宮本輝のレビュー一覧

  • 人生の道しるべ

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    お恥ずかしながら宮本輝作品を読んだことがなく、きれいな作品というイメージばかりが先行して手に取ってこなかったのだけど、対談を読んだらそんなこと言ってないでさっさと読まねばという気になりました。私はきれいの奥にあるどろどろを感じられるだろうか。
    またおふたりに通ずる繊細かつ豪胆な小説家の業を教えてもらえておもしろかった。

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    2026年01月15日
  • 灯台からの響き

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    ゆっくりゆっくり物語は進むのですが、なぜか「もういいや」と読むのをやめる気にはなりません。登場人物の語る言葉に人生を歩む上で大切な訓示が入っているからでしょうか。さすが、宮本輝さんです。読後は蘭子さんの人柄や想いが温かく心に広がり、惜しい人を亡くしたと寂しくなり、実際にこの世で生きていたかのような感覚になりました。
    ちなみに、影響されやすい私は近場の灯台を見に行ったりしました。

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    2026年01月13日
  • 優駿(下)

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    銀色のステイヤーで、競馬系小説の面白さを知り、テレビドラマ「ロイヤルファミリー」を見てさらに興味が深まり、有馬記念で馬券を買って、この本を読み始めた。
    最初の設定が、ロイヤルファミリーと似てる…と思ったが、もっともっと深かったと思う。
    誰が主人公なのかわからない。章ごとに変わる?なので誰に肩入れすることもなく、公平な気持ちで読み続けられる。
    競馬用語を、ネットで調べながら読み進めた。ロイヤルファミリーを見ている時もそうだったが、レースの実況場面がいちばんグッと来る。
    馬が走るところを見たい。

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    2026年01月12日
  • 三千枚の金貨(下)

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    20台の頃、大好きだった宮本輝さん。ハードオフで上下巻揃っていたので購入。
    読みはじめてすぐに「これ、これ!輝さんの雰囲気!」と、ワクワクしながら読みました。
    シルクロードや日本国内の具体的な地名が出てきて、行ってみたいなぁと想像力を掻き立ててくれるところ、さすが輝さん、と思い出しました。

    調べたら、流転の海シリーズを完結されていたとの事!また、一から読んでみたいと思っています。

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    2026年01月12日
  • 錦繍

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    山形文学紀行で紹介された本であるが、蔵王温泉は一場面しか出てこない。その場所で別れた夫婦が偶然に再開する。しかし、多くの場面は関西であり、大阪であり京都である。

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    2026年01月11日
  • 錦繍

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    昔はこうして連連と手紙を書いたものでした。
    本当は別れたくはなかった、本当は今も愛し愛されていることがわかった。でも一緒にはなれない現実もある。
    女は、生きることと死ぬことは同じと感じ、その言葉に男は、己の為した全ての行為、心に抱いた思念は、死の世界へ移行した自分を打擲すると伝えた。
    過去に囚われた苦しみが、希望に満ちてくる瞬間がある。その時、美しい錦の織物が紡がれたように感じました。
    この人の作品は本当に素晴らしい!

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    2026年01月08日
  • 螢川・泥の河

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    泥の河を読んで
    私は同じ時代に大阪の狭い長屋に生まれましたが、そのような船があるとは知りませんでした。幼い頃はまだ皆んなが貧しく洗濯機もない時代。裏口で大きなたらいに水を出し洗濯板でゴシゴシ。お隣のおばさん達も皆んな朝から洗濯していて、そういえば、冬は母が熱湯を持ってきて少しずつたらいに入れました。
    川では、枝を落としただけの幹の太い木を数本縛り、男の人がその上に立ち、長い竿を操りながら船のようにして大木を運んでいました。ポンポン船も大好きで、よく橋の上から眺めました。父が「昔は、よう土左衛門が流されてきたんやで」と言っていたのを思い出しました。それがそんな昔の話ではなかったのだと小説を読んで

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    2026年01月08日
  • 人生の道しるべ

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    私が作家でいちばん大好きなのでは宮本輝さん。
    吉本ばななさんと、作家の世界観を語り合う対談集。二人の高度な作家魂をほんの少しでも理解できて嬉しかったです。

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    2026年01月02日
  • ドナウの旅人(下)

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    高校生の頃に夢中になって読んだ本を再読。

    当時は海外に行ったことがなく、西ドイツからルーマニアにかけての情景は全て想像の中でしかなかった。
    大人になって実際にドイツ・ハンガリーなどの東欧諸国を訪れたことで、ドナウ川の流れやヨーロッパの果てしない平野、駅に降り立った時の寂寞感が私の中で現実のものとなった。 

    母・絹子とその愛人の長瀬、娘の麻沙子とドイツ人の恋人シギィ。
    四人の複雑な関係のまま進んでいく旅路は、一編の叙情詩のように感じられる。

    高校生の頃に憧れた麻沙子に近づけているかはわからないが、それでもこの作品が私の人生に影響を与えたことは間違いない。

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    2026年01月01日
  • 錦繍

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    ネタバレ

     離婚した元夫婦が偶然蔵王で再会し、一年弱、14通の手紙のやり取りを通じて、過去を乗り越え、再生する物語。
     1985年の小説なので、令和の今読むと倫理観が崩壊している。浮気を開き直られても、とか、忘れられない女がいたことは墓場まで持っていく話でしょ!とか、今の女性とのやりとりをそんなに赤裸々に語られても、とか…色々、色々思った。けれどそれでも圧倒的だった。読後の力強さ、みなぎる感じが、やはり名作。2025最後の小説かな、と思いながら読み始めたけれど、一気読み!

