宮本輝のレビュー一覧

  • 約束の冬(上)

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    普通の人の日常で起こる様々な事で、心理状態の変化の描写がドラマチックでなく、自分にも起こりそうな感じでつい感情移入してしまう。

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    2013年09月04日
  • 五千回の生死

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    しにとうなってきたあ、が印象的。
    異常ではあるが、わかるなあ。日に五千回ぐらい死にたくなるのもわかるなあ。
    そんだけ精神的な生死を繰り返してたら、生き返るのが楽しくて止められなくなるだろう。一瞬でもいいから、生き返る瑞々しさを味わってみたい。

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    2014年12月10日
  • 春の夢

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    亡き父の借財を抱えた大学生「井領哲之」。大阪にあるホテルのアルバイトに勤しむ彼の部屋には、間違って釘で柱に打ちつけたまま生きている蜥蜴「キンちゃん」がいる。可憐な恋人とともに人生を真摯に生きようとする哲之の憂鬱や苦悩を描く。蜥蜴の「キンちゃん」が生と死、束縛され身動きがとれないまま生きる姿として観念的に描かれている。

    「勇気と希望と忍耐」昭和には普通に使われていた言葉が今の時代には気恥ずかしい言葉になりつつある。小説家も今の時代ならば時代物で描かざるを得ないのかも。

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    2013年08月29日
  • 私たちが好きだったこと

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    「私たちって、人のために苦労するのが好きなのね」

    曜子の不倫相手のために、不良青年の更生のために、愛子の大学受験と学費のために、金を用立てる与志くん。だけど、愛子は、学費を払い続けられない与志くんのもとを去り、金持ちの医者と結婚する。

    何度読んでも、与志くんの人の良さと愛子の薄情さに腹が立つんだよね。

    私は、何の見返りもなく、他人にのためにここまでできるかな?

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    2015年04月30日
  • 青が散る(上)

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    青春小説の最高傑作と称される本作。

    作中で、ある人物が「自由と潔癖こそが青春の特権である」と言う言葉を主人公に授ける。彼の青春は、その言葉にいかにも忠実な、懸命で誠実なものだった。自分はそんな風にはできなかったから、先の言葉は心に痛く、主人公に激しく嫉妬した。

    主人公がこれから歩むのも人生の王道なのだろう。その道を歩める強さが恨めしくすら感じた。

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    2013年08月26日
  • 優駿(上)

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    競馬の話ということで、最初はとっつきにくいなと(競馬嫌いなんです)思って読み始めたんですが、これがなかなか人間模様が多彩で読み応えありでした。競馬をよく知らなくても十分面白いです。競馬の話はあんまり理解できなかったり、少し主軸の馬が強すぎなのでは? というところがあるので星を一つ引きました。

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    2013年08月22日
  • 胸の香り

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    月に浮かぶ

    80歳近くの母親が、お腹がいっぱいとなって
    それが 自分が妊娠したと思い込む。
    それを看病する 妻。
    そして、愛人が妊娠したと聞いて、何らかの覚悟を決めざるを得ない。
    海に映る 満月が 母親のお腹に見える。
    いろんなものを 失うことで、人は生きている。

    船を焼く

    海岸沿いの静かな宿。
    夫婦が経営しているが、若くもあり、年上に見えたり。
    そこに、泊まった 二人は 出口が見えないことで、
    別れようと思っていた。そしたら、その宿も 閉めるという。
    経営する二人は 22歳で、別れることにしたという。
    珠恵の霧のような汗がすてきなんですね。どんな感じなのか?

