北方謙三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この本の前に読んだ「中先代の乱」にて、北条時行に興味を持ち、そういえば前に読んだこの「破軍の星」を思い出した。
時行って登場したっけと思いつつ読んでいくと・・・
出てきたけど扱いが、これ?「勅使がなんたるかおわかりか?」とか「鎌倉が落とせそうになると涌いてくる奴」と北畠顕家にボロカスだった。
破軍の星の感想は、「若い!」北方謙三も若いし、主人公も若い。最初から最後まで「いくさ」のみ。ところどころ国とは?公家とは、武士とはと頭を使うシーンがあるが、ちょっと薄っぺらいです。
京への強行軍も文章からは、距離感があまり感じられない。もっとじっくり書いてくれれば、もっと素晴らしい小説になったと思う。 -
-
-
Posted by ブクログ
四十になる平凡なサラリーマン。
ある日、仕事でビル内の立ち退きの仕事が舞い込む。
この立ち退きに応じない黒い会社から、抗争事件へと巻き込まれてゆく。
平凡なサラリーマンが、対企業、対ヤクザと次第に戦う内に変容してゆく。いや、本来の自分が現れてくる。
虚無感が漂う中、どこか哀愁めいたものを感じる。
生きてゆく中で、喜怒哀楽の波が乏しく、ただ目の前の選択肢をこなしているだけのような。
何でこんなことをしているのだろうと懐疑するわけでもなく、ただそうしたかったからそうなったと淡々と。
主人公の本来の持つ人間性が徐々に剥き出しにされ、毀れてゆく様は実に読み応えがある一冊でした。 -
ネタバレ 購入済み
山の民から海の民へ…。
2024年11月読了。
実を言うと、この本は30年以上の間、読めずに遠ざけてきた本だった。前著『武王の門』に、又北畠顕家卿を描いた『破軍の星』に、自分の心、より大袈裟に言えば
自分の魂を吸い取られる程魅了されてしまったからだ。
『武王の門』の続編が出たと聞いた時、日本史を嗜んでいる人なら誰でも、その後の史実を理解しており、《喪われた南朝の末裔の物語》等、悲し過ぎて到底読めないと、ずっと思ってきたからだった。
しかし、今の自分は若かった頃ほどの《熱狂》は無く、征西将軍宮懐良親王の子、月王丸の物語を受け入れる様な歳に成っていた。
月王丸側からではなく、九州探題の今川氏側の視点から物語が語られ