荻上チキのレビュー一覧
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第1章はとても面白い。
毎年2%の経済成長というのは実にリーズナブルだ。
たしかに立ち止まるというのは衰退を意味するわけで、0%成長というのはありえない。とはいえ、もういちど高度成長を行うのは無意味なわけで、この成長率は現実的だ。
マクロは良く分からないが、会社経営の視点から見ても、成長期が終わって安定期に入った会社にとって、この程度で成長するのは、妥当なところだろう。
国も会社と同じと考えたときに、GDPは粗利だというのは、非常によく分かる。
粗利が毎年2%成長する。それは必要だし、それができなければ、いろいろと会社全体がきしみ始める。そしてそのきしみは、弱い部署や、新規事業や -
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2011年5月発行。震災直後の「サーバーラック転倒」とか「コスモ石油爆発」などの、ネット上でのデマの拡散についての検証です。拡散によるインフラやタイムラインの圧迫、そして複数からの通報による警察等の業務の障害についても落ち着いて触れられています。事例は震災のものなので、タイトルには「東日本大震災の」とありますが、「ネット上での」と読み替えてもよいでしょう。
社会では、流言・デマから、虚偽・隠匿に興味が移っています。デマとはいえなくても、SNSではいまも反射的ともいえるシェア・RTがたくさんあります。自分が発信しようとする情報に対して、内在的チェック、外在的チェックを行い、興奮や反射だけでない対 -
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3.11直後に主にツイッター上で拡散したデマ情報を取り上げ、どのようなことが起こったのか、実際はどうだったのかを紹介する本。こういった心理の移り変わりを記録するのは今しかできないことなので、資料的意味で非常に価値がある本だと思う。
結局のところ、流言・デマに対抗するにはソースの確認を行うという地味で地道な作業が必要になる。でも、そんな面倒くさいことをやる人(検証屋)がいなくなったらどうなってしまうのだろう。
内容としては、悪意を持ったデマを作る心理と、検証屋が受けるレッテル貼りへの対処が抜け落ちていたので、ここが気になります。
しかし、流言研究って面白そうなジャンルですね。今後のネット社会に -
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■概要
コスモ石油コンビナート火災による有毒物質拡散など、東日本大震災の後に流れたいくつかの有名なデマの発生、拡散、沈静化の過程を紹介しながら、デマの影響を最小化する方策を検討する。
デマは、情報の 重要さ×曖昧さ に比例して拡散する。
大災害時には命に関わるような重要な情報が、誰もが混乱し、正確な情報を把握していないような曖昧さの中で急速に、広範に拡散する。
その上、被災地外の人も高揚状態になり、曖昧な情報であっても、拡散することで、役に立っているつもりになりたい心理が働くことや、そもそも愉快犯が混ざることで、デマはより増大する。
これらのデマは、緊急対応に当たる機関のリソースを無駄にして -
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東日本震災直後、不安や情報不足から流言(うわさ)だけではなく、意図的なデマまでが拡散していった。
現在は、TwitterやSNSなどで情報が簡単に共有でき、広がるのも早くなった。
流言・デマを広げないためには、「止める、調べる、注意する」
・ソースの有無の確認、ソース情報の確かさの確認。
・Twiiter等の場合、グーグルリアルタイム検索で情報源を調べる。
・チェーメールや拡散ツイットした人に忠告してあげる。
下の噂は、震災直後流れてきたな~
・日本では物質の空中投下が認められていない?
・辻村議員が自衛隊の救護活動を非難した
・黒い雨が降ってくる
等々。。。 -
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80年代から現在にかけてのセックスメディアの盛衰を追っかけていておもしろい。エロ本からテレクラ、TENGAまで、よくもまあこれだけのセックスメディアがあるものだと感心する。
とくに、TENGAの開発者やオレンジ通信の編集長といった立役者たちへのインタビューがいい。決して表舞台に立つことはないセックスメディアに対する情熱みたいなものが感じられる。
性的快感はもっとも手軽で確実なものだから、お金を払ってでも気持ちよくなりたいという需要は確実に存在する。需要があるならそれを商売にする人がいるわけで…と。セックスとビジネスという、人間の欲望そのものが結びついているわけだから、そのパフォーマンスは凄ま -
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「メディアとは何か」という問いに基づいて、
メディアが身体を変容させる=社会的な身体
という視点から検討している一冊。
たとえばコンピュータが新たなメディアとして使われる時代になると、
コンピュータの記憶・計算能力を前提とした生活様式になる。
我々は環境に適応するためにコンピュータ(の操作?)を獲得していこうとする。
一方で「適応すべき環境」の構築にはメディア自体が関わっているのだから、
社会的身体の変容を迫る駆動源はどこか?という問題が出てくる。
著者のことばによれば、「メディアは快楽である」ということだそうな。
ゲームの楽しさには操作的、攻略的、上達的な快楽があるという -
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新書の存在意義のひとつとして、時代を捉えた評論、ということがあると思うが本書はまさにそれ。まだ鮮度は残っているので、現在のメディアと私達の関係を理解する手助けには丁度良い分量と纏まり感がある。
評論の視点としては表題の「社会的な身体」がメディアとの相補的な連関の中で形作られるというところにキモがあるのだが、「身体の拡張としてのメディア」であるとか「快楽原則」であるとかという観点はこれまでメディア論の中で多く提出されてきた視点で新味はなかった。
という中で本書の売りは先述した「時代を捉えた評論である」、という点に尽きると思う。という訳でメディアと(日本)社会について興味のある方は鮮度があるう -
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「実存の問題は政府や政策が手を突っ込むべき問題ではない。共同体や秩序に希望をたくす方向も同様である。」
経済問題に関する入門書のように見えるけれど、本の内容はといえば、何かと話題の若年層非正規雇用労働者に関するもの。「格差」ではなくて「貧困」を問題の中心にすえて、貧困を経済学の問題として捉えて、貧困を無くすための方向性を模索してみようというコンセプト。
頭のいい人たちの内輪話で、本の内容はあまり理解できなかったけど、貧困という問題に取り組む上では「生きづらさ」みたいな心の問題と向かい合う必要なないってこと。
貧困者の心の問題に対して、社会学や精神論からのアプローチを突き放するこ -
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● 年金というのは何をやっているのかというと、貧乏な若者から税金をとって、金持ちの年寄りに配っている。それよりも生活保護やベーシック・インカムで生活を保護し、それ以上の部分については、個々人が自分の判断で預貯金すればいい。
● ニート、フリーターに対して「自己責任」といっていいのは、景気がいいときだけです。需要がちゃんとあって、その状況でニート、フリーターだったら、僕は自己責任だと思う。けれども、いまは席が人数分ないわけですから、社会の問題です。
● 要するに、都会の金持ちと貧乏人からとって、田舎と都会の貧乏人にまき、貧乏な若者と金持ちの若者からとって、金持ちの年寄りと貧乏な年寄りに配って