宮本輝のレビュー一覧

  • ドナウの旅人(上)

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    昔、この方の別の作品を読んで、全然面白くなかったけれど。

    作品が違うから?私が理解できる年齢になったからか、これは読み応えがありました。

    文章を読むだけで、景色が想像できます。
    これを読んでドナウ地方に行くのもいいですね。
    最も今はこの時代と比べて、旅行しやすくなっているけれど。

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    2025年11月03日
  • 花の回廊―流転の海 第五部―(新潮文庫)

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    『流転の海』全九部中第五部。
    『新潮』2004.6〜2007.4

    昭和32年、松坂熊吾は大阪で再起をかけ、妻と共に電気もガスも通らず、ロウソクだけが灯りという空きビルに暮らす。
    10歳の伸仁(宮本輝がモデル)は尼崎の「蘭月ビル」という、まるで貧民窟のようなアパートに住む叔母に預けられる。
    そこの住民はみな貧しく、半分は朝鮮人であり、伸仁は凄絶な人間模様に巻き込まれて行くのだった。

    相変わらず、濃いエピソード満開で、そこでもしたたかに生きていく伸仁。
    しかし、作者が「どうしても書かなければならなかった一巻」と言っているように、のちの作家生活に大きな影響を与えているだろうことは間違いない。

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    2025年10月29日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    大河小説とは、よく言ったものだ。人間一人ひとりが雨粒としてこの世に生まれて、他の人と出会い、大きな流れとなって大河となる。主人公の熊吾は、粗野で弱い部分もありながら、世の中や人間を正しく、深く見つめ、その縁を繋いでいく。途中、大きな岩や嵐やいろいろな困難を乗り越えたり、流されたりしながら、人々の織りなす大河はさらに大きな海へと流れていく。途方もない年月を重ねて紡がれたこの小説だからこそ、これだけの流れを描くことができたし、何年もかけて読み終えた今、登場人物一人一人の人生がいろいろな思いを抱えながら、流れていく様をいっしょに流れて来たような錯覚を覚える。私は彼らと共にどこに流れ着いたのだろう?い

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    2025年10月21日
  • 青が散る(下)

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    青が散ったなぁ。
    大学生の青春。

    人間、自分の命が1番大切。
    大きな心で押しの一手。
    生きていたいだけの人間の駱駝。

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    2025年10月17日
  • 潮音 第二巻

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    時代の急変にあわせて
    ストーリーも急展開。
    幕末の混乱のなかで奮闘する
    薬売りたちの活劇にワクワクするが、大きな歴史の流れへの言及も見逃せない。続きが気になる。

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    2025年10月13日
  • 螢川・泥の河

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    「あーよかった!」という読後感を残して忘れてしまう小説があるが、この『泥の河』と『螢川』は情景が深く沈み忘れられない小説。
    『泥の河』は昭和三十年の大阪。馬車引きは子どもの頃、目にしていた。乾いた馬糞を遊び道具にする逞しい子どもがいた。でも、水上生活者は想像するしかない。天神祭りの出来事、そして哀しい別れ。その情景は少年時代の不安や哀しみと共鳴する。
    『螢川』の舞台は富山。思春期の少年の心は想像に難くない。でも、四人が金縛りにあうほどの螢川の情景は、はるかに想像を超えていた。華麗なおとぎ絵ではない。
    「寂寞と舞う微生物の屍のように、はかりしれない沈黙と死臭を孕んで光の澱と化し、天空へ天空へと光

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    2025年09月27日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    また大阪に戻り、小さな日常的なドラマがいくつも起こる。大きく育った伸仁も次第に魅力的になっている。登場人物や、起こる事柄はとても多い。でも話の流れが混乱させない作りになっているところにこの作者の技量があるのだろう。

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    2025年09月27日
  • 幻の光

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    他人の内面を暴き立てるでなく、ただ自分の中身を観察する。こういうひそやかな小説にこそ、日々が宿るのかもしれない。

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    2025年09月19日
  • 螢川・泥の河

    「螢川」「泥の河」について

    「螢川」
    宮本輝の芥川賞受賞作「螢川」は宮本文学の永遠の傑作だ。この小説の舞台は富山。
    主人公は中学三年生の竜夫。昭和三十七年三月から物語は始まる。

    この物語において、竜夫の父の死や竜夫の友人・関根の死が主人公の人生に陰翳をもたらす。
    同級生の英子に想いを寄せる竜夫の恋心にすら、友人の死の影が伸びてゆき、そこに思春期の複雑な心理の綾が描き出される。

    宮本作品では登場人物がどんなに若年であろうと、厳然とした死が突きつけられる。
    しかし、惑いながらも死を受け止め前を向いて生きてゆく登場人物たちに、私は読みながら知らぬ間に心が鼓舞されているのだ。

    この「螢川」では四月に大雪に見舞われると、螢の

    #感動する #切ない

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    2025年08月28日
  • 灯台からの響き

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    灯台巡りがしたくなりました。
    そこで起きる人間ドラマが、また宮本輝節が効いていてよい。

    宮本輝さんの本は、いつも旅がしたくなるんだよなぁ。

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    2025年08月27日
  • 螢川・泥の河

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    物語がよくできていて、それを登場人物が力強く引っ張っていき、構成もすばらしいバランスなので、ラストの感動に繋がる。
    デビュー当時から一流としか言いようがない!

