【感想・ネタバレ】楊令伝 十五 天穹の章のレビュー

あらすじ

新しい国の実現を賭けて、梁山泊軍は南宋軍と最後の闘いを続ける。宣賛は、自由市場を認めるよう金国と交渉を始めた。やがて自由市場は江南を席巻し、物流を握る梁山泊の勝利は目前と見えた。だが、百年に一度の大洪水が、梁山泊を襲う。数多(あまた)の同志の死を胸に秘め、楊令は吹毛剣を手に、敵将・岳飛の前に立つ。混迷の時代に、己の志を貫いた漢たちはどう生き、闘ったのか。楊令伝、夢幻の最終巻。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本作は楊令伝最後の巻となる。

故に多くの人が倒れた。


武松:一人での旅が多かった。とてつもなく強い。水滸伝では李逵とのコンビで大暴れ!最後は暴れに暴れ華々しく同士に知られる事なく散る

公孫勝:自ら進んで汚れ仕事、彼が出てくると少し安心。どんなピンチからも脱出。死ななくても良かった気がするが一つの節目なので死んでしまった感はある。

花飛麟:楊令伝を通して著しく成長した一人!呼延淩と並ぶ梁山泊の双璧!子午山組の一人!最後は父の花栄を超えていた!と思いたい!

張平:子午山更生組の一人、笛が上手い、楊令の傍らに常にピタリと張り付く!彼の死が楊令の・・・の引き金となったのでは・・・

楊令:本作の主人公、幻王と呼ばれる。父は青面獣、育ての親は梁山泊!最後は死んでしまうんだろうなぁと思いきや、残りのページが少なく、もしや?と思いきや・・・

李富:死ぬとは思っていなかった。彼は果たして悪だったのか?疑問は残る・・・


主要メンバーが大分死んでしまいました。
梁山泊はどうなってしまうのか?誰が次の頭領になるのか?
呉用、燕青、李俊、史進・・・旧梁山泊からの人達も生きているから、何とかなるだろうとは思うものの・・・

取り敢えず水滸伝から楊令伝、長かった〜
多くの同志が志半ばで倒れていったが童貫を倒し、宋を斃し、新しい国の形を生み出した!
水滸伝最終巻で滅ぼされた梁山泊は見事リベンジを果たした圧巻の15巻でした!


最後に右腕と多くの仲間を失った岳飛はどうなっていくのか!?
英雄の物語『岳飛伝』が楽しみです。

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2020年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どうしても、東日本大震災時の津波を想像してしまい、辛くなりました。

宣賛と武松、せつない。

楊令なんて、悲しすぎるー。最期まで、孤独で悲しい。
岳飛に救って欲しかった・・・。

やっぱり北方だなあーと思う。甘く、ない。
あーあ。
救えなかったことも踏まえ、の岳飛伝移行
なのでしょう。
とっても続きが気になる終わりかたは、さすが!
・・・でも収拾つかなかったね。

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2012年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ついに完結。
あまりの戦上手であり、個人戦も無敵、性格的にもあまりに完璧な設定にしてしまった主人公は、父親と同様に青蓮寺の残党の奸計によって最期を迎えるしかなかったのかもしれない。次代の好敵手として成長してきた岳飛は未だ敵わず片腕を失ってしまう。楊令の志は岳飛に受け渡されたのか?ともかくこれで長い物語が輪を閉じた。「水滸伝」の英雄たちも多くが死に絶え、二代目たちは逞しく魅力的な人物に育ってきた。この物語は次作「岳飛伝」にどのように連なってゆくのか楽しみである。

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2012年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんな最終章、想像以上でした。
呉用の覚悟、李父の暗殺、公孫正の死
大洪水
南宋とくに岳飛との息詰まる戦い
金の裏切り、宣賛の死
そして・・・

思わずハードカバーの岳飛伝1巻を買ってしまいました。

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2012年09月11日

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ネタバレ

ああ、そうきたか。
主人公の名のついた『楊令伝』
彼が脇に回るわけはない。
そして、生き続ける限り、彼は物語の主役を張る男だ。そう生まれついている。
だから、楊令の命の終わりがこの作品の終わりだと予想していた。

だけど、全然死ぬ気配はない。
梁山泊の大きな柱が1本、また1本と倒れていっても、彼が倒れる気配は最後までなかった。

それでもことが起こってみたら、ずっとそこに答えはあったような気がする。

楊令よりずっと年下の秦容が「生意気を言いますが、おれは同情していました」と言った。
楊志が命をかけて守った息子であることから、梁山泊を背負って立つ男の運命を生きることになってしまった楊令。
ひとつ間違えばそれは、秦明の息子であった秦容の運命だったかもしれない。
子どもらしい子ども時代は短く、梁山泊の夢を生きざるを得なかった楊令。

それでも思ったよりも梁山泊の人的ダメージも領土的ダメージも少なかったのではないだろうか。
この先は岳飛の話にシフトしていくようだけど、けっして消滅したわけではない梁山泊という生き方を、この先どうやって見せてくれるものか、わくわくする。

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2018年05月15日

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ネタバレ

まあ最終巻ということもあって、楊令は死ぬのだろうなとは思っていましたが、終盤までは本当に死んでしまうのだろうか?という感じでした。でも、まさか最期はそのようになるのだとは思わなかったまさかの展開でしたが、そういえばこれまでも同じような展開が何回かあったなと思いました。
これまで梁山泊を支えてきた公孫勝、武松、花飛麟、張平、宣賛なども死んでしまいましたが、生き残った猛者もいるので、この続きである岳飛伝で、この後どのように展開していくのかが楽しみです!

