宮本輝のレビュー一覧

  • 胸の香り

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    宮本輝さんの短編集。7篇の短編小説を収録。
    「月に浮かぶ」が好きです。
    海に浮かぶ月を見る。
    静かな海に船を出し、杯をかわしながら月見をする。まるで手に届くほどの距離で、水面に月が浮かぶ。この情景描写がとても美しいと感じました。

    どの小説にも、宮本輝さん独特の、妖しげな雰囲気、暗い陰が漂っていました。特にこの「月に浮かぶ」には。

    巻末のあとがき、「一つの短編小説を書くことが、私にとっては血の一滴を無理矢理絞り出すような苦労を強いる」との宮本さんの言葉が印象的でした。

    もう少し歳を重ねてから、もう一度読みたい一冊です。

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    2009年10月04日
  • 焚火の終わり 上

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    あたしの好きな、「亡くなった人の残した謎を探し求める」お話。
    『オレンジの壷』や『森のなかの海』のような感じね。
    亡くなってしまった人の人生を穿り返す事って、本当は失礼なことなのかもしれない。
    でも宮本輝さんの作品では、謎を追うことが主人公の生きる意味を見つけ出したり、何かの突破口を見つけ出したりするのよね。
    追っているうちに主人公が徐々に成長していく様を見ているのも清々しい。
    一見平凡に生きていたような人でも、宮本さんにその人生を書かせると、「人生波乱万丈」って思えてくる。
    どんな人でもたくさんの人に影響を与え、いろんな物を残している。

    この本は宮本輝さんらしくてすごく好き。
    下巻がどんな

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    2009年10月04日
  • 森のなかの海(下)

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    「前途洋々」という言葉がぴったり。
    希美子と一緒に暮らしている中学生〜高校生の女の子たちが、それぞれの才能を活かしてそれぞれの道を進んでいく。
    若いっていいなぁと思ってしまったよ。
    この作品のもう一つの(と言うかほんとの)柱は「カナ江の人生を遡る」こと。
    同じく宮本輝さんの『オレンジの壷』も亡くなった祖父の人生を遡っていく作品だけど、今度は『オレンジの壷』の女性版って感じかな。
    カナ江は、静かだけど強い。逞しい。
    希美子にも惹かれたけど、カナ江にも強く惹かれた。
    それにすき焼や季節の素材を使った炊き込みごはん、鱧のお吸い物、シャトー・ラトゥール・・・
    出てくる食べ物・お酒がおいしそう。
    って、

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    2009年10月04日
  • 星宿海への道

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    忽然と姿を消した瀬戸雅人。
    血のつながりの無い弟が雅人の足跡を辿るうちに明らかになる
    兄の人生。

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    2009年10月04日
  • 五千回の生死

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    表題作が好き。母が薦めてくれてやはり中学から好きな本。本の中では、現実の時間ではなくて、「宮元輝時間」みたいなものが流れている気がしてすき。

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    2009年10月04日
  • 花の降る午後

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    一気に読んじゃいました。
    やっぱ、宮本輝はいいなぁ〜。
    定期的に、この宮本ワールドにどっぷり浸りたくなるのは何故だろう。
    今回の話しは、宮本作品にしては珍しくハッピーエンド?って感じの終わり方だった。
    作者のあとがきが珍しくあって、そこにもたまにはこうのもいいかな、って感じの事を書いてあったけど、読後感が爽やかな感じがして、いつものように、ドッシリとした重厚な、重くのしかかってくるようなものがなく、こちらもスッキリできて良かった。
    お話は、若くして夫に先立たれた美しき未亡人が、残されたフランス料理店を継いで働いてるんだけど、そこに、10歳も年下の画家との恋愛や、店を中心にした色々な出来事や、店

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    2009年10月04日
  • 五千回の生死

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    だれも買った覚えもないのになぜか家に落ちていた。「宮本輝」さえも知らない私は、妻に馬鹿にされながらも短編集だからということで一応読んでみた。
    「力」:小学生にあがったばかりの出来の悪い子供が通学できるかどうかを父親に言われ、母親がそっと見守るという話。

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    2009年10月04日
  • 花の降る午後

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    神戸をよく知っているせいか、絵がよく浮かぶ。ハッピーエンドが素直に喜べる作品。現在のところ、宮本輝のベスト。

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    2009年10月04日
  • ドナウの旅人(上)

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    宮本輝の長編小説。大学時代にこれを読んで、フランス留学中には、実際にドナウにそってハンガリーまで足をのばしてみたほどはまってしまった。

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    2009年10月15日
  • 海辺の扉(上)