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    2025年08月27日
  • 地の星―流転の海 第二部―(新潮文庫)

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    何故、田舎暮らしを決意した男とその家族の話がこんなにも面白いのだろう。流転の海で出会った人達とのドラマの続きも、故郷での昔馴染みとのあれこれも、それぞれの生き方を見事に描いており、読み応えがある。悲しいところや辛いところもあるにはあるが、熊吾の人柄と才覚で一つは一つ乗り越えていく様には勇気をもらえる。この続き、熊吾がいかに大阪でまた花を咲かせるのかが楽しみである。

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    2025年08月19日
  • 螢川・泥の河

    購入済み

    今は昔の「すかみたいな死に方」

    昭和30年代を時代背景とした両作は、事故や病気で、人が「すかみたいな死に方」をする。このあたり、令和初期には、ややリアリティを感じ難く、数十年を経た今日の庶民生活の向上に(現在の物価高等の困窮を軽視するつもりはないが)感慨深い。🏞️両作いずれも心に沁み入りつつ、知識と感性の全てを注ぎ込んでもなお、理解も納得も十全でないところがある。「一滴だと透明なのにむつみあうと鉛色になる」等の描写は、到底腑に落ちたとは言えない。読書人としての未熟を感じつつ、だからこそ読書は面白いと想えた。🏞️

    #感動する

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    2025年08月13日
  • 流転の海―第一部―(新潮文庫)

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    出会えたことに感謝する小説。
    描かれている物語は戦後を生き抜く人々のことなので、決して軽くない。なのにこんなに読みやすく書くことができる宮本輝という作家に驚いた。
    登場人物も非常に魅力的である。熊吾は今の価値観ではかると問題だらけだが、全く憎むことのできないチャーミングなおじさんである。その周りの人々も尽くしたり裏切ったりしながらもそれぞれに魅力があり、どの登場人物にも肩入れできるような物語。

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    2025年08月06日
  • 潮音 第三巻

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     薩摩、長州など、幕末維新に関わる様々な人たちが、どのように関わり合っていたのか、江戸や京都ではどのような事が起こっていたのか、恥ずかしながら今まで知らなかった事がたくさんありました。大政奉還、明治維新、、、日本が大きく変化した時代が細やかに描かれていて、歴史を深く学ぶことが出来ました。
     さらに、この本の主役である富山売薬人たちの果たした役割と、これから新しい時代を切り拓いていく未来が見えてきたところで、いよいよ第4巻へ突入です。今からワクワクしています。

     p68で、才児さんと弥一さんの会話の中に書かれていた弥一さんの言葉が心に残りました。
    「苦楽が合わさって、ひとつの人生になる。日月の

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    2025年07月19日
  • 水のかたち 上

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    「水の流れ」ではなく「水のかたち」。宮本輝の文章は優しい。老人の語り口のような安心感がある。「人生は恐れることはない。人間にはそれを乗り越える力が備わっている」こんなメッセージがあちらこちらにちりばめられている。平凡な主婦が、ひょんなことから、骨董品とそれにかかわる様々な人との出会いにより、齢50歳で、眠っていた才能を開花させていく、「まだまだ私も大丈夫」と勇気づけられそうな、楽しい話。心美しい主人公とそれを取り巻く人々の愛と癒しの物語。ほっこりしたいときに是非。

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    2025年07月07日
  • 潮音 第二巻

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    安政の大獄、桜田門外の変、寺田屋事件など、有名な出来事が次々に登場しました。その度に、幕末の不安定だった世の中に思いを馳せながら、心が痛みました。
    そんな状況の中で、薩摩藩と富山売薬人たちの深い繋がりが要所要所に読み取れました。この本を読んで初めて知りました。
    最終章の「禁門の変」では、薩摩藩を守るため富山売薬人たちが京都で壮絶な場面に遭遇し、命を奪われることなく無事に富山へ帰り着いた時には、ホッとして涙が出てしまいました。
    弥一さんや、彼を取り巻く人々(長吉さんや才児さん他、たくさんの仲間たち)が、とても温かくて魅力的に感じます。そして、弥一さん&お登勢さん夫妻の愛情の深さも随所に散りばめら

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    2025年07月06日
  • 潮音 第四巻

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    世は明治。富山の薬売り・川上弥一の周囲にも大きな変化が訪れ、その中で生きていることの意味を見失いかける弥一。しかし、そこから立ち直り新たなる船出へ。幕末維新を描いた著者畢生の大作・全四巻ついに完結。

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    2025年06月30日
  • 潮音 第三巻

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    いよいよ江戸幕府崩壊。激動の幕末京都に主人公の川上弥一がいる。富山の薬売りがいかなる活躍をするか、全3巻中もっとも手に汗握る一巻。そして、幕府崩壊後の商売のあり方を夢見るのがとても良い。アジア域内での貿易がこうした形で連続していくのだということを小説という形で示す好編であった。

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    2025年06月30日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    大阪千鳥橋・中古車センター編(伸仁16歳から17歳・高2から高3)

    房江さんの哀しみと諦めと、伸ちゃんの涙…
    第8部は、房江さんの気持ちに寄り添いながら読みました。
    城崎で自らの命を絶とうとした房江さんだったけれど、様々な要因(幸運)が重なり、命を救われました。
    人生には、「もしも、あの時〇〇だったら…」という偶然の巡り合わせがあると思います。房江さんが最期と決心して鰻重をお腹いっぱい食べたこと、麻衣子さんが家に引き返したことなど、色々なことが重なり房江は一命をとりとめました。
    これらは決して偶然ではないのかもしれないと、「流転の海」シリーズを読み重ねる中で感じるようになりました。

     (以

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    2025年06月14日