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2013年10月05日

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ネタバレ

前作からずっと追い続けてきた人物の物語が終った。

 『水滸伝』はまさに叛逆と破壊の物語であり、志のもとに集った並みいる英雄たちが、強大な権力に挑み、壮絶な戦いを繰り広げていた。克明に描かれる漢たちの強さ、弱さ、絆、愛、怒りと悲しみに幾度も胸を熱くさせ、また熾烈な策謀や戦闘のシーンでは、敵味方問わず夢中になった。
 前作に対し、『楊令伝』はその緊迫感や爽快感をやや欠いた。
 四散していた梁山泊の同志たちが、北の大地に消えた楊令を見つけ出し、新たな頭領を得るところから、宗教という要素を持ち出し、人間存在や戦とは何かを徹底的に追求した方臘戦、それを乗り越え究極の戦人となった童貫将軍との最終決戦まで、すなわち本作の前半部分は、いわば単純に『水滸伝』の「続き」であり、闘争の精神が息づき、全てが戦を中心にまわっていた。
 しかしひとたび梁山泊が「国」となってからは、帝を持たぬ新たな国の姿として、民からの搾取ではなく交易による富で国を豊かにするための奮闘に、物語の力点が置かれる。梁山泊、金、斉、南宋と、複数の国家が並び立つも、いずれも体制が不安定であるがゆえに、戦も謀略も複雑な駆け引きを必要とし、緻密で緊張感はあるが地味で勢いが削がれた印象がある。破壊のあとの創造、国作りの物語を極めて現実的に描いているのだから、仕方の無いことではあるが。
 登場人物の価値観もますます多様化し、前作で重視された「志」を真の意味で抱き続けた(つまりただ「志」を持つのではなく考え抜き深化させ実行に移した)のは、楊令ただひとりであった。これは意図的な演出で、楊令は最後までリーダーの孤独を一身に背負っていた。彼の苦悩をみるのは、彼を愛する多くの読者にとっても辛かったのではないか。また人物も増え、それぞれが個々の思惑で動くため、魅力が出るキャラもいる一方で、印象の薄いままあっけなく消えてしまう者もいて、不完全燃焼な部分もいくらかあった。
 ただ、この作品で何より印象的だったのは、「誰しもがそれぞれの戦場を持っている」ということである。前線に立ち敵を倒すことだけが戦ではない。商人が物を仕入れ運び売ることも、馬飼が馬を育て鍛えることも、飛脚が情報網を巡らせ文を届けることも、役人が法を整え政を行うことも、それに本気で立ち向かう者にとっては全ての営みが戦なのだ。
 私が『三国志』や『水滸伝』、あるいは60年代の学生運動の雰囲気などに惹かれるのは、理不尽な権力に対する反抗、新しい国家体制の夢想というテーマとともに、何よりも見果てぬ夢のため命がけで戦う、ということに強い憧れを持っているからである。戦争は人を傷つけ命を奪う行為であるという事実からは逃れられないが、私の心の奥にはそういう理性を超えて、ただ思うさま暴れてみたいという荒々しい欲求が眠っているのだ。決して満たされることはないだろうと思っていたが、この作品を読んで、何も剣を手に取る必要はないのだとわかった。私には私の武器があり、戦場がある。望む戦場に立つことが許されるかどうかも実力のうちであるし、出陣するなり討ち取られたりせぬよう、鍛錬を積まねばなるまい。

さて、物語は『岳飛伝』へと引き継がれる。正直なところ、岳飛は頑固でイジイジしたところがあって、迷う余裕も無かったがゆえに決断力に溢れていた(そうならざるを得なかった)楊令に比べると、少し苦手である。しかし岳飛は、超人的であった楊令よりもさらに民に近い存在として、人間の営みの混沌のなかで、国の姿を考え続けている。それゆえに、真の意味での「民主」の姿が描かれるのではないかと、期待している。

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2012年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どのような結末になるのか、ハラハラどきどき頁をめくって行った。最終巻である以上、楊令は無事ではないだろうという予感はあったのだが、意外な最期に唖然とした。それは、あまりにあっさりとした死であった。読者は、見事に騙されてしまった。無事であってくれという、一抹の期待も裏切られてしまった。でも、なぜか、清々しさが残った。

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2012年09月02日

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