宮本輝のレビュー一覧

  • 新装版 二十歳の火影

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    エッセイと言うよりも、短編小説を読んだ感じです。作者自身は、そう言われることは潔しとは思われていないようですが。ご本人の生い立ちが、小説を超えるようなドラマチックなものであることに驚きました。ますます好きになりました。

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    2016年04月03日
  • 胸の香り

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    宮本輝の短編集。年齢が近い主人公も多く、共感と言うよりも、胸の奥底を見透かされている感じ。それもそのはず。著者にとって短編小説は「血の一滴を無理矢理絞り出すかのような労苦を強いる」のだそうだ。しかも、それを表さないようにしているというのだから、尚更だ。

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    2016年03月24日
  • 水のかたち 上

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    ネタバレ

    平凡な主婦が茶碗や戦時中の引き出しをもらったことから、いろいろな縁が始まり、出会っていく。日常のペースで語られ、ゆっくり過ぎるくらいのテンポだが、のんびり読むにはもってこい。さりげない周りの人の気持ちや優しさにも気づけるかも?

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    2016年03月23日
  • 道頓堀川

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    キーワードは「貧しさ」でしょうか。
    本書の舞台は大阪道頓堀川。鈍く光る川面で生活する登場人物は、その誰しもが何かしらの「貧しさ」を抱えています。もちろん「貧しさ」とは、金銭的なそれに限りません。離散する宿命を抱えた武内は金銭的には余裕があるのに、とても貧しくみえる人物ではないでしょうか。そんな「貧しさ」を抱えた道頓堀川の住人のなかで、ヌードダンサーのさとみが邦彦の前で一心不乱に踊る姿がやけに印象に残っています。「私なんか、毎日、頭が変になってるわ」というさとみの言葉。この「貧しさ」が小説内に留まるものではなく、普遍的なものとして、いたく心に染み入ります。
    ところで、まったく悲哀に満ちた作品なの

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    2016年02月27日
  • 慈雨の音―流転の海 第六部―(新潮文庫)

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    シリーズ全部読んでます。

    面白いんですが、登場人物の相関関係とかわからなくなってきました。

    相関図とか作ってもらえないでしょうか。

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    2016年02月19日
  • 夢見通りの人々

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    長期に渡って読んでいたこともあり、もはや夢見通りにすんでいる気分。うまいなぁーみんなくどいくらいに特徴的なんだけど、それに見合うだけの悲哀を抱えているから、親身で読めるのかな。うん宮本輝は悲哀がうまいと思う。あと女心。第九章白い垢すんごい好きよ。第三章時計屋の息子も面白かった。うーんひさびさに小説っぽい小説読んだ!

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    2015年12月19日
  • 水のかたち 下

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    「自分を善人に仕立て上げよう気なんて、ひとかけらも持ってはれへん」「自然にすなおで、自然に謙虚で、自然に礼儀正しい」主婦が、次々と「善い人」と出会い、大金を手に入れ、そのうえ遂には喫茶店を経営することとなってしまう。何とも魅力的な物語。
    この『グールド』という喫茶店、どこかにあったら、ぜひとも行ってみたくなってきた。
    一方、要所に挿入される、大戦後の北朝鮮から帰還する一家を記した手記は、実話だそうで、光と影のように、主人公と「善き人たち」とのつながりを一層引き立てている。
    また、宮本作品らしく、記録しておきたい箴言があちこちに。

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    2015年12月07日
  • 水のかたち 下

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    宮本作品を読むと希望を得られる。『水のかたち』は出会いを大切に受け止める。その連続が幸福の連鎖を生み出す事が描かれていると感じた。
    作品の中にある下記の言葉が心に残っている。
    『心は巧みなる画師の如し』
    『他者への畏敬』
    『石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません』
    他の作品も読みたくなりました。

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    2015年12月06日
  • 水のかたち 上

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    下巻に感想をまとめます。
    ただ、出会いや人と人との繋がりを大事にしていると、想像以上の場所に行け、想像以上の景色を見に行けるのではないかと希望を持つことが出来る作品だと思った。

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    2015年12月06日
  • 水のかたち 上

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    他の宮本文学でも語られる、骨董、落語、ジャズあるいはクラシック、それらアイテムが、この作品でもそれぞれ効果的に登場する。
    魅力的な使われ方に、骨董(の蒐集)はともかく、落語、ジャズあるいはクラシックは、未聴のものは聴いてみたくなった。
    平凡な主婦が、薄茶茶碗を貰い受けてから、人生の扉が次々と開けてゆき(ご都合主義的なところもあるが)、下巻がそういう展開になるか楽しみ。

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    2015年12月03日
  • 森のなかの海(下)

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    じっくりじっくり読んだ。飛騨の森は温かな結界がはられ、すべてを包み込んでくれる「海」だったのだ。人には、地上で生きていくものには森はかけがえのないものなのだなぁとしみじみと思った。森がそばにない私は山を欲し、通勤途中にある自然公園にときめくのだな。地上で生きる多くのものに森はかけがえのないものだのだ。

    希美子さんが「木にも心がある」というようなことを言っているけれど、そのとおりなのだろうと思う。我が家のベランダの小さな鉢につめこまれた2本の木は、我が家の前にアスファルトに囲まれながら並んでいる大きな木は何を思っているのだろう。

    ぬくぬくした室内でまどろみながら、この物語にひたれる幸せ~!

