【感想・ネタバレ】にぎやかな天地(下)のレビュー

あらすじ

聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、命の根源に迫る長編小説。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

ここで終わるのが潔い
せめて発酵本かと思ってたけど、
それがテーマじゃないからね!って
いやいや。それは宮本輝読者だもの、大丈夫だよね?って
読者を信じる姿勢だよ

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2021年01月10日

Posted by ブクログ

三回めの再読。暫くすると忘れている箇所があったり、、刺さる部分が前回とは違ったり。今回は自粛中に読み始め、発酵物に興味を抱いたからだけど 人の心も熟す?熟れて(ナレテ)行く?
お母さんと彦市さんの場面に感涙。前回はそれ程感じなかったのに。。

ゆっくり ゆっくり 読みたい一冊。

生と死は繋がっている、、、

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2020年06月16日

Posted by ブクログ

時の流れや縁など、目に見えないものが影響しあって、人生がより深いものとなる。その入口に発酵食品を持ってくるところに宮本さんの凄さを感じます。
発酵食品や本作り、京都に興味を持てたし、仕事に向き合う姿勢など色々と考えるヒントをもらえました。
「死は終わりでなく、遺された者にとっては、始まり」
『21グラム』という映画を観た時に感じたことですが、この作品にも通じるところがありました。

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2014年07月20日

Posted by ブクログ

発酵食品の成熟/人生の成熟

納豆と糠漬と、とろろ昆布に鰹節を入れた吸い物、それにご飯だけの日

質素だけど高級な食材で体調を整える。
続けるのは、難しいけど、人生感と合わせて、贅沢だと思いました。

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2012年10月27日

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出来事の作用、時間の作用。心の琴線に触れるどころか、心の襞にじわじわと染み入ります。宮本さんの本はやっぱり私の人生の友。

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2012年09月20日

Posted by ブクログ

きれいな、ゆたかな世界。
私には聴こえるだろうか。

○倦まず弛まず焦らず、ひとつずつ進めて完成させる。それが仕事というものなのだ(135頁)

○アクセルを踏みながらブレーキも一緒に踏むような生き方はあきまへんで
○勢いのあるときは、がんがん行きなはれ。それは年齢とは関係おまへん。若い人が伸びてくれんと、国は滅びますよってに(141頁)

・確信を持ってイメージすること

○ぼくは、雨あがりの、薄ぐもりの空の下の、濡れた鉄橋のように生きている(379頁)

2015.07.17 再読
・かっこよくなくても清潔に生きる。
・していい、ふり。

・冥利が悪いことはない。

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2015年07月18日

Posted by ブクログ

 主人公の聖司が日本の伝統発酵食品をまとめる本を作る中で色々な人や物や考えに出会う話。
 話の中で、その時は最悪だなと思う事が後々いい事に繋がるという場面がいくつかあった。今の自分の立場はどちらかと言うと悪いと思うが、それが後々プラスになったらいいなあと思った。
 物語の中に登場する発酵食品は、どれも作り出すのに年単位の時間がかかる物だった。いい物を作り出すのには、とても時間がかかる物だと実感したし、それは人間も同じじゃないかと思った。効率的にやる事は重要だが、コツコツ時間をかけて発酵食品のようにじっくり仕上げて行くのも同じく大事だと思う。
 最後に、今回も登場人物や土地の描写がとても良かった。新宮の海辺で日向ぼっこしたくなったし、甲陽園の坂にも行ってみたくなった。
2022年3月

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2022年03月15日

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「倦まず弛まず焦ず」
「わかりにくいものをわかりにくく言うのは所詮偽物。ゼロから物を産む人は具体的で普遍的なことを知ってる」
「巧言令色鮮なし仁」
「学べば則ち固ならず」

上下で心に残った言葉です。
(正確に書けているかわかりません)
多分、受け止めきれていない言葉がたくさんあるんだろうなと思います。
また読み返すことになるんだろうなと思います。

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2020年12月06日

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カエルが やかましく泣いている中で
発酵している 酢の 蔵で 耳を澄ます。

宮本輝は 阪神大震災を経験することで
なぜか雰囲気が 変わったような気がする。
『森の中の海』をよみ 『にぎやかな天地』を読んで感じた。

勇気って どこから湧いてくるのだろう。
天から 降ってくるわけではない。
そして、勇気を 奮い起こして 自らの道をすすむ。

寡黙だった 祖母。
何も言わない 母親。
それが 聖司の なげかけた 言葉と行動で、
ひも解かれていく。

時間が 心の中のわだかまりと問題を解決してくれる。
いろんな想い 悩み 苦しみ そして 絶望さえもが、
時間という 発酵槽で かぐわしい 濃醇な コクを作り出す。

善人しかいない 物語は いいなぁ。
とりわけ 丸山が 何とも言えない 味を出しているがな。

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2015年08月14日

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ネタバレ

全般的にはいい話だった。
不幸な縁が始まりで、到底、仲良くなれるはずもなかった人達と繋がっていき、よい影響を及ぼし合って、いい縁になっていくのは、人間としての深さを感じる。目には見えない波のようなもので繋がっていくのは、感覚としてとても理解できる。
宮本輝の”あとがき”がなかなか感動する。

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2013年10月13日

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「いいものを造るためには時間がかかる」
今、いちばん心にとめておきたい一言。
手技を持つ職人さんを尊敬するとともに、これ以上、職人といわれる人たちがいなくならないといいなと思う。私も無添加粉末ではなくて、鰹節をちゃんと使おうかな。

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2012年08月08日

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説法のようで説法でなく、宗教的なようで宗教的でない。ある老紳士から依頼された発酵食品に関する限定本作りをきっかけに、主人公船木が生と死の意味を見つめていくと言う話。
発酵食品中心の話かと思ったが、微生物の営みの恩恵を、人生の様々な巡り合わせ・生死がもたらす作用に投影させる役割の発酵食品だった。
人生に対する前向きさ、希望が淡々と書かれていていい話。

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2012年07月18日

Posted by ブクログ

 発酵という目に見えない微生物の営み。琵琶湖の鮒酢、鹿児島県枕崎の鰹節など伝統的製法で発酵食品を造る人々。「待つ」という行為、「時間」というものによって生み出されるもの。こうした事を通して主人公・聖司は仕事とはいかなるものかを学び人間的成長を重ねていく。
 一方、祖母が死の間際に繰り返していた「ヒコイチ」という言葉の謎?それと、聖司が母親のお腹の中にいるとき、不慮の事故で亡くなったとされる父の事や毎月2万円、死ぬまで32年間送りつづけた男が背負ってきたものがあぶりだされていくと同時に、その男の娘との出会いや美佐緒という人妻との危うい恋愛模様も描かれて物語は展開していく…。


 発酵、熟成という微生物の作用、どこか人間の生と死に相通ずるものがあるような気がする。(熟女とか熟年とかいう言葉があるけど、それとはちゃう(^_^;))
ラストは、時を刻むような静かな描写が心に余韻を残す。
聖司への粋な計らいも心憎いし、濃密な物語を読み終えたって感じ。

( ..)φメモ ~下巻にもレシピらしきものを発見~
「キャベツとグリーンピースのカレー」(P31)
「ホウレン草のニョッキのトマトソース和え」(P185からP186)

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2012年06月29日

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