【感想・ネタバレ】楊令伝 十五 天穹の章のレビュー

あらすじ

新しい国の実現を賭けて、梁山泊軍は南宋軍と最後の闘いを続ける。宣賛は、自由市場を認めるよう金国と交渉を始めた。やがて自由市場は江南を席巻し、物流を握る梁山泊の勝利は目前と見えた。だが、百年に一度の大洪水が、梁山泊を襲う。数多(あまた)の同志の死を胸に秘め、楊令は吹毛剣を手に、敵将・岳飛の前に立つ。混迷の時代に、己の志を貫いた漢たちはどう生き、闘ったのか。楊令伝、夢幻の最終巻。

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感情タグBEST3

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1.登場人物
楊令、岳飛

2.物語の始まり
北方水滸伝から三年後。「替天行道」の旗を託された青面獣・楊令。漢たちの熱き志を刻む新たな物語。

3.世界観や価値観
史実には登場しない「楊令」という人物を主人公とし、梁山泊の漢たちのその後の生き様と、岳飛伝へと続く物語を描いた『楊令伝』最終巻。

4.物語のキーワードとテーマ
水滸伝が反逆の物語だとしたら、楊令伝は喪失と創世の物語のような気がした。

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2024年12月05日

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一度読んだが再読。楊令伝の最終巻、最後まで楊令が強く、孤高であり、志を悩みながらも自分を信じて貫く姿が格好いい。最後の岳飛との戦いも終始圧倒して勝利目前で従者の欧元に毒殺されるのが悔しい。
戦友岳飛との最後は泣ける。
岳飛伝へとつながる

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2022年11月15日

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4.2

痕にも先にも出てこない英雄(夢)がついに去ってしまった。

第一部では晁蓋・宋江を中心に、多くの同志の背中を追ってきたけど、今回は15巻の間ずっと楊令の背中のみを追ってきた感覚がある。
いつまでも追わせてほしかった。
誰もがそう感じているはず。

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2021年07月26日

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ネタバレ

本作は楊令伝最後の巻となる。

故に多くの人が倒れた。


武松:一人での旅が多かった。とてつもなく強い。水滸伝では李逵とのコンビで大暴れ!最後は暴れに暴れ華々しく同士に知られる事なく散る

公孫勝:自ら進んで汚れ仕事、彼が出てくると少し安心。どんなピンチからも脱出。死ななくても良かった気がするが一つの節目なので死んでしまった感はある。

花飛麟:楊令伝を通して著しく成長した一人!呼延淩と並ぶ梁山泊の双璧!子午山組の一人!最後は父の花栄を超えていた!と思いたい!

張平:子午山更生組の一人、笛が上手い、楊令の傍らに常にピタリと張り付く!彼の死が楊令の・・・の引き金となったのでは・・・

楊令:本作の主人公、幻王と呼ばれる。父は青面獣、育ての親は梁山泊!最後は死んでしまうんだろうなぁと思いきや、残りのページが少なく、もしや?と思いきや・・・

李富:死ぬとは思っていなかった。彼は果たして悪だったのか?疑問は残る・・・


主要メンバーが大分死んでしまいました。
梁山泊はどうなってしまうのか?誰が次の頭領になるのか?
呉用、燕青、李俊、史進・・・旧梁山泊からの人達も生きているから、何とかなるだろうとは思うものの・・・

取り敢えず水滸伝から楊令伝、長かった〜
多くの同志が志半ばで倒れていったが童貫を倒し、宋を斃し、新しい国の形を生み出した!
水滸伝最終巻で滅ぼされた梁山泊は見事リベンジを果たした圧巻の15巻でした!


