荻上チキのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いわばヤバい経済学の日本版。統計的手法を駆使して社会現象をあぶり出していく。
タイトルが「夜の経済学」と言うだけあって、下半身よりの話題から分析が始まる。例えば、風俗嬢の割合を可能な限りの情報を駆使しながら執拗に推定していく(20人に一人が風俗嬢の経験を持つという結論は、肌感覚的には少し控えめにも思えるが)。そのほか大学偏差値別の童貞/処女率とか、まあ下世話な話に事欠かない。
ただ、これはあくまで導入。話題が地域別の風俗価格の分析に入ったあたりから、性風俗産業というのが様々な格差を如実に表すものであることが明らかになる。そこからさらに、生活保護や流言飛語といった社会問題にまで踏み込んでいく。下世話な話はここに至るための誘導であり、本来的な目的は、データから冷静な分析・議論をしていこうという真っ当なもの。そうして集められたデータからは、例えば高所得者ほど生活保護に対する寛容度が低い、多くの日本人が外国人の犯罪率を実際より平均的に20倍も過大に評価しているなど、考えさせられる実態が炙り出される。もちろんアカデミックな分析ではないものの、こうした形で巷間印象だけで語られがちな現象に光を当てることは意義のあることだと思う。
まあ、最後の最後で、アダルトメディアの分析をして、ふたたび下世話な下半身に戻って話をしめていて、このあたりはやはりSPA!の企画なんだな、という妙な納得感がある。 -
彼女たちの売春(ワリキリ)
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彼女たちの売春(ワリキリ)
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Posted by ブクログ
経済学者、貧困問題に取り組む人(湯浅誠氏)、格差を論じた人(赤木氏)との対談を通じて、「経済成長」が今の日本にどれだけ必要か?というのを論じた一冊。
資源の制約を完全にクリアしたならば、経済成長=右肩上がりというのは絶対的な解である、というのはこの本を読んで納得する部分である。
しかし現実世界では、資源はやはり有限なものではないかと思うので、ここでいくら経済成長こそ日本の特効薬ともてはやされても、それは実現してはいけない解のように思えた。
また、実質この本の主張のメインである飯田泰之氏が、やや上から目線的に対談を仕切って、さも「経済学は偉い」という印象を与えていることに不快感を感じなくもない。
経済学をいかに世の中で活かすかを考えると、この本のアプローチは至極まっとうなものなのだと思うが、今ある世界が求めているのは果たしてそれだろうか、という疑問が残った。 -
彼女たちの売春(ワリキリ)
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Posted by ブクログ
昔、好きだった人が簡単に自分の身体を売っていることを知って、
その時は全く彼女の考えというものが理解できなかった。
その人とはそれ以来疎遠になって、
今では連絡を取り合うこともないけれど、
未だに頭の片隅にこびり付いて離れない記憶を少しでも整理できればと思い、
彼女のことを理解しようと思ってこの本を手に取りました。
売春を取り巻く現状は様々だけど、
貧困からしょうがなくという例を見る度に
他人事とは思えず、
何か自分の身近に起こっていることとして認識できない、
あくまでこれは日本の何処かにいる女性の話であり、これから自分が生きていく上では出会うことや関わる事はないだろうと、
半ば強引に目を背けました。
今まで僕らが教わってきた道徳という絵空事のせいで、
こんな現実も直視できない自分が不安です、、
なんだか上手く言葉にできませんが、
売春を知る入り口には最適だと思います。 -
彼女たちの売春(ワリキリ)
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Posted by ブクログ
そこそこ面白い対談集。軸となっている飯田泰之氏の他の著書としては『ダメな議論』を読んだことがあるけど、こっちの方が氏の専門性が発揮されている感はある。
ただ、面白いと思った部分には付箋を貼っていく読書スタイルなんですが、気づいたら序盤の半分ぐらいに付箋が集中。公判が面白くない訳じゃないんだけど、ちょっと物足りないかな。
子どもが教育を受けられるという状況が、とても恵まれた贅沢なことであることは同感。そういう最低限を保障するために貧困をどう撲滅していくか。世界でこの問題に対処する時にはMDGsが掲げられるわけですが、本書で指摘されているとおり、日本国内の貧困に抗するためにも、日本版MDGsを作るべきというのは、面白い主張だと思います。
それなりに経済学の基礎知識がないと読みにくいので、その辺はちょっと評価を抑えました。 -
Posted by ブクログ
某SNSにて、東日本大震災に関連した私の書き込みに対して
「自衛隊員が100人死んだ」とコメントを書き込んだ人がいた。
ソースを聞いたところ、また聞きのまた聞きだった。確証のない
風聞は広めぬ方がよいと注意をしたのだが、何故か逆切れされた。
震災発生直後から、ボランティアで被災地へ向かっているという
明らかにおかしい日記を挙げている人もいた。どこの避難所へ行った
のかを問う人には答えず、まるで実況中継でもしているようなコメント
が延々と続き、それを煽るような他の人のコメントで溢れていた。
同じSNSのグループでは自衛隊や自治体が救援物資を受け付けて
いるとのチェーンメールをそのまま貼りつけていた。
主催者にそれとなく知らせたのだが、しばらくそのまま放置されていた。
ひとつのSNSで私が目にした流言・デマの類がこれだけあった。それが
ツイッターとなったら数え切れぬくらいあっただろう。
本書は東日本大震災の直後からネット上に溢れたデマ・流言を集めて
検証したサイトの書籍化である。
それにしても多いよな。「沢山の人に広めて下さい」とか文言が入って
いるメール等を信じちゃう人。こんなの明らかにチェーンメールじゃん。
昔で言えば「不幸の手紙」の「○日以内に○人の人に同じ文面の手紙を
出して下さい」のパターンだよ。
関東大震災の時だって、「朝鮮人が暴徒化している」なんてありもしない
話で人々の恐怖を煽った。
一時期、政府はネット上のデマを監視・規制する法案を考えたようだ。
だが、ネットという空間は情報が瞬時に多くの人の目に触れるので、
デマが流れればそれを否定する書き込みも必ずなされる。
まずは情報を見極めることだよな。「広めて下さい」は要注意。そして、
「マスコミは報道していないけれど」もかなりな確率で危険だ。
そして関係者から聞いたというインサイダー情報。これならその企業
なり、関係機関なりから正式な発表があるはず。
伝言ゲームってさ、必ず途中で変形してしまうものだから当初の
発言者が言いたかったことが何故か加工されちゃうんだよね。
デマや流言が生まれる過程や加工されて広まる理由、その検証は
参考になるのだが、いかんせんネット上の話だけなんだよな。
きっと被災地へ足を運んだのならもっといろんな話を集められた
だろうに。それと、2011年5月という早い時期の出版も便乗ぽく
みえちゃうのが残念。 -
Posted by ブクログ
日本のスティーブン・D・レヴィットこと、萩上チキのライフワーク的な活動の概説書。面白いのは、時代時代ごとのキーマンの証言が載っているということ。これって、かなり資料的な価値が高いと思う。セックスメディアは、「売春」か「オナニー補助」のどちらかだと思うけれど、それをバブル期から現在に至るまでの流れで追っているところに、萩上チキの研究者としての真価がある。他の誰がこういう仕事をするだろうか、的な。
でも、やはり面白いのは証言集で、時代の波に乗った人たちの話には輝きと栄枯盛衰の侘びしさがあるなぁと。セックスメディアの一つのサービスはモラルのたがが外れたときに隆盛し、新しいサービスが登場したときに廃れていく……というサイクルの繰り返し。でも、TENGAは生き残るような気がする。