高田崇史のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・九段坂の春
・北鎌倉の夏
・浅草寺の秋
・那智瀧の冬
QEDメンバーの、それぞれの学生時代に起きた事件とその解明。
単純にそれだけ、のはずがない。
年代も場所も違うそれぞれの事件が、読み進めると見え隠れする共通する人物。
偶然というにはあまりに重なり合いすれ違う人々。
これが「縁」というものなのだろう。
そして解説を読むともう一つ仕掛けがあったらしい。
三島由紀夫の『豊饒の海』の構造をモチーフにした、オマージュになっているらしい。
残念ながら私は『春の雪』までしか読んでいないのでわからなかったし、今もピンとは来ていないのだけど。 -
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話題作、人気の作家たちによる"新しい法律ができた"の一文から始まる短編集。同じような短編集の5冊目。めくる度にうわっ、今度はこの人か~とワクワクしながら読めます。個人的に一番良かったのは五十嵐律人さんの憲法のお話でした。
殺人や男女関係のエピソードあり、中学校から。
金子礼介「ルパちゃん」
日野瑛太郎「推し活制限法」
朱野帰子「日本国民に英語の勉強を義務づけへ」
阿部智里「つるべを取られて」
真下みこと「こんにちは、チャッテー」
須藤古都離「虚法」
嶋戸悠祐「国家殲滅フットボール法」
多崎礼「復讐者は振り向かない」
風森章羽「コロシヤとユキオンナ」
名倉編「Touch la -
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ネタバレシリーズ初期に比べると、歴史の蘊蓄よりも実際の事件の比重が格段に増えて、大変読みやすくなったと思う。
歴史は好きだが、蘊蓄を聞くのも好きだが、これはあくまでもタタルの一方的な解釈なわけで、息つく暇もないほどまくしたてられても受け止めきれんと思っていた。
つまりちょっと白けてしまっていた。
けれど今作のように、現実の事件を追いながら、そこにタタルの蘊蓄がちょっと重なるくらいだと、あまり彼の断定も煩わしくなく、蘊蓄に対して興味を持ったまま読み続けられる。
今後もこのくらいの蘊蓄量でお願いしたい。
事件については、簡単に人を殺し過ぎるなあ、という感じ。
突発的なわりには毒薬準備してるし、でも行き -
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ネタバレ茨城県に住んでいたことがあるので、平将門は割とよく聞く歴史上の人物ではあったけれど、東京で聞く祟り神としての将門と、地元で愛される将門像のずれの理由はそういうことだったのかと納得する部分が多かった。
坂東市(当時は岩井市)にある茨城県自然博物館にはよく行ったけれど、その周辺に史跡が多く残されているとは全然知らなかった。
よくお土産に頂いていた「将門せんべい」(めっちゃ美味)が、要するに地元に愛されるヒーローである証拠のようなものなのね。
とはいえ、今回はまた事件が起きてはいなくて、延々将門に関する蘊蓄が続くのにはちょっとうんざり。
蘊蓄とミステリのバランスは大事だ。
次の作品で、今回再び登場 -
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歴史上の謎と現実の殺人事件を解決するQEDシリーズ3作目。本作は架空の人物が対象という珍しさ。本書でも触れられているが現実にも影響を与えた名探偵、いや創作上の人物はシャーロック・ホームズが多分初だろう。登場から150年くらい経っているのに今も彼を超える名探偵キャラはいないように思う。
さて本編だがシャーロキアンなら怒りかねない結論だがホームズ好きの我が身からしても面白い。というかホームズファンなら祟の言う疑問点には気づいているだろうし妄想的にも考えた事があるのではなかろうか。個人的にグラナダ版『シャーロック・ホームズの冒険』が超好きなのでそこに軽くだけど触れられているのも良かった。 -
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ネタバレ最初は薬剤師の棚旗奈々と、学校の先輩であり同業の桑原崇と、その友人である雑誌記者の小松崎が事件に巻き込まれる話だった。
しかし、主体的に物語を動かしていくには奈々が大人しすぎたせいか、その妹のやはり雑誌記者の沙織が加わり、事件と古代日本史の二本立てにするパターンが定まった。
と思いきや、今度は毒草師?