最後に右腕と多くの仲間を失った岳飛はどうなっていくのか!?
英雄の物語『岳飛伝』が楽しみです。

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2020年10月04日

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衝撃の結末。何とも言えない喪失感。胸にぽっかり穴が空いたような。
このシリーズの最大の魅力は「死に様」のカッコよさ。
前作では男達が猛る炎のように命を燃やし果てていった。今作「楊令伝」はまるで一陣の風のように男達が散っていく。生き急いでいる若武者も、死に場所を探している歴戦の強者も。時には呆気ないと感じるほどに。
楊令という英雄も彼が思い描いた国もまるで夢だったのではないかというほどに儚くて気高い。
幼少時からその成長と過酷な運命を描き続けた作品のシンボル的キャラなだけに著者・北方氏も相当悩んだはず。
このラストには賛否あるだろうが余りにも大きく孤高の存在になってしまった楊令に与えられた「安息」なのかもしれない。
稀代のカリスマを失った梁山泊の面々。
生きる事を宿命づけられた岳飛。
残された男達の志はどこへ向かっていくのか。
やっぱり気になって仕方ない。ここまできたら「岳飛伝」も読まなければ。結末を見届けなければ。なぜかそんな使命感を覚えてしまっている。

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2018年02月25日

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終わってしまった!!
率直な感想。
楽しみが~~。
にしても最後の展開は…。
岳飛伝も読むけど文庫でてないしな~。

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2016年06月30日

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楊令の物語が終わった。
梁山泊を襲った自然の災害からも立ち直りつつあり、四面楚歌的な状況も切り抜け、自身にさえ明確な姿が見えていなかった夢の、志の姿を目前にしながら、その最期はあっけないとさえ言えるものだった。
ただ、死を目前にしつつも楊令が取った行動は、やはり漢の中の漢のそれだった。
それにしても、このラストの衝撃は前作の「水滸伝」を軽く超えてしまった。
深い悲しみに包まれつつも、「岳飛伝」を待つ次第である。

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2013年09月23日

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水滸伝は神がかっていたなと思う。本作も神のご加護はなくなってしまったが、十分意欲作で著者の力を思い知らされる。
カッコいい漢(おとこ)達の生きざま、新に力を着けてくる物、死んでいく物。時間の流れを感じながら、男達の 成長を見ていくのは楽しい。
ラストはビックリで続きも気になるが、岳飛伝は少しおいて、普通の小説に戻ろう。
でも最近他の小説を読んでも物足りない感じが否めない。

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2013年07月22日

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ネタバレ

どうしても、東日本大震災時の津波を想像してしまい、辛くなりました。

宣賛と武松、せつない。

楊令なんて、悲しすぎるー。最期まで、孤独で悲しい。
岳飛に救って欲しかった・・・。

やっぱり北方だなあーと思う。甘く、ない。
あーあ。
救えなかったことも踏まえ、の岳飛伝移行
なのでしょう。
とっても続きが気になる終わりかたは、さすが!
・・・でも収拾つかなかったね。

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2012年12月13日

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ネタバレ

ついに完結。
あまりの戦上手であり、個人戦も無敵、性格的にもあまりに完璧な設定にしてしまった主人公は、父親と同様に青蓮寺の残党の奸計によって最期を迎えるしかなかったのかもしれない。次代の好敵手として成長してきた岳飛は未だ敵わず片腕を失ってしまう。楊令の志は岳飛に受け渡されたのか?ともかくこれで長い物語が輪を閉じた。「水滸伝」の英雄たちも多くが死に絶え、二代目たちは逞しく魅力的な人物に育ってきた。この物語は次作「岳飛伝」にどのように連なってゆくのか楽しみである。

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2012年11月22日

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最終巻を手にして読み始めるまで誰が死んでくのかどうなってくのか、怖くてたまらなかったけど、ついに読んだ~。うわあ~~~ん。
ついに終わってしまったあ~。長かったあ~。途中で読むのにつかれてつらいときもあったけど、ホントはホントに大好きでした。

終わっちゃった。けど大好きな史進がいなかったらここまでこれなかったかも。北方先生ありがとう~涙です。

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2012年09月23日

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ネタバレ

こんな最終章、想像以上でした。
呉用の覚悟、李父の暗殺、公孫正の死
大洪水
南宋とくに岳飛との息詰まる戦い
金の裏切り、宣賛の死
そして・・・

思わずハードカバーの岳飛伝1巻を買ってしまいました。

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2012年09月11日

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楊令伝もついに完結です。 フィクションであるのは知りつつ、余りにも生き生きしたキャラクターの生死に引き込まれました。 続編の岳飛伝を文庫本で読むのは数年先ですが、待ち遠しいですね^^

