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激戦が続き、童貫軍がゆっくりと梁山泊内に進軍した。岳飛は先行して棗強を奪取する。楊令は新たな軍の配置を命じ、呼延灼の軍は息子の呼延凌が引き継いだ。扈三娘軍には花飛麟が援護に入り、劉光世、張俊軍とぶつかり合う。雨の降りしきる戦場で、花飛麟は扈三娘への恋情を露にした。一方、金国は対宋開戦でまとまり、唐昇を先鋒に、完顔成、撻懶、斡離不が南下を始める。楊令伝、悲闘の第八巻。
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Posted by ブクログ
「呉用殿が見舞いに来るとは、私ももう目醒めなくなるのだな」
こんなことを、言いそうな気はしていた。呉用は笑いかえしたが、それは覆面で見えなかっただろう。
「偽の書類は必要としていないのか。遠慮することはない。私はまだ、一通や二通の書類なら、書けるかもしれん。ほかに、書ける者はいないのだからな」
「もういいのだ、蕭譲」
呉用は、皺で隠れてしまいそうな、蕭譲の眼を見つめた。
「偽の書類でこそこそやる時期は過ぎた。宋とは、正面切った戦になる」
「そうか、安心して死んでいい、と言いに来てくれたか」
(略)
「面白いところに誘われたものだ。塾の教師がな」
「私もわか若いころは塾の教師だった」
「別れはしたぞ。またの見舞いはいらぬ」
「わかった」
この巻は全面、童貫と梁山泊との戦いであった。堰を切ったように多くの英傑たちが死んで行く。海棠の花と云われ、不幸ばかりが襲ったあの女性には、この大河物語の最後まで生きて欲しかったのであるが、ほとんど必然性を持って泥土に沈んだ。唯一礫という飛び道具を持ったあの英傑も、岳飛という新しい時代の若者の前にあっけなく斃れた。「水滸伝」時代の英傑ばかりでなく、若者も次々と斃れた。そうして冒頭にある様に、呉用をして「一軍を率いている指揮官がいないより、大きなことだった」と言わしめた蕭譲も静かに亡くなった。私もおそらく病院で死ぬのだろうが、この様に友に別れを告げたいものだ。
それだけではない。戦いの中で若者たちの目の覚める様な「成長」も描かれる。
思うに、この楊令伝、中盤の白眉であろう。
Posted by ブクログ
『水滸伝』から続けて読んだので、最初はどうしても宋江たちの梁山泊と比べながら読んでしまいました。
でも、読み進めるうちに「これは同じ梁山泊でも、まったく別の物語なんだな」と少しずつ思うようになりました。
楊令が散り散りになった仲間たちをもう一度まとめていくところはやっぱり熱く、かつての梁山泊を知っているだけに、名前のある人物が出てくるたびに少し嬉しくなりました。
ただ、楊令は宋江の真似をするのではなく、自分なりにその先を考えていて、戦に勝つことより、「勝った後に何を作るのか」で悩み続ける姿がかなり印象に残りました。
後半になると戦より交易や国づくりの話が増え、『水滸伝』のような勢いを期待していると、正直少し長く感じるところもありました。
それでも童貫との戦いなど、ここまで読んできたからこそ胸が熱くなる場面は何度もありました。
最後まで読むと、志を受け継ぐというのは、同じことを繰り返すのではなく、自分の時代に合った形に変えていくことなのかもしれないと思いました。
15巻ずっと付き合ってきただけに、読み終えた時は達成感よりも、「もうこの梁山泊を見られないのか」という寂しさのほうが強く残るシリーズでした。
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