高田崇史のレビュー一覧
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ネタバレ今回は、雑誌記者である奈々の妹・沙織が、鎌倉をテーマに記事を書くために、博覧強記の崇を鎌倉散策に引っ張り出したところから話が始まる。
鎌倉(地元)なんて、今更知らないことはないと思っていた奈々たち姉妹だが、鎌倉の名勝に隠された歴史の闇を聞き、実は知らないことだらけだったことを思い知らされるのだ。
奈々の妹が雑誌記者ということで、テーマの自由度が格段に広がった。
だって雑誌の記事にするといえば、なんでもありだもの。
なのでメインテーマであるところの鎌倉の歴史の闇と、フリーのジャーナリストである小松崎が取材しようとする社長失踪事件は直接重なることはない。
しかし最後まで読んでみれば、北条氏の野 -
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ネタバレもはや竜馬の暗殺の謎と、奈々たちが巻き込まれる事件との関係はほぼない。
なんなら殺人事件がなくたって成り立ちそうな、つまり人は死ななくても山奥で孤立した夜に、竜馬の暗殺についての個々の推察を述べるだけで話は成り立ってしまうレベル。
無理に殺人事件と絡めてしまったため、竜馬暗殺の謎といつものスサノオとかの神話レベルの謎の二本立てになってしまった。
これは明らかに別建ての謎であろう。
ただ、竜馬の暗殺に絡んで、幕末のいろんな史料をもとにした黒幕の説が列挙されたのは楽しかった。
私も作者と同じく、吉田松陰の考えた維新の姿と実際の維新では、天と地ほどの隔たりがあると思っている。
で、西郷隆盛につい -
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ネタバレ奥多摩のさらに山奥にある2つの集落をつなぐ鵲(かささぎ)橋。
その周辺では、昔から不審な事故死が多発していたのだった。
このシリーズの主人公…ではないよな、語り手…でもない、ヒロイン…とも違う、しいて言うならこのシリーズの聞き手である棚旗奈々の上司が、腹に竹槍を突きさされた死体を発見したことから、彼らはこの事件にかかわりを持つことになる。
今どきなぜ竹槍?
しかし本文の大半はこの事件ではなく、『竹取物語』は呪の物語、騙りであるということを桑原崇が延々と棚旗奈々に話すことに費やされている。
まあこれも、シリーズの常套展開なのだけど。
かぐや姫に求婚する5人の貴族たちは、実在のモデルがいる、 -
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ネタバレ今回は、歌仙絵をねらう連続窃盗強盗事件から、日光東照宮の謎に迫る。
日本史に明るくない私には、今回のような有名なテーマでも、途中zzz…となる場面もあった。
というか、日光東照宮に歌仙絵が飾られていることからこの窃盗強盗事件についての話が及ぶものの、テーマが遠くないかい?
犯人は警察官というのは意外でしたが、動機がこれまた奇想天外というか、崇にしか解き明かせないよね?という動機。
日光山と月山をむすぶルートにホテルを建設されると脈が途絶えるから…とは。
しかも本命以外はカモフラージュでABC殺人事件方式、事件を隠すなら時間の中というもの。
脈という本来見えないようなもの、建物があっても分断さ -
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ネタバレ今回は、三十年前の殺人事件の被害者の孫が、その密室の謎を大学生時代の桑原崇に解いてもらったという、過去の事件の話。
しかも飲み会での話題。
弓削家という陰陽師の家系であることから、被害者の孫である和也は、犯人は式神を使って祖父を殺したのだと主張する。
「そんなものあるはずはない」という大方の人たちと意を異にするのがタタルで、「見えないだけで存在している」と言う。
それはいったいどういう意味か?