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2012年09月11日

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とうとうクライマックス。今回は、最後の局面に向けてどんどんヒートアップして、って感じじゃなかったから、いったいどうやって物語を結ぶんだろ?って思いながら、ひょっとしてガクヒ伝でもまだヨーレーは登場する?とかまで考えてたけど、最後はそうでしたか。チョーガイのパターンで。異様にあっけなく思えたけど、その後、最後の見せ場としてガクヒとの一騎打ちが用意されてたから、読後感はかなり良くなった。ヨーレー→ガクヒへのバトンタッチの場面としても素晴らしいと思ったし。これでまた、次のガクヒ伝読むのが凄い楽しみになりました。
あと、やっぱり最終巻だけあって、今回はいつも以上にたくさん逝きました…特に水滸伝からの古株、どれだけ死んだんだろ。悲しかったのはやっぱりコーソンショーとブショーで、あとリフもとうとうか…って感じでした。

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2012年08月23日

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梁山泊に生きた者たちの壮大な物語。

最後は南宋と梁山泊が闘う中、金の襲撃によって一時は梁山泊も危うくなったが、これを蹴散らし、岳飛との対決となった。

戦で勝負がつくと思いきや、青蓮寺の暗殺者が楊令の近くに潜んでおり、やられる。

その後が気になるところ。夢を追った壮大な物語だった。

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2024年08月09日

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楊令伝、完。
梁山泊vs南宋、金国で人の命が大きく動く一巻。
一騎打ちで時代を引き継ぐのが、水滸伝シリーズのキタカタスタイルってことなのかな。

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2022年12月28日

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『岳飛伝』に向けて10年ぶりに『水滸伝』から通しての再読。
題名からして“楊令”のことを描いてる物語になってしまうのは仕方ないのですが、最後まで楊令の強さや気高さみたいなものが好きになれず、『水滸伝』からのキャラクターの動向や、南宋を巡っての歴史のうねりを読みたさにページを繰っている自分がいました。
いよいよ『岳飛伝』ですが、岳飛と秦檜の物語は中学生の頃に読んで、義憤やるかたなかった記憶があります。
あの岳飛と梁山泊の生き残りがどう絡んでいくのか、今から楽しみです。

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2022年01月29日

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ネタバレ

ああ、そうきたか。
主人公の名のついた『楊令伝』
彼が脇に回るわけはない。
そして、生き続ける限り、彼は物語の主役を張る男だ。そう生まれついている。
だから、楊令の命の終わりがこの作品の終わりだと予想していた。

だけど、全然死ぬ気配はない。
梁山泊の大きな柱が1本、また1本と倒れていっても、彼が倒れる気配は最後までなかった。

それでもことが起こってみたら、ずっとそこに答えはあったような気がする。

楊令よりずっと年下の秦容が「生意気を言いますが、おれは同情していました」と言った。
楊志が命をかけて守った息子であることから、梁山泊を背負って立つ男の運命を生きることになってしまった楊令。
ひとつ間違えばそれは、秦明の息子であった秦容の運命だったかもしれない。
子どもらしい子ども時代は短く、梁山泊の夢を生きざるを得なかった楊令。

それでも思ったよりも梁山泊の人的ダメージも領土的ダメージも少なかったのではないだろうか。
この先は岳飛の話にシフトしていくようだけど、けっして消滅したわけではない梁山泊という生き方を、この先どうやって見せてくれるものか、わくわくする。

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2018年05月15日

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ネタバレ

まあ最終巻ということもあって、楊令は死ぬのだろうなとは思っていましたが、終盤までは本当に死んでしまうのだろうか?という感じでした。でも、まさか最期はそのようになるのだとは思わなかったまさかの展開でしたが、そういえばこれまでも同じような展開が何回かあったなと思いました。
これまで梁山泊を支えてきた公孫勝、武松、花飛麟、張平、宣賛なども死んでしまいましたが、生き残った猛者もいるので、この続きである岳飛伝で、この後どのように展開していくのかが楽しみです!

