっていて、きっと大人になって思い返すと「間違った」とは言っても後悔はしなさそう。
    きっと青春ってほとんどの人にとって、いっぱい悩んで、後から「悩むのも大切で、時間が巻き戻ってもほとんど同じ事するだろうな」って思って、キラキラした物だけじゃなくても肯定出来るような物かなあって思った。自分もきっとそう思うような道を

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    2021年02月10日
  • にぎやかな天地(下)

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    ここで終わるのが潔い
    せめて発酵本かと思ってたけど、
    それがテーマじゃないからね!って
    いやいや。それは宮本輝読者だもの、大丈夫だよね?って
    読者を信じる姿勢だよ

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    2021年01月10日
  • 彗星物語

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    14人家族ってだけで登場人物十分多過ぎなのに、各人のキャラが立っていて、作中別段大きな事件が起きるわけではないけれど、笑ったり、そして、最後は嗚咽するくらい泣いてしまった。
    読み終えたあと、家族写真を撮りたくなった。

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    2020年10月25日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    マンションへの建て替えを了承したものの、ビルに居続ける茂木氏。彼は生きる場所と意味を与えてくれたビルの正統な後継者である友人阿部氏に不義理を働いた女性に、彼女がそこで知るべきことを知らせる義務感から居残っていた。
    そのビルで育った子供たちの思い出と、彼らを育てた阿部・茂木両氏との思い出とが読んでいく中で重層構造を成していく。思い出に関係のない様々な知識も込められ、知的好奇心が満たされる感覚が良い読書体験として残る。
    末尾まで来た時に、頭の中に残ったものはとても綺麗なのだけれど、文字では伝えきれない。良書。

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    2020年10月25日
  • 骸骨ビルの庭(上)

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    戦前に建てられた英国調のビルはGHQに接収され、屋上にアンテナを張り巡らした姿が骸骨に見えると、いつしか骸骨ビルと呼ばれるようになった。
    この建物をマンションに建て替えようという話が持ち上がるが、ほぼ孤児院としてそこで育った人々は今も居座っており、主人公の八木沢が彼らを立ち退かせるために送り込まれる。けれどごくごく一般人の八木沢は、その住民たちの生い立ちを聞くうちに次第に感化されただ骸骨ビルで住むだけの人になる。
    戦後日本の光と闇が綯い交ぜとなった生活史が興味深くもっと知りたくなる。まだ続きがあるのが嬉しい。
    ジャンルはなんなんだろう?他ではあまり経験できない読み心地。犯人がわからない人物から

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    2020年10月25日
  • 青が散る(上)

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    ネタバレ

    メモ。
    青くて幼くて脆くて必死に生きてた。
    大人になって世間に擦れて沈んでしまう、若さに裏打ちされた感情を思い起こさせる作品だった。
    誰もが椎名燎平であり安斎克己であり氏家陽介でありむしろ誰でもない。
    この世は怖い。人生は大きい。

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    2020年09月06日
  • 彗星物語

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    ゆるーい、よくありそうな家族のお話。
    愛に溢れた、あったかい家族のお話。
    人と人の繋がりの大切さ
    忖度感情なく、見返りを求めない無償の愛。
    家族だからこそ、できるものだと思った。
    心あったまりました

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    2020年07月22日
  • ドナウの旅人(下)

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    遂にドイツから始まったドナウの旅が終わった・・・という感じで、上巻から始まり、すごくはまりました!

    今では自由に往き来できるヨーロッパの国々も、この作品の時代は厳しい出入国審査があり、共産圏である東ヨーロッパでは自由に旅もできない。
    麻沙子とドイツ人の恋人シギィ、母親の絹子と愛人の長瀬、二組の旅人がドイツからオーストリア、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアと、ドナウ川を旅をする姿が、ドナウに沿ってだんだん色濃くなる共産圏の国々の時代背景と共に描かれているのが、この物語を一層魅力的にしているなと感じた。
    旅の途中で出会う人々の背景も、限られた中で端的に描かれていて、登場人物全員に興味が沸い

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    2020年07月07日
  • ドナウの旅人(下)

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    私もドナウ河に沿って旅をしたことがあった。だから題名に惹かれてこの本を手に取ったのだけど、微妙な感情の機微の表現に圧倒されてしまった。題名以上にインパクトのある話だった。

    ずっと続く散文的な展開が、ドナウ河を思わせるよう。ドイツからルーマニアまで流れていきながら、ついには黒海に注ぐ水の流れ。なんとなしに各地域における河の太さや存在感が、話の展開にも比例していた気がする。

    それにしても宮本輝が描く女性ってなんでこんなに魅力的なのでしょう!

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    2020年07月02日
  • ドナウの旅人(上)

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    私も10年前、ニュルンベルクから、レーゲンスブルク、パッサウ、そしてウィーンへとドナウ川に沿って旅をしたことがあり、この物語の主人公達が旅するのと全く同じ順番にドナウ川沿いの街がでてきて、私も見たその時の風景を思い出し、凄く懐かしく、もう一度訪れたくなりました。
    母親と若い愛人、娘と恋人、といった異色の二組が、ドナウに沿って旅を進めるごとに、どんどんこの物語にはまっていきます。母親の愛人である長瀬という男が訳有りで、母親と旅をすることになった経緯や、長瀬という男がとても興味深く、ページをめくっていくのが楽しくて仕方がない。
    ドイツから始まる彼等の旅が、ドナウ沿いのドイツの街、ドイツを経てオース

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    2020年07月01日
  • にぎやかな天地(下)

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    三回めの再読。暫くすると忘れている箇所があったり、、刺さる部分が前回とは違ったり。今回は自粛中に読み始め、発酵物に興味を抱いたからだけど 人の心も熟す?熟れて(ナレテ)行く?
    お母さんと彦市さんの場面に感涙。前回はそれ程感じなかったのに。。

    ゆっくり ゆっくり 読みたい一冊。

    生と死は繋がっている、、、

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    2020年06月16日
  • ドナウの旅人(上)

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    「楽しい劇であろうと、哀しい劇だろうと、平凡な劇であろうと、劇のない人生に真のしあわせなんかありませんよ。そして劇は偶然に訪れたりしないわ。さあ、準備をしなさい。忘れ物はない?」

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    2020年06月14日