宮本輝のレビュー一覧

  • 湾

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    非常に読後感が良い。舞鶴というところは私の人生の中でも光っている、思い入れのある場所なので、「湾」という題名からなんとなく舞鶴を思い浮かべたが、見事に当たった。舞鶴湾の美しさを知る人は読んで欲しい。

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    2026年06月21日
  • 灯台からの響き

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    宮本輝さんの作品を初めて読んだ。
    妻を亡くした男性が、2年間放置していた中華そば屋の仕事を1人で再開しようと奮起する話。登場する人たちが皆温かく、妻が生前に夫の図書に挟んだ見知らぬ人物からの手紙に触発された男性は、自分探しで灯台めぐりの旅を始める。その中で妻が挟んだ手紙の意図が少しずつ解き明かされていく。読み終わる頃には登場人物全員が愛おしく、特に亡くなった奥さんがひときわ輝いて見えてくる。
    謎解き要素が重要なテーマなのだが、殺人も暴力も恐怖も出てこない、心温まるミステリーである。

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    2026年06月19日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    超大作を何年もかけて読みました。
    熊吾と彼を取り巻く人間それぞれが実に人間味あふれていて魅力的である。
    特に豪傑な熊吾の言葉の端々には深く胸に刺さるものがたくさんあった。若い頃から人を魅了し惹きつけるそして怖いものなどない熊吾も、老いるにつれ様々なことがうまくいかなくなり熊吾の人生の最期は私の心情としてはなんとも複雑で悲しい終焉であった。どんな強い偉大な人間もちっぽけであっけないものだなと。
    妻である房江には同じ女性として同情と芯の強さに畏怖の念を持つ。可愛らしい。

    登場人物がたくさんすぎて感想はキリがないのでこの辺にしておこう。
    熊吾の言葉は読み返して書き出して、人生の訓にしたい。

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    2026年06月12日
  • 錦繍

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    文学の森 2026年6月クールのテーマ作品

    過去から現在につながり、そして未来へとつながる。
    過去に引きずられず今を精一杯生きることが、きっと自分にとって一番ふさわしい未来につながると感じた。

    数十年ぶりの再読だが、宮本輝さんの美しい文章は心地よいなぁ。

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    2026年06月12日
  • 潮音 第三巻

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    物語は佳境に。
    大政奉還、鳥羽伏見の戦い、明治政府と世の中が目まぐるしく動いていく。弥一たちも その渦に巻き込まれて。

    弥一、長吉、才児たちは 本当によく動き回りました。疲れもでます。弥一は 何ものにも 心が響かなく、虚脱状態に。

    “カンパニー”のようなものを作ると言っていたが
    どうなるのでしょうか?

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    2026年06月03日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    読み終わった後の何とも言えない、ふわっとした気持ちがすごい。1人の人生、1つの家族、過酷な時代を生き抜いてきた。その歴史を目の前で見続けてきたような気分。生きるとは何かを改めて自分に問いただしてみると、やはり信念の強さや前を向く必要性が大事。松阪家の生き方から学んだ。戦前戦後生き抜いた熊吾のこの力強さよ。心から人を助けたいという思いを貫く。そういった強さ、優しさを僕自身も身につけたい。

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    2026年05月31日
  • よき時を思う

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    お前は人に好かれるし、なんともいえない品がある。それなのにおもろい。

    こんな人たちがたくさん出てくる作品。本を読んでこんなに泣いたのは久しぶりです。ありがとう。

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    2026年05月24日
  • 長流の畔―流転の海 第八部―(新潮文庫)

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    8巻まで、長いようであっちゅうま。
    家族、仕事、恋、仲間、いろいろなことを勉強させてもらっています。
    体温を感じるくらいに、何事にも体当たりで突き進む強さが欲しい。

