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新しい国の実現を賭けて、梁山泊軍は南宋軍と最後の闘いを続ける。宣賛は、自由市場を認めるよう金国と交渉を始めた。やがて自由市場は江南を席巻し、物流を握る梁山泊の勝利は目前と見えた。だが、百年に一度の大洪水が、梁山泊を襲う。数多(あまた)の同志の死を胸に秘め、楊令は吹毛剣を手に、敵将・岳飛の前に立つ。混迷の時代に、己の志を貫いた漢たちはどう生き、闘ったのか。楊令伝、夢幻の最終巻。
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Posted by ブクログ
全15巻の感想。
再生・創世の躍動感。
そして続けることの難しさ。
最強の頭領たる楊令。
中盤。宿敵にして最大の敵・童貫との対決。
九紋龍・史進は一陣の「風」となり倒すべき敵を見定める。突撃。吹く先以外のものは何も見なかった。
そして大将戦。楊令と童貫の激突。
圧巻に過ぎる。そして得た勝利。
しかし、なぜ金を先に倒さなかった。童貫戦を終えて余力が残っていなかったとは言え、性善説で放置しすぎたように思う。
皇帝が統べる国、金もそうだが、あまりに大きくなると、それは宋の代わりでしかない。だからこそ楊令は真に人々のための国を模索した。同じくらいに、宋と同じようになりそうな勢力に、事前に手を打つべきだった。社会は自分だけで成り立っておらず、相互に作用し合っているものだから。交易による多少の金では、相手が満足できなくなってくる。物語後半は静かな展開が、そして来るべき不運を感じさせながら続いていく。
案の定最終盤、宋の代替国家と、さらに天災が牙を剥く。無理やり終わらせてしまった感があり残念。創作なのだから、他の道だってあったろうに。
とは言え、胸を打つセリフがいくつもある。男は必読。
あと呉用の大活躍。意外だった。
楊令と呉用は読者誰もが好きになってしまうんじゃないだろうか。
続けることは本当に難しい。創る場面では、目標が見出しやすいが、創った後は逆の状態。何を目指せばよいのかが見えなくなる。
現代社会も同じなのだろう。
読後、楊令ロスなのか、他の小説に入り切ることができないでいる。
Posted by ブクログ
衝撃の結末。何とも言えない喪失感。胸にぽっかり穴が空いたような。
このシリーズの最大の魅力は「死に様」のカッコよさ。
前作では男達が猛る炎のように命を燃やし果てていった。今作「楊令伝」はまるで一陣の風のように男達が散っていく。生き急いでいる若武者も、死に場所を探している歴戦の強者も。時には呆気ないと感じるほどに。
楊令という英雄も彼が思い描いた国もまるで夢だったのではないかというほどに儚くて気高い。
幼少時からその成長と過酷な運命を描き続けた作品のシンボル的キャラなだけに著者・北方氏も相当悩んだはず。
このラストには賛否あるだろうが余りにも大きく孤高の存在になってしまった楊令に与えられた「安息」なのかもしれない。
稀代のカリスマを失った梁山泊の面々。
生きる事を宿命づけられた岳飛。
残された男達の志はどこへ向かっていくのか。
やっぱり気になって仕方ない。ここまできたら「岳飛伝」も読まなければ。結末を見届けなければ。なぜかそんな使命感を覚えてしまっている。
Posted by ブクログ
『水滸伝』から続けて読んだので、最初はどうしても宋江たちの梁山泊と比べながら読んでしまいました。
でも、読み進めるうちに「これは同じ梁山泊でも、まったく別の物語なんだな」と少しずつ思うようになりました。
楊令が散り散りになった仲間たちをもう一度まとめていくところはやっぱり熱く、かつての梁山泊を知っているだけに、名前のある人物が出てくるたびに少し嬉しくなりました。
ただ、楊令は宋江の真似をするのではなく、自分なりにその先を考えていて、戦に勝つことより、「勝った後に何を作るのか」で悩み続ける姿がかなり印象に残りました。
後半になると戦より交易や国づくりの話が増え、『水滸伝』のような勢いを期待していると、正直少し長く感じるところもありました。
それでも童貫との戦いなど、ここまで読んできたからこそ胸が熱くなる場面は何度もありました。
最後まで読むと、志を受け継ぐというのは、同じことを繰り返すのではなく、自分の時代に合った形に変えていくことなのかもしれないと思いました。
15巻ずっと付き合ってきただけに、読み終えた時は達成感よりも、「もうこの梁山泊を見られないのか」という寂しさのほうが強く残るシリーズでした。
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