    さざなみ

    リスボンで偶

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    2013年10月01日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    熊吾が、家族を連れて、富山に行く。
    高瀬勇二、桃子の家に身を寄せることにするが、
    高瀬の小さな器量に改めて、ビックリする。熊吾は、人を見る目がないという。
    観音寺のケンから,妊娠した百合を預かることに。
    それで、熊吾は、結局は、大阪で一旗あげるべく、画策を始める。
    資金もないので、関孫六を因縁のある エビハラに売りつける。
    房子は、富山で、不安となり、更年期障害がひどくなり心因性喘息にかかってしまう。
    一方、熊吾は、西条あけみの災難が降りかかる。
    逆に、そのことで、深い関係となる。金の切れ目が、運の切れ目。
    新しく旗揚げした 中古車の販売の仕事は、スタートしたが、
    久保に、会社の持ち金をすべて

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    2013年08月06日
  • 血脈の火―流転の海 第三部―(新潮文庫)

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    流転の海 第三部

    父親の生きた時代を、描き出す。
    敗戦後の混乱期。昭和20年代から、30年に向かう頃の物語。
    時代の流れの中で、事業を見出す熊吾。
    中華料理屋、雀荘。
    消防のホースの修繕。プロパンガス。きんつば屋。
    その幅広さというか、事業の進め方だ強引だ。
    そして、体の不安を抱える年になる。

    伸仁は、小学生になる。
    ねしょんべんを小学生三年生まで治らなかった。
    どういう子供なのだろうか。
    観音寺のケンに好かれ、
    ヤクザと麻雀をし、ストリップを見に行く。
    街の情報を知り尽くしている。
    中華料理のコックには、いうこと聞かなければ、辞めろと
    までいう。

    千代麿の隠し子、麻衣子、ヨネ、タネへ

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    2013年07月28日
  • 天の夜曲―流転の海 第四部―(新潮文庫)

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    流転の海の第4部作目。熊吾がこの苦しい状況を、この先どうやって乗り越えていくのか、続きも楽しみです。

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    2013年07月20日
  • 夢見通りの人々

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    ネタバレ

    宮本輝さんの本を読むと、なんだか安心します。大阪が恋しくなると無性に宮本さんの本が読みたくなります。

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    2013年07月16日
  • 道頓堀川

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    ネタバレ

    『川・三部作』を読み終えました。

    自分は誰に一番感情移入しただろう。誰の目線でストーリーを追ったのだろう。読み終えて直ぐはそんなことを考えました。

    喫茶店のマスター、マスターの息子、マスターの店で働く大学生。彼らを中心に、彼らに関わる人達、夜の道頓堀で生きる人達の人間模様に吸い込まれました。短編連作のよう。

    主人公を繋いでいたビリヤード。ビリヤードは打ち手が突いて初めて球が動きだし、球は他の球に当たってそれぞれの道を行く。白玉以外は自分で行く道を決められないだろうし、白玉もまた当たり所が悪ければ、思っていた道から外れてしまう。狭い台の中で玉同士がぶつかり、ポケットに落ちるように道頓堀から

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    2013年09月23日
  • 道頓堀川

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    前にも書いたような気もするけれど、宮本輝を読むときは、そのストーリー展開も面白いのだけれど、登場人物が思うことや決断すること、そして行動することをきっかけに自分だったらどうするだろうと考え、さらに生きるって何だろう、豊かな(経済的にという意味ではない)人生って何だろうと考えるられるのが好きだ。電車に揺られながら読んでいると、気づく文章から目を離して物思いにふける自分がいる。そして、またストーリーに戻ってしばらく読んで、そしてまた物思いに。だから時間がかかる。でもそれだから味わえる。自分事にして読める小説って、あるようであまりない気がする。うーむ、また読みたくなってきたぞ、宮本輝。ちょっとヘビロ

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    2013年06月22日
  • 夢見通りの人々

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    すっごい久しぶりの宮本輝さんの本だよ~~。
    やっぱりいいな~~~。

    私としては、『昭和』という時代がこの本のイメージだったんだけど、初版は平成なのね~。
    いろんな個性の持ち主が集まる商店街のお話。
    各章で、いろんな人に的を絞って書かれてるんだけど、その繋ぎに里美春太という人が絡んでくるの。
    なんか、各章に登場してくる人物それぞれ曰くつきなんだけど、でもみんな良いキャラしてるんだなぁ。
    また、関西弁がこの話にとっても合ってて温かさを醸し出してくれる。

    宮本輝さんって、ほんと良い本を書く作家さんだと思う。
    読んでて、すぐその世界に入り込めたし、もっともっと読みたかったって思わせてくれる。
    自分

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    2013年06月10日
  • 優駿(上)

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    ネタバレ

    同僚の書評に魅せられたのが動機。サラブレッドの誕生・育成の過程を主軸に、それに関わる生産者・馬主の人間模様が複雑に絡み合い、ほぼ一気に読破してしまった。ただ、主役の馬のダービー優勝で終わっていたのが、やや物足りなさを残した。しかし、その大仕事を成し遂げたことが、その後のことが全て上手く行くことの暗示と捉えれば、下手に具体化しない方が余韻を残していいのかも?