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2013年10月05日

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終わった。夢が終わった。史実の隙間に物語ありとはいったものの、史実の隙間に国から作っちゃうこの構想がもうすごいよね。岳飛に向かうときの大将を楊令とした布陣とか、布陣だけでゾクゾクした。あと秦容にイラッとするくだりふんだんに入ってたの気になった(笑)楊令までイラッとさせられるなんてもう才能やな。あれ…!ってゆうか呉用さん、まだ生きてる…?!水滸伝で呉用さんが一番好きで“楊令伝”は半分以上“呉用伝”って噂にきいて喜びながらも、半分で呉用さん幕引きなのか、とばかり思っていたけど、15巻も大活躍でしたね、呉用さん!!

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2013年03月07日

Posted by ブクログ

「楊令伝」ついに完結!
おそらくこのラストには賛否両論あるでしょうね~。
何て言えば良いのでしょう。虚しい、儚い。でも美しいのですよね。

さらに「岳飛伝」へと続く事が分かっているのだから、
何となく展開は読めてはいたので、心の準備はできていたのですが…
それでも、最後は涙が止まりませんでした。(感涙でもあるけれど)

また「水滸伝」から読み直したら、違うものが見えてきそう。
北方先生、素敵な物語をありがとう!!「岳飛伝」も楽しみです。

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2012年10月08日

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楊令の死で夢は潰えたのか、いやまた次代へと風のように靡いていくのでしょう。前シリーズの水滸伝よりは儚さ、哀しさが滲む物語でした。覚悟して死を隣りに日々生き切る漢達の姿は忘れません。次シリーズ岳飛伝の文庫化までまだ何年もかかるでしょうが、じっと待つ楽しみにしたいと思います。

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2012年09月21日

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ネタバレ

前作からずっと追い続けてきた人物の物語が終った。

 『水滸伝』はまさに叛逆と破壊の物語であり、志のもとに集った並みいる英雄たちが、強大な権力に挑み、壮絶な戦いを繰り広げていた。克明に描かれる漢たちの強さ、弱さ、絆、愛、怒りと悲しみに幾度も胸を熱くさせ、また熾烈な策謀や戦闘のシーンでは、敵味方問わず夢中になった。
 前作に対し、『楊令伝』はその緊迫感や爽快感をやや欠いた。
 四散していた梁山泊の同志たちが、北の大地に消えた楊令を見つけ出し、新たな頭領を得るところから、宗教という要素を持ち出し、人間存在や戦とは何かを徹底的に追求した方臘戦、それを乗り越え究極の戦人となった童貫将軍との最終決戦まで、すなわち本作の前半部分は、いわば単純に『水滸伝』の「続き」であり、闘争の精神が息づき、全てが戦を中心にまわっていた。
 しかしひとたび梁山泊が「国」となってからは、帝を持たぬ新たな国の姿として、民からの搾取ではなく交易による富で国を豊かにするための奮闘に、物語の力点が置かれる。梁山泊、金、斉、南宋と、複数の国家が並び立つも、いずれも体制が不安定であるがゆえに、戦も謀略も複雑な駆け引きを必要とし、緻密で緊張感はあるが地味で勢いが削がれた印象がある。破壊のあとの創造、国作りの物語を極めて現実的に描いているのだから、仕方の無いことではあるが。
 登場人物の価値観もますます多様化し、前作で重視された「志」を真の意味で抱き続けた(つまりただ「志」を持つのではなく考え抜き深化させ実行に移した)のは、楊令ただひとりであった。これは意図的な演出で、楊令は最後までリーダーの孤独を一身に背負っていた。彼の苦悩をみるのは、彼を愛する多くの読者にとっても辛かったのではないか。また人物も増え、それぞれが個々の思惑で動くため、魅力が出るキャラもいる一方で、印象の薄いままあっけなく消えてしまう者もいて、不完全燃焼な部分もいくらかあった。
 ただ、この作品で何より印象的だったのは、「誰しもがそれぞれの戦場を持っている」ということである。前線に立ち敵を倒すことだけが戦ではない。商人が物を仕入れ運び売ることも、馬飼が馬を育て鍛えることも、飛脚が情報網を巡らせ文を届けることも、役人が法を整え政を行うことも、それに本気で立ち向かう者にとっては全ての営みが戦なのだ。
 私が『三国志』や『水滸伝』、あるいは60年代の学生運動の雰囲気などに惹かれるのは、理不尽な権力に対する反抗、新しい国家体制の夢想というテーマとともに、何よりも見果てぬ夢のため命がけで戦う、ということに強い憧れを持っているからである。戦争は人を傷つけ命を奪う行為であるという事実からは逃れられないが、私の心の奥にはそういう理性を超えて、ただ思うさま暴れてみたいという荒々しい欲求が眠っているのだ。決して満たされることはないだろうと思っていたが、この作品を読んで、何も剣を手に取る必要はないのだとわかった。私には私の武器があり、戦場がある。望む戦場に立つことが許されるかどうかも実力のうちであるし、出陣するなり討ち取られたりせぬよう、鍛錬を積まねばなるまい。

