あらすじ
歴戦の同志を失いながらも、梁山泊軍は、童貫軍と全軍あげてのぶつかり合いを続けている。乱戦の中、戦場の中央に陣取る郭盛軍は少しずつ前進を始めた。童貫は『幻』の旗に向かい、岳飛は楊令軍を止めるべく疾駆する。一方、金軍は宋領深く南下し、青蓮寺は北の大商人たちの財産接収を始めていた。歴史が大きく動こうとするなか、ついに楊令と童貫とが戦場で邂逅する。楊令伝、圧巻の第九巻。
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楊令率いる梁山泊軍と童貫率いる宋禁軍の決戦
それぞれ死力を尽くした戦いで息つく暇がなかった。
楊令が童貫を討ち決着する。
童貫の遺骸を敬意を持って宋禁軍に引き渡すなど敵でありながら礼節をわきまえた行動が潔い。
男と男の戦い
その後梁山泊のあるべき姿、理想とは夢とは志とはいろいろ考えさせられた
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童貫。違うベクトルで郝瑾。
そして新たに悩み進めるベクトル。
岐路に立ってると思うとどうすべきなのか…
何かに委ねたくなるけど進まなきゃ だね。
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童貫元帥戦場に没する。
これまで梁山泊の男達を屠ってきた禁軍総帥の童貫が楊令の前に倒れた。
童貫の最後はアッサリとした文章で表現されていたが壮絶なる戦いは解説でも語られていたが行間から読み取るしかないのではなかろうか。
楊令の最大のライバルの童貫が死んでも物語は終わらない・・・
時間以降の楊令と岳飛、そして青蓮寺の動きに注目していきたい。
そして久方ぶりに子午山の風景が見たいと思った。
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軍神・童貫死す。その時、楊令は涙を流していた。
これまで梁山泊の好敵手そして最大の壁として君臨してきた漢の最期。
持論だが「いい作品には魅力的な敵役が欠かせない」という考えを持っている。まさに童貫こそ最高の例。圧倒的な強さと時折見せる人間臭さ。楊令伝に入りさらにその人柄が深く掘り下げられていた。
終わりの時を迎えようとしている宋国。
密かに新たな動きを見せる李富と李師師。
そして楊令の思い描く交易を中心とした国作りを始める梁山泊。
一つの区切りであり、新章突入といえる第九巻。
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北方謙三描く水滸伝の続編シリーズ。禁軍総帥・童貫との闘いがついに決着。ほとんどラスボス的存在の童貫が舞台から退場し、今後物語がどうなっていくのか…気になります。間違いなく前半のクライマックスですな。
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遂に巨星を墜とした。
そして今度は休む間もなく国づくりが始まった。
楊令の考えるスケールの大きな構想が、今後どんな形で実現して行くのか、あるいは行かないのか、ますます続きから目が離せなくなった。
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楊令vs童貫戦、ついに雌雄を決する時が来ました!
「水滸伝」から続いてきた因縁の対決だけに、やっと…という気持ち。
少年の頃から見てきた楊令も、禁軍の総帥である童貫も、
どちらも死なせてしまうのが惜しいくらい男気に溢れた軍人。
本当に強い人間ほど、相手に敬意と尊敬とをもって相対する。
戦闘後の直立、敬礼には滂沱の涙でした。
多くの梁山泊軍の同志達にとって、最終的な目的は宋を打倒する事。
物語的には一区切りつきましたが、この先どうなっていくのでしょう?