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    ギリシャの青い空、青い海。エーゲ海をクルーズする外国人観光者たち。
    哲学が生まれた地への憧れを誘いながら、日本人には住みにくいかの地での裏社会を、まさにエーゲ海をすべるように渡っていく物語。
    面白くて一気に読んだ。

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    2009年10月04日
  • 海岸列車(下)

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    200512
    かおりと夏彦の関係、夏彦と澄子の関係、かおりと戸倉の関係・・・等、いろいろな人との関係性から人物像が浮き上がるところが好き。鎧という場所も象徴的だった。

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    2009年10月04日
  • 海岸列車(下)

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    お兄ちゃんのキャラが得だ。お母さんはちょっとかわいそうだったが、後で会いに行くようだし、よしとしよう。著者のあとがきも印象的。

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    2009年10月04日
  • 海岸列車(上)

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    最初は珍しく話に入り込みにくかったが、読み進めるにつれ、グングン引きこまれるところは、さすが。流石と書いて、さすが。

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    2009年10月04日
  • 新装版 命の器

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    「君の友人を示せ。そうすれば、君の人格を当ててみよう」という内容の言葉を言ったのは、古代ギリシャ時代の賢人だったと思う(名前は忘れてしまったけど)。うわべはそう見えなくても、自分という人間を徹底的に調べてみれば、そうなっていることに気付くはずだ、とか。

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    2009年10月04日
  • 新装版 二十歳の火影

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    中高生の頃に国語・現代文の問題で読んだことのある話がチラホラ。。
    親は選べないけど友達は選べるんだよなーとか思ったり。こういうこと書ける中年になりたいです。

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    2009年10月04日
  • 五千回の生死

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    タイトルに惹かれて読むと、予想外にも九つの物語の短編集でした。

    「力」「五千回の生死」とっても良いです。どの短編も流石の輝さん、読み応えが十分ありました。

    悔しいのは最後の3つの作品がよくわからなかったこと。まだまだ人生経験足りないってことですね。

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    2009年10月04日
  • ここに地終わり 海始まる(下)

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    早い人なら1日で読んじゃうかもしれないような量だったかな。
    毎度芸がない感想だけどとても面白かった。(^_^;)

    18年間結核で療養生活をしていた志穂子。治らないと思っていた病魔に奇跡が起こったのはたった一枚の絵葉書だった。
    退院した24歳の志穂子が、真っ先にしたかった事は絵葉書を出した主に会うこと・・・

    志穂子という主人公の心がとても綺麗で、実生活という中では子供と同じなのに、病院という小さな世界で生きてきた彼女は実はとても大人で・・・
    何だか、自分に正直でいるという事に私はすごく気持ちを惹かれました。
    志穂子の父親がまた素敵な人でねえ(〃∇〃)
    コレは若い男女のお話なんだけれど、
    行き

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    2009年10月04日
  • 血の騒ぎを聴け

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    ”最後のエッセー集”
    という衝撃的な帯がついてます。

    あたしにとって、エッセーは小説の背景を知る手段なのかもしれません。
    この小説を書いた人物は普段どんなことを考えているのか、そういう感性を垣間見たいのだと思います。

    宮本輝は、あたしの中では日本で今一番美しい文章を書くひとです。
    輝さんの文章は、今まで読んだ小説どれも美しい日本語で綴られてると思うのです。

    このエッセー集も、話題がいろいろで読み応え十分です。
    ちょっとした日常、自分の作品に対する思い。
    輝さんの素敵な人柄が濃縮されてます。

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    2009年10月04日
  • 森のなかの海(下)

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    上巻に続いての完結編。主人公のトータル面での幸せは、読者の想像でいくらでも作って行けそうであるが、全体のトーンが柔らかくて好きです。

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    2009年10月04日
  • 睡蓮の長いまどろみ(上)

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    主人公世良順哉は身分を隠し社会的成功を収めた産みの母である森末美雪と再会します。
    なぜ自分を捨てたのかこだわり続ける順哉の前に、19歳の少女の飛び降り自殺から物語は始まり、その後、死んだはずの少女から自分宛に手紙が届きます。ホラー小説的です。
    「因果具時」・・・・睡蓮は、水に浮かぶ植物ですが、その根は水中のどろの中につかってます。
    蓮に込められた、そして人間の宿命にまつわる、諦めとも高潔さとも神秘性とも言い換えられる崇高さをもって、泥の中から汚れに染まらず生き抜き、花を咲かせる清々しさを、この小説によって訴えたかったのでしょうか。
    終盤近くでタイトルに睡蓮を選んだ意味に気が付き、いつもながらの

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    2009年10月04日