平安貴族からすると、官位五位未満は人ではないのだ。
とはいえ、実際には貴族の世話をしたりする庶民もいる。
そして、さらにその下には、賤民がいた。
朝廷にまつろわぬ民の末裔。
それは人ではなく、鬼や -
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ネタバレ個人的にはタタルさんが事件を呼び込んでいる感覚でいたのだが、毎度のことながら奈々ちゃんが責められる件。
可哀想すぎる。
今回の舞台は対馬。
対馬に神社がそんなに多くあるとは知らなかったので、その点からして驚いた。
ニアミスしていたとはいえ、主役二人が事件に巻き込まれるのが後半すぎてからだったので、個人的にはタタルさんと奈々ちゃんの二人歴史旅を思っていたより長めに楽しめたことがよかった。
巻き込まれてからは、かなりのスピード解決だったけれども。
解決ターン時の説明も巻いてましたね、タタルさん。
犯人のことを思うと、まあさもありなん。
それにしても、今回の事件も見た目のインパクトもさることなが -
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ネタバレつくづく和歌というものは侮れない。
表面に見えている言葉と、言葉の中に隠された裏の真意。
『百人一首の呪』の時も思ったけれども、歌を曼荼羅図のように並べて意味を問うという発想がなかったものだから、今回も三十六歌仙の歌を並べ替えて閉じた環を作れることに驚いた。
藤原公任は本当にそこまで考えて選出したのだろうか。
だとしたら平安時代の貴族の和歌に対する情熱は、私が思っている以上のものなのだな。
そしてもし、そこまで考えていなかったものを、作者が強引に作り上げたのだとしたら、作者の情熱に頭が下がる。
そして今作は、「三十六歌仙絵」から始まる家康の呪だ。
なんとしてでも天皇家を押さえて徳川家を上 -
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ネタバレ今度はシャーロキアンのパーティーでの殺人事件に巻き込まれるとは、人嫌いにしてはずいぶん社交的な場にいたものだな、桑原崇。
と思ったら、またもや大学時代のつながりで、しかもシャーロキアンに物申したいことがあったから、という理由付き。
シャーロック・ホームズのシリーズは、一応全部読んだはずだけど、さほど詳しいわけではなかったので、シャーロキアンといわれる人たちが、重箱の隅をつつくような細かなところにこだわりながら自説を展開していく様は、非常に面白かった。
モリアーティ教授と滝に落ちる前後で、別人のように人となりが変わってしまったというのは、うっすら感じていたような気もするけれど、多分作者のホーム -
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ネタバレ七福神と六歌仙。
神と人との対応はいいとして、数が違うではないかとの声を力技でねじ伏せる博覧強記。
分析とこじつけのコラボレーションに、頭がくらくらしてくる。(いい意味で)
明邦大学では「七福神」の研究をすると不審死を招くことから、その研究はタブー視されていた。
その時点で、大学の姿勢って、研究者の矜持って何よと思うが。
しかし兄の遺志を継いで七福神研究をしたいという貴子が、棚旗奈々を通じて桑原崇とともにその謎を追う。
という建前の割に、これから卒論の準備をするという、まだ研究の端緒にも立っていない状態というのを差し引いても、貴子の知識がほぼなくて、桑原崇が一人で畳みかけてくる。
異論をさ -
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ネタバレ以前からずっと、読みたくてしょうがなかったシリーズ。
この偏執的に知識過剰な雰囲気が、とにかく好きなのである。
京極夏彦の一連のシリーズしかり、高橋克彦の浮世絵シリーズしかり。
本職の研究者たちが日々研究していることを、エンターテインメントの小説の中で、自らの仮説を立て、検証し、素人には「これしかないのでは」という結論にまで持っていく。
読んでいてわくわくします。
今作では、百人一首のコレクターである人物が自宅で殺された事件というのが一応のミステリ部分になっていますが、7~8割ほどは百人一首自体の謎の解明に費やされています。
なぜ百人百首ではなく、百人一首と名付けられたのか。
その当時の著名 -
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シャーロックホームズの謎と、シャーロキアンクラブで起こった連続殺人事件に、崇が挑む。
シャーロックホームズの物語は、ちゃんと読んだことがないです。どうも私は、ホームズがしたり顔でプロファイリング結果を披露するのが苦手でして…というのは言い訳で、これまで読む機会がなかった。いつか読みたいとは思いつつも。
シャーロックホームズの物語自体にも、これほどの不可解なことがあるんですね。
私は、昔の本って、そういうもんだと思ってました。
今は出版社も大きな組織だし、版を重ねると訂正することもある。でも昔は、時系列の間違いとか、作者の誤解とか、フツーにそのまま本になってしまってそうだなぁ。
犯人が誰か? -
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横浜のレンガ倉庫で、涙川紗也は死体を発見する。それは自分をずっと追い掛け回していたストーカーだった。状況から考えて明らかに自分自身が疑わしいと焦る紗也に、突然、救いの手を差し伸べてくれる女性が現れる。しかし救ってくれるはずのその女性は、紗也の前から姿を消してしまう。段々と状況が悪くなっていく、紗也の運命は。そして辻曲家とはどのように絡んでいくのか。
ということで、シリーズ二作目は一作目とはがらりと雰囲気が変わって、オーソドックスな逃亡劇から幕を開けます。様々な思惑が入り乱れるストーリーになっていて、そこに今回のテーマである古代史のヒーロー『日本武尊』と悲劇のヒロイン『弟橘媛』が、シリーズ