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    2013年06月03日
  • オレンジの壺(上)

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    かなりワクワクした。宮本輝さんは、名前だけを知ってて、実は一冊も読んだことがないという作家さんだったのだけれど、ミステリー?というか、とっても先が気になって、面白い本だった。

    つまらない女性が主人公。
    悪いところはない。でもいいところも全然ない。女としての魅力も、人間としての味わいも全くないと見合いで結婚した旦那にたった数年で離婚されてしまう。
    その彼女に遺産として残された、祖父の日記。
    そこに広がる雄大な生き方と、自分の生き方を比べ影響を受ける佐和子。
    ただ、結果は、この佐和子に対してはあーやっぱりねという退屈な結末。
    そして、その結末は、佐和子が魅力的になることで起こると思われるのだが、

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    2013年05月31日
  • 森のなかの海(下)

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    宮本輝の小説を読むと、いつも「人生」ってことを考えさせられる。そして、「豊かに生きる」ってことに憧れさせられる。言わずもがなだけれど、ここでいう「豊か」というのは、物質的な豊かさをさすのではない。

    現在、38歳。

    自分の人生の長さを知ることはできないけれど、日本人の平均的な寿命から考えれば、人生の折り返し地点あたりにいるのかなぁと思う。歩いてきた道を振り返ってみれば、世のため人のために何ができたかと言う軸から考えると誇れるものはないけれど、自分が自分に向けて言うのであれば、「なかなか良い人生を送っているね」と言える。幸せだなとも思う。

    でももっとこの先に何かあるんじゃないか、
    「豊かさ」

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    2013年05月25日
  • 骸骨ビルの庭(下)

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    第13回司馬遼太郎賞受賞作。
    「骸骨ビル」で生活し大人となった戦争孤児達が、立ち退きを進めるためにやってきた管理人「八木沢省三郎」に語る半生。
    戦争を生き延びた「阿部轍正」、結核で死にかけた「茂木泰造」が自らの人生を投げ打ち多くの戦争孤児を育てるが、彼らが育てた桐田夏美から性的暴力を受けたと訴えられ、阿部轍正は失意のうちに亡くなる。その名誉が回復されればみな立ち去るという。
    「人間が抱く嫉妬の中で最も暗くて陰湿なのは対象となる人間の正しさや立派さに対してなの」
    少し宗教がかっているが、人間の魂魄を描いた大作には違いない。

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    2013年05月20日
  • 約束の冬(上)

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    これまで生きてきた中で、他者、そして自分自身への約束が一体どれほどの数があるのだろうと考えを巡らしました。守れた約束・果たせなかった約束…。様々な約束があるけれど、こんな心の豊かさがにじみ出る約束に触れたのは初めてです。個人的にラストに少し不満があるので評価は少し下げました。

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    2013年05月09日
  • 森のなかの海(下)

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    上巻とは打って変わって、こちらはほぼ一気読みだった。
    希美子を始め、登場人物の面々がなんとも生き生きと、そして気持ちよく、前巻のどこか鬱屈とした雰囲気から解き放たれていく。
    ところどころ影がちらりとするが、それは光と対をなす物としてなければならない影といったもので、決して胸に引っかかるものではなかった。物語が確実に「再生」へと向かっている証拠のような…。

    上巻ではとても頼りない女性だった主人公の希美子も、下巻ではまるで人が変わったように逞しく賢い女性へと成長していく。
    様々な出来事に意気消沈していたが、やがてそれを受け入れ、飲み込み、包み込んでいく…。そうすることでしっかりと根を張り、太く強

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    2013年05月08日