Posted by ブクログ
2018年02月25日
衝撃の結末。何とも言えない喪失感。胸にぽっかり穴が空いたような。
このシリーズの最大の魅力は「死に様」のカッコよさ。
前作では男達が猛る炎のように命を燃やし果てていった。今作「楊令伝」はまるで一陣の風のように男達が散っていく。生き急いでいる若武者も、死に場所を探している歴戦の強者も。時には呆気ないと...続きを読む感じるほどに。
楊令という英雄も彼が思い描いた国もまるで夢だったのではないかというほどに儚くて気高い。
幼少時からその成長と過酷な運命を描き続けた作品のシンボル的キャラなだけに著者・北方氏も相当悩んだはず。
このラストには賛否あるだろうが余りにも大きく孤高の存在になってしまった楊令に与えられた「安息」なのかもしれない。
稀代のカリスマを失った梁山泊の面々。
生きる事を宿命づけられた岳飛。
残された男達の志はどこへ向かっていくのか。
やっぱり気になって仕方ない。ここまできたら「岳飛伝」も読まなければ。結末を見届けなければ。なぜかそんな使命感を覚えてしまっている。