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    2015年11月08日
  • 水のかたち 上

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    主人公はごく平凡な中年の主婦。ある日譲り受けた高額な骨董品から始まり次々と開かれていく人生の扉。先々で待ち受ける出会いや縁はやがて思いもかけない場所へと主人公を導くが、主人公はそれを絶え間なく流れ落ちる水のように柔らかく受け止める。そしてまた彼女は流れ続けていくのであった。人は良い環境の中にいれば物事は自然と形を変えていい方向に向かっていく。その言葉が心に響いた。

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    2015年11月08日
  • 森のなかの海(上)

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    欲しかった本の隣りにあり、タイトルと装丁に一目ぼれして購入。

    阪神大震災が起きた時、私は小学生だった。東日本大震災もそうだと思うが、大きな大きな震災を目の当たりにし、大きく人生が変わっていく人が想像を絶するほど大勢いたのだろう。この物語の主人公の希美子さんもその一人。家族の形が変わり、住まいも奥飛騨へと変わる。そんな簡単なことではないとは思いつつも、奥飛騨の森に囲まれた山荘が生活の拠点になるなんて、なんて羨ましいのだろう!!傷ついた人たちがゆっくりゆっくり再生していくことがこの物語の神髄なのだろうけど、私は奥飛騨という場所で生活していくこと、森の描写にうっとりしてしまった。森は、木々は、たく

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    2015年11月01日
  • ドナウの旅人(下)

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    再生の物語。「悪いことが起こって当たり前。いいことがあったら不思議だと思って、大喜びするのだ」時代や風土や民族が違っても人間はみんな同じ。願わくは幸せになりたいという点において。見栄や自尊心にだまされずに、他人を愛する。長い長い旅の先に何が待ってるのか知りたくて夢中で読んだ。

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    2015年09月30日
  • ドナウの旅人(下)

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    ドナウの如く、読み応えのある小説でした。異国でも、とりわけ共産圏を主な舞台としているため下巻はその社会性に圧倒されながらのめり込むように読んでしまいました。

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    2015年09月23日
  • 水のかたち 下

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    久しぶりに読んだ宮本輝。なんだか傲慢さを感じるのはなんでだろう。嫌いな話では決してないのだが・・・。

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    2015年08月30日
  • 水のかたち 下

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    …石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません。…

    というロダンの言葉が作中に引用されているが、この物語の核心はこの一言に尽きると思う。良い流れに身を委ねて、次の一歩を踏み出す。人と人とのつながりって、おもしろいものなのよね。この人はと思ったら細くてもなが~く付き合えるようにしておくこと。それが自分の人生も豊かにしてくれるんだなぁとしみじみと思った。私もあの志乃子さんたちが住む場所の住人になって、志乃子さんたちと知り合って、いろいろおしゃべりしたいなと思った。

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    2015年08月19日
  • 水のかたち 上

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    志乃子さんがご近所の喫茶店の文机をもらったことからすべてが始まる。いくつになっても、世界を広げていくことができる。ぎらぎらせずに出会いを大切にしていれば。

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    2015年08月19日
  • にぎやかな天地(下)

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    カエルが やかましく泣いている中で
    発酵している 酢の 蔵で 耳を澄ます。

    宮本輝は 阪神大震災を経験することで
    なぜか雰囲気が 変わったような気がする。
    『森の中の海』をよみ 『にぎやかな天地』を読んで感じた。

    勇気って どこから湧いてくるのだろう。
    天から 降ってくるわけではない。
    そして、勇気を 奮い起こして 自らの道をすすむ。

    寡黙だった 祖母。
    何も言わない 母親。
    それが 聖司の なげかけた 言葉と行動で、
    ひも解かれていく。

    時間が 心の中のわだかまりと問題を解決してくれる。
    いろんな想い 悩み 苦しみ そして 絶望さえもが、
    時間という 発酵槽で かぐ

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    2015年08月14日
  • 彗星物語

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    1985年。
    いろいろな事情があり13人と1匹の犬からなる大家族になった家が、共産主義下のハンガリーの留学生を迎えることになった。
    留学生でいえば文化の問題、民族性の問題、また家族ひとりひとり問題を抱えながらもみんなの力で乗り越えていく。言えることは、犬が一番の力になって、すべての問題を解決していってくれたことだ。
    言いたいことを言い合える、秘密にしていることだってある。家族のあり方は今も変わっていないと思う。
    400ページを超えるものであったが、彗星のように留学生は現れ、彗星のように消えていって物語は終わる。
    しかしここからが頑張りどきなのだ。数年後に控えるソ連の崩壊を彼はまだ知らないのだか

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    2015年06月30日