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    2026年05月22日
  • 螢川・泥の河

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    ネタバレ

    戦後直後の貧しい日本。小さな食堂の子の信雄が、船上で売春をして糊口を凌ぐ家族と交流を持つ。

    信雄の目を通して売春を見つめさせられた。

    それは、世間では卑しいとされ、軽んじられるが、信雄にはなぜだか分からない。

    売春が道徳的非難に値するかどうかは色々な意見があるけれど、今日も子供がご飯を食べれるように、親が自分を顧みずにお金を稼ぐことのどこが低俗なのだろうか。

    信雄は、平然と蟹を燃やす喜一を見て、その垣間見える狂気に戦慄を覚える。

    母は、自分ら子供が飢えないために身体を売り、侮蔑される。そんな世間は、自分は飢えろというのか。自分がいなければ母は軽んじられることなく幸せな生活を送ることができるのではないか?

    喜一の心の内を想うと息が詰まる。

    喜一はきっと、怒りも屈辱も、自分の内側で処理しきれずにいるのだと思う。

    でも銀子は違う。

    彼女はもう、「自分たちは世間からどう見られているか」を身体で理解してしまっている感じがある。
    だから、自分を小さく、小さく畳むことで世界と折り合おうとしている。

    目立たないように。拒絶されないように。

    つまり彼女は既に、「社会には越えられない境界線がある」ということを学習してしまっている。

    それがあまりにも痛ましい。

    さらに残酷なのは、銀子の慎ましさが一見すると「聞き分けがいい子」に見えてしまうこと。

    生きていればいいことあるなんていうが、あまりにも空虚な言葉として響く。

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    2026年06月07日
  • 幻の光

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    これは面白くて、二度読んでしまった。
    表題の「幻の光」だけではあるが。
    子どもが生まれたばかりで夫を突然に亡くし、幸せな再婚を果たしたはずの女性が、亡き夫に語り続ける話。
    古臭くて貧しい昭和の関西と能登の話。
    そんな中でもきらりと強く光る脇役の女性たちの話。
    この頃の宮本輝さんの作品は「泥の河」しかり、いかにも純文学で私は非常に好きである。

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    2026年05月18日
  • よき時を思う

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    まさに宮本輝小説の真骨頂、日常生活の中で経験する様々な出来事を通じて感じる人生の機微を見事に表現していて、普段忘れていた感情をしみじみと思い起こされた。
    文庫本最後にある木内昇さんの解説文が言い得て妙だと思いますので記載させてもらいます。
    「この空気の中にずっと浸っていたいと願う気持ちが、残りのページが次第にすくなくなるにつれ、否応なく高まっていった。」
    「一見なんら問題もないように見える人も含めて、誰しも抱えているものがある。当然ながらすべてが理想通りに整っている人などいないのだ。それを忘れて、相手を上辺だけで判じて、人と比べたり羨んだりすることの、なんと無益なことだろう。」

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    2026年05月17日
  • 道頓堀川

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    淡い文体で書かれた、今を生きる我々には失われた、過ぎ去った時代。登場人物のセリフのいなたい感じもあって、じんわりと、良いことばかりではなかったであろう時代をただただ情景の目で見上げてしまう。

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    2026年05月14日
  • 錦繍

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    心が震えました。
    昭和60年に発行されているのですね。
    男と女、人生について、どこかで聞いたことあるような話なのに、文体や語り方によって深く引き込まれる物語になっています。
    ぱっと見薄い1冊の中に、すごく身の詰まった物語が入っていて、読後しばらく動けませんでした。(お勧めされて、古いのでこわごわ読んだのですがほんとに読んで良かったです。)
    宮本輝、他にも読んでみようと思います。

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    2026年05月13日
  • 人生の道しるべ

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    大学生の時、友人に勧められて読んだ「優駿」「青が散る」が深く心に染み渡り、青春時代のもやもやとした思いや生きている中でふとしたことで感じる縁や運命的なことを重ね合わせ、その後、事あるごとに読み返しています。
    宮本輝さんの小説は、心の中に鬱屈した感情も抱えつつ、様々な事柄や周囲の人たちに翻弄されながらも、人生に向き合っていく心の根のきれいな主人公を丁寧に描いていて、生きることの大変さとそれでも生きていくことの意味を考えさせられて生きる勇気と人生の深さや豊かさを感じられるので30年来の愛読者です。
    吉本ばななさんとの対談の中からお二人に通ずる人生観に触れられて、何かとても爽やかで幸せな気持ちになりました。