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遂に、梁山泊と宋禁軍との戦いに終止符が打たれました。
戦に自分の生涯をかけた禁軍の元帥童貫が、
替天行道を掲げた梁山泊頭領の楊令によって討たれ、
梁山泊の勝利によって宋は敗れました。
元帥あっての禁軍。
禁軍あっての宋という国の存在。
ここ数年、形骸化していた宋の政治は、この敗北によって脆く崩れていきます。
宋を倒すことに力を注ぎ、新しい国を建てることを夢見て長年戦ってきた梁山泊。
いざ、勝利をおさめ、実際に国を建てることに直面した梁山泊がどのような国造りをしていくのか。
なんだか、梁山泊の勝利を応援しながら読み進めてきた分、終わってしまった虚無感がぬぐえません・・・
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楊令の正面に岳飛が出てくるのが見えた。一度だけ剣が交差した。岳飛の剣が、宙を飛ぶのが見えた。
それだけだった。楊令は岳飛軍を突き抜け、長平もそれに続いた。『幻』の旗は、揺らいでいない。『蒼』の旗もだ。
右手。童貫だった。楊令を、押し包もうとしてくる。息を呑むような、鮮やかな動きだった。しかし楊令は、それより速く反転した。(79p)
遂に楊令と童貫との決着がつく。どのように剣を交わしたのか、描写されない。我々の想像に任せる、ということなのだろう。
戦の終息。それはつまり、宋江が魯智深が思い描いていた、そして楊令が梁山泊の頭領になるに当って死ぬほど苦しんだ「国造り」の構想が明かされるということだ。
「俺は北で幻王と呼ばれ闘ってきた。その闘いには、正しいものも間違いもあった。いま思い返すと、そうだ。一つの城郭で反抗してくる者を皆殺しにしたこともある。それでも俺が見つけようとしていたものは、光だ。なんとかして、光を見つけようとした」
「わかりません、光などといわれても」
「俺も、わからなかった。闘いながら、考え、捜した。宋江様が、最後に俺に言われたのが、光、という言葉だった。『替天行道』の旗が、俺の心に光を当てるとな」
楊令が言葉を切った。
杜興は、まだ眼を閉じていた。
「民のための国。『替天行道』の旗を見つめながら、俺が見つけたのは、民のための国、という光だった。多くの男たちが、なんのために闘ってきたのかを考えても、やはり出てくるのは、民のための国だった。帝など、国には要らないのだ。苦しみや悲しみがあっても、民のための国があれば、民は救われる。それこそが光だ。俺が、宋江様に対して言える、唯一の答だ」(211p)
帝政は採らない。税金は10%、あとは交易から収益を取るのだという。徴兵制を採る。常時軍隊6万、いざというときに20万、30万人を集める力を蓄えるのだという。12世紀の中国で、いや世界で、それはやはり「革命的」な考え方だっただろう。この小説はキューバ革命の中国小説版なのだから、それは当然なのである。しかし、もしこれが総べてなどだとしたら、やはり国造りは失敗に終らざるを得ない。「of the peaple ,by the peaple ,for the peaple」に即していえば、ここで述べられているのはfor the peapleのみだ。特にby the peapleが完成しないと、国造りは失敗になると思う。それは呉用に掛かっている。
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かなり寂しい気持ちになる。
これまでの伏線から、きっとこうなるのだろうなぁと感じながらも、
いざそれが現実になった時の喪失感が大きい。
童貫禁軍元帥がとうとう戦死する。
王進の家を訪ねたあたりから、そうなるんだろうと予感はあったものの、
しかもこの物語がフィクションであるにもかかわらず、
敵というか、この物語を支える一方の大きな柱がなくなった。
その様子が、梁山泊軍側の言葉からもあらわれている。
楊令が童貫の遺骸に対し「お久しぶりです、元帥」と声をかける。
果たして自分は生涯をかけて戦った相手に対し、
こう言えるのだろうか?と考えた時、楊令と童貫、梁山泊軍と童貫の間にあったものが、とても大きく、それは憎しみとは違うものだったのだと思う。
そして、この戦いで多くの同志が亡くなり、世代交代が進む梁山泊の行く末が楽しみになる巻だった。
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最初の章
楊令の史進に対する「豹子頭林冲を思い出せ」のセリフからが、本当に手に汗握り、心臓がドキドキしました。
今後の展開も楽しみ。
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やっぱり大興奮。
今回は最初の章に尽きる。ヨーレー対ドーカンの決着、クライマックスに向けての盛り上がりが半端なくて、全く目が離せなかった。それにしても最後、男泣きました。
でもこの後、どうやって物語を盛り上げていくのかがちょっと不思議。まだあと6巻残ってるはずだけど…
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え?このタイミングでこの展開?って思いました。
ドラマチックに書こうと思えばどこまでもドラマチックになるシーンを、簡潔な記載であっさりと終了。
『水滸伝』は国を倒す物語であったけれど、『楊令伝』は国を造る物語だったのだ。
新しい国の形。
楊令が考えに考えたそれを、どう実現させていくのか。
物語は大きく進路を変え、それに伴って青蓮寺は姿を変え、宋という国に終焉の足音が近づく。
戦いがひと段落した時、梁山泊第一世代が老いたなーと思う。
第二世代にも戦死者が出てくるようになったし、時間はずいぶんと流れているのだなあ。
それにしても郝瑾(かくきん)の最期は、あっさりだった。
第二世代では一番苦労している子だと思うのだけど、これと言って見せ場もないままに終わってしまったな。
今後は政治や経済の話が主になるのだろうか?
戴宗(たいそう)と侯真(こうしん)の間に齟齬が生まれてきつつあるが、どう見ても戴宗の物言いが悪い。
人として言ってはならないことを言って恥じない、そんな人ではなかったと思うのだけど、これも老害?
この亀裂が、何か大きな悲劇の引き金になりそうな気がする。
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ついに童貫との決着が…!!