タタルと同程度に古代日本史の知識がある、自分ルールに忠実な史紋は、饒舌さではタタルに及ばないものの、その偏屈な人間性といい古代史への知識といい、タタルに似すぎていて、これでは却って話がこじれるのでは?と思ったら、別シリーズの人物のお披露目であったらしい。
今回は犯人もそっち系の人だったので、ち -
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ネタバレ同じ書き出しで、25人の作家さんが25通りの物語を紡ぐ。1編が6ページほどのショートショートだからサクサク気軽に読めるし、様々なジャンルの物語を1冊で楽しめるためお得感がすごい読書時間を過ごした。
現実の法から奇想天外な架空の法まで、ジャンルもミステリやディストピアものなど、物語の舞台も現代から近未来、果ては明治時代やアメリカの西部開拓時代まで、多種多様な設定の中でその法律が齎す思わぬ影響や人間模様が繰り広げられる。短いながらどの作品もとてつもない読み応えだった。
法律というテーマ故か、ディストピアものとの相性が特に良かったように感じる。
ハッとしたのは、今私たちの生きている世界は -
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ネタバレ今回は、タタルたちが出てくる現在パートでは事件が起こらず、幕間に語られる過去パートで殺人事件が起きている。
しかしよく読んでみると、現在の私と過去の私の語る内容が微妙に違う。
ずっともやもやしながら読むのだが、タタルたちは当然そのことを知らないわけで、延々と熊野にまつわるウンチクが語られていく。
熊野はずっとあこがれの地で、南方熊楠のことについてもちょっと触れられていたので、そこは単純に嬉しかったのだけど、事件のおぞましさがやりきれなくて、ページをめくる手が止まりがちだったのも事実だ。
古来から伝わる風習を現在の価値観で断罪することに意味はない、と思っていたけれど、それで辛い思いをしている人 -
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ショートショートというものを初めて読んだ。
なので、他シリーズは未読。
「新しい法律ができた」
最初の1行は全員一緒。
なんだそれ、面白い!!!
同じ一行から始まるのに、話の内容も展開も全く違う。面白い。
1つ目のお話(金子玲介、ルパちゃん)が重くて、苦しくて、
え!?これ読めるか!?と思ってしまった。
が、作家によって内容は十人十色。
様々なバリエーションがあるのが面白かった。
しかし、法律が主題なので、内容が難しいものも多かった。
塩屋験さんは(AIが小説を書くようになるが、作者は人の名前にし、人間かAIが書いているか分からなくするという話)、最後、え!?となって驚かされた
シリア -
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ネタバレここ数年読んできた古代史をテーマにしたミステリは、なぜか岡山へと私を導いていく。
詠んだのは数年前でも書かれたのは数十年前だから、その当時に岡山ブームでもあったのだろうか。
それまでの古代史と言えば邪馬台国や出雲からの諏訪、というあたりが常套だったような気がしているのだけど。
岡山に半島から、戦にやぶれて逃げてきたものが住み着いたこと。
彼らは製鉄の技術革新を日本にもたらしたこと。
大和朝廷が彼らを滅ぼし、歴史から抹消し、鬼として封じたこと。
このあたりが今現在(または数十年前)の定説なのだろう。
で、今回タタルはほとんど出てこない。
密室殺人事件の被害者の婚約者の友だちが、小松崎の雑誌に -
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短編なのでサクサク読めた。
今回の書き出しテーマは『だから捨ててと言ったのに』…だいたい恋愛絡みか、夫婦関係こじらせ系が多かったように思う。
誰に対して言っているかで、作者ごとに思い付く話が違い、個性があって面白い。
アンソロジーは、知らない作家さんを知って、見つける機会にもなる。
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↓読んだ中で印象に残ったもの。
●良い話
砥上裕將『母の箪笥』
金子玲介『恋文』
●じわじわ来る系
潮谷験『無理解』
五十嵐律人『累犯家族』
背筋『こわくてキモくてかわいい、それ』
●設定の世界観が独特
黒澤いずみ『捨てる神と拾う神』
舞城王太郎『食パンと右肘』
多崎礼『海に還