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    2026年04月25日
  • よき時を思う

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    まさに小説です。物語ではない。
    金井家の人々の生活から、人生が語られ、人との関わりが描かれる。その深さだけでなく、様々な知識も相まって、恐れ入りましたって感じでした。
    初めはなかなか読み進まなかったんですが、後半は一気に読みました。

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    2026年04月19日
  • 灯台からの響き

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    本当に良い物語を読んだなぁ。骨太で硬派でありながらも温かく優しいロードノベルだった。船の行き先を優しく照らす、灯台のような物語。

    誰の人生にもドラマがあるし、人生とは良いものだなと感じさせてくれる1冊。

    1枚のはがきをきっかけに、中華そば屋を営む主人公が亡き妻の知られざる過去を辿って灯台めぐりをするロードノベル。
    物語は静かに進むけれど、主人公は旅を通して大きく変わっていく。私も一緒に旅をしているような気持ちを味わうことができた。

    主人公のつくる澄んだスープの中華そばを私も食べてみたい。

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    2026年04月17日
  • 野の春―流転の海 第九部―(新潮文庫)

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    『流転の海』全巻で毎日芸術賞

    とうとう第九部まで読み終わってしまった。
    達成感というより、まだ読み続けたいという思いが強い。
    1巻目を読み始めた時は、熊吾に対する嫌悪感が強く、すぐにリタイアするものと思っていたが、宮本輝の読みやすい文章にも助けられ、ゴールインしてしまった。

    数多くの裏切りにも会い、晩年は落ちぶれてしまった熊吾だが、無償の親切を施した、たくさんの人たちから、大将、大将と慕われたことも事実。

    また、幼少の頃から、さまざまな悪所(ストリップ劇場、競馬、祇園のお茶屋、キャバレー、パチンコ屋など)を連れ回され、熊吾なりの人生訓を教え込まれ、人生勉強をさせてもらった伸仁(宮本輝)が、小説家として生きるのにどんなに糧になったことか。

    私としては、その後の房江の人生を描いた後日談も読みたいが、蛇足なんだろうな(初婚の頃、房江が産んだ男児のその後も気になる)。

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    2026年04月17日
  • 避暑地の猫

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    幼い頃実家の本棚にあって、なぜか読む前からなんとなく好きだなとずっと思っていたから、今でも宮本輝でいちばん好きな一冊。

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    2026年04月16日
  • よき時を思う

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    宮本輝さんの本を読むと、ちゃんと生きていこう、自分も周りも大切にしよう、と思う
    はんなりとした関西弁の会話が心地よく、私の勝手な印象では、経済的にも精神的にも豊かな人物が、その財産を有意義に、そしてあたたかく使うお話 が多い気がします

    この小説も90歳のファンキーなおばあちゃんが、350万円を一晩、いや、数時間でサイコーにステキな使い方をするお話
    その親族たちもみんな、ちゃんと正しく育ってきた人たちばかりで、それぞれチャーミング!
    心根の卑しい人が1人も出てこないところもほんと好ましい

    宮本輝さん、時々無性に読みたくなります
    そして、“ちゃんとしよう!”と思います

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    2026年04月05日
  • よき時を思う

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    京都の家族の物語。
    我が実家も大勢集まるのが好きな家なので、雰囲気は良く伝わった。ただ、この主人公の家族といったら、衣食住については良いものと出会い大切に育む素地があり、90歳のおばあちゃんを中心に脈々と受け継がれている、羨ましい一家。
    贅を尽くした晩餐会に向けての準備も、想像以上のこだわりぶり。そのこだわりが独りよがりではなく、ちゃんと相手を尊重し理解しているからこそ、受け取る側や読みても嫌味がなく素直に羨ましく思える。
    90歳を家族で笑って迎えられるように、大切に生きようと思える素晴らしい作品。

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    2026年03月31日