最後は梁山泊の将たちも童貫元帥の死を惜しむ様子。
その後は梁山泊は領土を拡げ、金は漁夫の利を得、宋は衰退と岳飛たちのあらたな展開へ進むようである。
お互い地の力を増やすために奔走という回になっています。
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ついに楊令と童貫との決着がつきましたね!本のタイトルもありますので、どちらが勝ったか?は想像がつくと思いますが。
要するに勝った楊令が今後どのように梁山泊を1つの国として統治していくのか?というのと、童貫なき宋禁軍がどう立て直すのか?立て直らずに岳飛軍という独立の軍が別途成長していく形になるのか?そして、青蓮寺の李富が描く新国?構想の全貌とは?という形で政事的な話が中心となり、直接的な戦闘は少し先になりそうです。
まあ最終的には楊令と岳飛の直接対決という構図になるとは思いますがね。
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全十五巻のうちの十巻目。
期は熟した。ついに童貫と楊令が相まみえる!
「天に替わって道を行う」その志はそれを行おうとするものたちにとって「国とは何か」を考えさせる。
宋江の残したものは、残された者にとって余りに重いものだった。
果たして物語は何処へ往くのか。
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楊令と童貫は戦場で、ついに雌雄を決する。
金は、宋の首都開封を包囲する。(歴史上は1125年のこと)
宋禁軍との戦いが終わり、梁山泊は国としての機能つくりあげていく。
楊令の国のあり方の考え方が明らかになり、国の運営の方針も明確になった。
これから国造りが始まる。幾多の仲間の死という悲しみを超え、何かを作り出そうと前進する姿は、清々しい。
日本との貿易の話が出てくる。今NHKの大河ドラマは「平清盛」ですが、時代的にはちょうど同じ頃だ。(平清盛誕生 1118年、第2回の白河法皇崩御が1129年)
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童貫ついに戦場に散る、彼はその瞬間歓喜につつまれたのかもしれません。楊令と漢たちの新しい国作りがどうなされていくのか非常に興味深いものです。新しい息吹を感ずる第9巻でした。
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2012年02月 04/12
ついに童貫との戦が終わり、新しい展開に。
史進がよいですね、実に。
あと、解説にありましたが、僕も童貫が王進のところを訪ねるシーンがとてもスキです。
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水滸伝から続く大きな流れに一つの区切りがつく巻。この巻から梁山泊の新たな物語が始まる。さて残り6巻、漢達はどんな未来を見せてくれるのか。相変わらず目が離せない。
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張俊を馬麟が討ったが、馬麟もやられた。
史進が突撃し、劉讓を討つ。
宋禁軍は主だった将軍は岳飛と童貫にまで減っていた。
ここまできて童貫の二千がまだ動かないところが不気味。
楊令が遂に童貫を討った。
童貫の闘いに勝っても終わらないところが面白い。
次期禁軍の元帥と考えられた李明も梁山泊水軍の伏兵により簡単に討ち取られた。
宋はどうなるの?梁山泊は税を安くしたが、その分別に稼ぐ道を作る必要があった。
西夏と日本を繋ぐ交易を考えていた。青蓮寺は南に財を移した。
金は開封府に再び迫り、宋の終わりが近づいていた。
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童貫の死と、対宋戦終結。
梁山泊が国として動き始める。
本筋とは関係ないけれど、候真と戴宗の確執が気になる。
遊妓に惚れちゃうあたりも、好きだなあ。
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童貫戦ついに終結。
そこからの展開は、なんというか、誰も予想していなかったのではないか。
未踏の領域に入った感じである。
顧大嫂と孫二娘のかけあいは、もはや定番である。
浪子燕青が加わった今回の酒盛りの場面は絶品。
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元師っ・・・の一言です、うん。心で敬礼。
戦の凄まじさが胸の大半を占めていたので、後半はちょっと。
流れ的には仕方がないし、当然こうやって動いて行くのだとは思っていたけれど。
主力人たちの行動の切り替えっぷりが、内心はともかく潔過ぎて、寂しいな。
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北方水滸伝ならでの新しい命を吹き込まれた童貫。その圧倒的な存在感で水滸伝から楊令伝まで貫き通してくれましたが、ついに最終決戦を迎えます。
その一連の戦闘シーンは何度読み返しても魂が震えます。
童貫元帥に敬礼。
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ごちゃごちゃした巻。『水滸伝』では宋と戦っていたけど、そういえば『楊令伝』では禁軍と戦っていた。その禁軍をとうとう破ったので、国造り第一歩目。入れ替わり立ち替わり、いろんな人がじんわり心に残る動きを見せる。生きていれば、李逵のような男をもう一度見ることもできる。武松の言葉が沁みる。金国と江南、北と南にのびていた広がりが、日本と西域、東と西に変わってゆく。まだまだ広がりを見せるなんて!ちょう楽しみだ!また、日本人である五郎目線がなんとも新鮮だった。五郎と源太は名前の響きで、阮小五を思い出す。さ、10巻10巻。