さて、物語は『岳飛伝』へと引き継がれる。正直なところ、岳飛は頑固でイジイジしたところがあって、迷う余裕も無かったがゆえに決断力に溢れていた(そうならざるを得なかった)楊令に比べると、少し苦手である。しかし岳飛は、超人的であった楊令よりもさらに民に近い存在として、人間の営みの混沌のなかで、国の姿を考え続けている。それゆえに、真の意味での「民主」の姿が描かれるのではないかと、期待している。

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2012年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どのような結末になるのか、ハラハラどきどき頁をめくって行った。最終巻である以上、楊令は無事ではないだろうという予感はあったのだが、意外な最期に唖然とした。それは、あまりにあっさりとした死であった。読者は、見事に騙されてしまった。無事であってくれという、一抹の期待も裏切られてしまった。でも、なぜか、清々しさが残った。

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2012年09月02日

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楊令伝の完結編
もう少しで「替天行道」の国が実現する。その実現のため、最後の闘いに挑む。多くの困難が梁山泊を襲うが、一つ一つ切り抜けてゆく楊令。そして完結。
最後は、楊令から岳飛のバトンタッチ
楊令が作ろうとした国はどうなるのか?まだまだその先を読みたい。

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2012年09月01日

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2012年08月 06/64
ついに完結。激しい戦と眺めるのみの自然の力の対比が印象的。もう一度読みたい。

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2012年08月30日

Posted by ブクログ

楊令伝読み終えた、うーん、水滸伝より人に勧めにくいと言うのが本音。もう一度読み直せば、感想変わるかな。

岳飛伝があることが分かっていたのも良くなかった。だって、絶対岳飛死なないもの。その代わりに、花飛麟とか武松とか宣賛とか、もちろん楊令とかそれで良いのか?とね。

全体的に、有名武将の子供が強く、なんか李英じゃないけど、妙に不満だった。

いかんな、良くない不満だけになってしまう。少し間を置いて、読み直そう。

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2012年09月19日

Posted by ブクログ

ようやく終わった。北方三国志は傑作だったし、楊業伝も良かったし、水滸伝も面白かったのだが、楊令伝はジジイの○ナニーに付き合わされてる感があって、どうもダメだった。岳飛伝はどうなんでしょうね。

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2012年09月15日

Posted by ブクログ

うーーーん、ちょっとすべてが中途半端だったか。
新しい登場人物に水滸伝より思い入れが入りにくかった・・・・。
登場人物が多過ぎて・・・。
詰め込み過ぎか・・・。
岳飛伝。読むのどうしようかなー?

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2012年09月04日

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