荻上チキのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第1章はとても面白い。
毎年2%の経済成長というのは実にリーズナブルだ。
たしかに立ち止まるというのは衰退を意味するわけで、0%成長というのはありえない。とはいえ、もういちど高度成長を行うのは無意味なわけで、この成長率は現実的だ。
マクロは良く分からないが、会社経営の視点から見ても、成長期が終わって安定期に入った会社にとって、この程度で成長するのは、妥当なところだろう。
国も会社と同じと考えたときに、GDPは粗利だというのは、非常によく分かる。
粗利が毎年2%成長する。それは必要だし、それができなければ、いろいろと会社全体がきしみ始める。そしてそのきしみは、弱い部署や、新規事業や、生活共同体としての会社の居心地の良さといったものから影響してくる・・・
しかし、赤木智弘や湯浅誠との対談の第2章、第3章は余計だと思う。
面白くないことはないのだが、せっかくの第1章の切れ味のよさが、どこかに行ってしまっているように思う。
赤木智弘、湯浅誠という、いわば「業界の有名人」と対談したからこそ、本としての価値が出たわけで、飯田泰之さんのピンで、この本、という過去の企画が成り立ったかどうかは、いささか疑問はある。
私も手に取ったかどうか。
「赤木智弘や湯浅誠との対談がつまらないわけじゃない、むしろ面白のだけど、なんだろうこのもやもや感は・・・」と読みながら思っていたが、あとがきを読んで腑に落ちた。
著者が論壇を意識しているからだ。それが何だかもどかしいからだ。
「経済学はツールであり、ツールをどのように使うかは外部から与えられる。外部とは社会的合意のことであり、その形成過程に参与するために、論壇に加わる」
という理論である。ここまではいいんだが、
「しかるに論壇は、年寄りくさい、情緒的、非科学的、人文科学的インテリスノッブどもが占拠しており・・・」というようになるから、なにかいたたまれない。
それはそうかもしれないけど、努力や意識の向けどころが間違っている。
ミクロ的に言うと、マーケティング的見地や、戦略が足りないと思う。
素晴らしい著者だけに、それが残念。
へんな沼に足を取られていないで、もっと跳躍してほしいと思う。 -
Posted by ブクログ
2011年5月発行。震災直後の「サーバーラック転倒」とか「コスモ石油爆発」などの、ネット上でのデマの拡散についての検証です。拡散によるインフラやタイムラインの圧迫、そして複数からの通報による警察等の業務の障害についても落ち着いて触れられています。事例は震災のものなので、タイトルには「東日本大震災の」とありますが、「ネット上での」と読み替えてもよいでしょう。
社会では、流言・デマから、虚偽・隠匿に興味が移っています。デマとはいえなくても、SNSではいまも反射的ともいえるシェア・RTがたくさんあります。自分が発信しようとする情報に対して、内在的チェック、外在的チェックを行い、興奮や反射だけでない対応が必要です。
何を言って、何を黙っているかを考えさせられました。 -
Posted by ブクログ
3.11直後に主にツイッター上で拡散したデマ情報を取り上げ、どのようなことが起こったのか、実際はどうだったのかを紹介する本。こういった心理の移り変わりを記録するのは今しかできないことなので、資料的意味で非常に価値がある本だと思う。
結局のところ、流言・デマに対抗するにはソースの確認を行うという地味で地道な作業が必要になる。でも、そんな面倒くさいことをやる人(検証屋)がいなくなったらどうなってしまうのだろう。
内容としては、悪意を持ったデマを作る心理と、検証屋が受けるレッテル貼りへの対処が抜け落ちていたので、ここが気になります。
しかし、流言研究って面白そうなジャンルですね。今後のネット社会に重要な観点だと思いますので、今後も発掘していきたいです。 -
Posted by ブクログ
■概要
コスモ石油コンビナート火災による有毒物質拡散など、東日本大震災の後に流れたいくつかの有名なデマの発生、拡散、沈静化の過程を紹介しながら、デマの影響を最小化する方策を検討する。
デマは、情報の 重要さ×曖昧さ に比例して拡散する。
大災害時には命に関わるような重要な情報が、誰もが混乱し、正確な情報を把握していないような曖昧さの中で急速に、広範に拡散する。
その上、被災地外の人も高揚状態になり、曖昧な情報であっても、拡散することで、役に立っているつもりになりたい心理が働くことや、そもそも愉快犯が混ざることで、デマはより増大する。
これらのデマは、緊急対応に当たる機関のリソースを無駄にしてしまうことで、救える可能性のある命を救えなくする害悪である。
多くの人の命が危険に晒される大災害時に、情報の重要さを下げることはできない。情報の曖昧さを下げることが肝要という視点で、公共機関や、渦中の企業に対しては、迅速、正確な公式情報の発信で情報不足を解消することを、個人に対しては、典型的なデマのパターンを知ることで、そもそも情報を疑える素養を身につけること、ネットやメディアを活用し、情報を検証することなどを推奨する。
■感想
「全ての人の情報リテラシーを上げることが大切」などとといっても無理なことを前提に、デマが広がらない方策を検討しようとしているが、予めデマのパターンについて知っておき、疑えるようにすることや、不確実な情報を検証することをすすめるにとどまっており、それは情報リテラシーを上げることとほぼ同義だろう。やはり銀の弾丸はないということか。
あの大混乱の中で起こっていたことの一面を振り返るという点で、興味深い資料である。中には明らかに悪意を持って、目的不明の情報を流す人間もいるといるということは、心しておきたい事実である。 -
Posted by ブクログ
東日本震災直後、不安や情報不足から流言(うわさ)だけではなく、意図的なデマまでが拡散していった。
現在は、TwitterやSNSなどで情報が簡単に共有でき、広がるのも早くなった。
流言・デマを広げないためには、「止める、調べる、注意する」
・ソースの有無の確認、ソース情報の確かさの確認。
・Twiiter等の場合、グーグルリアルタイム検索で情報源を調べる。
・チェーメールや拡散ツイットした人に忠告してあげる。
下の噂は、震災直後流れてきたな~
・日本では物質の空中投下が認められていない?
・辻村議員が自衛隊の救護活動を非難した
・黒い雨が降ってくる
等々。。。 -
Posted by ブクログ
80年代から現在にかけてのセックスメディアの盛衰を追っかけていておもしろい。エロ本からテレクラ、TENGAまで、よくもまあこれだけのセックスメディアがあるものだと感心する。
とくに、TENGAの開発者やオレンジ通信の編集長といった立役者たちへのインタビューがいい。決して表舞台に立つことはないセックスメディアに対する情熱みたいなものが感じられる。
性的快感はもっとも手軽で確実なものだから、お金を払ってでも気持ちよくなりたいという需要は確実に存在する。需要があるならそれを商売にする人がいるわけで…と。セックスとビジネスという、人間の欲望そのものが結びついているわけだから、そのパフォーマンスは凄まじいし、変に外面をつくろう必要はない。だからこそ、彼らの話は、下手な企業経営者の成功談よりはるかに臨場感がある。
男性、かつ、ヘテロセクシャルを対象としたセックスメディアだけなので、女性向けなども興味深い。市場が限定的なぶんだけ、男性向けとは違った歴史が見えると思う。