高田崇史のレビュー一覧
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ネタバレ七福神と六歌仙。
神と人との対応はいいとして、数が違うではないかとの声を力技でねじ伏せる博覧強記。
分析とこじつけのコラボレーションに、頭がくらくらしてくる。(いい意味で)
明邦大学では「七福神」の研究をすると不審死を招くことから、その研究はタブー視されていた。
その時点で、大学の姿勢って、研究者の矜持って何よと思うが。
しかし兄の遺志を継いで七福神研究をしたいという貴子が、棚旗奈々を通じて桑原崇とともにその謎を追う。
という建前の割に、これから卒論の準備をするという、まだ研究の端緒にも立っていない状態というのを差し引いても、貴子の知識がほぼなくて、桑原崇が一人で畳みかけてくる。
異論をさしはさませることなく、「~とはこういうことだ」「~だからこうなる」「つまりから~だ」という断定の連続。
ああ、このスタイルがそもそも呪(しゅ)なのだな。
しかし、一族の秘密を守るために家族をも手にかけてしまうというのは、なんてすさまじい呪、呪いであるのか。
しかも、その秘密ってのがさあ…。
京都弁の、裏の意を含んだ柔らかい表のことば。
それはすなわち、平安の時代の人たちが、人を呪ったり魔を避けるために日常的に使っていた生活の知恵なんだろう。
と思うと、時代を重ねてあることの重さ、というものが強く感じられる。
少なくとも「ぶぶ漬けいかかですか」と言われたら「あ、どうも、ご馳走になります」とありがたくいただいてしまう道産子には、思いもよらないくらいの重さなのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ以前からずっと、読みたくてしょうがなかったシリーズ。
この偏執的に知識過剰な雰囲気が、とにかく好きなのである。
京極夏彦の一連のシリーズしかり、高橋克彦の浮世絵シリーズしかり。
本職の研究者たちが日々研究していることを、エンターテインメントの小説の中で、自らの仮説を立て、検証し、素人には「これしかないのでは」という結論にまで持っていく。
読んでいてわくわくします。
今作では、百人一首のコレクターである人物が自宅で殺された事件というのが一応のミステリ部分になっていますが、7~8割ほどは百人一首自体の謎の解明に費やされています。
なぜ百人百首ではなく、百人一首と名付けられたのか。
その当時の著名な歌人が外されたり、さほどでもない人が選ばれたりしたのはなぜか。
なぜ代表作でもない凡庸な歌が選ばれた人がいるのか。
さらに、選者である藤原定家と、後鳥羽上皇との関係性について言及する。
没落貴族である定家がお家再興をするためには、卓越した和歌の才能を前面に出していくしかない。
当初は後鳥羽上皇とともに和歌を詠み、その解釈などを語り合ったはずなのだが、徐々に二人の間は離れていく。
後鳥羽上皇の口出しが定家には煩わしくなり、いうことを聞かない定家が上皇には煙たくなった。
その後承久の乱で敗れた後鳥羽上皇は、生涯を流刑地で送ることとなり、怨霊や祟りが日常茶飯だった平安人・定家が鎮魂のために行ったのが百人一首の選定ではなかったのか。
と、いう話。
百人一首の謎が解けて初めて、「ん?もしかして被害者も定家と同じことしたのでは?」となる。
そして、探偵役である桑原崇の本職が薬剤師であることも、今回は意味があった。
本当に博覧強記なのは作者なんだよ。くぅ~。
このシリーズ、どれもこのクオリティを維持できているんだとしたら、すごすぎる。
次巻を読むのが今から待ちきれない。 -
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シャーロックホームズの謎と、シャーロキアンクラブで起こった連続殺人事件に、崇が挑む。
シャーロックホームズの物語は、ちゃんと読んだことがないです。どうも私は、ホームズがしたり顔でプロファイリング結果を披露するのが苦手でして…というのは言い訳で、これまで読む機会がなかった。いつか読みたいとは思いつつも。
シャーロックホームズの物語自体にも、これほどの不可解なことがあるんですね。
私は、昔の本って、そういうもんだと思ってました。
今は出版社も大きな組織だし、版を重ねると訂正することもある。でも昔は、時系列の間違いとか、作者の誤解とか、フツーにそのまま本になってしまってそうだなぁ。
犯人が誰か?というよりも、シャーロックホームズの謎についての言及が気になってしまい、犯人がわかっても「そうなんだ」程度にしか思えなかった…笑。
読者も、だんだん崇化してきますな。現実の事件や動機には興味ない、興味があるのは歴史ミステリだけというのが、崇のスタンスだ。
そんな私でも、事件の本当の真相にはドキッとした。こういう二重推理が好きです。
崇のホームズに関する推理は、ホームズファン(信者?)が聞いたら怒りそうな話でしたが、真相はいかに?私は、上記の通り、作者はワトスンではなくドイルだと思っているので、ドイルの勘違いや誤植だろうと現実的に考えてしまう。ドイルはホームズを書くのを嫌がっていたともいうし、イヤイヤ書いてたらゴチャゴチャしてしまうのではないだろうか。
おかしな点を含めて合理的説明ができるように推理して証明する…という知的活動は、私には無理だな。 -
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横浜のレンガ倉庫で、涙川紗也は死体を発見する。それは自分をずっと追い掛け回していたストーカーだった。状況から考えて明らかに自分自身が疑わしいと焦る紗也に、突然、救いの手を差し伸べてくれる女性が現れる。しかし救ってくれるはずのその女性は、紗也の前から姿を消してしまう。段々と状況が悪くなっていく、紗也の運命は。そして辻曲家とはどのように絡んでいくのか。
