荻上チキのレビュー一覧
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全国紙5紙のスタンスの違いを、紙面にコメントを掲載する学者の顔ぶれや憲法条項の言及数などによって定量化している点が興味深い。どの新聞を読むかによって、その人の思想は自ずと変わるだろうことは容易に想像できる。
新聞にコメントが掲載される社会学者(1993年~2016年)は、各紙とも山田昌弘、上野千鶴子、橋爪大三郎が多く、朝日新聞では小熊英二、宮台真司も多い。政治学者(1993年~2017年)については、五百旗頭真、御厨貴が各紙に登場するが、中西輝政は産経に、姜尚中、山口二郎、中島岳志、加藤陽子は朝日・毎日に頻出する。
憲法条項の言及数(1993年~2015年)を比較すると、毎日・朝日では14条 (法の下の平等)、21条 (表現の自由)、24条 (両性の平等)、25条 (生存權)が多く、産経では1条 (天皇)、9条 (戦争の放棄)が多い。読売では24条 (両性の平等)が少ない他は平均的で、日経では96条 (憲法改正)、9条 (戦争の放棄)の他は少ない。
デモ実施の報道の数については、テーマよりも報道数の合計が毎日、朝日に比べて読売は4割程度、日経、産経は5分の1程度と異なり、民主主義に対する姿勢を反映しているように思える。
読売新聞:明治7年創刊。
朝日新聞:明治12年創刊。
毎日新聞:明治5年に東京日日新聞として創刊(日本で最初の日刊紙)がルーツ。昭和18年に毎日新聞。
日本経済新聞:明治9年に三井物産内で中外物価新報として創刊。中外商業新報、日本産業経済を経て、昭和21年に日本経済新聞。
産経新聞:昭和8年に日本工業新聞として創刊。産經時事、産業經済新聞を経て、昭和33年に産経新聞。 -
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荻上チキさんてメディアの気鋭の評論家的なイメージでしたが、
「暮しの手帖」でエッセイを連載していたとは知らず。
セットでヨシタケシンスケさんのイラストエッセイ的なものもついてて
適度な苦みと笑いが面白い。
子どもを思う視点、自分のうつ病のこと、学生時代の紆余曲折、旅と取材の塩梅、
どれも身近な内容で、当たり前にひとりの人として生活する中で、
視点が広がっていったんだなと分かる。
自分のことで話しにくいようなことも柔らかく気負わず書いているので、
ホッとする人も多いんじゃないかな。
相手に呪いをかけず、多様性を認め合う。
時間が経てば、過去に苦しめられていた言葉から、
他の人があっさりと救ってくれるかもしれない。
「健康ゲームに目覚める」はヨシタケシンスケさんとセットでかなり笑った。 -
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2020年夏に刊行された本。コロナ後の社会の変化について。 人間、生命、歴史、国家、くらしと文化をテーマに21人の知性が語る。
インタビューと寄稿された文で構成されている。コロナが蔓延し拡大していた頃の見解なので、現在の視点で読むとやや違和感がある意見もあるけれど、総じてコロナをきっかけに、今後社会が大きく変化すること、先が見通せない不安がつきまとうことで一致している。コロナ発生から1年が経って、ワクチン接種が進んでいるが、なかなか終息しないのが心配。 経済活動は悪化しているが、でもマクロレベルでの指標と実態の乖離は、それほど危機的ではないように思う。 影響が出てくるとすれば社会構造の変化、人間の付き合い方の問題だろう。 この本は、賞味期限が短いと思うので、読むなら早めがよい。 5年から10年経って、彼らの予想がどうだったのか検証には使えるかもしれない。 -
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ラジオ「荻上チキセッション」が夕方に移ってから聞くようになり、荻上チキさんとはどういう人かと探していて行きあたった本。読みたいと思った人の章のみ読みました。
養老孟司:「不要不急とは」という、今回もまた若干ずれた感のある内容なのだが、この用語への同氏の違和感は、医者でありながら現場ではなく解剖をやっている自分、また現在の老人で公職にもない自分の存在は不要不急なのではという根本から生まれている。そこからさらに、人間自体不要不急なのではという話。この辺りは、前回読んだ氏のインタビューで、老人はコロナ禍を乗り切ったところで生き甲斐はあるのかという疑問と相反するようで通じるところがあり、面白いなあと思った。それにしても毎回若干ずれてるのに毎回養老先生が出てくるのは、よっぽど好かれているということなんだろうなあ。
五味太郎:絵本作家だからなのか子供にあたたかい視点。そもそもの教育が、子供の権利のはずなのに子供に失礼だというところから発し、不安だったのはコロナ禍のせいなのか、収束して非日常から戻った際の「日常」は(特に子供にとって)そもそもよかったのかという議論。学校はありがたいけれど、現行の教育に対する疑問や批判が帳消しにされるべきではないということなのだろう。これまたコロナ云々を超えた根本的議論。
荻上チキ:検察庁法改正(定年延長)が見送られたことに見る世論の動きの分析。良くも悪くも議論が単純化されることで世論が盛り上がるというところに、なるほどなと思った。
ブレイディみかこ:息子が受けた、コロナ禍でのアジア人蔑視発言から、各人が自分のなかにある偏見に気づくきっかけになったという話。分析する息子さんも、その発言を注意した級友も、なんとも冷静ですごいなあと思う。またキーワーカーへの拍手の要不要論も、それが次世代に残すであろう影響から反対はできないというブレイディさん、現在がそうこうで終わらせずコロナ後に続いていく、次世代を育てていくという先を見据えた視点にハッとした。
(お名前を失念):会うことが暴力という言葉になるほどなあと思った。だから「あつ森」のように会わなくて良い平和なゲームが人気になると。裏を返せば、会うことの暴力に対峙できない人の中に、その分の暴力をネット上で振るう人がいるのではないかと思わないでもなかったが、生身とバーチャルの違い=暴力・重力という視点が面白いと思った。