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    2025年12月31日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読み終わって数日、反芻するようにこのシリーズを考えては少し涙を流す、ということを繰り返した。
    これほど読み応えのある小説とは。想像をしていた物語の遥か上を行った。
    それぞれの登場人物が、最高に幸福ではなく、かといって絶望的に不幸でもなく、本当に現実的にある範囲で描かれる。
    熊吾と房江にはあとほんの少しだけ、幸せな時間をあげてほしいと願ってしまった。また3人での生活ができるようになるとか、一本松に行けるとか、せめて3人で会話する時間がもう少しあるとか。
    でも最後は3人で過ごせた。最悪のような場所かとも言えるが、「野の春」を感じることのできた場所でもある。
    多くの人の人生に関わった熊吾が、最後見送

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    2025年12月27日
  • 潮音 第四巻

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    戦争と平和、のような壮大なスケール感。時代を意識して走り続けた弥一に「潮音」が聞こえないと言うことが皮肉でもあり、そんなものかもという思いにもなる。いつかまた読み返したい。

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    2025年12月21日
  • 螢川・泥の河

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    マレーシアの首都、クアラルンプールは、川が交わるところという意味の地名なのだそうで、マレーシア旅行の飛行機での楽しみのために読んだ。のちに流転の海シリーズを書き上げるが、その要素が凝縮されている。著者が一貫して描き続けている父と子の関係性の機微や、女性の神秘的でありながら世俗的な二面性を見事に表現している。著者の美しい文章へのこだわりが光っていて、リズムよく、ちょっと小難しい視点で、懐かしくも痛々しい戦後の大阪や石川を描いた2作だった。

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    2025年12月20日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    「慈雨の雨」とは、高度経済成長下で、松坂熊吾一家の周りに、慈しみの雨が降っていたという意味らしい。

    城崎温泉に住むヨネや、蘭月ビルの盲目の少女香根、海老原の死。また、北朝鮮に還る人びととの別れ(北朝鮮に帰らせまいとする、大韓民国系の人びととの間で争いが多発していたのは初めて知った)など、幾つもの別離が一家に押し寄せるが、松坂熊吾は、新しい事業に乗り出していく。

    相変わらず、濃いエピソード満載で、飽きさせない。
    熊吾も、時々癇癪を起こすが、年齢を重ねて温厚になっている。
    そして、伸仁が、いよいよ思春期に差し掛かるところまでが描かれる。

    とりあえず第七部に進みます。

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    2025年12月04日
  • 道頓堀川

    購入済み

    中年男性の人生振り返り読本

    宮本輝の川三部作のうち、最も中年男性の心情に迫った作品だ。確実に老いていく焦燥感を抱えつつ、人生を振り返り、取り返しのつかないことをした瞬間に人は何を考えるのか、人はどんな時に大きな谷間を越える瞬間的決断をするのか、思いを馳せることができる。🎱本作は昭和的価値観に基づき、肺と心臓を使わないものはスポーツではなくゲーム・博打とし、ビリヤードのスポーツ性を否定したり、ゲイを病気と決めつける印象的なシーンがある。しかし令和では、eスポーツもトランスジェンダーも肯定的だ。過ごし易い時代になった。🎱

    #深い

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    2025年11月27日
  • 潮音 第三巻

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    長い物語もいよいよ明治維新。富山の売薬目線で史実の見え方が変わる。弥一の冷静な視点も冴えつつ、見通せるからこその気鬱もリアル。次巻でどう決着がつくのか。弥一の物語を聞いているのは誰なのか、楽しみ。

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    2025年11月16日
  • ドナウの旅人(上)

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    昔、この方の別の作品を読んで、全然面白くなかったけれど。

    作品が違うから?私が理解できる年齢になったからか、これは読み応えがありました。

    文章を読むだけで、景色が想像できます。
    これを読んでドナウ地方に行くのもいいですね。
    最も今はこの時代と比べて、旅行しやすくなっているけれど。

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    2025年11月03日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    『流転の海』全九部中第五部。
    『新潮』2004.6〜2007.4

    昭和32年、松坂熊吾は大阪で再起をかけ、妻と共に電気もガスも通らず、ロウソクだけが灯りという空きビルに暮らす。
    10歳の伸仁(宮本輝がモデル)は尼崎の「蘭月ビル」という、まるで貧民窟のようなアパートに住む叔母に預けられる。
    そこの住民はみな貧しく、半分は朝鮮人であり、伸仁は凄絶な人間模様に巻き込まれて行くのだった。

    相変わらず、濃いエピソード満開で、そこでもしたたかに生きていく伸仁。
    しかし、作者が「どうしても書かなければならなかった一巻」と言っているように、のちの作家生活に大きな影響を与えているだろうことは間違いない。

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    2025年10月29日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    大河小説とは、よく言ったものだ。人間一人ひとりが雨粒としてこの世に生まれて、他の人と出会い、大きな流れとなって大河となる。主人公の熊吾は、粗野で弱い部分もありながら、世の中や人間を正しく、深く見つめ、その縁を繋いでいく。途中、大きな岩や嵐やいろいろな困難を乗り越えたり、流されたりしながら、人々の織りなす大河はさらに大きな海へと流れていく。途方もない年月を重ねて紡がれたこの小説だからこそ、これだけの流れを描くことができたし、何年もかけて読み終えた今、登場人物一人一人の人生がいろいろな思いを抱えながら、流れていく様をいっしょに流れて来たような錯覚を覚える。私は彼らと共にどこに流れ着いたのだろう?い

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    2025年10月21日
  • 青が散る(下)

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    青が散ったなぁ。
    大学生の青春。

    人間、自分の命が1番大切。
    大きな心で押しの一手。
    生きていたいだけの人間の駱駝。

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    2025年10月17日