ということで、シリーズ二作目は一作目とはがらりと雰囲気が変わって、オーソドックスな逃亡劇から幕を開けます。様々な思惑が入り乱れるストーリーになっていて、そこに今回のテーマである古代史のヒーロー『日本武尊』と悲劇のヒロイン『弟橘媛』が、シリーズの主人公たちが、緩やかに接近していく様子が大変楽しかったです。前作では特に絡みのなかった、火地さんと巳雨のやり取りもほほ笑ましく、印象的でした。 -
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読書録「試験に敗けない密室」4
著者 高田崇史
出版 講談社文庫
p17より引用
“あと、兜町も近いけれど、そっちはぼくに
は何の興味もないし、行ったこともないんだ。
好きじゃないんだよ。他人の会社の努力を利
用して一儲けしようと企んでる奴らが、うじゃ
うじゃいるからね。”
目次より抜粋引用
“密室の始まり
続いて密室
さらに密室
やはり密室
密室の終わり”
浪人生と美貌の天才高校生を主人公とした、
長編ミステリ。シリーズ第二弾。同社刊行作
文庫版。
夏休みを利用して、天才高校生・千葉千波
の家の別荘へ泊りに行く事にした主人公・八
丁堀と友人・饗庭慎之介。タクシーに乗って
たどり着いたのは、本来の目的地ではなく…。
上記の引用は、目的地とは違う場所でタク
シーから降りてしまい、感傷に浸る主人公・
八丁堀の心の声。
浪人して尚且つ予備校生でありながら、夏休
みに遊ぶことに余念がない人物のわりに、人
としてまともそうな事を言っていますね。
将来に備えて投資を、というようなCMが数多
く流れてきますが、本質は博打だということ
を忘れないようにしたいところです。
死人が出ない穏やかな良作ミステリ。気軽
に読める作品です。本格的なミステリ好きに
は物足りないかもしれませんが。
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鎌倉市由比ヶ浜にある由比ヶ浜女学院の生徒が意識不明の重体で発見された。彼女の名前は、辻曲摩季。外傷は擦り傷程度、CTやMRIを撮っても異常は見つからない。清和源氏の血を引く中伊豆の旧家、辻曲家で、強い霊的感性を持つ摩季の姉の力を持ってしても原因が掴めない。敵は怨霊か。昔は歴史作家希望で、辻曲家の兄妹たちと親交ある陽一が、鎌倉の歴史について調べたはじめた矢先、意識不明のはずの摩季が姿を消す。
ということで本作はシリーズ一作目。歴史の気になる部分に焦点を当てて、実際はこうだったのではないか、と〈可能性〉を提示する歴史ミステリ(伝奇色もだいぶ含んでいます)の醍醐味が詰まった作品になっています。謀殺や暗殺のオンパレードだった鎌倉の殺戮史を辿るうちに、浮き彫りになる、〈怨霊〉の正体とは。続編ありきの結末になっているので、これ一冊で物語自体の評価を、というのは難しいのかもしれませんが、古都鎌倉を冒険しているような気分に浸れる、先の気になる物語でした。 -
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七福神について調べていた男子学生が交通転落事故で死亡し、その学生が所属していた大学の薬学部教授が実験中に中毒死、死亡した教授の助手をしていた男性が自宅で刺殺される・・・という事件が立て続けに起きた、タタルの母校。
事故死した男子学生の妹で、その大学の現役学生である貴子から、奈々にタタルとともに兄の死と七福神の呪について調査したいという依頼?があり、3人で京都に向かう。
タタルの七福神、そして古今和歌集の六歌仙についての知識があいかわらず膨大!
現代で起きた事件と、歴史ミステリーの二本立てのような感じだ。
歴史ミステリが、現代の事件の動機に関わっているので、どちらも大事です。
昨年の大河ドラマで注目をあつめた「平安時代」、藤原氏の栄えた時代の闇について、考えさせられる。藤原氏同士でも相当争っていたから他の氏についてあまり考えが及ばなかったものの、ほかの氏も当然に存在したわけで。
紀貫之、在原業平は有名なので、私も知っている(そしてこの本には登場しないものの、菅原道真は身分にあわない出世をしたことで追い落とされて流罪になったんだっけか。そういう時代ってことだよなぁ)。
奈々が「平安時代って、全然平安ではないじゃないか。平安でないからこそ、平安であれと願って名付けられたのか」と納得していたけど、その通りだったのでしょうね。学校の歴史授業で上澄みを撫でるように知識入れただけじゃ、全然わからないことでした。
タタルがこの本で語っていることは、私の母(歴史好き・この本は読んでない)も同じことを言っていたので、作者の妄想や捏造ではなく、結構角度の高い知識なのでしょう。1999年という、ようやく携帯電話が普及し始めたような時代、インターネットで調べ物をすればすぐに答えが出る現代とは異なる時代に、これほどの知識が頭に入っているというのが・・・すごいわ。 -
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つまみぐいにアンソロ
母がフォローしている恩田陸を少し読んでみようと思ったのですがこういう方向性は求めてなかったなあ…という感じ。ファンタジーはちょっと。
しかし高田さんの作品だけかなり刺さったのでシリーズ読みたくなりました。こういうのと出会えるから良いのよね。